平成24年度 第30回受賞者 柏柳 明子(かしわやなぎ・あきこ)

 ・昭和47年(1972)、神奈川県生まれ。東京都在住。
 ・平成 8年(1996)、「炎環」入会、石 寒太に師事。
 ・平成11年(1999)、炎環新鋭叢書2「きざはしの詩」(光書房)に参加。
 ・平成13年(2001)、「炎環」同人。
 ・平成13年(2001)、現代俳句協会会員。

 
 「銀河系」        柏柳明子

  鳥雲に解法降りてきたりけり
  春の雪縄文人の話かな
  てのひらのやはらか春の星ほどに
  桜貝拾ふからだのメロディに
  野遊びの同じ名前に振り向かれ
  しやぼん玉平均律の震へかな
  はつてふの竪琴の音をこぼしをり
  一本は転校生の桜かな
  神様のかんたんな顔新樹風
  緑さす水面の暮れてゆきにけり
  日曜日レースカーテン越しの街
  蟬の声網のごとくに広ごれり
  緋のダリアジャズシンガーの揮発する
  茗荷掘る黄泉の入口近くにて
  銀河系ピアノのペダル踏む素足
  新涼や自分の影の上歩く
  湖の小さく見ゆる墓参かな
  てのひらの隕石の匂ひ秋の昼
  レコードの針の戻りし良夜かな
  鏡花忌のMRIへ四肢潜る
  烏瓜ぱちんと心療内科かな
  鈴の音の聞こえてきたり秋ひと日
  まつすぐにルージュを引きて山眠る
  湯上がりのごと雲間の冬満月
  寝転べば金管楽器となる寒夜
  くつさめや車窓の我と目の合ひぬ
  調弦のやうに降り出し十二月
  寒の梅紅茶の細く注がれぬ
  トンネルの望遠鏡にクリスマス
  大寒や打ち返す音の速くなり

※句は現代俳句データベースに収録されています。
※受賞者略歴は掲載時点のものです。