尾崎竹詩会長

会長 尾崎竹詩
事務局長 芳賀陽子
事務局
郵便番号 237-0063
所在地 横須賀市追浜東町3-86
TEL 0468-65-4307

【 地区の紹介 】

会長挨拶 尾崎竹詩

 平成31年3月3日の定時総会において神奈川県現代俳句協会の会長を拝命することになった尾崎竹詩です。当協会は今年37年目を迎え伝統と目覚ましい歴史を誇っています。現在までの神奈川県現代俳句協会を創り、育ててこられた先輩方の知恵と努力の結晶であることは間違いありません。その第八代会長という重責を担うことになりました。とても個人で担いきれるものでないことは明白です。現在の役員、会員そして俳句をこよなく愛する同志がなければ継続発展できるものではありません。私は神奈川県現代俳句協会という『座』を通して俳句に親しみ、人生を楽しみたいと思っています。
 現在の当協会は深刻な課題を抱えています。会員の高齢化と会員の減少傾向です。この二つの課題の根っこは一つだと思っています。この解決策は「現代俳句の楽しみ方」「現代俳句の面白さ」を多くの人に知ってもらうことではないでしょうか。「現代俳句」がこんなに楽しいものだということを発信していきましょう。そして私たち会員一人一人が俳句を楽しみ、会員同士が研鑽と親睦を深めていきましょう。笑顔のあふれる場所には人が集まってくると思います。あたたかく示唆に満ちた場所は離れたくないのではないでしょうか。
 金子兜太亡き後の現代俳句協会は、兜太ロスになりかかっています。しかし、兜太が背負ってきたものを一人で担うのは困難です。現代俳句には『座』という莫大な財産があると思うのです。この『座』が新しい理念を生み、活力を作るのではないでしょうか。松尾芭蕉を生んだ蕉門があったように、金子兜太を育てた現代俳句協会があったのです。令和の現代俳句協会を創るのは、私たち一人一人の知恵と努力次第だと思っています。

 さあ、新しい令和の時代に新しい現代俳句を探しに行きましょう。

【 行事 】

(2019年9月3日追加更新)

§ 第37回神奈川県現代俳句協会俳句大会のご案内 §

神奈川県現代俳句協会俳句大会は、現代俳句の向上発展に資するため、年に一度、主催=神奈川県現代俳句協会・後援=神奈川県・神奈川県議会・横浜市・横浜市議会・横浜市教育委員会・神奈川新聞社・tvkテレビ・横浜俳話会・川崎市俳句連合会として行う大会で、今回は第37回です。俳句を愛し、志す人は誰でも参加できますから、ふるってご応募下さい。清新で美しく強力な現代俳句の新作品を期待します。

■応募規定:二句千円をもって一組とし、一人何組でも可。ただし新作未発表作品に限る。前書きは認めません。
所定の投句用紙または二百字詰原稿用紙を使用のこと。
■送り先:〒259-1306 秦野市戸川 159-26 佐々木重満方 大会投句係
■締切:9月30日厳守
■顕彰方法:大会の模様を神奈川新聞紙上に発表、優秀作品に対し神奈川県現代俳句協会賞・神奈川県知事賞・神奈川県議会議長賞・横浜市長賞・横浜市議会議長賞・横浜市教育委員会賞・神奈川新聞社賞・tvkテレビ賞・横浜俳話会賞・川崎市俳句連合会賞など多数。
■大会日時:令和元年11月23日(土・祝日)開会:12時
■協賛費:千円
■席題による当日句会併催 席題発表:11時10分 投句締切:12時10分
■場所:かながわ県民センター二階ホール()
■講演:川名大 先生(俳文学者)演題:名句で読み解く表現史―ナラトロジーの視点から
■問合せ先:〒239-0833横須賀市ハイランド4-12-11 大会委員長 大本 尚

4ブロックの活動と予定

神奈川県現代俳句協会では会員相互の活発で密接な活動を支援する為、県全体での活動とは別に4ブロックに分けての活動を毎月実施しております。これにより、より綿密な会員サービスが可能となります。今後とも、各ブロックの活動に積極的にご参加くださいます様、お願い申し上げます。

【横浜ブロック(星川句会)】 ブロック長:なつはづき
於:星川アワーズ
・7月句会 令和元年7月1日 五十音順
飛べぬ子に追われ出ていく梅雨の蝶   麻生 明
身中になめくじありて雨を乞う     石川 夏山
青田道つぎつぎ風に追い越さる     尾崎 竹詩
クレヨンの青が活躍夏休み       川島由美子
台風の湿り気連れて太る風       桐山 芽ぐ
一万歩ひとり住まいの冷奴       栗原嘉一郎
羽抜鶏迂闊に卵生みにけり       野木霞丘子
かくれんぼ鬼残されて夏の夕      菅原 若水
潮騒と諸味の歌と老鶯と        内藤ちよみ
あめんぼの一・二・三・四・誤作動す  なつはづき
手触りのうすき茶碗や夏点前      藤原眞理子
梅雨空の晴れて呼び合ふ優・亮太    本田 詠遊
遅れ来し者は夜明けの蓮の花      町野 敦子
大蜘蛛の叩きし音をすりぬけり     山崎美恵子
だみ声の水を讃へて蟇         渡辺 順子
・8月句会 令和元年8年8月5日 五十音順
朝顔の自由主義なる花の向き      麻生 明
蜩の声を浴びつつ向かう湯屋      石川 夏山
テネシーワルツ涼しい風が舞っている  尾崎竹詩
始まりは鱧の焙りの向うづけ      川島由美子
花火果つ足元ばかり見て家路      桐山 芽ぐ
またひとつ閉店となり蝉時雨      栗原嘉一郎
権力が人肉喰らふ旱かな        菅原 若水
ひまわりのけらけら笑う精神科     野木霞丘子
青大将レム睡眠のなまめくよ      早坂 澄子
八月の夕日へ掛ける千羽鶴       内藤ちよみ
町中に猫の抜け道熱帯夜        なつはづき
風鈴の無言にだらり犬の舌       本田 詠遊
剃刀があれば切り絵に踊笛       町野 敦子
噴水のみほとけのごと立ち給ふ     山崎美恵子
風鈴や美しき錯覚ふと過る       渡辺 順子
※今後の予定(毎月第一月曜日)10月7日・11月4日
相鉄線星川駅下車「かるがも」(保土ケ谷区福祉保健活動拠点)で行います。
【なつはづき・報】

【川崎ブロック】 ブロック長:加賀田せん翠   於:川崎市総合自治会館
・六月句会 6月15日(土) 五十音順
民主化やトマトますます甘くなる   青島 哲夫
万緑に骨格ありぬ人置いて      麻生 明
さくらんぼ免許返納するという    加賀田せん翠
賞品のもぎ立て焼き立てとうもろこし  佐藤 廣枝
帰省子や皆勤賞の黄ばみをり     関戸 信治
緑陰の君は私の鑑賞魚        ダイゴ鉄也
だんだんと星が輝く生ビール     福原 瑛子
入賞へあと一息の羽抜鶏       町野 敦子
五月闇こそばゆいとこ触れらるる   三沢 容一
嫁く娶る話途切れて青ぶどう     山老 成子
賞讃は彼の口癖青葉騒        山田ひかる
賞味期限気にするしない冷蔵庫    吉居 珪子
父の日賞お盆に乗せる役につく    吉田香津代
※今後の予定 毎月第三土曜、川崎総合自治会館にて開催。

