尾崎竹詩会長

会長 尾崎竹詩
事務局長 芳賀陽子
事務局
郵便番号 237-0063
所在地 横須賀市追浜東町3-86
TEL 0468-65-4307

【 地区の紹介 】

会長挨拶 尾崎竹詩

 平成31年3月3日の定時総会において神奈川県現代俳句協会の会長を拝命することになった尾崎竹詩です。当協会は今年37年目を迎え伝統と目覚ましい歴史を誇っています。現在までの神奈川県現代俳句協会を創り、育ててこられた先輩方の知恵と努力の結晶であることは間違いありません。その第八代会長という重責を担うことになりました。とても個人で担いきれるものでないことは明白です。現在の役員、会員そして俳句をこよなく愛する同志がなければ継続発展できるものではありません。私は神奈川県現代俳句協会という『座』を通して俳句に親しみ、人生を楽しみたいと思っています。
 現在の当協会は深刻な課題を抱えています。会員の高齢化と会員の減少傾向です。この二つの課題の根っこは一つだと思っています。この解決策は「現代俳句の楽しみ方」「現代俳句の面白さ」を多くの人に知ってもらうことではないでしょうか。「現代俳句」がこんなに楽しいものだということを発信していきましょう。そして私たち会員一人一人が俳句を楽しみ、会員同士が研鑽と親睦を深めていきましょう。笑顔のあふれる場所には人が集まってくると思います。あたたかく示唆に満ちた場所は離れたくないのではないでしょうか。
 金子兜太亡き後の現代俳句協会は、兜太ロスになりかかっています。しかし、兜太が背負ってきたものを一人で担うのは困難です。現代俳句には『座』という莫大な財産があると思うのです。この『座』が新しい理念を生み、活力を作るのではないでしょうか。松尾芭蕉を生んだ蕉門があったように、金子兜太を育てた現代俳句協会があったのです。令和の現代俳句協会を創るのは、私たち一人一人の知恵と努力次第だと思っています。

 さあ、新しい令和の時代に新しい現代俳句を探しに行きましょう。

【 行事 】

(2020年2月12日追加更新)

地区の予定

2月28日(金)神奈川県現代俳句協会第38回総会

【会場】かながわ県民センター2F、JR横浜駅より徒歩5分
受付開始:11時30分
席題発表:11時40分
総会開会:12時30分
一句句会:14時30分
閉会:17時
【会費】総会=無料 一句会=1,000円
※17時から予定されていました懇親会は中止にいたしました。

4月5日(日)横浜・川崎ブロック吟行会(大本山総持寺)
受付:11時
投句締切:13時
講演会講師:宮崎斗士(現代俳句協会研修部長、「海原」副編集長)
会場:鶴見公会堂 JR鶴見駅より徒歩1分(西友フーガ1号館6F)
懇親会:予定あり
会費:句会=1,000円、懇親会=未定

6月6日(土)横浜吟行会(野毛山動物園ほか)
受付:11時
投句締切:12時30分
講話:麻生明(横浜俳話会元会長)
会場:横浜市健康福祉総合センター
懇親会:17時より(千年の宴)
会費:句会=1,000円、懇親会=4,000円

4ブロックの活動と予定

神奈川県現代俳句協会では会員相互の活発で密接な活動を支援する為、県全体での活動とは別に4ブロックに分けての活動を毎月実施しております。これにより、より綿密な会員サービスが可能となります。今後とも、各ブロックの活動に積極的にご参加くださいます様、お願い申し上げます。

【横浜ブロック(星川句会)】ブロック長:なつはづき 於:星川アワーズ
・10月句会 10月7日(月)五十音順
曼珠沙華腹も臀部も土の中    麻生  明
秋の暮風呂屋で学ぶ人類史    石川 夏山
初紅葉古木に大き力瘤      川島由美子
新松子枯山水に音のあり     桐山 芽ぐ
江戸つ子は気風がいのち新走り  菅原 若水
新走り常連だけの時間帯     内藤ちよみ
秋園に虚無なだれ込む象の死後  早坂 澄子
バスで行く体力測定のこる稲架  藤原眞理子
稲光窓辺の闇に張り付きぬ    山崎美恵子
大花野浮力のつきし帰り道    渡辺 順子
・11月句会 11月4日(月)五十音順
葛の蔓動いておれば足る命    麻生  明
黄落や巷には恋我には俳句    石川 夏山
山脈の嘘なだらかや秋の海    石鎚  優
我が街のおでん屋閉店冬浅し   栗原嘉一郎
行く秋や風と遊べる鉋屑     菅原 若水
考えの違う重さや烏瓜      内藤ちよみ
山小屋の薪高々と鹿の声     なつはづき
白鳥の飛来にきしむ北の国    野木霞丘子
初冠雪わが身わが句の小ささよ  早坂 澄子
背の丸き樹木医包む冬日かな   藤原眞理子
鯛焼の香る夕暮そぞろ寒     細貝 昭吾
文化の日表参道脇に入る     本田 詠遊
あいまいな言葉をひろう蓼の花  町野 敦子
スクラムに隠れし火花ラガーかな 山崎美恵子
※今後の予定(毎月第一月曜日)1月6日、2月3日、3月2日
相鉄線星川駅下車「かるがも」(保土ケ谷区福祉保健活動拠点)
で行います。

