青森県現代俳句16号会長/千葉芳醇
事務局長/大瀬響史
事務局所在地/〒036-8131弘前市千年3-6-21 TEL0172-87-1953

【会報PDF】※最近の活動については下記をクリックして会報のPDFをご覧下さい。

青森県現代俳句協会会報第16号2022.6.10発行
青森県現代俳句協会会報第15号2021.12.13発行
青森県現代俳句協会会報第14号2021.10.25発行
青森県現代俳句協会会報第13号2021.6.7発行
青森県現代俳句協会会報第12号2020.12.8発行
青森県現代俳句協会会報第11号2020.6.12発行
青森県現代俳句協会会報第10号2019.12.13発行
青森県現代俳句協会会報第9号2019.6.18発行
青森県現代俳句協会会報第8号2018.12.3発行
青森県現代俳句協会会報第7号2018.9.14発行
青森県現代俳句協会会報第6号2018.6.15発行
青森県現代俳句年鑑2018年版2018.5.13発行B6版全75ページ表紙
青森県現代俳句協会会報第5号2017.12.8発行
青森県現代俳句協会会報第4号2017.9.22発行
青森県現代俳句協会会報第3号2017.6.12発行
青森県現代俳句協会会報第2号2016.12.1発行
青森県現代俳句協会会報第1号2016.9.10発行

【 行事記録 】 2022/1/11追加更新 詳細は会報をご覧ください

会報16号より

◇2022年版青森県現代俳句年鑑賞
今回は5回目となります。年鑑には会員の作品71編が掲載されていますが、本賞の対象となった作品は、顧問、会長、副会長、既受賞者を除く61編となりました。
選考委員は顧問が務めることとなっていますが、今回は三役も参加して選考しました。第一次選考では2人以上の委員の推薦のあった16編が最終選考の候補作に上がりました。

3点 葛西秋遊子 坂本吟遊 鈴木とまと 関 礼子 松宮梗子 森下睦子 雪消ミスミ
2点 浅利康衞 阿保子星 新谷のらねこ 大和湖愛 小田桐妙女 鎌田美正子 佐藤いく子 中村しおん 渡辺芳文

最終選考の結果は次のとおりになりました。
第1席 13点
  「鬼やんま」  五所川原市 松宮梗子
第2席 12点
  「自堕落」   弘前市 雪消ミスミ
第3席 9点
  「ヌード画」  十和田市 中村しおん
第4席 8点
  「海峡の家」  五所川原市 森下睦子
第5席 7点
  「西行忌」   弘前市   佐藤いく子

◇第15回青い森県民俳句大会
昨年に続き新型コロナウイルス感染の影響で会場での大会が困難となり、兼題だけでの大会にせざるを得なくなりましたが、皆様のご理解とご協力により参加者が173名になりました。
 結果は次のとおりです。
【 成績 】
①知事賞・工藤邦子(青森市)、②県議会議長賞・敦賀恵子(青森市)、③青森市長賞・吉田千嘉子(八戸市)、④青森市議会議長賞・佃 正子(十和田市)、⑤県俳句懇話会長賞・くどうひろこ(板柳町)、⑥中澤玲子(弘前市)、⑦鈴木志美恵(五戸町)、⑧髙野万津江(弘前市)、⑨丹野慶子(平川市)、⑩齊藤君子(青森市)、⑪赤坂雪洲(青森市)、⑫蒲田幸子(深浦町)、⑬関 礼子(青森市)、⑭中村しおん(十和田市)、⑮松宮梗子(五所川原市)

・兼題A賞:吉田千嘉子
・兼題B賞:髙野万津江
・兼題C賞:中澤 玲子

兼題A(剪定)小野 寿子選
天位 剪定の音をちこちに津軽かな 今田とみを
地位 岩木嶺を大きく傾げ剪定す    中村しおん
人位 剪定終え枝積み上げて夕の星 村上 楓
秀逸 剪定の小気味よき音青空に    野呂みちゑ
剪定の枝嵩なしてくれなづむ        南美智子
剪定を了へ老い松の男ぶり           和田たかし
父を師に握る剪定鋏かな              永倉みつ
剪定の畑の向かふにさらに畑    木村幸子
佳作 剪定の枝焼き香るりんご園    古葉
剪定の終えし津軽の空広し           蒲田幸子
剪定や枝とぶ先に津軽富士     千葉禮子
剪定の切口鮮ら朝日差す      桜庭 恵
剪定の細き枝にも音のあり     秋谷美智子
山鳩に口笛合はす剪定夫      後藤朋子
小気味良き音や剪定日和なる        吉田千嘉子
遠景は雪の甲田嶺剪定す      三野宮照枝
口下手の世渡り下手や剪定す      木村あさ子
父母の声透きとほる剪定後     小野いるま
一巡りしては見上げて剪定す    木村秋湖
剪定にもう父の来ぬ山の畑     くどうひろこ
剪定の見様見真似や父の庭       木村栄子
剪定終へ夕日の座る木瘤かな    松宮梗子
白無垢の岩木嶺またぎ剪定す      清水山査子

木村 秋湖選
天位 遠景は雪の甲田嶺剪定す      三野宮照枝
地位 それぞれの樹勢読み取り剪定す 須郷権太
人位 剪定の行き届きたる城址かな      鎌田 限
秀逸 剪定の眼は先の先を読み      丹野慶子
剪定や目覚めはじめる大津軽     馬場裕子
父を師に握る剪定鋏かな       永倉みつ
剪定を終へし公園日差し中      秋元ヱミ子
剪定の済めば日射しの踊り出す    佃正子
佳作 剪定や祖父の形見の庭に風       田中翠声
剪定や枝とぶ先に津軽富士      千葉禮子
剪定の小気味よき音青空に      野呂みちゑ
剪定の枝嵩なしてくれなづむ     南美智子
岩木嶺を大きく傾げ剪定す      中村しおん
剪定の父と鋏の音温し        大澤せい
樹木医の手術のごとく剪定す     金田一一子
剪定は父の遺愛の鋏かな       布施協一
湾の色日毎濃くなり剪定す      畑中とほる
剪定の済みし枝々いきいきと     越後則子
剪定や松の未来を描きつつ      草野力丸
剪定の畑に昼餉の火を熾す      鈴木志美恵
剪定の梯子畳みて又掛けて      比内順子
垣越しに剪定指示の翁かな      萬年和子
残雪に剪定の枝重なりて       岩瀬草子

金田一一子選
天位 剪定や松の未来を描きつつ   草野力丸
地位 黒めがねして悪漢のごと剪定す 齊藤君子
人位 鋏より眼が先に剪定す     敦賀恵子
秀逸 親方の口も手も出て剪定す   秋野かをり
剪定終え肺は香気に満ちみちて    水木和子
剪定の眼は先の先を読み       丹野慶子
剪定枝スモークハムの出来る午後   鈴木とまと
わがものと思へば剪定大胆に     中谷恭子
佳作 まだ父の余力とみたり剪定音  小野寿子
貰ひ来し剪定の枝咲くを待つ     関礼子
剪定の済めば日射しの踊り出す        佃正子
剪定やとかくうるさい妻の指示    樋口京子
剪定の枝嵩なしてくれなづむ     南美智子
剪定を了へ老い松の男ぶり      和田たかし
剪定の日和や光る大鋏        加藤健一郎
掛合ひのやうに剪定する親子     蝦名がこ
剪定も公務の仕事推進課         筑田まさ子
小気味良き音や剪定日和なる     吉田千嘉子
跡継ぎを見る目細めて剪定夫     小林とみ
剪定や講師に耳を傾けて       赤沼淑子
一日が三日になりぬ剪定夫        畠山容子
剪定の男の顔はいつも影       六花
若造りの姉さんかぶり剪定す     興村きわ