☆川崎・横浜ブロック合同吟行会 
川崎大師風鈴市 7月19日(金)於:東海道かわさき宿交流館
  入賞句(高点順)
風鈴市たった一つの音探す      菅沼とき子
風鈴の音色に山河生まれけり     塚田佳都子
ふるさとを風鈴市に探しをり     栗林 浩
風鈴の一期一会の響きあふ      蒲谷トシ子
逃げてゆく風に恋して竹風鈴     桐山 芽ぐ
風鈴の音色ふるさと自慢かな     根本 朋子
ふるさとの風流を売る風鈴屋     稲葉 喜子
被災地へ南部風鈴鳴り止まず     渡辺 初子
風鈴の下に子犬の欠伸かな      小堺 基和
賑わいをよしず囲いの隙間より    吉田香津代
風鈴や飴屋は切らず音立てて     伊藤 眠
女三人風鈴市の風となる       山老 成子
ふるさとの風聴きたくて風鈴市    渡辺 順子
風鈴の舌の妖しき動きかな      関戸 信治
風鈴の鳴ろうとせずに鳴っており   岩田 信
風鈴市指揮者がどこかにいるような  田畑ヒロ子
万の音聞き分け選ぶ江戸風鈴     田中 悦子
江戸風鈴前頭葉のつんのめる     野木霞丘子
風鈴の音を微塵に飴を切る      尾崎 竹詩
風鈴の音にある訛競い出す      加賀田せん翠
江戸風鈴風を深読みしておりぬ    芳賀 陽子  
風鈴や神社に孫を忘れ来し      青島 哲夫
日盛りやりいんりいんと透ける骨   つはこ江津
風鈴や仮名文字美しきお品書     井出 桂子
風鈴も達磨となりて厄除けり     宮沢 久子
金・プラチナ大好きよ風鈴市     佐々木重満
狐雨風鈴ほほと笑ひけり       山下 桐子
風鈴や生来競ふことのなく      皆川のり子
風鈴売り夕暮れひとつおまけする   町野 敦子
かぜを呼び風鈴かぜとなりにけり   菅原 若水
【町野 敦子・報】

【湘南ブロック】 ブロック長:堀口みゆき  於:藤沢市民活動センター
・第54回サンシャイン句会 6月14日(金)14時~17時
当季雑詠 5句(うち席題一句「百合」)五十音順
五輪期す起重機に湧く雲の峰     安藤 靖
誰だろう郵便受に茗荷の子      稲葉 喜子
薫風やチェロ軽々と女子の背     荻野 樹美
うすものの女骨まで透けてくる    尾崎 竹詩
鬼百合や生意気盛りの匂いして    金栗トモ子
逃れ来し平家蛍の肩にあり      河村 青灯
生涯をわが家の水の金魚玉      塚田佳都子
おもひきり空気をすくひ捕虫網    堀口みゆき
大島の全てを閉ざす梅雨曇り     渡辺 和弘
アイフォンは冥土の土産七変化    渡辺 正剛 
・第55回サンシャイン句会 7月12日(金)14時~17時
 当季雑詠 5句(うち席題一句「内」)五十音順
生椎茸グリム童話に出てきたる    稲葉 喜子
神輿なる内なる神と渡御の海     大矢 暁美
機内より踏み出す一歩梅雨曇     荻野 樹美
泣き虫の姉を乗せ来よ茄子の馬    金栗トモ子
靴ふたりそっと揃へり鮎の宿     河村 青灯
梅雨長し鸚鵡は同じことを言う    田畑ヒロ子
草矢射る届かぬ距離と知りながら   塚田佳都子
夏神楽面の内側乾きけり       堀口みゆき
渋滞の先を優雅に夏の鴨       宮永 武彦(欠席投句)
栗の花むなしきものは無言館     渡辺 正剛
・第56回サンシャイン句会 8月9日(金)14時~17時
 当季雑詠 5句(うち席題一句「長」) 五十音順
黒揚羽に大事なものを盗まれし    安藤 靖
父さんと降ろした西瓜滑車井戸    稲葉 喜子
よく聴けば南無阿弥陀仏朝の蟬    大矢 暁美(欠席投句)
炎帝の廻すかメリーゴーランド    荻野 樹美
雷に抱かれて行って鬼になる     小園 葉舟(欠席投句)
夏草や向こう三軒空家です      金栗トモ子
三千界音ひとつ無き今朝の秋     河村 青灯
釣り忍会うた気がする初対面     塚田佳都子
風鈴市賢治の好きな風を呼ぶ     内藤ちよみ
軍港は寝不足気味や秋に入る     日置 正次
黒日傘たたみ闘争心むき出し     平佐 和子
海の日や音割れてゐる拡声器     堀口みゆき
鐘の音のしだいに高く長崎忌     渡辺 和弘
血液検査は数値の世界炎天下     渡辺 正剛
※次回サンシャイン句会
10月11日(金)14時~17時  藤沢市民活動センター二階会議室

☆湘南ブロック吟行会  日時:9月27日(金)

受付開始:13時
投句締切:13時20分 2句
会場:鎌倉芸術館3階集会室
吟行場所:大船フラワーセンター等。
トーク&演奏:「四季のぽぷり」音楽と俳句(仮題)全員参加型のトークと演奏の予定
ゲスト:中山育美氏(ピアニスト、作曲、編曲家)
【堀口みゆき・報】

