会長/石川青狼
事務局長/鮒橋郁香
事務局所在地/〒084-0903釧路市昭和町2-15-4 TEL0154-55-4588

東北海道現代俳句協会第29回総会・俳句会

東北海道現代俳句協会第29回総会・俳句会

東北海道現代俳句協会とは

東北海道現代俳句協会は、帯広、釧路、根室各市を中心とした十勝支庁、釧路支庁、根室支庁に加え、北見市を含むエリアの会員で構成されている。 

会報PDF(2024年1月30日更新)

東北海道現代俳句協会会報 第17号 令和6年1月20日
第二十一回大とかち俳句賞全国俳句大会、第七十五回 釧路市芸術祭 市民俳句大会、令和5年下半期わたしの一句
東北海道現代俳句協会会報 第16号 
令和5年7月25日
第三十三回東北海道現代俳句協会総会、第三十二回北海道現代俳句大会開催報告、第三十三回東北海道現代俳句総会俳句、第二十九回東北海道俳句大会
東北海道現代俳句協会会報 第15号 
令和5年1月20日
新年度行事予定・第29回大とかち俳句賞全国俳句大会・第20回とかち俳句賞
東北海道現代俳句協会会報 第14号 令和4年7月20日
第三十二回東北海道現代俳句協会総会・第二十八回東北海道現代俳句大会開催・第三十一回北海道現代俳句大会
東北海道現代俳句協会会報 第13号
 令和4年1月10日
第19回大とかち俳句賞全国俳句大会・令和三年わたしの一句・帯広原爆忌俳句会・第51回十勝俳句連盟秋季俳句大会・第73回釧路市芸術祭俳句大会・紙上月例句会作品抄

2023年度行事予定

◎月例句会
 毎月第3木曜日 午後1時よりプラザさいわい
◎墨書展
 日時10月9日(木曜日)~1ヵ月間

【 2021年 】 (20220117追加更新)

東北海道現代俳句協会交流帯広句会 会報で読みにくいところがあるのでアップしています

帯広原爆忌俳句会  八月四日
早みどりの世に生きている還暦後   市川 靜子
黒揚羽この慰霊碑を抜け切れず    岩佐勢津子
八月の濡れし足跡途切れなし     江崎 俊子
父の背を流す広さや墓洗う      江波戸 明
敗戦忌やっと掴んだ「黒い雨」    河合 弘子
外国の種蒔くハウス過疎の家     鈴木八駛郎
炎昼に犬がベロだし原爆忌      田口 裕子
わが影の中に影あり墓洗う      中島 土方
ゲルニカの嘶き聞こゆ敗戦忌     西岡ひろ子
原爆忌風生臭き後ろ髪        松原 靜子
経を読む母は小さし敗戦日      三島ゆう子
ダイジョーブデス 署名を避けるセーラ服 村上やよい
氷菓なめて広島行きの汽車に乗る   粥川 青猿

第五一回 十勝俳句連盟秋季俳句大会  十月十六日
会員作品  
一位 
 ひとりでもバスは定刻天高し    中島 土方

思い出はそっとしておく蛍籠     松原 靜子 
七階の窓は額縁いわし雲       村川三津子 
蜘蛛の囲に絡まぬ不思議蜘蛛の脚   粥川 青猿

第十九回 大とかち俳句賞全国俳句大会
会員作品抄(九月)
〈課題句「山」一切〉 
この川にきつと居る筈山椒魚    宮坪 勝美
昼寝覚め勝負の山場巻きもどす   吉田 洋子
山滴るカムイワツカを渉たる    橫地 妙子
つま先に天道虫の山男       中村きみどり
紅月や山影綴る虎鶇        金野 克典
「今夜が山」ICUの遠花火    飯沼 風華
山鳩の裸足粛々番の歩       寺田 保子
大雪の山並み見えしビアガーデン  大村富美子 
ニペソツの響きなつかし初登山   荒川 美恵  
山法師細き腕を突き上げて     清水 健志
生まれ地は御嶽ふもと北に老ゆ   福島 昌美   
〈雑詠句〉
麦熟れて十勝の平野焦げくさし   早川千鶴子
整列の距離詰めすぎる葱坊主    大沼惠美子
燕麦粥一日一生八月来       飯沼 風華
蕎麦こぼる急き立つ風を受けながら 江波戸 明
朝焼けや今日をやんわり支配する  西村 奈津
工煙の見納めなるか海霧晴間    鮒橋 郁香
飛花落花欲のいくつを持って行く  村川三津子
十勝野を紫竹ガーデン遺したる   荒川 美恵
馬鈴薯よ空が蒼くて泣きたいよ   斉藤 郁子
蝦夷鹿の蹄咬みつく急斜面     清水 健志
七月は楸邨忌あり吾が米寿     福島 昌美
ディズニーのバンビよりバンビ蝦夷鹿の子 中島 加奈
村人の減ってドグイが畑荒らす   鈴木八駛郎