田村 正義選
天位 剪定や枝とぶ先に津軽富士  千葉禮子
地位 剪定の男の顔はいつも影   六花
人位 剪定の済みし枝々いきいきと 越後則子
秀逸 剪定や祖父の形見の庭に風  田中翠声
岩木嶺を大きく傾げ剪定す     中村しおん
風のこゑ日のこゑ聞きて剪定す   郡川宏一
剪定終へ夕日の座る木瘤かな    松宮梗子
白無垢の岩木嶺またぎ剪定す    清水山査子
佳作 剪定や遠景は音持たぬもの    黒田長子
剪定の小気味よき音青空に       野呂みちゑ
剪定や庭師の声の筒抜けに     工藤邦子
剪定の枝弾力を失はず       竹浪誠也
湾の色日毎濃くなり剪定す       畑中とほる
小気味良き音や剪定日和なる    吉田千嘉子
遠景は雪の甲田嶺剪定す      三野宮照枝
剪定の畑の向かふにさらに畑        木村幸子
剪定終え枝積み上げて夕の星    村上楓
地下足袋の指の踏ん張る剪定夫   大川恵子
剪定や空の広さを取り戻す     中澤玲子
剪定の音をちこちに津軽かな    今田とみを
剪定の畑に昼餉の火を熾す         鈴木志美恵
剪定の梯子畳みて又掛けて     比内順子
残雪に剪定の枝重なりて      岩瀬草子

森下 睦子選
天位 青空に梯子立てかけ剪定す   中島五郎
地位 生きざまは未だ変えれず剪定す 稲部天津子
人位 小気味良き音や剪定日和なる  吉田千嘉子
秀逸 親方の口も手も出て剪定す   秋野かをり
剪定枝集めお山を仰ぎけり      笹原郁子
剪定や目覚めはじめる大津軽       馬場裕子
山鳩に口笛合はす剪定夫       後藤朋子
八十路なる父の剪定見本とす     稲場暁子
佳作 剪定やとかくうるさい妻の指示 樋口京子
剪定や庭師の声の筒抜けに      工藤邦子
剪定の梯子ゆすつて確かめる     高森ましら
遠景は雪の甲田嶺剪定す       三野宮照枝
跡継ぎを見る目細めて剪定夫       小林とみ
剪定夫話しの好きな同級生      江渡永見子
口下手の世渡り下手や剪定す     木村あさ子
切り口の焼菓子色に剪定樹        櫛引麗子
剪定終へ夕日の座る木瘤かな     松宮梗子
剪定や借景の山近づきぬ       宮川暢子
剪定の梯子畳みて又掛けて      比内順子
身を反し熟練の眼で剪定す      小向萩月
剪定の枝に雀のすぐ馴染み      小泉靜子
剪定の林檎畑より白けむり      田端千鼓
相棒のラジオと歌ふ剪定夫      佐藤摩季

渡邊 寂隆選
天位 生きざまは未だ変えれず剪定す   稲部天津子
地位 掛合ひのやうに剪定する親子    蝦名がこ
人位 剪定の無口なれどもはかどらず   田村芳陽
秀逸 口下手の世渡り下手や剪定す    木村あさ子
わんぱくの余所行きのごと剪定す     長尾青竜
剪定の見様見真似や父の庭      木村栄子
わがものと思へば剪定大胆に     中谷恭子
小気味良き音や剪定日和なる     吉田千嘉子
佳作 剪定の枝焼き香るりんご園     古葉
親方の口も手も出て剪定す      秋野かをり
剪定の小気味よき音青空に      野呂みちゑ
剪定のためらひ傷のありにけり    木田多聞天
剪定や庭師の声の筒抜けに      工藤邦子
剪定や松の未来を描きつつ      草野力丸
跡継ぎを見る目細めて剪定夫     小林とみ
剪定の行き届きたる城址かな     鎌田限
折れ枝の剪定まどふ花芽かな     幸林清栄
剪定にもう父の来ぬ山の畑      くどうひろこ
剪定の伐り口の音丸く飛び      清水雪江
日本一願ひ剪定せしりんご      鈴木操
剪定の指示を頼みの軍手かな     成田きみ
錆落とす父の遺愛の剪定鋏      盛弘子
相棒のラジオと歌ふ剪定夫      佐藤摩季

兼題B(若布)大瀬 響史選
天位 色を食い香りを食うて若芽汁 小出登志子
地位 若布茹で海の青より青濃くし 佃正子
人位 海峡に異国艦隊若布干す   赤坂雪洲
秀逸 乾若布社会参加の袋づめ   秋庭善知鳥
若布汁津波の浜が眼裏に      伊藤ほうはく
駐在に赴任初日の新若布      木村幸子
新若布よく売れ被災の道の駅    大川恵子
湯にひたし若布の叫ぶ潮の色    後藤岑生
佳作 若布汁たちまち碧き海となり 蒲田幸子
さあ今朝も若布酢物で凛と生く     秋野かをり
茹でられし若布が海を語りだす     髙野万津江
若布干す渚に近き太宰の碑     牧ひろし
明暗の変わる刹那や新わかめ    加藤健一郎
職を辞す清しき朝や若布汁     竹浪誠也
腰張って女あやつる若布鉤     高森ましら
三陸の届く若布に漁師の名           秋谷美智子
漁師町釣町ありし若布干す     鈴木とまと
若布船波より低くもどり来し    齊藤君子
手鏡の上目づかいや若布汁     長尾青竜
海と地の恵み溶け合ふ若布汁    新井山雅行
浦人の日の香潮の香若布の香    木立邦子
母の荷にいつも小袋塩若布     小泉靜子
黒髪をひとつに束ね若布干す      佐藤摩季

草野 力丸選
天位 生臭き海を引き摺り若布干す   敦賀恵子
地位 ゆらゆらのひかりは言葉若布寄す 松宮梗子
人位 若布刈竿父祖伝来のにぎり艶   金田一一子
秀逸 片足で櫂を操る若布刈舟     和田たかし
明暗の変わる刹那や新わかめ      加藤健一郎
乾くほど音の澄みゆく若布かな     松橋喜世美
他人めく人傍らに若布干す       田村芳陽
若布洗ふ目笊に水を遊ばせて      佐藤霜魚
佳作 若布干す浜の番屋に風集め      長利冬道
若布汁たちまち碧き海となり      蒲田幸子
茹でられし若布が海を語りだす     髙野万津江
解禁日浜も護岸も干し若布         野呂みちゑ
潮騒の広ごる厨新わかめ        蒲田吟竜
若布汁津波の浜が眼裏に        伊藤ほうはく
復興の浜に広ごる若布の香       工藤邦子
若布船波より低くもどり来し        齊藤君子
砂に干す蜑がほまちの若布かな       吉田千嘉子
若布刈るあの日の海を宥めつつ     木村あさ子
透き通る風の百態若布刈舟       櫛引麗子
海と地の恵み溶け合ふ若布汁      新井山雅行
荷を解けば袰月の香の干若布      森下睦子
母の荷にいつも小袋塩若布       小泉靜子
黒々と若布したたる魚籠の中      中村洋子

関  礼子選
天位 震災の海に今年の若布生ふ     石郷岡芽里
地位 若布汁たちまち碧き海となり    蒲田幸子
人位 復興の浜に広ごる若布の香     工藤邦子
秀逸 廃屋の屋根まで若布干されおり     須藤千和子
干す若布風のかたちと陽の匂い        明才地禮子
朝市に磯の香零る新若布           清野さくら
湯通しの真みどりを食ぶ新若布      杉本喜和子
袰月や軒端づたひの干若布        鈴木志美恵
佳作 練櫂の巧みに老いの若布刈       森内 勇治
若布取り小船出揃ふ朝まだき               佐藤いく子
解禁日浜も護岸も干し若布        野呂みちゑ
釜ゆでの若布一瞬深みどり        中島 五郎
片足で櫂を操る若布刈舟         和田たかし
若布刈竿父祖伝来のにぎり艶       金田一一子
骨太の老いの手むんずと引く若布     蝦名 がこ
干し若布祖母の晴れ着の帯のごとし  橘川まもる
砂に干す蜑がほまちの若布かな            吉田千嘉子
湯を潜りさつと若布のみどり立つ     山田のぶ子
若布刈る潮の満ち引き知る漁師      佐々木朴花
反物のやうな長さよ若布干す         畠山容子
新若布よく売れ被災の道の駅               大川恵子
凪の浜孫子揃ふて若布乾す        白戸星央
潮焼けの若布竿曳く老夫かな       興村きわ