【西部ブロック】 ブロック長:田畑ヒロ子  於:秦野市立西公民館
・六月丹沢句会(第65回)6月21日(金)清記順
アーティチョーク刮げ落して野蛮な夜 菅沼とき子
梅雨満月その明るさにある不安    加藤かほる
ひとわたり黄泉みてかえるももゆもも 與起
走根はマグマの型杉落葉       中山 妙子
読みかけの本がいくつも明け易し   尾崎 竹詩
髄虫に黄スカシユリの健気かな    源 桃子
黒潮に沿うて昼寝の真盛り      佃 悦夫
夏畑毎日同じものを食ぶ       石井 秀稀
終活はまだ先のこと鮎の旅      北村 文江
あめのふるあめあめあめあめうめのあめ 羽田 勝二
白靴や汚れんとする踏んばりよう   田畑ヒロ子
茅花流しロマンスカーを見送れり   髙橋 姜子
枇杷はたわわに口ほどにものを言い  芳賀 陽子
梅雨晴れのエンジェルロード鈴の音  内藤ちよみ
父の日のアイフォン土産冥途かな   渡辺 正剛
破れ傘時代錯誤と云われても     長谷川昭放
梅雨満月農事遅れを忘れさす     佐々木重満
・七月丹沢句会(第66回)7月26日(金)清記順
白桃の肉のしたたり砂時計      佃 悦夫
梅雨茸の生えてきそうな我が髪膚   加藤かほる
絶滅危惧種いまだま見えず雷鳥は   北村 文江
よろけやみ仙台虫喰い先立てて    與起
カレンダーめくれば全部夏休み    尾崎 竹詩
炎天や誤動作ばかりの脳細胞     芳賀 陽子
命日に点る明りは走馬灯       石井 秀稀
好きでした覚えてますか蚊にさされ  源 桃子
老いてしは斑に忘れ冷奴       酒井 敏光
令和かなブリキの金魚がいたのです  田畑ヒロ子
画用紙の蛇動き出す炎暑かな     長谷川昭放
グラジオラス女人刃向かう構えかな  佐々木重満
長き梅雨作句の紙の白きかな     飯田美枝子
・八月丹沢句会(第67回)8月16日(金)清記順
丸々と専守防衛だんご虫       長谷川昭放
その羽毛脱ぎたくないか夏鴉     加藤かほる
炎天や軍靴の音がやって来る     尾崎 竹詩
雲の峰天竺に向く形かな       田畑ヒロ子
いわし雲父の背中が遠すぎる     篠崎 妙子
太鼓櫓 組めぬ地区でも盆踊り    佐々木重満
雲の峰人の心をわしづかみ      北村 文江
台風へ呪文をかけて来し句会     内藤ちよみ
号泣のひまわり玄し月黝し      與起
佛頭も油蝉も仰向けなり       佃 悦夫
「ハヤブサ」の旅の終りは流れ星   石井 秀稀
夜の涼背走る幽体離脱かな      酒井 敏光
熱帯夜 蚊帳で寝し頃無かりけり   羽田 勝二
炎天や闘志むき出し馬鹿となる    渡辺 正剛

☆西部ブロック秋の吟行会
日時:令和元年10月18日(金)受付:10時30分より 投句締切:12時30分
吟行地:大磯近辺検討中
講演会:演題「『養生訓』に学ぶ」 副題「貝原益軒は正しかった」
講師:東嶋和子氏 科学ジャーナリスト
☆西部ブロック通信句会について
句数:二句一組(一組千円)
募集開始:10月下旬から
投句締切:令和元年12月末
投句先:〒259-1306 秦野市戸川159-26   佐々木重満宛
【佐々木重満・報】

∬ 神奈川県現代俳句協会主催 第36回横浜吟行会 ∬

 2019年6月8日(土)神奈川県現代俳句協会主催の横浜吟行会が開催された。場所は山下公園近くの波止場会館。大桟橋入口に位置するこの建物の5階ホールからは大桟橋と象の鼻パークがよく見える。梅雨入りしたばかりの当日は気温20度の霧雨だったが、役員たちが9時過ぎより集まって来て、役割分担に従って粛々と準備を進めた。
 傘をさす人が減ってきた10時30分より受付開始。担当は田畑ヒロ子副会長をチーフとする植田いく子・杉春美・関根洋子の三氏で、当日の参加者は73名であった。受付をすませた参加者たちは三々五々吟行に出かけた。この辺りは横浜の観光地の中心で、既にどこも多くの観光客で賑わっていた。見所は山下公園・大桟橋・みなとみらい地区・赤レンガ倉庫・マリンタワー・中華街など。
 12時30分に投句を締切り、岩田信参与の司会で吟行句会がスタートした。内藤ちよみ実行委員長の挨拶、鈴木和代副会長の開会の言葉、尾崎竹詩会長の挨拶と続いた。今年三月に会長に就任された尾崎氏の内外に向けての初めての公式なご挨拶となった。尾崎会長は、素晴らしいロケーションで吟行会が出来ることと酒井弘司先生のご講演が楽しみと述べられ、俳句の座を「神の座(くら)」になぞらえて座のもつ力を得て一生懸命に勉強していこうと話された。
 開始10分後には酒井弘司先生のご講演が始まった。演題は「眺望の俳人―森澄雄さんのこと」である。最初に人間探究派、新興俳句についてのご説明があり、その後、森澄雄の作品を年代を追って紹介された。ご親交があった方ならではの森澄雄の生活状況を具体的に話されながらの作品紹介には強い説得力があり、参加者は圧倒される思いで拝聴した。また森澄雄の句には「妻へのおもい」と「人間の生きている時間」という二つの大きなテーマがあると述べられ、最後に「自分はどのような立ち位置で俳句を書いているのかをハッキリさせることが重要」と結ばれた。
 神奈川が誇る強力な「晴れ女」のお陰で日射しが明るさを取り戻した頃、お待ちかねの句会開始。清記は村上友美幹事をチーフに中山妙子・稲葉喜子・比留間加代・堀口みゆき・吉野美和子・山田ひかるの六氏が担当。披講は川村研治・芳賀陽子・田中悦子の三氏、採点は望月英男幹事をチーフとする平田薫・荻野樹美・菅沼とき子・なつはづき・渡辺照子の五氏が行った。披講終了後、採点集計の時間を利用して10人の先生方にご講評を伺った。ご自身が採られた三句について選をされた理由をそれぞれ述べられ、参加者は良い勉強の機会を得た。以下、順に内容を簡単に記載する。

