平成27年度 第33回受賞者 瀬戸優理子(せと・ゆりこ)

本名 武田優理子
1972年東京都生まれ、北海道在住。
1997年 「橋」(のち終刊)の句会にて俳句と出会う。
現在「WA」「itak(イタック)」「蘖通信句会」に参加。
2011年 第二十九回現代俳句新人賞佳作。
2014年 第十四回中北海道現代俳句賞受賞。
現代俳句協会会員。北海道俳句協会会員。

  微熱      瀬戸優理子

夏空や画用紙の端反り返る
夏シャツの乳房で伸ばす畳み皺
夫は他人顔の半分サングラス
一族にはみ出さず居る夏座敷
じんわりと染み込む叱言氷水
昼寝の象鼻長くなる夢を見る
網戸抜け荒地を抜けて転生す
微熱持つ寂しさ蛍袋かな
それぞれの門をくぐりて夏の果
冬瓜の透きとおるまで夫忘る
秋茄子を割れば放心の白さ
鳴ると思う電話の鳴りぬ十三夜
晩秋のホテル氷が溶けた水
切り落とす髪の一束流れ星
雪虫の好んで止まる小さき肩
シリウスを心臓として生まれけり
産み終えて海鳴り残る冬至の湯
皿汚し愛に無口なクリスマス
日記買う同じ袋に明日のパン
覚悟とは雪の深さに沈む脚
天命を拝受ダイヤモンドダスト
地球儀を西へ廻して卒業す
改行に迷う寄せ書きいわし雲
チューリップ出てくるはずの鉢覗く
人形の肉付き密か春の宵
気を抜くと告白になる夕櫻
その男推定無罪春の雷
絶版の恋物語椿落つ
鳥引くや手錠のように腕時計
梅雨寒のポストの口に触れて去る

※句は現代俳句データベースに収録されています。
※受賞者略歴は掲載時点のものです。