平成21年度 第27回受賞者 宮崎斗士(みやざき・とし)

1962年 東京都生まれ「海程」所属
第5回海程会賞、第45回海程賞受賞
句集『翌朝回路』
「青山俳句工場05」編集・発行人

「尺取虫」   宮崎斗士 
そそっかしいシンバル奏者春嵐
目借時たとえばケーキ切る感触
治虫忌や抜歯のあとの青い空
婚期かな積まれた本の上に虻
おぼろ夜の楽譜にひとつ疑問点
カンガルーと目が合う少女夏が来た
花柚子や筆談まずは自己紹介
聖五月すべてが球になるアニメ
祖母の声茉莉花匂う闇がある
夏三日月いま落胆のホイッスル
トルソーの増えてゆく部屋黄金虫
笑わない人草笛で吹く国歌
桐の花聖書はじめて読む少年
尺取虫街少しずつバリアフリー
すもも買う破船のように静かな日
不眠症のきっかけは虹ホームレス
蛭がいて語尾の尖ってゆく会議
トマト畑歌声を生む雲ひとつ
舌に付く一本の髪十六夜は
昏睡の人のてのひら鶴よ来い
恋人を黄と紺で描く九月尽
鍵盤に会いたがる母花梨の実
みんな笑顔雪合戦の一球目
氷湖ありもう限界のボクサーに
冬の薔薇無口になるために叫ぶ
タオルに顔うずめる五秒年新た
一本の氷柱弔辞を読み終わる
コントラバス定位置にあり風花す
ぺしゃんこの折鶴広げゆく葛湯
もうすぐ春シャンプー中の犬走る

 

※句は現代俳句データベースに収録されています。
※受賞者略歴は掲載時点のものです。