  1. 麻生明前横浜俳話会会長 「梅雨の海霧ランナー生るる大桟橋」映像が浮かんでくる。このランナーは多分原色のウェアを着た女性だろう。「ジャズ鳴らす波止場のヨーコ枇杷たわわ」歌の文句のよう。波止場のヨーコは一寸影のある女の人?ジャズと枇杷が上手く呼応している。「海に浮く白船梅雨を軽くせり」気持ちのいい句。まわりの雰囲気を軽くして抒情的にうまくあしらっている。
  2. 鹿又英一参与 吟行では吟行で見たものを出す事と、今の季節に合う季語を使うようにと力説された。「梅雨湿り浮桟橋に軋む船」浮桟橋にしっかりモノが見える。今の時期の旬の句。「三塔の見ゆる桟橋梅雨はじめ」固有名詞がしっかり出ている。「噴水の天辺に北斎がいる」この場所をしっかり捉えて場所に対して挨拶している。
  3. 渡辺正剛参与 「梅雨の海霧ランナー生るる大桟橋」今日は本当に大勢の人が走っていた。「黒南風やF点滅の電光板」F点滅が分かりにくかったが、入港を許可するサインと知り、横浜港らしい珍しいところを上手く捉えられたと思った。「一樹なき大桟橋の梅雨入かな」コンクリートで固めた大桟橋を「一樹なき」とうまく表現された。
  4. 川村智香子顧問 「眸の中は青水無月の雨の色」グレース・ケリーのような眸が浮かんだ。「青水無月」という語がとても綺麗で、美しく青い眸を思わせた。「船虫に密航のゆめ大桟橋」船虫は岩場にいて傍に行くとサッと逃げる。そんな船虫にも「密航のゆめ」がある、と納得した。「六月のかもめを抱いてくる少年」今日の特選句。色々なかもめがある中で、少し鬱陶しい六月に、かもめという希望を抱いた少年がやってくると解釈した。
  5. 中岡昌太顧問 「白南風や余生の長き氷川丸」今日の句に「白南風」はどうかと思ったが、中七と下五の措辞に強く魅かれた。「華人居て大きな声に梅雨晴間」華人というのは中華街の人ではなくて、みなとみらいを歩いている中国人観光客の一団だと思う。彼らは何処でも大きな声で話す。「噴水の天辺に北斎がいる」噴水を見ていると心の中にある色々なものが出てくる。天辺の崩れる所に北斎がいると感じたのは、やはり日本人ならではと思った。
  6. 酒井弘司顧問 「桟橋に林の匂い梅雨はじめ」林の匂いと強引に持ってきた。「一樹なき」の句と対照的で、桟橋に林を出したことに意外性を感じた。「梅雨に飽きフランスに行く蝸牛」なぜフランスなのか、イタリアでもイギリスでもよいのに。作者の心の中にあるフランスがここに出てきたのである。「噴水の天辺に北斎がいる」北斎の絵を自分の気持ちに置き換えて詠んだ。この三句の持っている内省が良いと思った。意外性に魅かれて採った。
  7. 渡辺和弘副会長 「桟橋に林の匂い梅雨はじめ」桟橋に立って林の匂いを感じたという。梅雨はじめだからこそ林の匂いを感じ取ったというところが私に響いて来た。「雨止めば呪縛がとける蝸牛」蝸牛と雨のイメージはくっ付いているが「呪縛がとける」という作者の想いがとても良いと思った。蝸牛をうまく生かしている。「六月のかもめを抱いてくる少年」読む者に詩を感じさせ強く心に響いてくる。六月という季語を生かしていて、今日の句の中でひと際響くものがあった。
  8. 鈴木和代副会長 「梅雨に入る肩寄せ合いて傘の行く」俳句の友達という濃い仲の優しさを感じた。「潮の匂ひ仲間の匂ひ梅雨曇」仲間の良さを詠っている。「サクランボ記憶たぐりて山手の恋」サクランボで可愛らしさを出し、「山手の恋」に優しさを感じた。
  9. 西野洋司副会長 「潮の匂ひ仲間の匂ひ梅雨曇」横浜でなくてもいいが「潮の匂ひ」に三好達治の「海の中には母がいる」の懐かしさがあり、「仲間の匂ひ」には香水にはない良さがある。「白南風や余生の長き氷川丸」今日は確かに白南風ではないが、この句には的確。氷川丸の今の様子を捉えていて、人間も船も同様に明るく表現された。「船虫に密航のゆめ大桟橋」この句は船虫でもっている。ゾロゾロっといる船虫は取って食う人もいないし虫自体に陰謀があるんじゃないかという気にもなる。
  10. 尾崎竹詩会長 今後、神奈川現俳がどのような方向を目指すのかという事を基準にして選句した。「雨止めば呪縛がとける蝸牛」吟行会だからこそ見えたもの。写生句として見た通りに出すだけでなく、「雨止めば」と蝸牛の関係が普通と逆になっていて、作者の想いが私に新しい発見をもたらしてくれた。「海月浮くもう人間には戻らぬと」人間に戻りたかったのは浮いてくる前。海の底にいた時には人間に戻りたいという煩悩があったが、浮いて来たことで解脱したようだ。「噴水の天辺に北斎がいる」北斎がいてくれたことで日本人として誇りが持てる。作者は噴水をよくよく見ていて天辺に北斎がいると思った。感銘を受けた句。

 講評後、望月英男幹事より成績発表があり、尾崎会長と内藤実行委員長により賞品の授与が行われた。川村智香子顧問の閉会の言葉をいただき、本日の吟行会が無事終了。各幹事は後片付けをすませ、懇親会会場の中華街へと参加者を誘導した。

【記録・伊藤 眠】

―当日の高点句―   高点順30位まで(同点の場合は清記順)
白南風や余生の長き氷川丸     関根 洋子
船虫に密航のゆめ大桟橋      長谷川昭放
六月のかもめを抱いてくる少年   酒井 弘司
雨止めば呪縛がとける蝸牛     内藤ちよみ
つばめ飛ぶ社交辞令のやうな雨   渡辺 照子
噴水の天辺に北斎がいる      麻生   明
ジャズ鳴らす波止場のヨーコ枇杷たわわ 大西   惠
海月浮くもう人間には戻らぬと   加賀田せん翆
水色の象いる六月のカフェテラス  芳賀  陽子
梅雨晴れ間波が置き去るプラ・芥  畑   佳与
眸(め)の中は青水無月の雨の色  稲葉   喜子
角振ってどこへも航(ゆ)かぬ蝸牛 渡辺  順子
病葉は全て風ですピエロです    金子    嵩
海に浮く白船梅雨を軽くせり    川村智香子
黒南風や海に真向ふ供養塔     川野 ちくさ
桟橋に林の匂い梅雨はじめ     佐藤   久
潮の匂ひ仲間の匂ひ梅雨曇     比留間加代
夏潮や今日は観光客の貌      なつはづき
腹の内開けっ広げの海月かな    宇佐見輝子
サクランボ記憶たぐりて山手の恋  藤方 さくら
薔薇の園ふと国籍を問うている   村上 友美
三塔を見据ゑ接岸梅雨の入り    桐畑 佳永
梅雨に飽きフランスに行く蝸牛   田畑 ヒロ子
梅雨空や今日も泣いてる赤い靴   菅沼 とき子
紫陽花の貧血気味の大さん橋    らふ亜沙弥
入梅や青磁の欠片めける波     広田 輝子
梅雨の海霧ランナー生るる大桟橋  若林つる子
百合百花文明開化の鐘がなる    山田ひかる
海音に旋律走る雲の峰       鈴木 和代
港町晴れ女いる梅雨の入      野澤代施美

【作品記録・佐々木重満】

 

 

(2018年12月6日追加更新)