【なつはづき・報】

【川崎ブロック】ブロック長:加賀田せん翠 於:川崎市総合自治会館
・9月句会 9月21日(土) 五十音順
一病を自慢のごとく実南天    青島 哲夫
蟷螂の戦意のかたち吹かれけり  麻生  明
鍵針の一本置かれ天の川     植田いく子
曼珠沙華恋の戦略はじまりぬ   加賀田せん翠
灯火親し顎突き出して子の主張  関戸 信治
木の実降る生あるものは右往左往 福原 瑛子
戦中の×××字水の秋        町野 敦子
踏切へ十歩手前の秋暑し     三沢 容一
重陽の猫除けボトル乱反射    山老 成子
虫の闇戦後生まれと烙印を    山田ひかる
秋灯下読むより捨てる書を選ぶ  吉居 珪子
夕ひぐらし淡く巡りぬ古戰場   吉田香津代
・10月句会  10月19日(土) 五十音順
炯眼の鴉群がる木守柿      青島 哲夫
秋雷や記憶の隅の父母が照る   麻生  明
ゆっくりと手ぶらで歩く大花野  加賀田せん翠
字の固き父の文なり夜の長し   関戸 信治
パドックに冬の眼福貰いけり   ダイゴ鉄也
つぎつぎと災害虫の目に涙    内藤ちよみ
口元も目元もゆるむ冬日向    福原 瑛子
脳幹に潜むB♭いのこずち     町野 敦子
風狂の上から目線泡立草     山老 成子
自然薯のねじれ人生重ねみる   吉居 珪子
目の前の風につまずく素秋かな  吉田香津代
・11月句会 11月16日(土) 五十音順
狐火や赤い錠剤抽斗に      青島 哲夫
口遊む古賀メロディーは秋の色  麻生  明
何か足りないそう思う日の冬満月 加賀田せん翠
推敲のせめぎ合う夜柿を剥く   関戸 信治
鎌倉や遊行の人に山装う     ダイゴ鉄也
人も虻も飽きてしまった菊花展  福原 瑛子
有りったけの菊投げ入れた庭の菊 町野 敦子
末枯や犬の小便待つ男      三沢 容一
晩年の日がな揺れをり冬薔薇   山老 成子
遊行して小さき熊手を三つ買う  山田ひかる
桃青忌草鞋湿りし日の記憶    吉居 珪子
※今後の予定 毎月第三土曜、川崎総合自治会館にて開催。
【町野 敦子・報】

