会長/吉村春風子
事務局長/大森敦夫
事務局所在地/〒181-0015三鷹市大沢2-10-7 TEL090-9389-4821

2022年活動予定[2022年5月20日更新]

■俳句研究会予定 第4土曜 13時~
8月27日(感染急拡大のため中止)・9月24日・10月22日・11月26日・12月17日
【俳句研究会会場】
立川市子ども未来センター
〒190-0022 立川市錦町3丁目2番26号 042-529-8682
googleMAPSで確認する

※JR立川駅から徒歩13分、多摩モノレール立川南駅から徒歩12分、JR西国立駅から徒歩7分。有料駐車場あり

■10月1日(土)秋の吟行会のお知らせ
10月1日(土)府中郷土の森博物館
集合:郷土の森博物館 本館前 11時半
句会場:本館1F会議室A&B会議室
句締め切り:13時30分 当期雑詠2句
参加費:1000円
アクセス:
⓵京王線・南部戦線分倍河原駅からバス(郷土の森総合体育館行:強度の森正門前下車
⓶武蔵野線・南部線府中本町から徒歩20分
⓷京王線府中駅・分倍河原駅から「ちゅうバス」南町・四谷循環「南町2丁目または「芝間稲荷神社」下車出徒歩6分
昼食:会場内にいくつかあり。入場料300円
句会中マスクお願い
中止の場合:9月24日の研究会またはホームページにて発表。

■11月5日 俳句大会

会報「多摩のあけぼの」PDF[2022年5月20日追加更新]

多摩のあけぼの143号PDF 令和4年7月28日発行
多摩のあけぼの142号PDF 令和4年4月28日発行
多摩のあけぼの141号PDF 令和4年1月27日発行
多摩のあけぼの140号PDF 令和3年10月25日発行
多摩のあけぼの139号PDF 令和3年7月23日発行
多摩のあけぼの138号PDF 令和3年4月28日発行
多摩のあけぼの137号PDF 令和3年1月27日発行

東京多摩地区現代俳句協会とは[2022年5月20日更新]

私たち東京多摩地区現代俳句協会は、東京都の23区と島しょを除く市部と、町、村に居住する会員で構成され、昭和58(1983)年7月に発足しました。
定時総会や俳句大会など主要なイベントは、おもに武蔵野市で行いますが、月例の俳句研究会は立川市で実施しています。その活動状況は、年4回発行する会報「多摩のあけぼの」によって会員の皆様にお知らせしています。
3年毎に募集する「東京多摩地区現代俳句協会賞」、5年毎に発行している会員の合同句集『多摩のあけぼの』の刊行なども、重要な活動です。
また当協会には独自の会歌《多摩のあけぼの》(沢田改司氏作詞、宮川としを氏作曲)があります。多摩の豊かな風土と、会員の連帯を高らかに謳っており、会合の冒頭には全員で斉唱しています。

多摩地区協会への入会は随時受付けています。 
 (現代俳句協会会員で多摩地区に居住されている方(正会員)の会費は無料(申し込み手続きは不要)、それ以外の「一般会員」の方の年会費は2000円です)
 お問い合わせ、ご連絡は当協会事務局へ(044-987-1716)

俳句研究会にぜひご参加下さい!
毎月行なわれている「俳句研究会」は、土曜の午後の楽しい句会です。
(講師による約1時間の講話のあと、参加者全員の互選による句会と合評)
出句一人3句。会費は500円です。
初めて参加される方、会員でない方、大歓迎です。
※2022年3月から再開しました。
『投句による参加』もできます。〈在宅句会〉
さまざまな事情で会場へお出掛けになれない方は、投句による「俳句研究会」への参加もできます。
◇開催日の1週間前までに投句してください。
◇出句は一人3句です。(選句はありません)
◇長さ20cm程の短冊に一句ずつ書いてください。(用紙は何でも結構です)
◇参加費は1000円です。(出句と同時にお送りください。)
◇句会終了後、全作品の清記用紙と高点句、出句された作品の成績、寸評等をリポートとしてお送りします。
[投句先]〒180-0006 武蔵野市中町3-29-19 蓮見徳郎方「俳句研究会」投句係宛
[お問合せ] 永井潮 TEL 042-492-4516
※在宅句会も、2022年3月から再開しました。