§ 第三十六回神奈川県現代俳句協会俳句大会 §
平成30年11月23日 於・かながわ県民センター レポート・岡田 恵子
 初雪の便りが例年に較べ随分と遅れ、世界ではフランス大統領が未来への危機感を顕わにした。そんな中、大会を迎えた。幸い秋晴れに恵まれ、十時になると役員の皆さんが手順良く準備を始めた。11時には席題が発表され会場は句会モードに。意表を突いた席題「入」と「おでん」に皆さん驚き乍らも早速ペンを走らせていた。12時過ぎ、参加者97名。総合司会の山田貴世氏による開会宣言、川村智香子副会長の開会の言葉で大会はスタートした。
芳賀陽子大会実行委員長、吉田功会長の力強い挨拶で盛り上がる。御来賓として、東京都区現代俳句協会副会長・松井国央先生、千葉県現代俳句協会副会長・檜垣悟樓先生、東京多摩地区現代俳句協会会長・吉村春風子先生、横浜俳話会会長・梶原美邦先生、川崎市俳句連合会会長・福原瑛子先生をお迎えし、ご祝辞をいただいた。神奈川県現代俳句協会との関係やそれぞれの地域の新しい試み等、興味深いお話をして下さった。
 待望の講演会となる。吉田会長より講演者の松井国央先生が紹介される。小倉緑村・佐伯昭市に師事され、山河賞・檣頭賞・世田谷文学賞受賞。著書に『お菓子と室内楽』・句集『汐曇』『典型的な午後』、現在は「山河」代表顧問をされている。演題は「俳句の生まれるとき」。始めに今年度現代俳句協会新人賞を受賞した神奈川県現代俳句協会会員のなつはづき氏を祝福された。こよなくヨットを愛してきた氏の若き日の話から、戦中から戦後、今日へと戦後日本人が歩んできた道を独自の視点で展開していった。物資が乏しく押しつけられた価値観の中で生きた時代が敗戦で終結。世情は反転し所得倍増を旗印に何でも手に入る時代を夢み、何でも選択できることが幸福と信じ、情報が行き渡れば平和になると思い込み、ひたすら働き働かされた。そうして辿り着いた今日、不都合なことがさまざまな形で現れ始めた。そういう時代を作ったことを自覚し、そういう時代に生きていることを的確に掴むことが大事で、それが俳謔だ、等々。そして人の立ち位置や視点、詩の生まれるときと興味深い話は尽きなかった。
 講演後すぐ清記用紙が配られ選句タイム。2時、司会の山田貴世氏のもと一句会が始まる。披講は内藤ちよみ、伊藤眠、鹿又英一の三氏。スムーズな声調の中、点が重なると会場から響めきの声が上がる。句会ならではの光景だ。採点の係が集計中、尾崎竹詩事務局長より新会員の紹介があった。10人が新会員となられ、当日出席の4人の方々が元気に抱負を述べられた。講評に移り、募集句は酒井弘司氏、森田緑郎氏、吉田功氏、小園葉舟氏から評を頂いた。金子兜太先生が亡くなり、一つの区切りの年となった今年、作品に力があった。グローバルを取り入れ、新しい映像が描かれ、生きる喜びも感じられた。不満のない選句ができた等々丁寧な選評があった。そして、全身でぶつかる主体性・活力ある俳句世界を期待したいとも述べられた。当日句の選評は、来賓の方々、瀬戸美代子氏、中岡昌太氏、野木桃花氏、川村智香子氏より頂いた。自分には考えつかないような句に驚かされたこと、現代を詠み込む努力が大切など貴重なアドバイスを頂いた。田中悦子氏が大会応募作品の成績を発表、吉田会長が賞状・賞品を授与された。応募句1位は衣川次郎氏。当日句成績発表は大本尚大会副実行委員長。芳賀陽子氏が上位入選者に賞状・賞品を渡された。当日句1位は23点の藤方さくら氏。31位からは結社賞が賞品係から配られた。うれしい人、ちょっと淋しい人、色々だが、拍手で受賞者を称え会場は和やかな雰囲気に包まれた。今年度は新たに最多投句賞が設けられ西野洋司氏が受賞された。川村研治副会長が閉会の言葉で締め十七時前に終了した。皆で会場片付けを済ませ和やかに懇親会会場へと向かって行った。参加者・役員の皆さんの協力・御力のもと、楽しく充実した大会となった。
応募句
・神奈川県現代俳句協会賞 柿照るや村は出てゆく道ばかり 衣川 次郎
・神奈川県知事賞     電線で繋がる百戸島の秋    尾崎 次郎
・神奈川県議会議長賞   鳥交る空はすみずみまで多感  かわにし雄策
・神奈川新聞社賞     音がみな気化してをりぬ百日紅 稲吉 豊
・テレビ神奈川賞     明日生きる証のやうに髪洗ふ  山口 愛子
・横浜俳話会賞      真っ直ぐに歩いていても曲る秋 相川玖美子
・川崎市俳句連合会賞   一徹に働く村の蕎麦の花    鈴木 和代
当日一句会
―来賓作品―
おでん買ふコンビニ午前一時半    檜垣 悟樓
おでん食う不屈という語の懐かしや  松井 国央
息抜きといふに確かやおでん酒    吉村春風子
妻のまた留守のコンビニおでん鍋   梶原 美邦
地図の川きれいに塗っておでん食ぶ  福原 瑛子
―入賞作品―
・神奈川県現代俳句協会賞 十二月何でも入る頭陀袋    藤方さくら
・横浜市長賞       遠くなる耳にやさしく冬入日  相川玖美子
・横浜市会議長賞     このおでんどこかに罠のありさうな 衣川 次郎
・横浜市教育委員会賞   身に入むや宙から見えぬ国境  吉村 元明
・テレビ神奈川賞     後の夜の入り口探す芒原    山戸 則江
―佳作―
方言を心おきなくおでん酒      比留間加代
街灯の切れかけてゐるおでん酒    鹿又 英一
マネキンの顔のつるりと冬に入る   吉田  功
三日めのおでん金婚とうに過ぐ    山老 成子
足音の散らばっている冬の入り    町野 敦子
寒に入る蛇口ひねれば太き水     小池 義人
おでん種ボーッと生きていたいだけ  榎並 恵那
紅葉かつ散り入魂の野鍛冶      瀬戸美代子
歌う埴輪泣いてる埴輪冬に入る    尾崎 竹詩
駄句迷句されど味あるおでんかな   鈴木 幸子
冬に入る日産本社ショールーム    阿部 清明
おでん酒酌んで遺言考へる      広瀬 元幸
深入りして三面記事のような風邪   なつはづき
クロワッサンは異国の形冬に入る   岡田 惠子
平成を静かに終へむおでん酒     朝倉さとえ
おでん鍋じかんでこぼこしておりぬ  平田  薫
長ブーツに無理やり入れるふくらはぎ 岡田 典代
奥の手が何にもなくて冬に入る    関戸 信治
多面体一面剥がれ冬に入る      植田いく子
スカジャンの虎の眼きらり冬入日   大本  尚
小春日や笑ひの渦に入る母      菅沼 葉二
退屈といふしあはせのおでん鍋    宮川 欣子
達磨の目まだまだ開かぬおでん酒   望月 英男
蛇穴に入る億という大見出      綾野 道江
作品記録・望月英男