第七三回釧路市芸術祭俳句大会 (十月)
第二位
 蜉蝣やまだ定まらぬ妥協点    西村 奈津
第三位・花畑くに男相談役 特選
 どの部屋も同じ鍵穴いわし雲   村川三津子
第九位
 遥かなる恋の文束読む夜長    早川千鶴子
石川青狼会長特選
 「ゆるくなーい」コロナ隠りに深む秋 山田美智子

言葉から霧がほどける朝日かな   飯沼 風華
月待ちの顔しあはせの予約枠    脇本 文子
子を寝かせ絵本に戻す月明り    大沼惠美子
納沙布に髪の根吹かる晩夏かな   橫地 妙子
嫉妬なら色なき焔ななかまど    鮒橋 郁香
蝿叩き蝿が止まつてゐたりけり   荒川 美恵
葉がくれに青鬼灯の十五・六    吉田 洋子
よくぞダイヤモンド婚まで秋日和  村  牛歩
木に風が夏の了はりの交響詩    寺田 保子
リトグラフの鳩が飛びたつ秋の空  吉野喜代子
ちちろ鳴く本籍釧路ここで死す   斉藤 郁子
木道の律の調べを独り占め     小飼 紫香
秋空やでかく希望と画いてみる   那珂剣坊子
湿原の果ての潮騒鵙猛る      石川 青狼

