平成20年度 第26回受賞者 三木基史(みき・もとし)

昭和49年、兵庫県生まれ。龍谷大学経営学部卒。兵庫県在住。
平成18年、「樫」参加。森田智子に師事。
平成19年、「樫」同人。
「樫」所属。現代俳句協会会員。

「少 年」   三木基史

少年に滑走路あり大夏野
夏蝶の羽音過ぎゆく微熱かな
向日葵が一部始終を見ていたり
学僧の静かな歩み百日紅
炎天に溶け残りたる魚影かな
イヤホンを外す夕焼跨ぐとき
赤蜻蛉まわればまわるほど赤し
鶏頭の雄弁な首切り落とす
橋脚に凭れて葦となりにけり
伝言で繋がる時間ちちろ鳴く
唇を鏡に残す十三夜
急がねば流星先に拾われる
体育の日の固過ぎるジャムの蓋
オリオンをのせてきれいな巴投げ
熊の子が夜を引き摺る音すなり
炉火に聞く木の神石の神の声
白鳥や大統領の撃たれし日
馬跳びの最後に冬を跳び越える
福寿草ひとつふたつは人見知り
立春の独りに大き過ぎる部屋
ヒヤシンス隣の窓に恋をして
定型をはみ出す呼吸ひこばゆる
春めきて仄かに甘し水の惑星(ほし)
かざぐるま風を忘れて戻り来る
朝刊を手に取るまでの沈丁花
ワイシャツの襟に厚紙さくら咲く
アイロンの蒸気が抜ける花疲れ
流木に桜の記憶消え残る
雀の子天下国家を胸で押す
清明や草に投げ出す旅鞄 

※句は現代俳句データベースに収録されています。
※受賞者略歴は掲載時点のものです。