§ 神奈川県現代俳句協会主催横浜吟行会 § 【伊藤 眠・記】
「吟行会開催」
 平成30年8月18日(土)、神奈川県現代俳句協会主催による吟行会が開催された。参加者は六十七名、会場は中華街にある駐労会館である。会場から歩いて行ける範囲の山下公園・みなとみらい地区・山下公園など、横浜の中心的な観光地が吟行地となった。
「吟行日和」
 この日はよく晴れて湿度も低く、八月上旬の猛暑が嘘のような気温20度台半ば。最高気温が28度という絶好の吟行日和であった。実行委員たちは午前10時に会場の駐労会館6階ホールに集合し各部の仕事を始めた。駐労会館というのは、進駐軍で就労する人々の為の施設で、仕事の斡旋や就労者の福祉などの世話する施設であった。ここから徒歩10分の所に、かつてGHQが本部を置いたニューグランドホテルがある。現在もかつての業務を引き継ぎ米軍基地で働く人達を援助しているが、今は小さな会社や喫茶店などが入っている雑居ビルとなっている。その6階で10時30分、受付を開始。受付の係は田畑ヒロ子氏をチーフとし、岡田恵子・関根洋子・山老成子・平田薫の四氏が担当した。ホール入口付近の狭い廊下での作業であったが滞りなく参加者のエントリーが行われ、受付後みな吟行へ出かけて行った。
「吟行会開始」
 12時30分、投句を締切り吟行会開始。司会は総務部長の大本尚氏。氏はこの吟行会の副実行委員長でもある。はじめに内藤ちよみ実行委員長の挨拶があり、今年は中々会場が取れず八月になってしまった事など話された。この吟行会の日取りが決まった時、最も暑い時期の中華街と聞き、幹事たちは参加者の出足を心配したが、蓋を開ければ好天に恵まれ67名の俳人が集う結果となった。次いで大会のことばを川辺幸一参与が述べられた。氏は現代俳句協会本部のジュニア部長である。金子兜太先生亡きあとの協会の方針として、会員の数を増やすよりスターを作り魅力のある団体にして盛り上げてゆくべきであると話された。続いて当会会長?田功氏の挨拶では、現在の神奈川の会員数が約500名であることと、その500名で何が出来るかが課題である、とのお話があった。
「尾崎竹詩氏の講話」(崎は立に可)
 本日の講話者は尾崎竹詩氏である。氏は1947年徳島生まれで「海程」・「顔」などに所属されたが現在は無所属。事務局長として神奈川現俳にご尽力されている。演題は「現代俳句ing」これを「現代ハイキング」と読んで欲しいとお話しを始められた。俳句の歴史から俳句の約束、問題点や可能性について、芭蕉七部集の一つ『猿蓑集』の歌仙「『市中』の巻」を例示されつつ、示唆に富むお話をされた。氏のユーモア溢れるご講演で会場が和んだところで、本日の句稿が配布され、全員三句ずつの選句が始められた。
「句会での講評」
 休憩を挟んで、お待ちかねの句会開始。披講は田中悦子編集部長・芳賀陽子経理部長・鹿又英一参与の御三方である。笑いやどよめきのある中披講が進み、採点係は別室で集計に移った。採点は望月英男幹事をチーフとする荻野樹美・尾澤慧璃・桐山芽ぐ・菅沼とき子・なつはづきの五氏が担当。その間を利用して御列席の先生方にご自分が選をされた句について御講評を賜った。川崎俳句連合会長の福原瑛子先生は句番号7の「絵タイル」を今朝歩いて来たあちこちで見かけたと話され18番について私はフランス山に飽きないが「でで虫」が厭きるのは納得できる、また23番についてはこの辺は何度来ても迷うと共感された。岩田信参与は自分の立ち位置がしっかりしていないと選句が出来ないと述べられ、32番「秋の目覚める」はまさに今日の感じであり、37番の「秋半分だけ門ひらく」を今をとらえて詠んでいると高く評価された。日置正次参与は17番の句にある百五十年の時間の重みに想いを馳せられ、27番には今年の災害等を経て「新涼」が「煩悩を払う」と表現されたことに共感。66番には「おしゃれな洋館」はよくあるが「風」を入れたことにより心地よく鑑賞できたと話された。野木桃花参与は21番の「秋風」にあわれを感じられた事、60番の「秋めく」の季語に刮目され、64番では今の元町と「秋日傘」が美しい女性にマッチしていると話された。川辺幸一参与は8番の「ハイカラ」が爽やかさを伝えている事、67番に若々しさを感じられた事等を述べられ、また現代の俳句は現代仮名遣いで書くべきであると話され、仮名遣いの問題を提起された。鈴木和代副会長は、19番の店が開く前の爽やかな状態を捉えたところ、44番「鈴虫が出陣のうた」が本当に歌っている様な感じがする事、63番が「青東風」を用いたことにより横浜らしい景色になった事等を評価された。酒井弘司顧問は俳句はポエジーを大切にすべきと述べられ、ポエジーを感じた句を選ばれた。6番の「雲食むかに」の比喩を評価、44番「出陣のうた」と平仮名で表記したことによってポエティックになった事、59番大野林火への尊敬の念などを語られた。中岡昌太顧問は自分には作れない斬新な句を選ぶ傾向があると述べられた後、8番の「ハイカラの始め」が御自身にスッと入って来た事、13番の「豚まん」を「残暑」と捉えた事を高評価。また60番「ドア」の向こうにあるものを考えさせられた事などを語られた。久々に参加された荻田礼子顧問は御無沙汰を詫びられた後、人様の句が良く見えないのは自分の調子が良くない時であると話された。23番の気負いのなさを好感され、また59番の大野林火にも想いを馳せられた。最期に?田功会長が29番の「熱帯魚」を最近の女性の服装と捉えた事や、昔と今の中華街との距離感の差異について話され、64番の句を清々しく感じられたと好評された。
「表彰」
 講評の後、望月採点チーフより成績の発表があり、?田会長、内藤実行委員長による表彰へ。そして川村智香子副会長が閉会の挨拶を述べて、本日の吟行会が無事終了した。実行委員たちは後片付けを終え、懇親会会場の「酔楼」へ向かう。懇親会は36名の参加を得て、俳句観や俳論も飛び出す楽しいひと時を皆満喫した。