【湘南ブロック】ブロック長:堀口みゆき 
於: 藤沢市民活動センター
・湘南ブロック吟行会 9月27日(金)
鎌倉芸術館、大船フラワーセンター等吟行後句会。
ゲスト中山育美氏(ピアニスト・作曲、編曲家、東京室内管弦楽団専属)。『音楽と俳句』のテーマのもとに参加者全員でジャンルを超えた共通性をトーク。ゲストのピアノ独奏&育美氏編曲の「四季のぽぷり」を連弾(堀口が手伝う)。句会終了後、イタリアンレストランにて懇親会。
吟行句15位迄以下のとおり。1位大本氏には9月に逝去された小園葉舟氏の鎌倉彫の賞品が贈られた。
化けきれずごろんごろんと大かぼちゃ  大本  尚
秋の薔薇園柩の中かも知れず      尾崎 竹詩
秋草を踏みよろこばすつちふまず    中島 俊二
飛ぶ鳥のなにも纏はず草の花      岩本 和子
透明に生きてコスモス畑の中      内藤ちよみ
観音の胎内にある秋の声        田畑ヒロ子
銀杏に踏んではならぬ掟あり      田中かづえ
とこしへに秋思を解かぬ観世音     山下 遊児
記憶より小さな駅舎天高し       日置 正次
行儀よき瓢箪ばかりもてはやす     芳賀 陽子
観音の胎内にいて小鳥来る       岩田  信
おほらかな時間の中の秋桜       塚田佳都子
偏額は葉舟彫ぞ秋の澄む        関根 洋子
鰯雲地を擦るごとき子のリュック    松浦 泰子
ちちははを探しに行きし秋の園     渡辺 和弘
・第57回サンシャイン句会 10月11日(金)藤沢市民活動センター 
当季雑詠5句(うち席題1句「壁」)五十音順
天高し大道芸の炎を噴けり       安藤  靖   
台風の備えも無しに壁の中       荻野 樹美
秋深し振り子のような余生かな     金栗トモ子
一葉落つ壁画の牛の曲線に       堀口みゆき
居心地は壁ぎわにありちちろ虫     渡辺 正剛 
・第58回サンシャイン句会 11月8日(金)藤沢市民活動センター
当季雑詠5句(うち席題1句「談」)五十音順
閑談のあいまに揺れる野紺菊      稲葉 喜子
霧の朝大根切りて吹っ切れる      大矢 暁美
文化の日佐藤しのぶはもういない    荻野 樹美
行く秋や涙の訳を自問せり       金栗トモ子
冬浅き退院の窓ふりかへる       河村 青灯
冬菊のひかりを放ち談話室       堀口みゆき
道たづね同行となり小春の日      馬来まち子
花八つ手ひとり善がりは五七五     渡辺 正剛
※今後の予定 毎月第2金曜14時~17時、藤沢市民活動センターにて開催。
会場の都合により日時変更の可能性あり。お問い合わせ下さいますようお願いします。

【堀口みゆき・報】

【西部ブロック】ブロック長:田畑ヒロ子 於:秦野市立西公民館
・9月丹沢句会(第68回)9月20日(金)秦野市立西公民館 清記順
強風に傾く紫苑訃報聞く      飯田美枝子
ラ・フランス肉身だから気を使う  尾崎 竹詩
山頭火無灯火破鞋 虫時雨     與 起
豊漁を約束している鰯雲      芳賀 陽子
パンパグラス血統書の猫である   田畑ヒロ子
乳母車という方舟に蝶も乗る    佃  悦夫
穏やかに過ぎる一日の衣被     髙橋 姜子
石垣はクレーの画法月の城     加藤 三眠
目力からで台風止めよメデユーサよ 佐々木重満
鈴虫の吟遊詩人ほしひまま     北村 文江
菌生ゆ神祠の森の時間帯      内藤ちよみ
篝火の先端をゆく魔界月      菅沼とき子
案山子翁パラリンピックの夢を見る 加藤かほる
黄のゴーヤぼてっと種を産み落とす 石井 秀稀
秋蝶のひらり芸術至上主義     長谷川昭放
二百十日朝から握りめし喰らい   篠崎 妙子
空に面スピンターンジャンプあきあかね 羽田 勝二
