平成13年度 第19回現代俳句新人賞 杉浦 圭祐(すぎうら・けいすけ)
1994年1月、中上健次主宰の熊野大学俳句部で俳句に出会う。
1994年7月「草苑」に入会。
1997年3月より「草苑」同人。
1998年雑誌「quatre」創刊に参加。
合同句集『21世紀俳句ガイダンス』。
現代俳句協会会員。
「滝」 杉浦圭祐
大滝を拝むところに火の匂い
橋渡る時みな夏の川をみる
竹藪にはさまれている青田かな
三人で熊野に帰る夏の月
墓に来たことで八月始まりぬ
少年の嘘のひろがる木下闇
岩覆う白き天より那智の滝
表札の裏に隠れる守宮かな
補陀洛に光を拾う夏期休暇
夕立のなか走つても走つても
暗闇に蟇飼う大家族
水着きてコクトー好みの人になる
那智滝の飛沫赤子に浴びせけり
父親の影歩き出す青簾
夏草を時速八十キロで過ぐ
腰に手をまわされてみる遠花火
印刷の機械のそばに蚊を叩く
板の間に寝転ぶ長き裸かな
弟を泣かすまで撃つ水鉄砲
上向きの岩滝水を受け止める
やみくもに二塁を回る夏の雨
山の雨百合は花粉に汚れけり
芸人の自伝に浸る麦湯かな
滝水にまぎれて落ちるしろきもの
赤子抱く夏の日暮よ永遠に
かの人はいつよりか留守石榴の実
秋草のなかに黒猫身構える
八方に撥ねる檸檬を洗う水
右の手の火傷の跡に猫じゃらし
かなかなや木の国の木の家にいて
※句の一部は現代俳句データベースにもアップされています。
※略歴は受賞時点のものです。