牧 ひろし選
天位 若布干す浜の番屋に風集め   長利 冬道
地位 茹でられし若布が海を語りだす 髙野万津江
人位 若布茹で海の青より青濃くし  佃  正子
秀逸 若布汁たちまち碧き海となり  蒲田 幸子
廃屋の屋根まで若布干されおり    須藤千和子
朝市に磯の香零る新若布       清野さくら
湯の中へおとす若布の海の色     秋元ヱミ子
三陸の若布の言霊あなかしこ     千葉 芳醇
佳作 灯台の足をくすぐり若布刈る    中村しおん
復興の浜に広ごる若布の香      工藤 邦子
海峡に異国艦隊若布干す       赤坂 雪洲
三陸の風着て親子若布売る      山口一茶子
亡夫取りて七里長浜若布なり     尾野 久子
瓦礫なき海甦る若布刈竿       くどうひろこ
新若布よく売れ被災の道の駅     大川 恵子
荷を解けば袰月の香の干若布     森下 睦子
干し若布太平洋の風に乗る      三浦 成子
袰月や軒端づたひの干若布      鈴木志美恵
浦人の日の香潮の香若布の香     木立 邦子
味噌汁にふかみどりなる若布かな   清水山査子
脛白く流れ若布を拾ひをり      萬年 和子
潮焼けの若布竿曳く老夫かな     興村 きわ
湯にひたし若布の叫ぶ潮の色     後藤 岑生

松宮 梗子選
天位 国後のすぐそこに見え若布舟   大瀬響史
地位 海峡に異国艦隊若布干す     赤坂雪洲
人位 家づとは海峡育ちてふ若布    宮川暢子
秀逸 さみどりの天然若布貰ひけり   草野力丸
砂鳴かせをなごの籠の若布かな   堰合千恵
嫁ぎ来て週三日の若布汁      竹ケ原陽子
荷を解けば袰月の香の干若布    森下睦子
黒髪をひとつに束ね若布干す    佐藤摩季
佳作 若布汁すすり貧しさなんのその 小野寿子
三陸の海の香りや若布汁      関礼子
復興の浜に広ごる若布の香     工藤邦子
ひと摑み必ずまけて若布売     布施協一
誰も採らぬ若布曳きゆく山の子ら  西村セイ
朝市に磯の香零る新若布      清野さくら
登校をすこし遅らせ若布干す    幸林清栄
駐在に赴任初日の新若布      木村幸子
青々と碗の花なる若布かな     小野いるま
駐在の軒にひと竿若布干す     戸川美重子
友逝くもバケツで届く新若布    木村栄子
外つ国の戦話しや若布干す     今田とみを
袰月や軒端づたひの干若布     鈴木志美恵
潮焼けの若布竿曳く老夫かな    興村きわ
津波禍の残る砂地や若布干す    田端千鼓

山谷 文子選
天位 茹でられし若布が海を語りだす 髙野万津江
地位 若布干す浜の番屋に風集め    長利冬道
人位 職を辞す清しき朝や若布汁    竹浪誠也
秀逸 復興の浜に広ごる若布の香    工藤邦子
塩水の粒となるまで若布干す    川村英幸
山里の辻に荷をとく若布売り    中谷恭子
袰月や軒端づたひの干若布     鈴木志美恵
黒々と若布したたる魚籠の中    中村洋子
佳作 ここだけの話し弾ませ若布干   樋口京子
潮騒の広ごる厨新わかめ      蒲田吟竜
片足で櫂を操る若布刈舟      和田たかし
下北の磯を賑はす新若布      村木謙二
陸奥湾の機嫌よき風若布干す    丹野慶子
三陸の波きらきらと若布干す    桜庭恵
朝市に磯の香零る新若布      清野さくら
沖合に傾ぐ磯船若布刈       永倉みつ
津波禍の話をかこむ若布汁     田村正義
青々と碗の花なる若布かな     小野いるま
海猫の声の真下に若布刈る     郡川宏一
海と地の恵み溶け合ふ若布汁    新井山雅行
三陸の若布づくしの夕餉かな    竹浪幸子
無沙汰詫び三陸若布届きけり    小林五月
汁椀に潮の香ゆらり新若布     田中三桃

兼題C(当季雑詠)坂本 幽弦選
天位 水の星の明日を信じ蝌蚪に脚 田村正義
地位 道草と言ふ自由あり青き踏む 下山延子
人位 遠足の翼をたたむ昼餉かな  くどうひろこ
秀逸 春疾風大樹の名札ひるがへす 鈴木とまと
春塵やどつちを向ひても転換期  木村詩織
遊学の部屋に荷を解く四月かな  幸林清栄
芽木の色鳥の歌声湖は布     藤田智恵子
春キャベツ光もろとも剥がしけり 中澤玲子
佳作 ほつほつと地の息弾む蕗の薹 佃正子
井戸水を音させて汲む弥生尽   三橋聖
災禍の世ひととき癒やす桜かな  村木謙二
くびれなき身に纏ひたる春袷   松野千佳子
ぽかぽかと天を鏡に咲くさくら  新山魏一
太鼓橋渡り切る母風光る     赤坂雪洲
意気込んで風を捌くや鯉のぼり  橘川まもる
訪客の他愛無きこと春うらら   葛西行雄
春蘭を活けて夫婦の理髪店    竹ケ原陽子
主婦といふ括りぬけたき春の蝶  佐々木寿子
耳うとき母に指さす百千鳥    木村あさ子
酒蒸しは芦崎湾の浅蜊かな    戸川美重子
湯の街にポストを探す日永かな  畠山容子
存らへて追憶のなか昭和の日     千葉すみれ
春耕す声の遠ち近ち畑日和      興村きわ

高森ましら選
天位 起立礼指の先まで入学す     敦賀恵子
地位 灯台と海を見に行く建国日    三浦成子
人位 本丸の監視カメラも花見かな   竹浪誠也
秀逸 春の山下り来て言葉多かりき   増田信雄
労ひはみな肘タッチ春まつり      蒲田吟竜
寅年の誰一人なき花見酒      田村芳陽
春キャベツ光もろとも剥がしけり  中澤玲子
漕ぎすぎてゐるぶらんこの大人かな 小田桐妙女
佳作 塵芥の日本列島花の雨      佐藤いく子
風呂の蓋簀子干したる日永かな   黒田長子
マネキンのつまらなさうな春の昼    工藤邦子
つれづれに子は子を見遣る初桜   小林小亀
地雷無き春野の上に生きてをり   坂本幽弦
あつさりと去る春雷の心意気    澁田紀子
水嵩の増しておろおろ猫柳     後藤朋子
コロナ禍や春には春の口紅を    成田みどり
主婦といふ括りぬけたき春の蝶   佐々木寿子
ばつけ味噌もならぶ朝餉のバイキング 井手上省子
作りたて蕗味噌くばる二、三人   平井栄子
ヘルメット取れば美少女春の風   山谷文子
白木蓮素顔かがやく高さかな    白戸星央
リラの花坂道多き港町       築舘秋水
通分の意味も忘れて蝶の昼     土田雅子

敦賀 恵子選
天位 この雨のうしろに春のついて来よ    丹野慶子
地位 来たよきた影を田水に初つばめ     山下幸枝
人位 漕ぎすぎてゐるぶらんこの大人かな 小田桐妙女
秀逸 野火叩き己のあしきこころをも     小野寿子
ものの芽の立ち上がりたる戦跡      笹原郁子
地雷無き春野の上に生きてをり      坂本幽弦
遠足の翼をたたむ昼餉かな        くどうひろこ
春月や何がほんとで何がうそ       今田とみを
佳作 四月馬鹿己の遺影決め兼ねて    関礼子
ほつほつと地の息弾む蕗の薹       佃正子
目玉から育つ蝌蚪の子にはたづみ     伊藤ほうはく
マネキンのつまらなさうな春の昼     工藤邦子
災禍の世ひととき癒やす桜かな      村木謙二
ドロップの黄色桃色春待つ子       榊せい子
海峡は漁夫の戦場桜烏賊         畑中とほる
寅年の誰一人なき花見酒         田村芳陽
たんぽぽや光を駆けるランドセル     稲場暁子
雪解川歓声揚げて合流す         新井山雅行
青き踏む地中の声を聞きながら      秋元ヱミ子
縄文の土器のつなぎ目春深し       竹浪克夫
道草と言ふ自由あり青き踏む       下山延子
春耕す声の遠ち近ち畑日和        興村きわ
履く人のなき靴干す日木の芽風      実玲

