平成10年度 第16回現代俳句協会新人賞 こしのゆみこ(こしの・ゆみこ)

1951年愛知県生れ。東京都在住。
1988年8月俳句を意識する。
1989年海程入会。
1993年海程新人賞受賞。海程同人。
1994年1950年以降生れの超結社句会「豆の木」を結成。
1995年豆の木賞。
1996年現代俳句協会新人賞佳作。
現代俳句協会会員。「豆の木」代表。
共著「海程新鋭集第一集」

 「平 気」    こしのゆみこ

  夏のうしろぱちんとはぜる菓子袋
  花茣蓙にあかんぼ置けばさらわれる
  少年と寝息合わせる合わない昼寝
  ががんぼののぞみをきいていたるかな
  百足の子鈴つけて大急ぎなり
  日焼けなき少年をつつむタオル
  砂糖菓子の溶ける快楽平泳ぎ
  海鵜立ち神経干してゆれるなり
  籐椅子にざぶんとかけて鎮めおく
  木目たどると終戦日につきあたる
  栗を剝くひたぶるこころありにけり
  旅のように林檎芯まで腐ってゆく
  過去形になおしてごらん花みょうが
  猫じゃらしそよぐ足首露わなる
  穂絮まみれのわたくしのころしかた
  うまれつき小鳥なくしたような眉
  一葉忌石売り石の物語
  片恋の兄猛烈に黄落す
  田の水のたまるところに白鳥来
  そわそわ空動き始めてぼたん雪
  平気なる胸に水仙刺し入れよ
  純白の手袋翼のごとく売る
  すずしろすずしろといい澄んでゆく
  春の森出て来る人に挨拶す
  つばくらめ大きい顔してひるがえる
  天牛は無防備すぎる電機街
  青水無月輪ゴム一切合切束ね
  嵐もうはんぶん過ぎて虹の支度
  赤ん坊の重さみずいろかもしれぬ
  寄宿舎はこっくりこっくり槐降る

※句は現代俳句データベースにもアップされています。
※略歴は受賞当時のもの。平成11年までは「現代俳句協会新人賞」。応募資格に年齢制限がない。