ははの忌やどの窓からもひぐらし  酒井 敏光
・秋の吟行会(第13回)10月18日 大磯町立図書館 
当日は大磯駅周辺(澤田美喜記念館・隠れキリシタンの蒐集品展示、鴫立庵等)を吟行。参加者は雨天模様のなか42名。20位までの入賞者には賞品を授与。講演は科学ジャーナリスト東嶋和子氏の「養生訓に学ぶ‐貝原益軒は正しかった‐」
《上位入賞作品二十句》
台風一過魔鏡がひそと乱反射    川村智香子
鴫立庵の樹も蓑虫も詩人めく    内藤ちよみ
身に入むや刀の鍔にクルスかな   田畑ヒロ子
仏像の背中にマリヤ残る虫     尾崎 竹詩
閂に湿りの残る秋の寺       伊藤  梢
秋冷や指で触れたき踏絵なり    八木 和子
いのこずちキクとイサムと澤田美喜 長谷川昭放
年経ても秋の踏絵にある無慈悲   岩田  信
初時雨踏み絵のマリヤ伏し目して  佃  悦夫
西行と相席したし温め酒      北村 文江
秋潮や消防本部待機中       久野 孝子
団栗やバス停の名は「さざれ石」  五十嵐秀山
秋風や西行像の旅支度       加藤かほる
鴫立庵ただ秋風を遊ばせる     芳賀 陽子
冬のかわずさいぎょうさいぎょうと啼けり 與 起
からす瓜が疾走国道一号線     平佐 和子
愛溢れ祈り溢れて木の実落つ    加賀田せん翠
漂流物のひとつに硬い秋思かな   なつはづき
色鳥や昼を灯してマリヤ像     堀口みゆき
藤村の墓守りなるや秋の蝶     鈴木かずみ
《以下清記順》
潮騒寂ぶ鴫立庵に薄紅葉      菅沼とき子
花芒母のま白き割烹着       東嶋 和子
図書館の書架の並びや稲架の形   佐々木重満
行く秋の本陣あとの蕎麦屋かな   伊藤 保子
大磯の駅は初恋蜻蛉飛ぶ      加藤れい子
末枯れや信ずべきもの見えてくる  川村 研治
西行の眼の青き初しぐれ      塚田佳都子
唇も爪も真っ赤よ鯊の秋      瀬戸  悠
茅葺の鴫立庵や秋の草       杉本 泱子
戒破るときの葛藤冷まじや     藤井 正克
久々に訪ね鴫立庵しぐれ      稲葉 喜子
磯鴫もアオも鴫立庵に       髙橋 姜子
秋灯白磁のマリア観音像      荻野 樹美
新涼や無の境地なる五智如来    渡辺 和弘
円位堂の眼が光る海の秋      渡辺 正剛
秋の海背に円位堂人を待つ     中山 妙子
消防車の湘南ナンバー台風裡    伊藤 保子
十字架の手摺り十三柿日和     藤方さくら
秋湿り大磯駅に集合す       星  由江
海桐の実はぜ釣人の竿たわむ    源  桃子
身にしむや踏し聖母に赦し請う   奥村 純子
秋惜しむ蝶のあとさき句碑めぐる  安藤  靖
大磯の鳩笛の音の消えし空     加藤 三眠
・11月丹沢句会(第69回)11月15日(金)秦野市立西公民館 清記順
木枯の透きゆく木々や星灯る    石井 秀稀
干柿の匂ひアマテラスのにほひ   川村 研治
金無くも時はたつぷり味噌をつく  源  桃子
彼の世行きのツアーありそう文化の日 加藤かほる
あかきいろきぎかざりてあきおとす 羽田 勝二
文化の日「善の研究」齧りつく   佐々木重満
炉開きの火の声釜に水を足す    田畑ヒロ子
「お邪魔します」土産も持たず秋の風 北村 文江
爺婆と呼ばれて久し小六月     長谷川昭放
晴れ渡る丹沢連山神の旅      尾崎 竹詩
みどり児は水彩永久に息白き    佃  悦夫
流木は大禍のままに冬に入る    渡辺 正剛
※西部ブロック通信句会
受付中。20位まで賞品あり。句数:2句1組(1組千円)。投句締切:令和元年12月末。
投句先:〒259-1306 秦野市戸川159-26  佐々木重満宛
※丹沢句会 1月17日(金)
新年句会なので昼食を用意します。通常より1時間早い12時から開始します。
【佐々木重満・報】