中村しおん選
天位 水温む嬰の一歩に影生まる    秋谷美智子
地位 畑返す眠れるものに声かけて   齊藤君子
人位 春荒や海一枚を撓ませて     吉田千嘉子
秀逸 四月馬鹿己の遺影決め兼ねて   関礼子
マネキンのつまらなさうな春の昼  工藤邦子
春蘭を活けて夫婦の理髪店     竹ケ原陽子
遊学の部屋に荷を解く四月かな   幸林清栄
主婦といふ括りぬけたき春の蝶   佐々木寿子
佳作 ランドセルに傷をふやして進級す 斎藤ひでを
朝練の桜トンネル駆け抜ける    秋庭善知鳥
廃校の学舎一人卒業す       樋口京子
労ひはみな肘タッチ春まつり    蒲田吟竜
あつさりと去る春雷の心意気    澁田紀子
春疾風大樹の名札ひるがへす    鈴木とまと
海峡は漁夫の戦場桜烏賊      畑中とほる
下萌や石の地蔵の赤きべべ     小野いるま
起立礼指の先まで入学す      敦賀恵子
湯の街にポストを探す日永かな   畠山容子
たんぽぽや光を駆けるランドセル  稲場暁子
囀りや段差の荒き札所坂      清水雪江
ヘルメット取れば美少女春の風   山谷文子
春キャベツ光もろとも剥がしけり    中澤玲子
犬ふぐり立入禁止の柵の内       小向萩月

南 美智子選
天位 あつさりと去る春雷の心意気   澁田紀子
地位 四月馬鹿己の遺影決め兼ねて 関礼子
人位 青き踏む地中の声を聞きながら 秋元ヱミ子
秀逸 余生まだプラス思考や春うらら 小杉郁子
海峡は漁夫の戦場桜烏賊      畑中とほる
制服を脱ぎし子まとふ春の風    中谷恭子
主婦といふ括りぬけたき春の蝶   佐々木寿子
縄文の土器のつなぎ目春深し    竹浪克夫
佳作 ランドセルに傷をふやして進級す 斎藤ひでを
カオカオと反戦さけび鳥帰る    稲部天津子
父祖の地を頑固に守り耕せり    中村しおん
マネキンのつまらなさうな春の昼  工藤邦子
闇空へ声響かせて鳥帰る      筑田まさ子
水嵩の増しておろおろ猫柳     後藤朋子
囀りや段差の荒き札所坂      清水雪江
ヘルメット取れば美少女春の風   山谷文子
雪解川歓声揚げて合流す      新井山雅行
白鳥帰る今砲弾の町の上      竹浪幸子
口笛が海峡の春連れて来る     松宮梗子
来たよきた影を田水に初つばめ   山下幸枝
畝縄を夫と引きあふ遅日かな    鈴木志美恵
風光るジャングルジムの兄妹    小林五月
禅林の春雨しづか石畳       岩瀬草子

吉田千嘉子選
天位 起立礼指の先まで入学す      敦賀恵子
地位 春キャベツ光もろとも剥がしけり 中澤玲子
人位 マネキンのつまらなさうな春の昼 工藤邦子
秀逸 ランドセルに傷をふやして進級す 斎藤ひでを
ものの芽の立ち上がりたる戦跡    笹原郁子
あつさりと去る春雷の心意気     澁田紀子
遠足の翼をたたむ昼餉かな      くどうひろこ
野にあらば野の風となり鳥帰る    小泉靜子
佳作 春一番双子の犢立ち上がる   森内勇治
ほつほつと地の息弾む蕗の薹     佃正子
里山に流鶯と云ふおもてなし     木田多聞天
田の畦に小昼のお茶と蓬餅      中島五郎
蒼穹をなだるる紅白梅薫る      山本こう女
災禍の世ひととき癒やす桜かな      村木謙二
校庭の声春光に駆けゆけり      蝦名がこ
海峡は漁夫の戦場桜烏賊       畑中とほる
耳うとき母に指さす百千鳥      木村あさ子
水の星の明日を信じ蝌蚪に脚     田村正義
湯の街にポストを探す日永かな    畠山容子
たんぽぽや光を駆けるランドセル   稲場暁子
白鳥帰る今砲弾の町の上       竹浪幸子
灯台と海を見に行く建国日      三浦成子
犬ふぐり立入禁止の柵の内      小向萩月


会報15号より

◇第41回弘前俳句大会
今年度から当該大会をも後援することになったことから、その結果を本会員を中心にお知らせします。
当初は10月31日に文化会館で開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染が終息しないことから、紙上大会に変更して開催。投句者は113名でした。
兼題は、A「菊」、B「紅葉」、C「当季雑詠」の三題でした。
◇総合成績
③(青森県現代俳句協会長賞)中村しおん、⑥ 明才地禮子
兼題A「菊」
小野寿子 選
秀逸 博多帯鳴かせて結ぶ菊日和    中村しおん
後藤岑生 選
特選 割烹着子を抱くやうに菊抱へ   髙野万津江
秀逸 絵手紙に一病息災菊一輪     田中三桃
吉田紅一 選
秀逸 博多帯鳴かせて結ぶ菊日和    中村しおん
秀逸 絵手紙に一病息災菊一輪     田中三桃
兼題B「紅葉」
木村秋湖 選
秀逸 この先の城へと続く坂紅葉    葛西秋遊子
草野力丸 選
特選 血統は京都ゆずりの濠紅葉    千葉芳醇
秀逸 桜紅葉しづかに揺るるお濠かな  松宮梗子
斎藤ひでを 選
秀逸 谷底になだれ落ちたる大紅葉   牧ひろし
兼題C「当季雑詠」
会津鉄山 選
秀逸 榲桲や詩碑と存へ香を残す    白戸星央
石﨑志亥 選 
秀逸 母まろく小さし九十の秋袷    大澤せい
秀逸 一枚の文捨てられぬ残暑かな   小田桐妙女
大瀬響史 選
秀逸 一枚の文捨てられぬ残暑かな   小田桐妙女
小田桐妙女 選
特選 曲り屋の闇の傾く虫時雨     明才地禮子
秀逸 喪の帯をはらりと解いて露の夜  中村しおん
桜庭門九 選
秀逸 あかあかと夕日差し入る曼珠沙華 成田唯央
秀逸 爽やかや素つぽんぽんの露天風呂 大瀬響史
髙野万津江 選
秀逸 曲り屋の闇の傾く虫時雨     明才地禮子
竹浪克夫 選
特選 秋の蝶恋人ほどの距離にきて   森下睦子
秀逸 喪の帯をはらりと解いて露の夜  中村しおん
土田紫翠 選
秀逸 立原道造ふれたやも水引草    南美智子
坂本幽弦 選
秀逸 新種出てついて行けずと踊り出す 木村詩織

◇第12回秋の吟行互選俳句大会 令和3年11月26日
今年も新型コロナウイルス対策のため、自主吟行として希望者(48名)による大会としました。成績は10位までは上位に記載し、以下は参加者全員の作品を紹介します。
芒原ここが青良の指定席      千葉芳醇
赤とんぼ絵本の窓が開いてゐる   松宮梗子
自然薯をモーゼの杖のごと提げ来  田村正義
一村の老いゆく眠り柿たわわ    後藤岑生
笑み溢る鎮守の鬼こ稲穂垂る    赤坂雪洲
海峡向く海峡の家冬隣       森下睦子
小春日やほろりと今が過去になる  大澤せい
照らされて竜がのたうつ菊祭り   成田唯央
竹山の三味を辿れば雁がねも    白戸星央
水色の塩瀬の帯や紅葉舞ふ     木村詩織