<令和4年活動記録>[2022年5月20日追加更新]

第7回 俳句研究会 

7月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 根岸敏三・秋山ふみ子・玉木康博・石橋いろり・関 梓・満田光生・稲吉豊
参加者23名
★講話・・・吉村春風子  
「ウクライナ侵攻下における俳句・短歌・川柳」
審判の声の抜けゆく雲の峰       永井  潮
朝顔やきのふを忘れけふを生く     根岸  操
炎天に電柱の影縮みをり        笹木  弘
夕間暮れ溶けて現る黒揚羽       石原 俊彦
朝顔市抜けて己の歩にもどる      吉村春風子
婀娜(あだ)なまま凌霄の花掃かれをり  山本ひまわり
枇杷むくや毎年語るエピソード     関   梓
藻刈舟池に青空戻したり        根岸 敏三
終活をと思へど夫は蚊帳の外      西前 千恵
寄り道をしてもしなくても狗尾草    前田 光枝
百日紅また用のない人に会い      前田  弘
露草の藍になじんでいる時間      山崎せつ子
長焼きをみんなで分けて土用丑     三浦 土火
国葬が小糞と聞こえる溽暑かな     依田しず子
分断はアメーバーのごと半夏生     石橋いろり
水音のしづかな厨夏のれん       秋山ふみ子
多摩川の河口焦して夕焼くる      長澤 義雄
居ても犬何もなくても蟻の列      稲吉  豊
夏負けと言い二人前たいらげる     飯田 玉記
夏氷ワインで浸す眠れぬ夜       大森 敦夫
骨揚げや蝉啼き泪枯れ果てゝ      淵田 芥門
麦の穂が倒れる平原救え民       玉木 康博
松蝉や土人形の斎(ゆ)庭(には)舞(まひ)  満田 光生

第6回 俳句研究会

6月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 根岸敏三・秋山ふみ子・玉木康博・満田光生・大森敦夫・石橋いろり・山本ひまわり
参加者28名
★講話・・・市川 春蘭  「無季俳句考」
籐椅子の座り心地も形見なる      越前 春生
海の色二つに分かる沖縄忌       満田 光生
八月や人を柱と数へたる        櫻本 愚草
残る歯で父の日と云ふ噛めぬもの    稲吉  豊
反抗期なかったように実梅落つ     佐々木克子
真直ぐといふすがしさの夏木立     吉村春風子
万緑の中しばし真空の時間       松元 峯子
はしと打つ老婆手練の蠅叩       三浦 土火
この道は曲らない道桜桃忌       戸川  晟
父の日と言ふてうなぎの贈物      長澤 義雄
後朝の琵琶の余韻や蝉丸忌       大森 敦夫
中央線北岳そびえ甲斐涼し       玉木 康博
老いてなほ知は塵ほどの古書の黴    淵田 芥門
蜘蛛飛んで新天地という次の枝     依田しず子
一つ捨て一つ身軽に夏の夕       関   梓
到来の朝採りコーンをまるかじり    西前 千恵
言い訳の半分聞きし生ビール      笹木  弘
追善の無き兄の忌よ濃紫陽花      水野 星闇
夏木立木陰一枚二百畳         亀津ひのとり

東京多摩地区現代俳句協会 初夏吟行

6月11日(土)小金井市の滄浪泉園とはけの道を辿り萌え木ホールにて開催。
コロナ禍の梅雨空の中、3年振りの吟行は25名が参加。此処は大正期、犬養毅首相により名付けられた友人の別荘で、武蔵野の面影を残す深緑が心地良く、はけと湧水を生かした泉園の水琴窟の音を聞いたあと、はけを下り野川沿いを歩き自然を大いに享受した。

上位入選作品

1位の松元峰子氏(左)
 