令和三年 紙上月例句会 作品抄(釧路ブロック)会報で読みにくいところがあるのでアップしています

七月( 紙上 )
夏うぐひす次の声待つ閑けさよ   荒川 美恵
止まらぬ涙虹の仕度は急ぐなよ   飯沼 風華
リセットボタン押す一瞬の涼しさに 大沼惠美子 
片陰を杖つく夫の歩にあはせ    大村富美子 
カサブランカは佇むだけで誘惑   北原 白道
夏夕べ一番草に陽の匂い      小飼 紫香
「普通」など木っ端微塵さ蝿生る  斉藤 郁子
車引く牛も頭にハイビスカス    佐藤かよ子 
牧草ロール潜望鏡を上げる虫    清水 健志
有りし日の音色かそけき錆風鈴   寺田 保子
シャボン玉見上げる瞳宇宙かな   中尾 克彦
レース着てキューピー少し大人びる 中島 加奈
折れ線グラフビルの谷間に夏燕   中村きみどり
彼の人の言葉いちいち明易し    西村 奈津
証されぬ遺骨の行方沖縄忌     芳賀 知子
えぞ入梅素行不良のハンドミキサー 早川千鶴子
梅雨寒の妻にせがむは熱めの茶   福島 昌美
生真面目なスマホ点滅熱帯夜    鮒橋 郁香
ゆくりなくビールの飲める駅喫茶  村  牛歩
三十五度ほどの平熱青バナナ    村川三津子
めりはりの無き一日や遠雷す    横地 妙子
白玉のかたちいろいろ子もいろいろ よしざね弓
天の川何にこだはり何捨つる    吉田 洋子
驟雨去る突と無心になる青さ    吉野喜代子
上段の構へ冴えたり蝿叩      脇本 文子
滴りやここに生きてる音がする   脇本 千尋
母影の一花大山蓮華香       石川 青狼
八月( 紙上 )
罌粟坊主たちまち仲間ふやしをり  荒川 美恵
喪の家に立ち寄ってゆく夕涼    飯沼 風華
億劫を巻き上げてゆく朝顔     大沼惠美子 
段差ある家の水拭き 炎昼     大村富美子
新高山よ神風吹かず終戦忌     北原 白道
夏旺んピクトグラムの動き出す   小飼 紫香
わたしの国感染者数メダル数    佐藤かよ子
メダル狙える蟻の流れる速さ    清水 健志
をりふしのわたしここよと江戸風鈴 寺田 保子
副反応発熱外来移流霧       中尾 克彦
夏蝶の舌過ぐ真水つつつつつ    中島 加奈
恨みなど微塵もないの蝿叩き    中村きみどり
風死すや確信犯的生返事      西村 奈津
夏椿咲くも落ちるもひとつなる   芳賀 知子
誰も叱る者なき処暑や夜爪切る   早川千鶴子
虎杖の茂り境界のようである    福島 昌美
冷蔵庫に顔突っ込んでトリップ   鮒橋 郁香
盂蘭盆会老舗の銘菓の丸木舟    村  牛歩
海のかたち人のかたちに原爆忌   村川三津子
知らぬふりしてゐやうかサングラス 橫地 妙子
妙齢のおひとり様の赤テント    よしざね弓
無造作にたたむ新聞熱帯夜     吉田 洋子
南国の海の遠さよ貝風鈴      吉野喜代子
ひきしほのこむらがへりや夏の果て 脇本 文子
はたかれて終りであろう虻一匹   脇本 千尋
当たり前と思う蜻蛉飛んでいる        石川 青狼
九月( 紙 上 )
草の実を畳に踏みて悔ひの色     荒川 美恵
生涯に落日いくつ吾亦紅       飯沼 風華
初秋の雨矛盾など抱へては      大沼惠美子
新しき線香の箱秋気澄む       大村富美子
誰かれと褒められて逝く曼珠沙華   北原 白道
木道のぐるりをくるり鰯雲      小飼 紫香
氏素性解きて銀漢のひとかけら    斉藤 郁子
あかね雲カラフトマスが群舞する   佐藤かよ子
水揚げの鯨聳ゆる釧路港       清水 健志
脳内のメモの余白に虫の声      寺田 保子
朝顔に今日一日を尋ねおり      中尾 克彦
新涼やボーイズサイズの時計跡        中島 加奈
黒揚羽にも減量が必要か       中村きみどり
草の花たとえば意識高い系      西村 奈津
タルトタタン生きて迎える敬老日   芳賀 知子
重陽と気づくは夫の月命日      早川千鶴子
秋の夜や唄つて越ゆる黄泉平坂     鮒橋 郁香
ハイビスカス今日という日はもうこない 村 牛歩
サンマ一匹無ければ無いで主婦の技  村川三津子
星一つ飛んで浄土へ旅立ちぬ     橫地 妙子
六つ切りの西瓜の稜線をがぶり    吉田 洋子
境界線ひょいと跨ぐや夏帽子     吉野喜代子
クライシスの先は知らねどやんまの眼 脇本 文子
三日月や欠けた分だけ届かない    脇本 千尋
コスモスの頷く別れなのですね    石川 青狼
十月
ゆきずりの影おとしゆく赤とんぼ   荒川 美恵
からからと木魂がわらう鮭颪     飯沼 風華
霧月夜半分嘘を生きてゐる      大沼惠美子
名月や現に返す着信音        大村富美子
秋天のキャンバスへ筆奔放に     北原 白道
モビールのイルカ飛びこむ月の海   小飼 紫香
トップ記事たたみの下の古新聞    斉藤 郁子
白帝もたじろぐ晴れ女の気合     佐藤かよ子
秋風に品定めされるわたくし     清水 健志
新松子なにを蓄へ何捨てた      寺田 保子
マラソンや秋空の色移行せよ     中尾 克彦
野葡萄の一粒ごとに名を与え     中島 加奈
秋桜の集団揺れる反抗期       中村きみどり
媚売らぬ魚の町の秋夕焼       西村 奈津
秋の夜半素数おもえば果てしなし   芳賀 知子
秋澄むや布巾雑巾除菌中       早川千鶴子
サプライズの花火秋雨を歪ませて   鮒橋 郁香
思い出の品捨てきれず秋彼岸     村  牛歩
人恋うる今日は雨です秋の雨     村川三津子
鮭の秋男がさばく出刃の尖      橫地 妙子
指させば届くぬくもり望の月     吉野喜代子
すっからかんと笑ふ秋風うらがへる  脇本 文子
誰彼も会ひたくなつて山粧ふ     脇本 千尋
台風接近真っ先に飛ぶ口約束     石川 青狼
十一月
こだはりて綿虫やたら殖やしゐる   荒川 美恵
我が輪郭靄るも良しとななかまど   飯沼 風華
壊すといふ選択玻璃の冬空      大沼惠美子 
迎へ待つ母に雪靴持参して      大村富美子 
大南瓜一刀両断親父ギャグ      北原 白道
和三盆溶けゆく時間小春かな     小飼 紫香
秋麗や吾子の後行く投票所      斉藤 郁子
談志聴く没後十年朝寝して      佐藤かよ子 
軽石を吐き出している秋の海     清水 健志
空き家なる置いてきぼりの大紅葉   寺田 保子
老いの目の空を見つめて冬の海    中尾 克彦
魚卵めく銀杏夜に透きとおる     中島 加奈
そばがきや何か私に足りぬもの    中村きみどり
ひらめきの断片零る末枯るる     西村 奈津
コピーミス重ねるコロナと冬に入る  芳賀 知子
一望に一彩の揺れ芒原        早川千鶴子 
限りある陽の斑となりぬ雪ぼたる   鮒橋 郁香
熟柿食うきまって分母に母がおり   村 牛歩
立ち位置はいつも自由さ帰り花    村川三津子 
国後島の稜線しかと鮭颪       橫地 妙子
前髪に触れそれだけの雪ばんば    吉田 洋子
凍結の身構えであり今朝の湖         吉野喜代子
冬の水乱すわたしの天の邪鬼     脇本 文子
立冬や蜂蜜色の朝降りる       脇本 千尋
落葉松黄葉笑いだしたら止まらない  石川 青狼
十二月
旋盤の火花ぴしぴし暮早し              荒川 美恵
手紙書く夜の木枯凭れきて      飯沼 風華
矜恃なる微熱をもつて冬眠す     大沼惠美子
オリオンや音量下げしカーラジオ   大村富美子
行く年やよく見りゃ豆腐に顔もある  北原 白道
冬木立せまる暮色にルオーの絵    小飼 紫香
マスターのこだわるコーヒー雪催   佐藤かよ子
鷲の影凍らせて湿原暮色       清水 健志
久に来る吾子に干しいる客蒲団    寺田 保子
ドカ雪と電話に響く里の声      中尾 克彦
小さい前ならえして真後ろの寒暮   中島 加奈
ピアノには踏まれたくない猫師走   中村きみどり
体幹の弱き鳶なり北風吹く      西村 奈津
冬の暮カラスよ人は手を繋ぐ     芳賀 知子
一張羅も箪笥に眠り年暮るる     早川千鶴子
白濁の太陽ぽつり注連飾る      鮒橋 郁香
自らによしと声かけ冬囲い      村  牛歩
感情論だけが先行くもがり笛     村川三津子
酷評はほめ言葉かも年暮るる     橫地 妙子
年の暮砥石の癖のなめらかに     吉田 洋子
問えぬまま伝えぬままや鳶の笛    吉野喜代子
待たされて少し大人になる枯野    脇本 文子
行き暮れて暮れ行く年にさようなら  脇本 千尋
吊し柿畢竟余生持て余す                石川 青狼