並木道光降るごと銀杏散る     関 礼子
茱萸熟るる村一軒の美容院     長尾青竜
星空を真二つに裂き冬銀河     清水山楂子
しづかなる水に紅葉の燃え上がる  成田みどり
歳時記の文字立ち上る黄葉期    三浦星津女
千空亡き街光点の秋燕       竹鼻瑠璃男
鯱鉾のさらに仰け反る小六月    佐々木朴花
正解は一つにあらず鰯雲      桜田花音
断捨離の真逆を諭し暮の秋     雪田樹理
艶やかに終る一日菊花展      葛西秋遊子
ままごとに祖母の茶道具秋深し   新谷のらねこ
忘却の君の記事読む帰り花     渡辺芳文
大陸の風の中より小鳥来る     桜田花音
朱を纏ふ津軽鉄道秋の暮      赤坂雪洲
道百選こみせを走る散紅葉     阿保子星
空を切る斧も枯れたりいぼむしり  田中三桃
半島の指呼に迫りて鰯干す     牧ひろし
戻れぬがUターンできる神無月   秋庭善知鳥
目力のコロナマスクやカンナ燃る  成田みどり
湯豆腐の湯気がとりもつ夫婦仲   杉本心太郞
休耕田に考の顔して月昇る     竹鼻瑠璃男
釣瓶落し密教の里訪ね来て     白戸星央
落葉踏むXのついてるベンチかな  大瀬響史
天空や歓声呑み込み谷紅葉     明才地禮子
黄落や心しづかに樹下に佇つ    山谷文子
山盛りの落葉に木々の記憶かな   小田桐妙女
さあふじだ十月最後の金曜日    木村 匡
羊群の雲湧く如く牧の秋      牧ひろし
小春日の空は青くてただ歩く    川村英幸
時雨るるや誘導員の棒光る     川村英幸
大波の陽を包み込み秋の果     葛西秋遊子
陸奥びとの大きな手なり稲を刈る  田村正義
晴るる日の直立不動破れ蓮     佐藤いく子
伽藍堂の松籟奏ず隙間風      長尾青竜
奥日光禊の水の澄みにけり     坂本吟遊
散紅葉階ゆるき本丸へ       鈴木とまと
土偶の瞳靜もる社へ木の実降る   後藤岑生
笑み栗の掌にこんもりと仏顔    油川月萌
帰り花ベビーカーには犬のせて   佐々木朴花
紅葉山座して二人に刻流る     土田紫翠
恭造の詩をまた聴く秋の暮     森下睦子
がんがんのラジオとをんな林檎園  松宮梗子
紅葉照り白く浮き出る夜の城    成田唯央
冬至湯や日ざしの底のあたたかさ  杉本心太郞
視・触診指の感覚秋暮るる     雪田樹理
港町風独り相撲冬に入る      木村 匡
ああかなし鮭の屍の流れゆく    橘川まもる
柳散るやゴルファー一打のひねり腰 橘川まもる
ハンドルを握る人皆マスクして   清水山楂子
赤羽へ林檎のこころ送りけり    三浦星津女
産土に句碑の文字浸む露時雨    秋庭善知鳥
一陣の風に不適な案山子かな    和田宗三
だんだんに鍋の大きく芋の秋    和田宗三
呟きて囁いて一句帰り花      大澤せい
ドロノキの瘤少し見ゆ散紅葉    佐藤いく子
桜紅葉ネックレスロード飾るなり  尾野久子
薊摘む老女は逝き涙雨       尾野久子
今日もまた沖見る嫗小浜菊     南美智子
投票日右か左か穴まどひ      南美智子
小春日や名残り惜しみつ日向ぼこ  渡邊寂隆
がさがさと落葉踏み締め初の霜   渡邊寂隆
背広着て父似の息子七五三     中村しおん
菊人形メンテナンスも抜かりなく  中村しおん
空澄みて旧偕行社晴れ晴れし    坂本吟遊
西濠を行きつ戻りつ帰り花     鈴木とまと
御仏の眼差ざし伏せめ照紅葉    明才地禮子
夕暮れのすすき穂照れり人妖し   坂本秋霜
風凪ぎて白鳥ファミリー和ませり  坂本秋霜
にぎはしや蒲の穂わたのほわほわと 三橋 聖
吾もまた旅人なれや鳥渡る     三橋 聖
帯締めは聴衆一つに文化の日    木村詩織
色変へぬ松の眼下に裸婦の像    油川月萌
橋渡りトンネルを抜け紅葉山    土田紫翠
紅葉舞ふ風湧く調べ津軽三味    阿保子星
秋薔薇に皆立ち止る真紅かな    山谷文子
墓苑いま桜落葉の吹き溜る     関 礼子
冬の日や半角文字のごと板書    新谷のらねこ
少年と鮫の枯葉のプールかな    小田桐妙女
綱渡りはっと息のみ銀杏散る    渡辺芳文
紅葉の御籤大吉岩木山       坂本幽弦
秋色の岩木神社を登り降る     坂本幽弦
冬隣ゴム長靴のずかずかと     田中三桃
街路樹の落葉を集め只管打坐    千葉芳醇
蓮枯れて胸中に響くハレルヤ    吉田昼顔
菊の香や翅のある虫みな集う    吉田昼顔

会報13号より

第14回青い森県民俳句大会

【兼題A】「草餅」
 小野 寿子選
天位 仏壇の草餅つまむ小さな手   佐藤 摩季
地位 草餅や野に溶けさうな昼の月  小林 五月
人位 子と作る草餅どれも餡を噴く  西村 セイ
秀逸 草餅の色の深みや母白寿    赤坂 雪洲
   草餅にゆるりと話はずみけり  比内 順子
   草餅や共白髪てふよき言葉   中谷 恭子
   草餅や施設の母に会えぬ日々  山口一茶子
   草餅を届け女の長話      佐々木寿子

 木村 秋湖選 
天位 村人に飢餓の口伝や草の餅   鈴木志美恵
地位 久に会ふはらから繋ぐ草の餅  吉田千嘉子
人位 草餅やまろく小さく母老いし  樋口 京子
秀逸 生きることまだ楽しくて草の餅 大澤 せい
   草餅やお国訛りの抜けぬ母   工藤 邦子
   ゆつくりと年をとりたや草の餅 井手上省子
   草餅や祖母の話を幾度でも   小林 とみ
   草餅や峠で別れそれつきり   藤田智恵子

 金田一一子選 
天位 後はだりしたる草餅予後の妻  草野 力丸
地位 草餅や売子の強き土地訛    西川 無行
人位 村人に飢餓の口伝や草の餅   鈴木志美恵
秀逸 草餅や合掌解かぬ野の仏    くどうひろこ
   吾が作る草餅にある裏表    豊川 君子
   草餅を食む老婆等の足湯かな  萬年 和子
   来し方の苦し香ばし草の餅   高森ましら
   草餅や上書きされる辞世の句  小出登志子

 田村 正義選 
天位 母心かたちにすれば草の餅   大川 恵子
地位 祖母の味母の形のよもぎ餅   南 美智子
人位 身に野辺の生気満しぬ草の餅  髙橋千夜湖
秀逸 生きることまだ楽しくて草の餅 大澤 せい
   草餅の女系遺伝子ふっくらと  千葉 芳醇
   仏の数生者の数の草の餅    竹鼻瑠璃男
   村人に飢餓の口伝や草の餅   鈴木志美恵
   草餅や共白髪てふよき言葉   中谷 恭子

 森下 睦子選
天位 草餅や共白髪てふよき言葉   中谷 恭子
地位 草餅の女系遺伝子ふっくらと  千葉 芳醇
人位 大釈迦の色濃く匂ふ草の餅   桜庭  恵
秀逸 草餅や合掌解かぬ野の仏    くどうひろこ
   ゆつくりと年をとりたや草の餅 井手上省子
   村人に飢餓の口伝や草の餅   鈴木志美恵
   寅さんも昭和も遠し草の餅   永倉 みつ
   草餅や里山どれも良き名もち  齊藤 君子

 渡邊 寂隆選
天位 皺深き祖母の掌の中草の餅   加藤健一郎
地位 真二つに分けて草餅子の笑顔  田村 芳陽
人位 まう一つ上目使ひに草の餅   木村 詩織
秀逸 鉤指の婆の手自在草の餅    田中 三桃
   藍染の祖母の前垂れ草の餅   後藤 瑞江
   草餅や丸の凹みに織部焼    雪田 樹理
   草餅につつみきれない妣のこゑ 山本こう女
   生きることまだ楽しくて草の餅 大澤 せい