清水汲みしばし言葉を洗いけり 松元峰子
人恋ふや暗き森より紋白蝶   根岸 操
新緑の深き黙切る鳥の声    山本ひまわり
昏がりへ誘ふ石段青葉風    秋山ふみ子
紫陽花や下れば上るハケの坂    亀津ひのとり 
緑陰の歳月重し甃滑る     依田しず子
青楓千年絶えぬハケの水    稲吉 豊
射るような視線背後に木下闇  三浦土火
武蔵野の名水育ち蚊に刺さる  竹田和明
梅雨晴間スニーカーを締め直す 石橋いろり       

第5回 俳句研究会           

5月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 石橋いろり・大森敦夫・戸川晟・水野星闇
     参加者33名
★講話・・・前田 弘 
鈴木石夫全句集「裏山に名前がなくて」を読む

誰からも離れていたい白日傘      門野ミキ子
筍のまだ生きてゐる重さかな      越前 春生
覚えないから忘れないぎしぎし     前田  弘
ラムネ飲むあの音この音転がして    水落 清子
春が逝く一切合切そのままに      永井  潮
どくだみの団結力に惚れました     前田 光枝
海は今紺の静けさ夏はじめ       三浦 土火
青時雨光こぼして鷺の佇つ       石橋いろり
冷酒酌む父の知らざる齢生き      吉村春風子
生垣に一筆書きの「薔薇どうぞ」    宮腰 秀子
真ん中はまとも蚕豆の三兄弟      稲吉  豊
柿若葉すこし濃い目の茶をいれる    山崎せつ子
朝顔に名前をつけし「元気くん」    根岸  操
独り酌む葉桜の夜は人肌燗       淵田 芥門
のらぼう菜多摩の横山見て育つ     飛永百合子
雲の峰町は名前を二度替えて      大森 敦夫
寝ねがてに父母の声聞く籠枕      水野 星闇
吊皮に逞しき腕更衣          戸川  晟
頬杖の指にしめりや蝸牛        松元 峯子
人類の立ち位置見えぬ青葉闇      依田しず子
塀際の八重のどくだみ白の濃き     山本ひまわり
青(あお)甘蔗(きび)の道自転車を港まで  満田 光生
雨上る町に乱舞の夏つばめ       亀津ひのとり
まるまると育児順調鯉のぼり      飯田 玉記
飛び乗りてひと時扇ぐ薄暑かな     石原 俊彦
鬼灯や花を落としてまだ緑       根岸 敏三
夕照へ羽搏くしぶき通し鴨       長澤 義雄
万緑の中リフトで降る高尾山      西前 千恵
B円統治御高配の果てチャンプルー   櫻本 愚草
肩先をかすめて駅の夏燕        秋山ふみ子
和菓子屋の紺ののれんや街薄暑     佐々木克子
聖五月なんじゃもんじゃは風の中    関   梓
白つつじドレスに映えて笑みの新婦   玉木 康博

第4回 俳句研究会

4月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 根岸操・秋山ふみ子・玉木康博・戸川晟・飛永百合子・大森敦夫・関 梓
参加者30名
講話 水野星闇氏「健吉と万太郎『句歌歳時記』に見る万太郎句」 
薫風へ投網のようにシーツ干す     永井  潮
囀りや笑ひすぎたる春キャベツ     関   梓
青葉若葉身体に浮力加わりぬ      松元 峯子
これからが本当の私花は葉に      戸川  晟
持て余す心の波や花うつぎ       吉村春風子
たんぽぽは咲いただろうかウクライナ  飛永百合子
本質はどこに玉葱むきにけり      根岸  操
ゆでこぼすパスタの匂ひ菜種梅雨    秋山ふみ子
人様に云へない動機遍路笠       稲吉  豊
あれ〜〜の会話もどかし日永かな    三浦 土火
乳飲み児預けお兄ちゃんの入学式    飯田 玉記
入学式手を挙げて渡る父母祖父母    淵田 芥門
早起きや雨戸開ければ春がゐた     大森 敦夫
桜餅を供え無心の般若経        石原 俊彦
たらちねの母をおもえば燕くる     佐々木克子
古池の水面くろぐろ蝌蚪の群      長澤 義雄
傍観を咎めるごとし春嵐        山本ひまわり
花冷や卍(かぎじゅうじ)とZの一字      石橋いろり
花は葉に行きと帰りはちがう道      前田 光枝
古書捨てて書店の遠し犬ふぐり      野口 佐稔
甘咬みをまだ許されて初桜        依田しず子
冴返る夜は一献の高清水         水野 星闇
花みずき駅まで続く通勤路        根岸 敏三
エスカレータ私と花びら乗せて行く    宮腰 秀子
春灯こころの澱も流れけり        西前 千恵
断捨離を始め蛙の目借時         満田 光生
砲身に桜蕊降る雨もまた         大槻 正茂
花みずき頭上の空気かろやかに      山崎せつ子
鳥飛ばずマリウポリの春地下の人     玉木 康博
花水木今来た道を引き返し        前田  弘