故 福島昌美さま 遺句集」
鵙猛り湿原の果て活き活きす (合同句集一)
握り減りは岩礦(やま)もの氷割る鶴嘴
夏のなき街の機械で生きとおす(同二)
凍てきびし焼かれつつ開く魚の口
長靴の裏は馬面雪降れり   (同三)
着ぶくれて兎に似たり母に似たり
もしや死に適齢ありや冬ざるる(同四)
デュオ相手されて町内新年会
夜を削りいるよう風の枯木音 (同五)
掻き洗いほてる楸邨忌の頭蓋
労組長いま唄仲間新樹光   (同六)
補聴器のあらた聞こゆは鳥風か
ノータイに六月の風直立す(「博文館」日記帳掲載)
新樹光割りし卵に血がゆらぐ(令3道大会)
鉢割れも含めとどろく屋根雪崩
生まれ地は御嶽ふもと北に老ゆ(同大とかち)
家持ちしが誇りのひとつ秋桜
7月は楸邨忌あり吾が米寿
▼第一句集「坑熱」(昭和三三年)より
メーデー明日挽きし帯鋸ぬくく湿る
冷ゆる坑壁(どべら)に背をもたれ喰う飯甘し
「日雇です」自己紹介終う句座暑し
▼第二句集「熔流」(平成十七年)より
血を吐きしを母には言えず春を病む
市価割らねば商い成らず雪なき冬
春きざむ人工弁とう俺の部品
妻を娘(こ)と言われいて桜満つる旅