【兼題B】「東風」
 大瀬 響史選 
天位 強東風や浜をはなれぬ深き皺   竹浪 克夫
地位 東風吹いて世間知らずが町を出る 大和 湖愛
人位 東風吹いて宇宙ステーション少しずれ 千葉 芳醇
秀逸 東風ふかば貼り紙鳴らす無人駅  長利 冬道
   強東風や沖より変る海の色    増田 信雄
   東風の浜少年ひとり倒立す    関  礼子
   桜東風狛犬鼻を膨らませ     笹原 郁子
   東風吹くや野馬の乳房ふくらみて 一戸  鈴

 草野 力丸選 
天位 強東風に動ぜぬ馬の太き脚    村木 謙二
地位 露天湯の首唄ひ出す東風の中   金田一一子
人位 荒東風や浜の丸太に手鉤傷    松宮 梗子
秀逸 桜東風電光板は明日も晴れ    蒲田 吟竜
   少年に密かな野望桜東風     大川 恵子
   東風吹かば痛風にはかにぶり返す 牧 ひろし
   強東風や津軽の飢饉史まざまざと 石田かつら
   強東風に目の潤みゐる岬馬    榊 せい子

 関  礼子選
天位 東風吹くや野馬の乳房ふくらみて 一戸  鈴
地位 強東風や寄す波だけの船だまり  木村あさ子
人位 朝東風や浜に魚市野菜市     永倉 みつ
秀逸 強東風や沖より変る海の色    増田 信雄
   朝東風にはねるネクタイ初出勤  松橋喜世美
   夕東風やちやぷりちやぷりと船溜 菊谷三鰺子
   東風に身を寄せ合ひ軋む漁船かな 髙橋千夜湖
   強東風や浦の磯舟軋ませて    萬年 和子

 松宮 梗子選
天位 朝東風や浜に魚市野菜市    永倉 みつ
地位 羽撃きて東風に躓く海鵜かな  草野 力丸
人位 桜東風に音のせてくる鼓笛隊  越後 則子
秀逸 船の名に福の字多し桜東風   吉田千嘉子
   東風に乗る幼子の声鈴のやう  田中 翠声
   夕東風やふかき路地まで潮匂ふ 稲場 暁子
   朝東風や白きベールの八甲田  山田のぶ子
   強東風や龍神堂の門扉開く   後藤 瑞江

 三ケ森青雲選
天位 強東風に目の潤みゐる岬馬    榊 せい子
地位 東風吹くや地に廣げたる測量図  山本もとい
人位 羽撃きて東風に躓く海鵜かな   草野 力丸
秀逸 強東風や廻りぱなしの風力車   明才地禮子
   朝東風に耳を撫でられ出勤す   澁田 紀子
   陶窯の煙連れ立つ桜東風     白戸 星央
   東風吹くや旅に買ひたる古城の絵 豊川 君子
   桜東風に音のせてくる鼓笛隊   越後 則子

 山谷 文子選
天位 東風吹いて津軽の大地動き初む 中島 五郎
地位 陶窯の煙連れ立つ桜東風    白戸 星央
人位 庭石の個々に相あり桜東風   斎藤ひでを
秀逸 船の名に福の字多し桜東風   吉田千嘉子
   真新し横断歩道東風渡る    川村 英幸
   強東風に動ぜぬ馬の太き脚   村木 謙二
   東風吹くや修復中の城の堀   今   椿
   梅東風を呼ぶ太宰府よ道真よ  丹野 慶子

【兼題C】「春季雑詠」
 後藤 岑生選 
天位 花筏夜には宇宙へ流れつき   六   花
地位 風死して鉈彫の雉とぶ構へ   金田一一子
人位 母の手の紅絹の裂織あたたかし 佃  正子
秀逸 混沌の世に確と生き種を蒔く  大川 恵子
   清明や馬と光食む尻屋崎    赤坂 雪洲
   漣に雲の切れ端水温む     今   椿
   上野に見しさくらよ集団就職し 小林 とみ
   おぼろ夜や孤独の重さ抱き眠る 松宮 梗子

 坂本 幽弦選
天位 風船の上る重さのありにけり 丹野 慶子
地位 花守の動かざる目や雲流る  中谷 恭子
人位 混沌の世に確と生き種を蒔く 大川 恵子
秀逸 石段に白墨のあと春の昼   亀田 祐子
   野仏に軽く一礼わらび摘む  永倉 みつ
   入学児著き歩道を手を引かれ 千葉すみれ
   都忘れ菓子缶の骨淡し    木村 詩織
   漣に雲の切れ端水温む    今   椿

 高森ましら選
天位 風船の上る重さのありにけり  丹野 慶子
地位 春の水何かを掬ひあげてゆく  畠山 容子
人位 引き返す力まだあり春の涛   蒲田 幸子
秀逸 都忘れ菓子缶の骨淡し     木村 詩織
   看護師のささやいて消す春灯  松橋喜世美
   竿売りの声遠ざかる日永かな  村上  楓
   たんぽぽや巣箱のやうな靴置場 敦賀 恵子
   花吹雪消毒液のすぐ乾く    小向 萩月

 敦賀 恵子選
天位 花ぐもり大工片目で狂ひ見る  斎藤ひでを
地位 親よりも大き子の靴山笑ふ   小林 五月
人位 せんべいの耳かみしめる啄木忌 中村 洋子
秀逸 八十の端た大事に春を待つ   市川 明子
   漣に雲の切れ端水温む     今   椿
   風船の上る重さのありにけり  丹野 慶子
   ささくれし万年筆や昭和の日  田中 三桃
   自転車を出してみたとて春の雨 木村  匡

 中村しおん選
天位 絶壁に声落としゆく巣立鳥    畑中とほる
地位 風船の上る重さのありにけり   丹野 慶子
人位 陰雪の礫石ひとつ噛みゐたり   郡川 宏一
秀逸 混沌の世に確と生き種を蒔く   大川 恵子
   山吹の色を希望と思う朝     川村 英幸
   たんぽぽや巣箱のやうな靴置場  敦賀 恵子
   案の定負けて帰るや恋の猫    猪股 敬子
   のどけしや始業のチャイム畑まで 寺岡 洋子

 吉田千嘉子選
天位 作業着の乾ききつたる春の泥    木村あさ子
地位 昼深し牛の水場に野梅の香     鈴木志美恵
人位 混沌の世に確と生き種を蒔く    大川 恵子
秀逸 ふらここの未来と過去をゆききして 大瀬 響史
   聞き上手話上手の花筵       田村 芳陽
   竿売りの声遠ざかる日永かな    村上  楓
   せんべいの耳かみしめる啄木忌   中村 洋子
   花冷の眠りの浅き夜明けかな    越後 則子

 

会報12号より

◇令和2年度青森県俳句懇話会十和田紙上大会

結果を各選者の天位・地位・人位について会員のみをご紹介します。
【総合順位】⑫山谷文子
兼題一位(青森県現代俳句協会長賞)草野力丸
【兼題】A「夏草」
坂本幽弦選
 地位 寝転べば背中を押せり夏の草  桜田花音
吉田千嘉子選
 人位 夏草や鎮め切れざる蝦夷の血  加藤健一郎
【兼題】B夏季雑詠
田村正義選
 人位 波裏は北斎の青夏怒涛     南美智子
対馬迪女選
 人位 鉛筆を鋭く削る修司の忌    後藤瑞江
日野口晃選
 天位 海を見て眼涼しき夜なりけり  山谷文子

◇東北地区現代俳句協会連合会総会及び第34回現代俳句東北大会

連合会の役員会は通信会議とし、俳句大会は紙上大会に切り替えて実施しました。

現代俳句協会長賞
 瓦礫まだ声出してゐる熱帯夜   石巻市 菊池修市
東北地区現代俳句協会連合会長賞
 象あるくたび炎昼を窪ませる   秋田市 小林万年青
岩手県現代俳句協会長賞
 とんがつてゐるから崩すかき氷  十和田市 中村しおん
宮城県現代俳句協会長賞
 沖縄忌海は一枚の置手紙     青森市 後藤岑生
福島県現代俳句協会長賞
 揚花火肩まで空が落ちてくる   青森市 宇内久子
山形県現代俳句協会長賞
 兜太来るかも津軽林檎の花ざかり 滝沢市 小菅白藤
秋田県現代俳句協会長賞
 百文のみちのくの山滴れり    盛岡市 名久井清流
青森県現代俳句協会長賞
 草矢うつ空深かった少年期    能代市 武藤鉦二
※来年の大会は、令和3年9月25日(土)に岩手県盛岡市の「エスポワールいわて」で開催することに決定しています。