§ 第37回神奈川県現代俳句協会俳句大会 §

令和元年11月23日 於・かながわ県民センター
レポート・佐藤 久 作品記録・尾澤慧璃
 昨日から冷たい雨が続く中、第37回の大会が開催されました。暖房が入るのは12月からとの規定で、たいへん寒い中での大会となった。あとは参加者の熱気で埋めるしかありません。生憎の天候で参加者は95名と少な目でしたが、活気に溢れ内容も濃い充実した大会となりました。
 当日の席題は「実」と「紙」。例年一つは季語であることが多かったのですが、さてこの変化球の席題をどう受け止めて活かしたものか、各位が思案に沈みます。12時過ぎ、総合司会の渡辺和弘氏の口切り、鈴木和代副会長の開会宣言でいよいよ大会が始まる。大本尚実行委員長の挨拶の中で、事前投句の目標1500句に対し1594句の実績となった旨報告があり、会員全員で大会を盛り上げて頂いたことへの謝意がありました。また、尾崎竹詩会長のご挨拶に先立ち、尾崎会長の句が第56回現代俳句大会賞を受賞されたとのタイムリーで嬉しい報告もありました。これに対して尾崎会長はいつものユーモアで返し会場が和みます。会長からは神奈川県現代俳句協会という座を大切にしようとのお話を頂き、ラグビーのジェイミージョセフヘッドコーチの「俳句」と称した五行の文の紹介からバーナードショーの名言で締め、「俳句をやるから年をとらない」との言葉が印象的でした。
 続いて、ご来賓として千葉県現代俳句協会幹事長の徳吉洋二郎氏、東京都区現代俳句協会幹事長の山本敏倖氏、東京多摩地区現代俳句協会副会長の戸川晟氏、横浜俳話会会長の梶原美邦氏、川崎市俳句連合会会長の福原瑛子氏の各氏よりご挨拶を頂き、温かいご祝辞を頂戴した。
 本日の講演会の講師は俳文学者で神奈川現代俳句協会会員の川名大氏。演題は「名句で読み解く表現史ーナラトロジーの視点からー」というもの。ナラトロジーとは「物語論」と言われるもので、物語や語りの技術や構造について研究する学問である。講演では主に俳句における「作者」と作品上の「語り手」の関係性の観点で歴史的な名句を分析解釈するお話を頂いた。新しい視点で俳句の構造を読み解くことはたいへん興味深く、俳句実作においても示唆に富む内容でした。
 講演終了後、当日句の選句用紙が配られ、選句時間を兼ねた休憩となる。参加者互選で三句選。毎度のことながら百句近くの中から三句のみ選というのは中々たいへんである。2時頃より一句会が始まった。披講は鹿又英一氏、菅沼とき子氏、内藤ちよみ氏の三氏。いつもながらの会場に通る声で選が読み上げられる。終盤になるにつれ、点が拮抗する句が読み上げられると会場から小さなどよめきが上がる。さてさて、どの句が今日の最高点となるのだろう。採点係が集計をする間、芳賀陽子事務局長より新会員の紹介があった。今年度の新会員21名のうち7名の方が当日参加された。新会員7名が壇上に上がり、それぞれ力強く抱負を述べられた。続いて第39回現代俳句評論賞を受賞された武良竜彦氏の紹介があり、ご本人より受賞のご挨拶を頂いた。尾崎会長の大会賞、武良氏の評論賞と素晴らしい受賞が重なり、改めて神奈川県現代俳句協会の層の厚さを感じることとなった。続いて募集句の講評。森田緑郎特別顧問、尾崎竹詩会長、川村智香子顧問より講評を頂く。募集句全体として、昨年より俳句の幅が広がった印象とのお話もあり、その中で今後目指すべき俳句の方向性など示唆に富むお話を頂いた。当日句の講評は酒井弘司顧問、野木桃花参与、栗林浩参与、田畑ヒロ子副会長、川村研治副会長より頂いた。各氏とも三句に絞る難しさの中で視点を定めての選句。それぞれの読みの深さに感心するとともに、俳句というものの多様性、多面性を改めて感じることとなった。
続いて表彰に移り、田中悦子氏より事前投句の大会作品成績発表を頂いた。第1位の神奈川現代俳句協会賞には中岡昌太氏、第2位の神奈川県知事賞には衣川次郎氏。以下、第8位までの各賞の表彰を尾崎竹詩会長並びに各会代表のご来賓より頂いた。当日句会については、成績発表を長谷川昭放副実行委員長より、表彰は大本尚実行委員長より頂いた。第1位は事前投句でも第1位の中岡昌太氏。尾崎会長からは独占禁止法違反ではないかとのユーモアの言もあり会場が沸く。中岡昌太さんをはじめ上位入賞者には常連のベテランも多く、さすがと思う一方で来年は自分がとの思いを強くされた会員も多かったのではないだろうか。上位十10位までは表彰状と賞品を授与。以下、各順位賞・結社賞と多くの参加者が賞を得ることができた。拍手で受賞者を称え会場は和やかな熱気に包まれた。
最後に、川村研治副会長より閉会の言葉を頂き盛況のうちに大会はお開きとなった。実行委員の手際良い運営のお陰で予定通りに進行され、幹事全員で会場片付けを済ませた後、懇親会会場へ。懇親会も盛上がり参加者全員の協力で充実した大会となりました。

《募集句入賞作品》
神奈川県現代俳句協会賞
  死ぬまで戦後八月の咀嚼音    中岡 昌太
神奈川県知事賞
  眠るものみな眠らせて木の実降る 衣川 次郎
神奈川県議会議長賞
  草蜉蝣みんなどこかへ行く途中  小池 義人
神奈川県教育委員会教育長賞
  異論反論枝豆の殻積みあがる   かわにし雄策
神奈川新聞社賞
  蝌蚪の尾で繋がっている過疎の村 小林万年青
テレビ神奈川賞
  なめくじり試行錯誤の跡がある  川島由美子
横浜俳話会賞
  反骨のだれにもまけぬ唐辛子   岩城 庸子
川崎市俳句連合会賞
  過去よりも短かき未来日記買ふ  鈴木 幸生