第30回北海道現代俳句大会

6月13日(日)帯広市にて予定していた第三十回北海道現代俳句大会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため紙上のみの開催となった(692句)。
今年は中村和弘現代俳句協会長を講師としてお迎えするはずだったが叶わず、中村会長はじめ北海道四地区の会長それぞれの特選句(3句)に色紙を揮毫して頂き、作者に贈呈した。
上位入賞句は次の通り。

北海道現代俳句大会賞
 耕して村の入口開けてをく      中島 土方
北海道新聞帯広支社賞
 おぼろの夜骨なきもののように寝る  阿部 満子
十勝毎日新聞社賞
 陽炎を噛みくだきいる牛の群     小野寺哲也
NPO十勝文化会議賞
 どこもやはらかてのひらで押す暮春  永野 照子
優秀賞
 青いサイダー足から魚になっていく  瀬戸優理子
 独活を抜く力あるからいきている   鈴木八駛郎
 水仙の匂う鏡の中にいる       船矢 深雪
 春日傘ひらきカモメになりにゆく   渡辺のり子
 ここからは忘れる時間涅槃雪     橋本 喜夫
 寒明けるこんなところに釘の穴    遠藤 静江
佳作賞
 妻よこの食卓になぜ雪降り積む    五十嵐秀彦
 調律師来て白鳥の羽搏きぬ      信藤 詔子
 雪下ろす雪の世界に雪下ろす     髙橋 幸子
 責任がないから溶ける雪達磨     大沼惠美子
 春炬燵自粛の手足はみ出して     内野 弓子
 川原石己れに似合う雪を載せ     堤  静波
 クリムトの模写三月を遣い切る    長野 君代
 たましいの重さ残して蟬の殻     西村 山憧
 春は足踏み一円足らぬ封書来る    鮒橋 郁香
 海明ける付箋あまたの参考書     遠藤由紀子
中村和弘 現代俳句協会長特選句
 舞い降りる丹頂牧の風となり     中山ヒロ子
 雲重き東湖鶴唳轟けり        桂井 俊子
 雪解急はやヤン衆の夜具が着く    小川原紀美雄
五十嵐秀彦 中北海道現代俳句協会長特選句
 てふてふに聴かねば出せぬ海の色   徳田 則子
 肉体枯れつつ石鹸玉吹き放つ     十河 宣洋
 貸したきりの本おそらくは春日受く  鈴木 牛後
十河宣洋 北北海道現代俳句協会長特選句
 耕して村の入口開けてをく      中島 土方
 運河の月恋人ら青し白し釧路     山本  勲
 青いサイダー足から魚になっていく  瀬戸優理子
都賀由美子 南北海道現代俳句協会長特選句
 冷蔵庫の隅で楽しく生き延びる    脇本 文子
 人の持つ袋は幾つ涅槃西風      粥川 青猿
 骨に歯に人に番号稲光        古川かず江
石川青狼 東北海道現代俳句協会長特選句
 「君と吾」のフォルダーに在る蜃楼  西村 奈津
 コロナ禍のやたらカナ文字まだら雪  寺田 保子
 独活を抜く力あるからいきている   鈴木八駛郎

◇地区協会長インタビュー

 本部事業企画部による「地区協会長インタビュー」の録画が、4月30日(金)釧路市生涯学習センター、音楽スタジオにて行われた。石川青狼会長へ、当地区唯一の若手会員、金野克典さんが行ったインタビューは25分弱で、石川会長が俳句を始めたきっかけや金子兜太氏との出会い、またAI俳句についてなど多岐に渡り興味深いものがあった。
 視聴した会員からは「今まで知らなかった会長のことが少し判った」「会長の言葉にメッセージを感じた」等々の感想が寄せられた。悪天候のなかを幕別町から来られた金野さん、本当にご苦労様でした。

