会長/植垣規雄
事務局長/岡みずき
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鳥取県現代俳句協会会報PDFファイル

鳥取県現代俳句協会会報第51号 令和4年11月
鳥取県現代俳句協会会報第50号 令和4年6月
鳥取県現代俳句協会会報第49号 令和3年11月

【 行事 】 (2021年6月21日更新)

第39回中国地区現代俳句大会

令和3年6月13日、14日に鳥取市「白兎会館」で開催予定だった第39回中国地区現代俳句大会は、新型コロナウイルス感染防止のため紙上俳句大会として実施されました。

第39回中国地区現代俳句大会入賞作品
中国地区現代俳句大会賞
水音に尾ひれのついて春が来た  下松市 木戸明子

中国地区連絡協議会賞
世に疎き幸せもあり蝸牛     米子市 富田信典

すかんぽを噛んで昭和の子に戻る 周南市 伊藤惠美子

死ぬるまで団塊世代蝌蚪生まる  倉敷市 秋岡宣子

地球儀の正面はなし寒卵     下松市 橘美泉

優秀賞
ふるさとの景は人肌水ぬるむ   松江市 黒崎柊二

二番ホームで春一番に乗り換える 長門市 松本清水

菜の花や道いつぱいの島のバス  福山市 石井一石

しゃぼん玉風に重力無重力    倉敷市 伊藤 曻

秀逸賞
さくさくと砕く骨上げ柿の花   津山市 保田紺屋

もう何も要らぬ齢や花大根    倉敷市 稲田マスミ

発熱の地球をなだめ代田水    西伯郡 渡辺をさむ

沈丁や風となりゆく人ばかり   米子市 中田七重

耕して去年の石にまた当たる   鳥取市 野田哲夫 

啓蟄や空気のやうに老いてをり  松江市 月森遊子

残照や父の影踏む麦を踏む    周南市 津森敏伸

対馬康子賞
指に血が流るるはやさ春の潮   岡山市 小西瞬夏

国中のQRコード地虫出づ    光市 市川邦子

海鼠食って水平線のあかるさへ  長門市 松本清水

月に咲く花を見んとや紙飛行機  安来市 村上和枝

百閒やけれいけれいと鶴の園   久米郡 沼本養丱

箒ごと子の居なくなる落葉掃   鳥取市 植垣規雄

一病に一種足らぬ七日粥     周南市 藤兼雅幸

寒雷や魚群のまなこ移りゆく   安来市 森田廣

欲望の芯のささくれ紅椿     周南市 山根志づ

草餅や母と来た道消えている   岡山市 花房八重子

各県協会会長賞
岡山県現代俳句協会会長賞(木村ゆきこ選)
詩心を辿つてゆけば牡丹の芽   福山市 吉田光山

まだ寒気の残る早春、ふくらんでくる朱色の太い芽の存在感。大輪の花を開くまでの花びらの一枚一枚を「詩心」と表現した作者の詩心に感銘を受けた。

山口県現代俳句協会会長賞(久行保徳選)
鳥帰る五指より透ける日本海   安来市 村上和枝

渡り鳥が北方の繁殖地に帰って行く。それを少し小高い丘から眺め侘ぶ。目の前に広がる日本海を、自分の肉体の一部でもって更に近くする。

島根県現代俳句協会会長賞(月森遊子選)
ふるさとの景は人肌水ぬるむ   松江市 黒崎柊二

ふるさとの景色・風情は、人肌のように温もりがあり、加えて水も温む春のふるさとは、一層心も安らぐところであろう。ふるさとの景に、「人肌」の引用が心にひびいた句。

広島県現代俳句協会会長賞(川崎益太郎選)
凍土溶け太古の菌の暴れ出す   光市 井原三都子

今はコロナウイルスが猛威を振るっているが、より怖いウイルスが潜んでいるかもという怖い警鐘の句。地球温暖化で、シベリアの永久凍土といわれる凍土が溶け、閉じ込められていた太古のウイルスが蘇る虞があると言われている。地球温暖化は思わぬ恐怖も孕んでいる。

鳥取県現代俳句協会会長賞(植垣規雄選)
花の冷皮膚にゐちまいの光    岡山市 小西瞬夏

桜に浮かれかけた身には予想外の寒さである花冷。肌で感じるこの寒さを作者は「ゐちまいの光」と表現した。この美しい季語の透明感と皮膚感覚を的確に表している。この句は感じる句である。