◇第60回記念五所川原市文化祭県下俳句大会
日時 令和2年10月11日(日)
場所 五所川原市中央公民館
【総合順位】①草野力丸、②畑中とほる、③稲場暁子、④五十嵐かつ、⑤秋野かをり、⑥布施協一、⑦日野口晃、⑧佐藤いく子、⑨黒田長子、⑩吉田千嘉子、⑪木村秋湖、⑫葛西秋遊子、⑬大瀬響史、⑭鈴木とまと、⑮蒲田吟竜

・兼題賞:草野力丸(青森県現代俳句協会長賞)
・席題賞:草野力丸
・記念賞:川村英幸

兼題A 当季雑詠
小野寿子選
 推薦 笑ふこと忘れし母や赤のまま   油川月萌
蒲田吟竜選
 推薦 雲かわり風かわりつつ九月かな  明才地禮子
三橋浩二選
 推薦 西瓜食む西瓜の味する奥津軽   後藤岑生
    案山子には爺のおさがり農の顔  成田みどり
    ぎゅうぎゅうに秋夕焼詰め五能線 葛西秋遊子
高森ましら選
 推薦 山坂はいつも幼年終戦日     松宮梗子
    山に向かつて男根萎えず稲の花  橘川まもる
竹鼻瑠璃男選
 推薦 紫陽花の満つれど球になりきれず 清水山楂子
兼題B 当季雑詠
浜田しげる選
 推薦 慎ましく暮らし色なき風に立つ  油川月萌
日野口晃選
 推薦 人の世のひんやりとして石榴の実 成田みどり
    縄文の鼓動を槌に胡桃割る    葛西秋遊子
南美智子選
 推薦 かなかなや地に還りゆく登り窯  加藤健一郎
席題「新松子」
坂本幽弦選
 地位 守衛室の敬礼に礼新松子     竹鼻瑠璃男
 秀逸 保護猫の逆立つうぶ毛新松子   佐藤摩季
石﨑志亥選
 天位 よちよちの何でも不思議新松子  森下睦子
 地位 初孫のふぐり大きく新松子    大瀬響史
 秀逸 妻の掌にほのかに満ちる新松子  後藤岑生
    少年の握る拳や新松子      南美智子
    砂浜の小さき靴跡新松子     佐藤いく子
中村しおん選
 天位 初孫のふぐり大きく新松子    大瀬響史
 秀逸 体操の号令響き新松子      鈴木とまと
対馬迪女選
 天位 十二湖の秘色いよいよ新松子   葛西秋遊子
席題「水」(詠み込み)
大瀬響史選
 地位 月低く水の破片を掴みけり    坂本吟遊
 秀逸 湧き水の柄杓の揺るる月今宵   佐藤いく子
    宇曽利湖の水子地蔵も風の色   千葉芳醇
布施協一選
 人位 手のひらの水ごと切りし新豆腐  中村しおん
畠山容子選
 秀逸 たつぷりと水の匂ひの茸山    成田みどり
    湧き水の柄杓の揺るる月今宵   佐藤いく子
    豊の秋太陽系に水の星      大瀬響史
    月低く水の破片を掴みけり    坂本吟遊
吉田千嘉子選
 地位 新米や研ぎ水母の乳より濃し   橘川まもる
 秀逸 たつぷりと水の匂ひの茸山    成田みどり
    手のひらの水ごと切りし新豆腐  中村しおん
    白黒の水引ゆらす素風かな    坂本幽弦
席題「雁」
草野力丸選
 秀逸 雁の列遺伝子のまま飛ぶ形    千葉芳醇
    初雁や頬骨高き岩木山      松宮梗子
後藤岑生選
 天位 惚れ惚れす声よき坊主雁渡る   鈴木とまと
 人位 雁の列遺伝子のまま飛ぶ形    千葉芳醇
 秀逸 白神の空を従へ雁渡る      葛西秋遊子
    初雁や逝きし師の影声ひとつ   南美智子
松宮梗子選
 天位 海鳴りははがねの硬さ雁渡る   後藤岑生
 秀逸 雁眺め破顔となりぬ祖父ひとり  坂本吟遊
木村秋湖選
 秀逸 残照の白神の峰雁渡る      森下睦子

◇第11回秋の吟行互選俳句大会 令和2年11月17日
名月を連れて弧を描く五能線   桜田花音
晩秋や阿修羅の流れ岩を蹴り   南美智子
をなもみを付けて寄り来る崎の馬 山谷文子
どんぐりの寂しい実から落ち始む 成田みどり
羊水の胎児も遊ぶ花野かな    稲部天津子
毬栗の大笑ひして落ちにけり   鈴木とまと
天空を手玉にとりて芋の露    明才地禮子
神の留守十三へ十三へと川急ぐ  松宮梗子
赤大根中は真白な不満足     千葉芳醇
小春日の船の汽笛の音太し    小田桐妙女

会報11号より

◇令和2年度青森県現代俳句協会総会
 令和2年5月16日(土) 青森市文化会館で総会を開催する予定でしたが、議案を全会員に郵送し、5月16日付で書面表決を受け、これを総会といたしました。

◇2020年版青森県現代俳句年鑑賞
 今回は3回目となります。年鑑には会員の作品76編が掲載されていますが、本賞の対象となった作品は、顧問、会長、副会長、事務局長、既受賞者を除く66編となりました。
 選考委員は顧問が務めることとなっており、第一次選考では2人以上の委員の推薦のあった12編が第二次選考の候補作に上がりました。
 第二次選考の結果は次のとおりになりました。
第1席
「息白し」弘前市 桜田花音
「秋落暉」八戸市 山谷文子
第3席
「枕時計」五所川原市 松宮梗子
第4席
「夏の蝶」青森市 関 礼子
第5席
「生きて」五所川原市 森下睦子

◇第13回青い森県民俳句大会
 本大会の作品募集中に新型コロナウイルス対策が必要になり、会場を使用しての開催が困難となったことから、兼題だけでの大会に切り替えることになりました。

大会の結果は次のとおりです。
知事賞 森下睦子(五所川原市)
県議会議長賞 金田一一子(大間町)
青森市長賞 雪田重樹(青森市)
青森市議会議長賞 西村セイ(八戸市)
東奥日報社長賞 赤坂雪洲(青森市)
陸奥新報社長賞 清野さくら(青森市)
デーリー東北新聞社長賞 敦賀恵子(青森市)、澁田紀子(青森市)、桜庭恵(弘前市)、竹浪克夫(弘前市)、浜田しげる(青森市)、川村英幸(青森市)、小出登志子(青森市)、市川明子(青森市)、竹浪幸子(青森市)
兼題A賞 金田一一子・兼題B賞 桜庭恵

高点句
【兼題A】
さへづりの野に来て牛につき当たる  金田一一子
甲田嶺の膨るる音や木の芽雨  竹浪幸子
夫の忌の椅子のくぼみや暖かし  西村セイ
やはらかき陽射しも包み雛納め  浜田しげる
裸婦像の胸に融けゆく牡丹雪  清野さくら
傘寿への確かな一歩青き踏む  澁田紀子
幼子のふはふは言葉水温む  森下睦子

【兼題B】
ででつぽうぽう種井の水の膨らめり  桜庭 恵
傘立ての小さき名札木の芽雨  赤坂雪洲
春の野に全身笑みのあんよかな  森下睦子
野球部のダッシュ百回芝青む  中村しおん
陽炎の電車浮き立つ力かな  中堤福助
牛鳴けば山羊の応ふる日永かな  大川恵子