【 行事記録 】 (20200412追加更新)

◇令和3年度 第31回東北海道現代俳句協会 定期総会(書面による開催)

 2月18日に予定していた今年度総会(釧路市)は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため書面による開催となった。令和2年12月に役員14名に対して総会開催についてのアンケートを実施し、その結果、書面にて止む無しとの意見が多数を占めたことによる。

 令和3年が明けて間もなく総会資料を作成。会計監査は、2名のうち1名は対面で実施し、地方在住の1名には収支表と会計ノートのコピー等を送付、点検・押印のち返送してもらっての監査となった。

 1月後半にまず役員14名に総会資料を送付、返信葉書を回報して資料の承認を確認。そののち一般会員27名を対象に同様の手順により資料を確認して頂いたが、全会員41名中「承認」が36名、「否認」が0名、未回報が5名という結果だった。これにより令和2年度の事業報告及び収支決算報告・会計監査報告と令和3年度事業計画案・予算案は全て承認された。資料作成そのものは例年のことだが書面にての展開は初めてのうえ、恒例の総会俳句会も行えず、普段は会うことの少ない地方の会員同士の交流もできず残念なことであった。

◇合同句集「東北海道現代俳句 第六集」発刊

5年に一度の合同句集の発刊の年に当たり、令和3年度定期総会時に発刊すべく昨年8月に会員への周知と作品募集を開始。
内容は前回の第五集と同じく一人12句掲載、参加費は2冊5千円とした。
会員41名のうち30代~90代の37名が参加、この5年間の年譜と会則も付記し、2月に恙なく発刊することができた。

◇第二十七回東北海道現代俳句大会(中止)

 令和2年の大会は6月7日(日)午後一時より帯広市とかちプラザを会場に開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため残念ながら中止となった。
 2月に大会要項を発送し、124組248句が集まった。講師の和田道子先生はじめ選者18名がそれぞれ特選2句、佳作10句を選び、入賞者には賞品を、特別選者5名の特選句にはそれぞれが揮毫の色紙を贈呈して第27回大会とした。