当日の作品  【佐藤 久・作品記録】
・入賞作品(高点順)                               
元町は風の抜け道秋日傘        鹿又 英一
豚まんを割れば飛び出す残暑かな    加賀田せん翆
秋めくや西洋館に謎のドア       尾澤 慧璃
中華学院秋半分だけ門ひらく      平佐 和子
秋風や墓に祖国の旗を立て       関根 洋子
横浜(はま)や秋絵タイルの船風に乗る 山老 成子
ハイカラの始め横浜涼新た       渡辺 順子
フランス山飽きたでで虫船に乗る    田畑ヒロ子
点線で風を切り取る草の花       なつはづき
炎天下写楽顔して坂のぼる       中岡 昌太
異人墓のクルスは寡黙せみしぐれ    福原 暁
迷い道して新涼の風の中        伊藤 梢
関帝の髭黒々と涼新た         荻野 樹美
熱帯魚チャイナタウンにある自由    大川 竜水
路地一つ違えて危険な残暑かな     尾崎 竹詩(崎は立に可)
よこはまの海は青春鯔がとぶ      長島喜代子
生まれながらのよこはま迷子晩夏かな  荻田 礼子
雲食むかに埠頭のクレーン晩夏光    村上 友美
中華街危険な暑さ越えて今       朝倉さとえ
爽やかや午前八時の中華街       比留間加代
去る夏の光を求め港まで        岩田  信
望郷の十字架掠む秋つばめ       桐畑 佳永
鳳凰の羽われも欲し関帝廟       安藤  靖
炎昼の鬼が吠ゑてる屋根瓦       西野 洋司
新涼やフランス山に林火の碑      佐藤  久
今朝の秋おしゃれな風が洋館に     石山 夏山
大樹と少年にらめっこの兜虫      酒井 弘司
浜に来てブリキのおもちゃ熱くなる   吉田  功
海は秋とほい記憶をたぐり寄す     塚田佳都子
わがこころまで灼くな地の照り返し   川名 将義
・当日作品(清記順)
熟睡する外人墓地に小さき秋      菅沼とき子
酷暑背に獅子文六の猫逃げる      金子  嵩
みんみん蝉ほとりと落ちる白昼夢    福原 瑛子
中華街曾芳亭にて待つ秋風       平田  薫
霧笛橋さやかな名前誰が付けし     稲葉 喜子
見送るも見送られるも秋の海      植田いく子
百五十年の茂りの中の異人墓地     桐山 芽ぐ
いつの間に秋風ハマの海遠見      望月 英男
日傘抱え迷子のように中華街      田中 悦子
敗戦日アメリカ山に中華街       小沢 一郎
灯台は不滅の柱涼新た         北村 文江
籐椅子はかの貴婦人の憩う日々     宇佐見輝子
新涼や煩悩払う関帝廟         鈴木 和代
影踏んで関帝廟へ白日傘        若林つる子
燦めかす関帝廟や秋の天        酒井 敏光
日の本の中国野菜秋の色        ダイゴ鉄哉
代官坂秋の目覚める石畳        芳賀 陽子
旋回す関帝廟のあきあかね       中山 妙子
砕けそうな墓碑にとどまる秋茜     内藤ちよみ
新涼や虚飾を剥がす関帝廟       長谷川昭放
思い馳せクルスにからむ秋の蝶     大本  尚
爽やかやあっけらかんと大桟橋     川村智香子
戯れて秋風吹くや文学館        岡田 恵子
初秋の港に鋼の色の波         広田 輝子
鈴虫が出陣のうた外人墓地       日置 正次
初秋のうしろから声中華街       野木 桃花
涼新た祖父帰国せし氷川丸       伊藤  眠
片陰や小籠包の大行列         渡辺 正剛
進取の気性横浜港にかなかなかな    小泉 敬紀
七色に浮かぶタピオカ涼新た      杉  美香
中華街の粲たる色や秋真昼       阿部 和子
夏惜しむ丘の汽笛の長くひき      星  由江
薔薇園へ静寂彩る秋のこゑ       藤井 正克
赤い靴の少女海向き葉月かな      三沢 容一
汽車道に象の鼻にも遊ぶ鰡       佐々木重満
観覧車がひかる青東風の日本丸     川辺 幸一
秋雲を中華街まで連れてくる      藤井 みき

§ 役員構成 § 〔平成30年4月19日現在【太字は新人事】〕
名誉会長:森田緑郎
会長:?田 功
副会長:朝広純子・川村研治・川村智香子・鈴木和代・西野洋司
事務局長:尾崎竹詩(崎は立に可)
同次長:佐々木重満
事務局付IT部長:伊藤 眠
同副部長:堀口みゆき
総務部長:大本 尚
同副部長:岡田恵子・佐伯千年・渡辺照子
事業部長:内藤ちよみ
同副部長:村上友美・藤方さくら
編集部長:田中悦子
同副部長:なつはづき
経理部長:芳賀陽子
同副部長:平田 薫・斉藤すみれ
幹事:青島哲夫・秋山貞彦・朝倉さとえ・石鎚 優・伊藤 梢・稲葉喜子・植田いく子(編集部)・宇佐見輝子・潮 仲人・岡田恵子(総務部)・岡田典代・荻野樹美・小沢一郎(事業部)・尾澤慧璃・加賀田せん翆・金子 嵩・川名将義・桐山芽ぐ・佐藤久(事業部)・菅沼とき子(編集部)・関根洋子(経理部)・田中周利・塚田佳都子・山老成子・望月英男(編集部)・西村弘子・長谷川昭放・平佐和子(編集部)・比留間加代・福田洽子・広瀬久夫・町野敦子・山田ひかる・吉野美和子・吉村元明・らふ亜沙弥・若林つる子・渡辺順子
横浜ブロック長なつはづき
横浜副ブロック長:桐山芽ぐ
川崎ブロック長加賀田せん翆
川崎副ブロック長:町野敦子・山田ひかる
湘南ブロック長:渡辺和弘
湘南副ブロック長:堀口みゆき・渡辺正剛
西部ブロック長:田畑ヒロ子
西部副ブロック長:佐々木重満・長谷川昭放・菅沼とき子 
監査役:川島進一・中山妙子
顧問:綾野南志・荻田恭三・荻田礼子・小園葉舟・酒井弘司・佐々木英子・杉本かずみ・瀬戸美代子・佃 悦夫・中岡昌太・藤田 宏・前田吐実男・諸角せつ子
参与:相川玖美子・綾野道江・岩田信・小関邦子・鹿又英一・川辺幸一・河野 薫・小町 圭・手塚玉泉・長島喜代子・野木桃花・福原瑛子・三村凪彦・山元志津香・日置正次・山田貴世・渡辺正剛・川嶋隆史・木村和彦・衣川次郎・武井梅仙・広瀬元幸