《当日一句会》
 ―来賓作品―
  蓮の実飛ぶ秘めたる恋の速射砲  德吉洋二郎
  寒風を縫つて世に出る紙の舟   山本 敏倖
  実数はいつも少なめ柘榴爆ぜ   戸川  晟
  冬空へ悩みを破る紙ふぶき    梶原 美邦
  冬空に雲が絵を描く紙あげる   福原 瑛子
 ―入賞作品―
神奈川県現代俳句協会賞
  遺書いまだ白紙でありぬ冬銀河  中岡 昌太
横浜市長賞
  どの紙もひそとざわめく大試験  かわにし雄策
横浜市会議長賞
  ざくろの実叩けば夕日ちりぢりに 川名  大
横浜市教育委員会賞
  実印を作る雪女をやめる     なつはづき
テレビ神奈川賞
  列島は紙の方舟冬に入る     佐々木重満

∬ 神奈川県現代俳句協会主催 第36回横浜吟行会 ∬

 2019年6月8日(土)神奈川県現代俳句協会主催の横浜吟行会が開催された。場所は山下公園近くの波止場会館。大桟橋入口に位置するこの建物の5階ホールからは大桟橋と象の鼻パークがよく見える。梅雨入りしたばかりの当日は気温20度の霧雨だったが、役員たちが9時過ぎより集まって来て、役割分担に従って粛々と準備を進めた。
 傘をさす人が減ってきた10時30分より受付開始。担当は田畑ヒロ子副会長をチーフとする植田いく子・杉春美・関根洋子の三氏で、当日の参加者は73名であった。受付をすませた参加者たちは三々五々吟行に出かけた。この辺りは横浜の観光地の中心で、既にどこも多くの観光客で賑わっていた。見所は山下公園・大桟橋・みなとみらい地区・赤レンガ倉庫・マリンタワー・中華街など。
 12時30分に投句を締切り、岩田信参与の司会で吟行句会がスタートした。内藤ちよみ実行委員長の挨拶、鈴木和代副会長の開会の言葉、尾崎竹詩会長の挨拶と続いた。今年三月に会長に就任された尾崎氏の内外に向けての初めての公式なご挨拶となった。尾崎会長は、素晴らしいロケーションで吟行会が出来ることと酒井弘司先生のご講演が楽しみと述べられ、俳句の座を「神の座(くら)」になぞらえて座のもつ力を得て一生懸命に勉強していこうと話された。
 開始10分後には酒井弘司先生のご講演が始まった。演題は「眺望の俳人―森澄雄さんのこと」である。最初に人間探究派、新興俳句についてのご説明があり、その後、森澄雄の作品を年代を追って紹介された。ご親交があった方ならではの森澄雄の生活状況を具体的に話されながらの作品紹介には強い説得力があり、参加者は圧倒される思いで拝聴した。また森澄雄の句には「妻へのおもい」と「人間の生きている時間」という二つの大きなテーマがあると述べられ、最後に「自分はどのような立ち位置で俳句を書いているのかをハッキリさせることが重要」と結ばれた。
 神奈川が誇る強力な「晴れ女」のお陰で日射しが明るさを取り戻した頃、お待ちかねの句会開始。清記は村上友美幹事をチーフに中山妙子・稲葉喜子・比留間加代・堀口みゆき・吉野美和子・山田ひかるの六氏が担当。披講は川村研治・芳賀陽子・田中悦子の三氏、採点は望月英男幹事をチーフとする平田薫・荻野樹美・菅沼とき子・なつはづき・渡辺照子の五氏が行った。披講終了後、採点集計の時間を利用して10人の先生方にご講評を伺った。ご自身が採られた三句について選をされた理由をそれぞれ述べられ、参加者は良い勉強の機会を得た。以下、順に内容を簡単に記載する。