〈東北海道現代俳句大会賞〉
  海市見て硝子のような嘘をつく    吉野喜代子

〈北海道新聞帯広支社賞〉
  ふきのとうばらばらにいて家族なる  高橋テル子

〈十勝毎日新聞社賞〉
  笑い茸踏んで此岸に生きてをり    伊藤 やす

〈NPO十勝文化会議賞〉
  かげろうや過疎に波立つ墓じまい   江波戸 明

〈優秀賞〉寛解に足りぬ余熱や鳥帰る   西村 奈津

〈 同 〉兜太忌のこんなところに縄梯子 粥川 青猿

〈 同 〉おしやべりも母への土産スイトピー 木幡 嘉子

〈 同 〉逃水や遮断機のゆううつ    村川三津子

〈佳作賞〉無職なり働く蟻の列をみている 北原 白道

〈 同 〉人の世の想いまといて花の散る 髙木 キイ

〈 同 〉ピッコロを鳴らしてきたね福寿草 鮒橋 郁香

〈 同 〉海明けの鼓膜へ風の吹きかはる 大沼惠美子

〈 同 〉鳥帰る私は生国を離れない   笹原 瑞子

〈 同 〉朧夜を離れてやっと人になり  林  恒子

〈 同 〉春蟬や廃線ちかき秘境駅    増田 植歌

〈鈴木八駛郎名誉会長 特選句〉
 兜太忌のこんなところに縄梯子   粥川 青猿
 人の世の想いまといて花の散る   髙木 キイ

〈山陰 進顧問 特選句〉
   涅槃西風うしろの正面だぁーれ   松原 静子
   鳥帰る私は生国を離れない     笹原 瑞子

〈石川青狼会長 特選句〉
   骨揚げは生者の務め冬木の芽    江波戸 明
 ふきのとうばらばらにいて家族なる 高橋テル子

〈粥川青猿副会長 特選句〉
   漢らの忘れものなり蜃気楼     信藤 詔子
 朧夜を離れてやっと人になり    林  恒子

〈吉田洋子副会長 特選句〉
   身の程を水にうつして水芭蕉    横地 妙子
 おしやべりも母への土産スイトピー 木幡 嘉子


◇第三十回東北海道現代俳句協会総会

総会出席者

第八回東北海道現代俳句協会賞受賞者の左から村川三津子さん、中島土方さんと石川青狼会長

日時:令和二年二月十五日 会場:釧路市交流プラザさいわい
出席十四名、欠席二十五名(うち委任状十八名)
午前中の役員会議後、定時に始まった総会では議事に先立ち、第8回東北海道現代俳句協会賞の表彰が行われた。同賞準賞の大沼惠美子さんは残念ながら欠席、佳作賞の村川三津子さんと中島土方さんに石川青狼会長より楯が授与された。

その後、議長に村牛歩氏を選出、平成三十一年・令和元年度の事業及び収支決算報告、会計監査報告、また令和二年度の事業計画、収支予算案や役員改選、規約改正について承認を得られ総会は無事終了した。
休憩を挟んで行われた俳句会は粥川青猿氏の司会で二十八句を互選、上位句は次の通り。

今はなき愛車の出口雪を掻く  村 牛歩
雪だるま水を飲まねば眼が乾く  粥川青猿
どっこいしょ堅雪踏んで村の婆  鈴木八駛郎
眠れねば眠らずにゐる雪しんしん  横地妙子
着ぶくれて思考回路の右往左往  早川千鶴子

◇第8回東北海道現代俳句協会賞 (20191219追加更新)

 令和元年七月より募集していた第8回東北海道現代俳句協会賞の選考が行われた。
 今年の応募は13篇、選考委員(石川青狼、鈴木八駛郎、山陰進、粥川青猿、吉田洋子、福島昌美)が集まり協議の結果、全作品とも力みが強く残念ながら正賞は該当作無しとなった。しかしその中でも安定性と工夫への意欲が買われて準賞に大沼惠美子さん、佳作賞に村川三津子さんと中島土方さんが決定した。顕彰は令和二年度総会の席上で行われる。以下、入賞作品の抜粋。

準賞「動く砂」大沼惠美子

春光や裏側見せる防潮堤
月未明疵深めては動く砂
譫言のやうな波音四月尽
長き夜の肩で息する砂時計
飛雪噛む発熱の夜の波がしら
ざらつく砂少年さむき肺鳴らす
砂を這ふ波三月の全身呼吸

佳作賞 「薔薇一輪」村川三津子

斑雪ミスプリントではないか
薔薇一輪これはどういう意味ですか
どこへでも飛べたらいいな青すだれ
鰯雲もはや致死量かもしれぬ

佳作賞 「不条理」中島土方

不条理な話ばかりや冷奴
善哉は夫婦の絆夕端居
忘れ得ず忘れたきこと八月忌
字余りのやうな余生や帰り花


◇東北海道 釧路ブロック吟行会

日時 令和元年九月十九日
場所 細岡展望台、標茶博物館ニタイ・ト

 参加者十七名。釧路ブロックの恒例となった吟行会が秋晴れの一日、開催された。会員の自家用車に乗り合わせ、釧路湿原国立公園を見渡せる細岡展望台で吟行、俳句ポストに投句をしてから標茶町博物館ニタイ・トへ。会議室を借りて昼食、句会となったが、皆テンションが上がっていて活発な意見が出た。高得点句は次の通り。

 湿原図と指名手配図昼の月      鮒橋 郁香

 どんぐりや縄文ならば良妻賢母    中島 加奈

 秋湿原ドローンの兜太来て去りぬ   吉田 洋子

 秋深し湿原という余白かな      中尾 克彦

 湿原という逃れの境地獺祭忌     西村 奈津


◇金子兜太ドキュメンタリー映画「天地悠々 兜太・俳句の一本道」上映会

 