東京多摩地区現代俳句協会 令和4年度定時総会・陽春句会

日時 令和4年4月9日
会場 武蔵野スイングホール11階 レインボーサロン
総会参加者27名
陽春句会投句(43句)

永井副会長挨拶

戸川議長・前田副議長

東京都区、千葉県、神奈川県の会長を来賓にお迎えし、令和4年度の総会・陽春句会が、4月9日に武蔵野スイングホールにて3年ぶりに開催された。開会に先立ち、全国の地区協で唯一の地区会歌「多摩のあけぼの」(作詞・沢田改司、作曲・宮川としを)を斉唱し、意気軒高を示した。議案においては、収支報告、事業計画案などが承認され、事務局長の交代が報告された。その後、和やかな雰囲気のうちに句会が開催され、来賓、大会選者の選により賞を決定。第一位には賞状と賞品、上位入賞者及び特選賞受賞者には賞品が授与された。なお恒例の懇親会は、新型コロナウィルス感染防止の観点から中止とした。

雛あられ手に乗るほどの幸でよい   吉村春風子     

春灯や指が旅する地図の上      長野保代       

鉛筆にかすかな木の香日脚伸ぶ    飛永百合子 

春の雪むかしと昔すれちがふ     水落清子           

戦車ごと包んで飛ばせシャボン玉   石橋いろり

陽炎に手足を付ける振付師      山本敏倖       

弾く人と行く人春の駅ピアノ     玉木康博           

前の世も次の世もなく雪こんこ    髙野公一 

花嫁を待っている庭花辛夷      尾崎竹詩       

囀や人は言葉を紙の上に       根岸 操   

手づくりのひひなと語る母の老い   夏目重美     

空つぽの体育館に花吹雪       大森敦夫   

雪しづりつぐらの主の耳ぴくり    三浦土火 

公園を横切る日課仏の座       前田光枝

第3回 俳句研究会

3月26日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 大森敦夫・秋山ふみ子・玉木康博・稲吉豊・石橋いろり・関 梓・白尾幸子
参加者 31名
講話 日野百草氏「評伝 赤城さかえ」