  1. 麻生明前横浜俳話会会長 「梅雨の海霧ランナー生るる大桟橋」映像が浮かんでくる。このランナーは多分原色のウェアを着た女性だろう。「ジャズ鳴らす波止場のヨーコ枇杷たわわ」歌の文句のよう。波止場のヨーコは一寸影のある女の人?ジャズと枇杷が上手く呼応している。「海に浮く白船梅雨を軽くせり」気持ちのいい句。まわりの雰囲気を軽くして抒情的にうまくあしらっている。
  2. 鹿又英一参与 吟行では吟行で見たものを出す事と、今の季節に合う季語を使うようにと力説された。「梅雨湿り浮桟橋に軋む船」浮桟橋にしっかりモノが見える。今の時期の旬の句。「三塔の見ゆる桟橋梅雨はじめ」固有名詞がしっかり出ている。「噴水の天辺に北斎がいる」この場所をしっかり捉えて場所に対して挨拶している。
  3. 渡辺正剛参与 「梅雨の海霧ランナー生るる大桟橋」今日は本当に大勢の人が走っていた。「黒南風やF点滅の電光板」F点滅が分かりにくかったが、入港を許可するサインと知り、横浜港らしい珍しいところを上手く捉えられたと思った。「一樹なき大桟橋の梅雨入かな」コンクリートで固めた大桟橋を「一樹なき」とうまく表現された。
  4. 川村智香子顧問 「眸の中は青水無月の雨の色」グレース・ケリーのような眸が浮かんだ。「青水無月」という語がとても綺麗で、美しく青い眸を思わせた。「船虫に密航のゆめ大桟橋」船虫は岩場にいて傍に行くとサッと逃げる。そんな船虫にも「密航のゆめ」がある、と納得した。「六月のかもめを抱いてくる少年」今日の特選句。色々なかもめがある中で、少し鬱陶しい六月に、かもめという希望を抱いた少年がやってくると解釈した。
  5. 中岡昌太顧問 「白南風や余生の長き氷川丸」今日の句に「白南風」はどうかと思ったが、中七と下五の措辞に強く魅かれた。「華人居て大きな声に梅雨晴間」華人というのは中華街の人ではなくて、みなとみらいを歩いている中国人観光客の一団だと思う。彼らは何処でも大きな声で話す。「噴水の天辺に北斎がいる」噴水を見ていると心の中にある色々なものが出てくる。天辺の崩れる所に北斎がいると感じたのは、やはり日本人ならではと思った。
  6. 酒井弘司顧問 「桟橋に林の匂い梅雨はじめ」林の匂いと強引に持ってきた。「一樹なき」の句と対照的で、桟橋に林を出したことに意外性を感じた。「梅雨に飽きフランスに行く蝸牛」なぜフランスなのか、イタリアでもイギリスでもよいのに。作者の心の中にあるフランスがここに出てきたのである。「噴水の天辺に北斎がいる」北斎の絵を自分の気持ちに置き換えて詠んだ。この三句の持っている内省が良いと思った。意外性に魅かれて採った。
  7. 渡辺和弘副会長 「桟橋に林の匂い梅雨はじめ」桟橋に立って林の匂いを感じたという。梅雨はじめだからこそ林の匂いを感じ取ったというところが私に響いて来た。「雨止めば呪縛がとける蝸牛」蝸牛と雨のイメージはくっ付いているが「呪縛がとける」という作者の想いがとても良いと思った。蝸牛をうまく生かしている。「六月のかもめを抱いてくる少年」読む者に詩を感じさせ強く心に響いてくる。六月という季語を生かしていて、今日の句の中でひと際響くものがあった。
  8. 鈴木和代副会長 「梅雨に入る肩寄せ合いて傘の行く」俳句の友達という濃い仲の優しさを感じた。「潮の匂ひ仲間の匂ひ梅雨曇」仲間の良さを詠っている。「サクランボ記憶たぐりて山手の恋」サクランボで可愛らしさを出し、「山手の恋」に優しさを感じた。
  9. 西野洋司副会長 「潮の匂ひ仲間の匂ひ梅雨曇」横浜でなくてもいいが「潮の匂ひ」に三好達治の「海の中には母がいる」の懐かしさがあり、「仲間の匂ひ」には香水にはない良さがある。「白南風や余生の長き氷川丸」今日は確かに白南風ではないが、この句には的確。氷川丸の今の様子を捉えていて、人間も船も同様に明るく表現された。「船虫に密航のゆめ大桟橋」この句は船虫でもっている。ゾロゾロっといる船虫は取って食う人もいないし虫自体に陰謀があるんじゃないかという気にもなる。
  10. 尾崎竹詩会長 今後、神奈川現俳がどのような方向を目指すのかという事を基準にして選句した。「雨止めば呪縛がとける蝸牛」吟行会だからこそ見えたもの。写生句として見た通りに出すだけでなく、「雨止めば」と蝸牛の関係が普通と逆になっていて、作者の想いが私に新しい発見をもたらしてくれた。「海月浮くもう人間には戻らぬと」人間に戻りたかったのは浮いてくる前。海の底にいた時には人間に戻りたいという煩悩があったが、浮いて来たことで解脱したようだ。「噴水の天辺に北斎がいる」北斎がいてくれたことで日本人として誇りが持てる。作者は噴水をよくよく見ていて天辺に北斎がいると思った。感銘を受けた句。

 講評後、望月英男幹事より成績発表があり、尾崎会長と内藤実行委員長により賞品の授与が行われた。川村智香子顧問の閉会の言葉をいただき、本日の吟行会が無事終了。各幹事は後片付けをすませ、懇親会会場の中華街へと参加者を誘導した。