 日 時 令和元年九月八日(日)十三時
 会 場 釧路市生涯学習センター五階ハイビジョンシアター
 入場料 一五〇〇円、 来場者 七八名

 金子兜太氏のドキュメンタリー映画完成を受け、兜太氏生誕百年に合わせて九月に上映会を開催すべく六月に準備を開始した。ポスターや前売券を市内各所に委託、また会員の努力もあって完売することができた。当日直接会場に来られた方もかなり居り、会場の都合で何人かはお断りせざるを得ず申し訳ないことをした。来場者の中には、俳句関係者ではないがテレビで観てとか、兜太氏の人生観に共鳴したという方も多く、超満席の会場には熱気が籠もっていた。
 また壁に石川青狼会長揮毫の兜太氏の俳句を展示、上映後に石川会長が句の解説を交えながら道東旅行に同行した話をして、改めて兜太氏を偲んだ。

◇第二六回東北海道現代俳句大会

日時 令和元年6月30日(日)
場所 釧路市 アクア・ベール
 投句数は73名、122組・244句。9月に開催の金子兜太ドキュメンタリー映画上映会告知のあと、石川青狼会長の挨拶により開会。出席32名。
 講演は「樺の芽」主宰・東北海道現代俳句協会副会長の粥川青猿氏による「山頭火の歩いた道」。演題に惹かれての出席者も居り、一時間たっぷりと山頭火の生き様に聞き入った。休憩を挟んでの俳句大会では、選者5名の講評と入賞者への表彰が行われた。また懇親会には24名が出席、受賞者の喜びの言葉を交えながら和気靄々と進められ、鈴木八駛郎名誉会長の乾杯でお開きとなった。
大会入賞句は次のとおり。
〈東北海道現代俳句大会賞〉
  ひなたぼこ何処に打たれた隠し釘  江波戸 明
〈北海道新聞釧路支社賞〉
  春の雨残り時間の音がする     松原 静子
〈釧路新聞社賞〉
  朴訥な父生涯をたがやせり     荻野つた枝
〈釧路俳句連盟賞〉
  老人の貌して逝けりきりぎりす   高橋テル子

「天地悠々 兜太・俳句の一本道」特別上映会開催
日時 令和元年9月8日(日)午後1時
場所 釧路市生涯学習センター 5階ハイビジョンシアター
主催 東北海道現代俳句協会
 昨年2月の金子兜太氏逝去のあと、釧路では「俳人金子兜太を語る会 実行委員会」(主催:東北海道現代俳句協会釧路ブロック、釧路俳句連盟)を立ち上げ「俳人金子兜太を語る会」を実施致しましたがその際、中央俳壇から遠く離れた釧路での開催についての意義を話し合いました。
 釧路と兜太氏との関わりは、1989年第3回釧路湿原全国俳句大会での記念講演をはじめ御夫妻の道東旅行など三度に及ぶ釧路訪問や、兜太氏主宰の結社「海程」句会の活動(「濃霧」)などを通じて育まれてきました。加えて、兜太氏自身の戦争体験から一貫した平和への思いが、俳句界を超えて平和運動への広く深いエネルギーとなっています。その兜太氏の、戦後の永い俳句活動の軌跡を偲ぶため釧路においてこの「語る会」を企画しました。
(「俳人金子兜太を語る会」パンフレットより)
 こうした経緯もあり、この度ドキュメンタリー映画が製作されたことを受け、改めて映像の兜太氏に会い、皆様の記憶に留めて頂きたく開催することと致しました。ポスターを会場の生涯学習センターほか市立図書館、プラザさいわい等に貼って頂き、前売券も取り扱って頂きました。また会員の努力もあって、前売券はほぼ順調に捌けています。あとは当日、たくさんの方々が来て楽しんで頂けるよう願って準備しております。 

◇東北海道現代俳句協会 第29回総会・俳句会

日時 平成31年2月21日(木)
会場 帯広市 とかちプラザ

句会風景

参加者は十二名。昨年の物故者への黙祷、石川青狼会長挨拶のあと総会議長に江波戸明氏を選出し、総会での議案は全て承認された。
総会後の句会では、少人数ながら活発な句評が交わされ、充実した内容であった。
終了後も、JRの時間ぎりぎりまで釧路と帯広の会員の交流がみられ、六月の大会での再会を約して散会となった。

句会上位作品

どうにか戦後つながっており薄氷 笹原 瑞子

補聴器のハウリングする鰊群来  石川 青狼

浮寝鳥激情を掻く水面下     江波戸 明 

春泥をまともに運び路線バス   山陰  進

如月の広辞苑開けば遥かな野   粥川 青猿

(鮒橋郁香)