これ以上優しくなれぬ桜餅       飛永百合子

うららかや外階段は猫だまり      佐々木克子

新卒の孫の名刺に風光る        戸川  晟

おたまじゃくし手足出しても争はず   日野 百草

ウクライナ憂ヒ大和ノ麦ヲ踏ム     三浦 土火

口紅の減らぬコロナ禍春が来た     山崎せつ子

みまかるに程良き花の三分かな     越前 春生

しあはせは気づかずに過ぐすみれ草   根岸  操

教壇を去る日間近よひこばゆる     満田 光生

遠国の人々思ふミモザの黄       秋山ふみ子

駅ピアノさらりと弾いて鳥雲に     関   梓

先頭に鉄腕アトム鳥帰る        髙野 公一

花冷えや待合室の椅子の数       前田 光枝

寒明ける不用不急のぼくですが     前田  弘

春泥やチャイコフスキーの不協和音   石橋いろり

呼ばれたるやうな幻覚椿落つ      稲吉  豊

廃校の校歌の石碑涅槃雪        大森 敦夫

曼陀羅に安寧祈る落椿         河井 時子

白菜の重石が沈み女性デー       永井  潮

沈黙の白シクラメン娘の残業      岡崎たかね

砲弾の火煙がかくす朧月        野口 佐稔

戦火とふ拡がる春愁国を越へ      吉村春風子

両の手で包む紫陽花の弾力       宮腰 秀子

東風吹かば肩をすくめる浪江町     玉木 康博

花冷えや老婦人らの高笑い       山本ひまわり

幼子のトーマス機関車風光る      西前 千恵

眉引(まよびき)の多摩の横山春霞      松元 峯子

花に暮れ桶の浅蜊のみな触手      淵田 芥門

薄墨の刷かれ暮行く春の海       石原 俊彦

川蝉やいつもの岩の指定席       根岸 敏三

梅の花狭い近道闇照らす        白尾 幸子

 

過去の活動記録

<令和3年活動記録>

◇第11回 俳句研究会 11月27日(土) 立川市子ども未来センター
担当幹事:根岸敏三、秋山ふみ子、佐々木克子、水野星闇、大森敦夫、山本ひまわり、根岸 操
参加者:28名
講話:富山ゆたか氏 「写真と俳句」

人におくれ歩くたのしさ落葉路    佐々木克子
生き足らぬ者のにぎはひ冬の街    富山ゆたか
日に当てるだけの神輿を引き出せり  永井  潮
何するも先ずひとり言冬に入る    石原 俊彦
沖合は今日も白浪大根干す      三浦 土火
出合ひより別れが多し枇杷の花    越前 春生
瞬いてともる街灯雪催        稲吉  豊
追伸の余白に友の秋意あり      飯田 玉記
虚飾なき冬木が好きとなる齢     吉村春風子
秋高し父の遺品の二眼レフ      前田  弘
才媛の素顔ののぞく焼鳥屋      亀津ひのとり
久しぶり会えばそのまま冬日和    戸川  晟
湯豆腐や断酒の日々の箸重し     根岸 敏三
枯葉降る降るいちにちがすぐ終る   山崎せつ子
平凡な日々こそよけれ冬紅葉     白尾 幸子
あらあなた着いたらしいわ冬銀河   大槻 正茂
小春日にリボンをかけて送ろうか   水落 清子
返事した順から選ぶラ・フランス   飛永百合子
丹前に巻かれ畳に転がりぬ      大森 敦夫
一茶の忌消息を追う勇気なく     前田 光枝
フルートの疾走枯葉舞ひ上がる    満田 光生
小春日や家族総出の庭じまい     河井 時子
蛇穴に入る再起動してゐたる     根岸  操
太陽のほむら溶けだす夕しぐれ    長澤 義雄
断捨離とはさびしき言葉冬の月    秋山ふみ子
信楽の狸腹より濡れそぼつ      山本ひまわり
秋冷や手水に映る己が貌       淵田 芥門
地震ふかく過ぎて広野は冬の闇    水野 星闇