【兼題A】
木村秋湖 選
つなぐ手をつなぎ直して青き踏む  福士信之

小野寿子 選
コロナ禍をただよろよろと四月かな  石﨑志亥

敦賀恵子・田村正義 選
空に屈み雲を掻き出す潮干狩  川村英幸

西川無行 選
甲田嶺の膨るる音や木の芽雨  竹浪幸子

金田一一子 選
問診に戸惑ふ脳波四月尽  草野力丸

高森ましら 選
いまひとつ度胸の足りぬ恋の猫  木村あさ子

後藤岑生 選
裸婦像の胸に融けゆく牡丹雪  清野さくら

中村しおん 選
さへづりの野に来て牛につき当たる  金田一一子

【兼題B】
三ケ森青雲・坂本幽弦 選
ででつぽうぽう種井の水の膨らめり  桜庭 恵

草野力丸 選
陽炎の電車浮き立つ力かな  中堤福助

吉田千嘉子・関 礼子 選
野球部のダッシュ百回芝青む  中村しおん

渡邊寂隆 選
飽食の掌に昔あり蓬餅  市川明子

大瀬響史 選
卵かけごはんが好きでつくしんぼ  川村英幸

松宮梗子 選
不登校の子と語りあふ春の草  竹浪克夫

山谷文子 選
傘立ての小さき名札木の芽雨  赤坂雪洲

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第47回青森県俳句懇話会十和田大会
標記大会が7月28日(日)富士屋グランドホールで午前時から開催された。当大会は平成10年から本協会が後援したことから青森県現代俳句協会賞が設けられています。その概要を本会員を中心にご紹介します。
当大会への投句者は135名で、当日参加者94名でした。
宿題はA夏季雑詠とB夏季雑詠の二題でした。その結果を各選者の天位・地位・人位について会員のみをご紹介します。
【兼題】
「A夏季雑詠」
泉風信子選
地位 フェリーより車吐かれて雲の峰  稲部天津子
人位 吊革の二の腕まぶし更衣  佐藤郁子
木附沢麦青選
天位 曝書してまた終活の遠ざかる  泉風信子
地位 フェリーより車吐かれて雲の峰  稲部天津子
高橋千惠選
人位 国道のま白き破線夏燕  後藤瑞江
敦賀恵子選
天位 僕は僕を信じてゐたよかたつむり  森下睦子
地位 緋鯉跳ね志功の画布に乗りゐたり  田村正義
人位 草笛をひとつ鳴らして老いにけり  坂本幽弦
能登谷明子選
地位 昆布干す祖父のにおいの古番家  後藤岑生
「B夏季雑詠」
対馬迪女選
地位 浜小屋の薪は流木やませ吹く  森下睦子
【席題】「日焼」草野力丸選
地位 日焼して飛び出しそうな仁王の目  後藤岑生

◇東北地区現代俳句協会連合会総会及び第33回現代俳句東北大会
結果は本県会員のみ紹介。
◎兼題
※髙野ムツオ選
入選 陽炎が故郷の話消したがる  泉風信子
※大会入賞作品
佳作 反抗期らしく崩しぬかき氷  泉風信子
   灯の消えし帰り佞武多に闇が棲む  後藤岑生
   原爆忌寝返りできぬ石ごろごろ  齊藤泥雪

◇第37回県下深浦俳句大会
日時 令和元年9月29日(土)
場所 深浦町役場文化ホール
当大会は本協会が本年も後援しており、協会員も多数参加しております。
結果については、協会員と協会長賞のみをお知らせします。
【兼題】A夏季雑詠
石﨑志亥選
特選 先頭の思考危ふし蟻の列  南美智子
B夏季雑詠
牧ひろし選
特選 大夕焼海もろとも沈みけり  後藤岑生
布施協一選
特選 絵手紙の蟹の鋏のはみ出して  泉風信子
佐藤いく子選
特選 廃船に龍の太文字草茂る  森下睦子
高橋千惠選
特選 風吹けば魚の跳ねる夏暖簾  鈴木とまと

◇第10回秋の吟行互選俳句大会 
日時 令和元年10月27日(日)
場所 青森県物産館アスパム
今年は名の参加者で恒例の大会を開催しました。当日は珍しいことに青森湾に海上自衛隊の護衛艦が入港していて、それを句材にした属
目吟が多かったようです。約2時間で青森駅からアスパムまでの肌寒い市街地を散策しての吟行でした。
陸奥湾は我の寝棺よ秋の潮  後藤岑生
行く秋や風を透かして風信子  田中三桃
護衛艦も波も鈍色秋深し  南美智子
半島を三つに揃へて水澄めり  中村しおん
護衛艦直線が好き秋の海  千葉芳醇
汽笛まで紫紺の響く秋の湾  藤田智恵子
護衛艦の吐き出す煙天高し  油川月萌
秋の雲海に捨てたき負の記憶  成田みどり
海晩秋海自の艦艇どつしりと  橘川まもる
ゆり鷗赤い絆の風にのり  三嶋大久

◇第59回五所川原市文化祭県下俳句大会
日時 平成30年10月14日(日)
場所 五所川原市中央公民館
結果を協会員についてご紹介します。
【兼題】A当季雑詠
小野寿子選
 いつよりの空家ぞ門のこぼれ萩  関礼子
蒲田吟竜選
 献血に日焼球児の腕並ぶ  阿保子星
齊藤泥雪選
 黒猫の他には逢はず月見草  松宮梗子
高橋千恵選
 めはじきや母にもんぺの戦時あり  泉風信子
 献血に日焼球児の腕並ぶ  阿保子星
高森ましら選
 秋の駒飴玉が見える水平線  坂本弦幽
竹鼻瑠璃男選
 母の座に招き入れたる盆の月  成田みどり
 善人を演じてゐたるきりぎりす  中村しおん
 流木は海の亡骸霧が湧く  後藤岑生
西川無行選
 敗戦忌遠のくことの無い記憶  阿保子星
能登谷明子選
 噴水の隙間残して暮れゆけり  川村英幸
 おかはりの「おい」と呼ばれてとろろ汁  松宮梗子
畑中とほる選
 曼珠沙華石灯籠にマリア像  大瀬響史
 海鳥の岩陰に寄る残暑かな  佐藤いく子
浜田しげる選
 敗戦忌遠のくことの無い記憶  阿保子星
 一徹の父の存念唐辛子  土田紫翠
南美智子選
 天高しくよくよせぬがわが身上  関礼子
吉田紅一選
 舞橋の橋脚長し晩夏光  佐々木朴花
【席題】「器」
吉田千嘉子選
天位 林檎まっ赤器大きな師の逝けり  中村しおん
坂本幽弦選
地位 月光や掌ほどの吾が器  成田みどり
敦賀恵子選
地位 地球てふ器に生きて小鳥来る  森下睦子
福士光生選
地位 月光や掌ほどの吾が器  成田みどり
人位 地球てふ器に生きて小鳥来る  森下睦子
【席題】「柿」
築舘秋水選
地位 子沢山の軒に大樹の柿熟れて 田中三桃
草野力丸選
地位 延命治療いらぬと書いて柿を剥く  松宮梗子
席題「秋の声」大瀬響史選
地位 コンパスの基軸の孤独秋の声  竹鼻瑠璃男
人位 髪ゴムをほどく週末秋の声  佐々木朴花
松宮梗子選
地位 秋声や受け入れ難しと言ふ弔句  葛西秋遊子
木村秋湖選
人位 布屋町錦町から秋の声  鳴海顔回

◇青森県総会・第十二回青い森県民俳句大会


泉風信子会長と2019年青森県現代俳句年鑑賞の成田みどり氏
日時:令和元年5月18日
会 場:リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
 10時30分から元年度総会を開会。全議案が原案通り承認された。その後、昨年度から創設された「2019年版青森県現代俳句年鑑賞」の授賞式を行い、受賞者成田みどり氏に賞状とトロフィーが授与された。また同会場で12時から俳句大会が行われた。投句者は168名で当日参加者は101名と盛会だった。

 兼題高点句

もつれ合ふ野火を宥めて男衆  一戸  鈴

目借時乳房咥へしままのやや  後藤 瑞江

白髪にダイヤのピアス桜どき  森下 睦子

 席題優秀句

片蔭に素直になれる椅子を置く 泉 風信子

片蔭を老人静かに歩み去る   関  礼子

新会長が決まりました

2019年9月29日に泉会長が急逝されたことから、12月8日(日)本協会規約第条に基づき、役員会を開催し、新会長の選出を審議しました。
その結果、新会長に後藤岑生氏を全員一致で決定しましたのでお知らせします。

(千葉芳醇)お