【記録・伊藤 眠】

―当日の高点句―   高点順30位まで(同点の場合は清記順)
白南風や余生の長き氷川丸     関根 洋子
船虫に密航のゆめ大桟橋      長谷川昭放
六月のかもめを抱いてくる少年   酒井 弘司
雨止めば呪縛がとける蝸牛     内藤ちよみ
つばめ飛ぶ社交辞令のやうな雨   渡辺 照子
噴水の天辺に北斎がいる      麻生   明
ジャズ鳴らす波止場のヨーコ枇杷たわわ 大西   惠
海月浮くもう人間には戻らぬと   加賀田せん翆
水色の象いる六月のカフェテラス  芳賀  陽子
梅雨晴れ間波が置き去るプラ・芥  畑   佳与
眸(め)の中は青水無月の雨の色  稲葉   喜子
角振ってどこへも航(ゆ)かぬ蝸牛 渡辺  順子
病葉は全て風ですピエロです    金子    嵩
海に浮く白船梅雨を軽くせり    川村智香子
黒南風や海に真向ふ供養塔     川野 ちくさ
桟橋に林の匂い梅雨はじめ     佐藤   久
潮の匂ひ仲間の匂ひ梅雨曇     比留間加代
夏潮や今日は観光客の貌      なつはづき
腹の内開けっ広げの海月かな    宇佐見輝子
サクランボ記憶たぐりて山手の恋  藤方 さくら
薔薇の園ふと国籍を問うている   村上 友美
三塔を見据ゑ接岸梅雨の入り    桐畑 佳永
梅雨に飽きフランスに行く蝸牛   田畑 ヒロ子
梅雨空や今日も泣いてる赤い靴   菅沼 とき子
紫陽花の貧血気味の大さん橋    らふ亜沙弥
入梅や青磁の欠片めける波     広田 輝子
梅雨の海霧ランナー生るる大桟橋  若林つる子
百合百花文明開化の鐘がなる    山田ひかる
海音に旋律走る雲の峰       鈴木 和代
港町晴れ女いる梅雨の入      野澤代施美

【作品記録・佐々木重満】

§ 役員構成 § 〔平成30年4月19日現在【太字は新人事】〕

名誉会長:森田緑郎
会長:𠮷田 功
副会長:朝広純子・川村研治・川村智香子・鈴木和代・西野洋司
事務局長:尾崎竹詩(崎は立に可)
同次長:佐々木重満
事務局付IT部長:伊藤 眠
同副部長:堀口みゆき
総務部長:大本 尚
同副部長:岡田恵子・佐伯千年・渡辺照子
事業部長:内藤ちよみ
同副部長:村上友美・藤方さくら
編集部長:田中悦子
同副部長:なつはづき
経理部長:芳賀陽子
同副部長:平田 薫・斉藤すみれ
幹事:青島哲夫・秋山貞彦・朝倉さとえ・石鎚 優・伊藤 梢・稲葉喜子・植田いく子(編集部)・宇佐見輝子・潮 仲人・岡田恵子(総務部)・岡田典代・荻野樹美・小沢一郎(事業部)・尾澤慧璃・加賀田せん翆・金子 嵩・川名将義・桐山芽ぐ・佐藤久(事業部)・菅沼とき子(編集部)・関根洋子(経理部)・田中周利・塚田佳都子・山老成子・望月英男(編集部)・西村弘子・長谷川昭放・平佐和子(編集部)・比留間加代・福田洽子・広瀬久夫・町野敦子・山田ひかる・吉野美和子・吉村元明・らふ亜沙弥・若林つる子・渡辺順子
横浜ブロック長なつはづき
横浜副ブロック長:桐山芽ぐ
川崎ブロック長加賀田せん翆
川崎副ブロック長:町野敦子・山田ひかる
湘南ブロック長:渡辺和弘
湘南副ブロック長:堀口みゆき・渡辺正剛
西部ブロック長:田畑ヒロ子
西部副ブロック長:佐々木重満・長谷川昭放・菅沼とき子 
監査役:川島進一・中山妙子
顧問:綾野南志・荻田恭三・荻田礼子・小園葉舟・酒井弘司・佐々木英子・杉本かずみ・瀬戸美代子・佃 悦夫・中岡昌太・藤田 宏・前田吐実男・諸角せつ子
参与:相川玖美子・綾野道江・岩田信・小関邦子・鹿又英一・川辺幸一・河野 薫・小町 圭・手塚玉泉・長島喜代子・野木桃花・福原瑛子・三村凪彦・山元志津香・日置正次・山田貴世・渡辺正剛・川嶋隆史・木村和彦・衣川次郎・武井梅仙・広瀬元幸
【伊藤 眠・報】