§神奈川県現代俳句協会・平成30年度定時総会§
平成30年3月25日 於・かながわ県民センター
 桜の開花が今年は例年より一週間ほど早く当日はまさに花見の時であった。幹事の皆さんの手際良い準備で定刻通り始まった。十一時四十分に席題が出された。「舟」と「横」のお題で今回は「季語の題がないね」などの声が聞かれるなか、みな一斉に俳句モードになり俳人の顔になっていく。十二時三十分、総合司会の大本尚氏の総会宣言、川村智香子副会長の開会の挨拶により、総会が始まった。尾崎竹詩氏(崎は立に可)より、会員数五百三十名のうち、委任状二百二十五名、参加者七十二名で総会が成立したことが報告された。
 まず?田功会長の挨拶、過日亡くなられた金子兜太先生の話などをまじえて話された。続いて来賓の方々より、まず横浜俳話会副会長の加藤房子氏、千葉県現代俳句協会幹事長の高橋健文氏、東京都現代俳句協会総務部長の山本敏倖氏、東京多摩地区現代俳句協会副会長の山崎せつ子氏、川崎市俳句連合会会長代理の福原瑛子氏よりそれぞれにこころ暖まるご祝辞をいただいた。山本敏倖氏は「組織とは優秀な俳人を育てるためのものであって欲しい」と話されみな頷いていた。
 続いて総会議事に入る。事前にお願いしておいた議長団、議長に木村安以子氏、副議長に佐伯千年氏が選出された。つぎに尾崎竹詩事務局長(崎は立に可)から二十九年度の事業報告が行われた。続いて芳賀陽子経理部長からは二十九年度の決算報告がなされ拍手で承認された。引き続いて三十年度の事業計画と、三十年度予算も提案された。質疑応答のなかで「東部ブロックが、横浜と川崎に分かれるとのことで、今までの三ブロックから四ブロックに増えるが予算はそのままでよいのか?」と、予算についての質問があった。その回答として「前年度と予算は同じになっているが活動が増えれば当然マイナスになるがそのことは考慮している」との回答があり事業計画、予算案ともに拍手で承認された。議長団が解任され、新役員、新会員が紹介された。その後各ブロックより活動報告がなされた。東部ブロックより広瀬久夫氏が、湘南ブロックは渡辺和弘ブロック長が欠席のため堀口みゆき氏が報告を行った。西部ブロックより田畑ヒロ子氏。それぞれ積極的な活動が報告された。
 三十分の休憩の後待望の一句会が行われた。今回はお花見の時期のせいか空席が目立ったが六十六名の参加であった。司会は大本尚氏、披講は内藤ちよみ氏、芳賀陽子氏、鹿又英一氏、採点は衣川次郎、小澤慧璃、なつはづき、堀口みゆき、若林つる子氏らのメンバーで進行した。それぞれ選句も実力のうちと真剣に取り組んでいた。六十六名の選句が締め切られ選句結果が発表されるまでの間、来賓の先生方よりご自分が選ばれた句を中心に、高橋健文、山本敏倖、山崎せつ子、福原瑛子各氏の順に講評を頂いた。続いて顧問の中岡昌太、瀬戸美代子、副会長の鈴木和代、会長の?田功、名誉会長の森田緑郎各氏より講評並びに感想などをいただいた。森田氏は平田薫氏の句「ねえ横ぎっていいかしら菜の花」の句をとりあげて現代的な感性がこれからは必要ではないかと話された。
 結果が発表され一位は福原瑛子氏の「横向けば何処かがゆるむ桜かな」が、二位は稲葉喜子氏の「こんな日は横浜夜ざくら見て帰ろ」が、三位は山老成子氏の「キャンパスの横文字丸文字花の昼」が入賞した。一〇位までの句が披講され三〇位までに賞品が授与された。俳人にとってこの瞬間が醍醐味のときかもしれない。先生方の講評は大変勉強になった。閉会の言葉は副会長の西野洋司氏よりいただき無事滞り無く総会が終了した。
 楽しみな懇親会は昨年と同様の「煌蘭」で行われた。司会はベテランの佐々木重満、加賀田せん翠の両氏。顏は知っているが話をしたことがない人とテーブルごとに親睦を深めることができた。楽しいひと時は早いものであっという間の二時間であった。お酒のせいもあってか誰もが紅潮し明るく元気な姿で帰路についた。レポート:渡辺 照子

【当日一句会】
来賓作品
横向けば何処かがゆるむ桜かな    福原 瑛子
十階は遠流の春や舟が来る      加藤 房子
海舟の指差す春の水平線       高橋 健文
ゆらゆらと小舟さくらが紛れ込む   山崎せつ子
春うらら時計回りに紙の舟      山本 敏倖
高点句
こんな日は横浜夜ざくら見て帰ろ   稲葉 喜子
キャンパスの横文字丸文字花の昼   山老 成子
ゴーギャンも子規も横顔春うらら   瀬戸美代子
横穴式石室に蝶迷い込む       中山 妙子
陽炎の横からはみ出す嬰の足     尾崎 竹詩(崎は立に可)
紙ふうせんたたみて黄泉へゆく小舟  木村 安以
ゆく春や客一人なる渡し舟      三沢 容一
横顔はやさしき天狗花の雲      桐山 芽ぐ
舫い舟退屈そうに春港        村上 友美
鳥帰る空の信号横切れり       日置 正次
句敵の乗り込んでくる花見舟     鹿又 英一
花ぐもり吐息に動く小舟なり     渡辺 照子
似たような横丁ばかり春の闇     尾澤 慧璃
ねえ横ぎっていいかしら菜の花    平田  薫
笹舟に挨拶返すみすゞの忌      佐伯 千年
横柄を背に少年は卒業す       金子  嵩
横浜の土地を売りますチューリップ  藤方さくら
鳥雲に横須賀と云ふ黒い湾      中岡 昌太
浮舟に揺れ深まってゆく春愁     内藤ちよみ
浮舟の流れにまかす朧の夜      植田いく子
花見舟浮きつ沈みつ永田町      川島 進一
連れ立ちて声はれやかに蜆舟     鈴木 和代
朧夜や横隔膜を確かめる       なつはづき
間違って横浜に降る春の雪      加賀田せん翠
槌音の絶えぬ横浜木の芽晴      佐藤  久
書きあぐむ稿横着な猫の恋      綾野 道江
以下、順不同
横浜港人にやさしき春の風      青島 哲夫
引き寄せる小舟にさくら散らす風   朝倉さとえ
初花や横穴古墳に王のこゑ      関根 洋子
白い船は横浜の彩さくら咲く     小園 葉舟
小網代の横向きダンス潮まねき    比留間加代
仰臥せし朽ち舟撫づる春の海     大本  尚
麗らかや横に水音鳥の声       川村智香子
三月や無為のこころで舟に乗る    広瀬 元幸
折り紙の舟を浮かべて花おぼろ    渡辺 順子
フランスパン噛むほど春へ横の路地  岩田  信
花吹雪横隔膜のゆさゆさす      長谷川昭放
春分の日の気嵐や舟揺れる      ?田  功
舟べりをたたけば桜満ちてくる    芳賀 陽子
木の葉舟もみくちゃにして春疾風   綾野 南志
乳癌の笹舟となり春運河       石鎚  優
戸締まり横遣りとなり猫の恋     衣川 次郎
啓蟄や横目で見たるこの世界     小沢 一郎
ふなおさの縦横無尽花見舟      野木 桃花
年金の身を横にして下萌に      高橋 信之
横着な北の小舟や貝寄風や      若林つる子
子の夢に浮かぶ小舟は星空へ     宮永 武彦
舟だまり今日の日差しはおだやかに  昆 みき
母の手のぬくしモーゼの葦の舟    宇佐見輝子
夜のほどうたゆたう舟に花の散る   斎藤すみれ
渡し舟下りて俄に初雲雀       塚田佳都子
永き日や運河の照を舟に溜め     堀口みゆき
傾むける日の小波を雛の舟      荻野 樹美
春愁のまなこ離さず遠き船      西野 洋司
指先に春の触角船を漕ぐ       岡田 恵子
棹引くやたまに地球も鹿尾菜舟    佐々木重満
舟人の眸をぬらす春の潮       吉田香津代
朝寝して水行きわたる横須賀港    森田 緑郎
舟を漕ぐ麗らも宙も音にして     田畑ヒロ子
こぶし咲くぼーっと舟出る港町    福原  暁
横しまを見透かしている花の昼    田中 悦子
作品記録:なつはづき

【伊藤 眠・報】