◇第39回東京多摩地区現代俳句協会 俳句大会
令和3年11月6日、武蔵野スイングホールで開催予定であった表記大会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で会場での大会は中止とし、通信による俳句大会となりました。参加者の互選と特別選者選により次の通り入賞作品が決まりました。(受賞は一人一賞とさせていただきました。)
入賞作品
〈大会賞〉
磨ぎ汁をゆっくり流す敗戦忌     平山 道子
〈入賞〉
保育所に灯る一室ちちろ虫      みどり
秋の灯の一つに帰る杖の音      下田 峰雄
蜩や鼈甲飴が透きとおる       髙野 公一
縄文の雨の匂ひに蓮ひらく      永井  潮
旧姓に戻りましたとサングラス    関戸 信治
空蝉や誰も戻って来ない道      國分 三徳
少年は脱皮の途中春休み       秋山ふみ子
抽斗から取り出す翼星月夜      杉本青三郎
やさしさを形にすれば秋桜      佐々木克子
未亡人とはひどい言葉ね沙羅の花   松元 峯子
銀河垂る高粱畑逃げ来し夜      満田 光生
切手でも買ひに出やうか更衣     稲吉  豊
マスクして人をおそれて夏果てる   戸川  晟
鶏頭の赤心中村哲逝きぬ       夏目 重美
一枚の空に鰯が群れている      依田しず子
新刊の帯がするりと長き夜      水落 清子
豆ごはんいい一日の予感して     原田惠津子
玉簾父の顔して来る息子       西前 千恵
沖縄忌十三歳の朗読詩        岩下三香子
熱帯夜古い輪ゴムの顔でいる     髙木 暢夫
立葵きりりと今日が動き出す     山崎せつ子
母訪へば灯さぬ門の虫の声      淵田 芥門
繋ぐ手のある安心の大夕焼      飛永百合子
あんなにも咲きこんなにも落椿    成戸 寿彦
人形も筆箱もセルロイド 夏     吉田 典子
花菜風翼が生えそうで猫背      なつはづき
風は秋福耳に触れさせてやる     田口  武
タリバンも月の光に眠るらん     加藤 佑子
木戸銭は仮想通貨や村芝居      川崎 果連

大会選者の特選作品
   山本 敏倖 選
生身魂いちばん低い場所にいる    川崎 果連
 
   並木 邑人 選   
鶏頭の赤心中村哲逝きぬ       夏目 重美

   安西  篤 選
磨ぎ汁をゆっくり流す敗戦忌     平山 道子

   前田  弘 選
切手でも買ひに出やうか更衣     稲吉  豊

   金谷サダ子 選
風鈴鳴る人の気配の無い町に     宮腰 秀子

   津沢マサ子 選
この世からはみだしている曼珠沙華  佐々木克子

   遠山 陽子 選
人形も筆箱もセルロイド 夏     吉田 典子

   冬木  喬 選
マスクして人をおそれて夏果てる   戸川  晟

   三池  泉 選
貰い鳴きする蟬もいてあの日くる   永井  潮

   三浦 土火 選
衣食住足りて蓑虫独居中       原田惠津子

   江中 真弓 選
少年は脱皮の途中春休み       秋山ふみ子

   髙野 公一 選
サスペンスドラマみたいなかき氷   島田 啓子

   吉村春風子 選
繋ぐ手のある安心の大夕焼      飛永百合子

   根岸 敏三 選
菊人形疲れ見せたる殿の肩      成戸 寿彦

   永井  潮 選
たをやぎの牡鹿の瞳神事終ゆ     夏目 重美

   山崎せつ子 選
この世からはみだしている曼珠沙華  佐々木克子

   戸川  晟 選
みんみんにせかされていて無職なり  関戸 信治

   小山 健介 選
片蔭を辿り仏教伝来す        國分 三徳

   大友 恭子 選
あんなにも咲きこんなにも落椿    成戸 寿彦

   根岸  操 選
新刊の帯がするりと長き夜      水落 清子

   蓮見 徳郎 選
蜩や鼈甲飴が透きとおる       髙野 公一

   水野 星闇 選
遙かなるムー大陸から土用波     古田  亨

   佐々木克子 選
秋の灯の一つに帰る杖の音      下田 峰雄

   石橋いろり 選
母訪へば灯さぬ門の虫の声      淵田 芥門

   大森 敦夫 選
庭下駄の焦げんばかりや立葵     原田惠津子

<令和2年活動記録>

第11回 俳句研究会
11月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 戸川晟・秋山ふみ子・根岸操・石橋いろり・佐藤八重子・関 梓・山本ひまわり・満田光生
参加者 27名
★講話・・・小山健介氏 「コロナ禍の中で」

小春日や猫が耳掻く後ろ脚      稲吉  豊
捨つるもの持たぬ気楽や着ぶくれて  吉村春風子
黄落を埠頭へ急ぐ水素バス      小山 健介
焼芋屋見ているだけのハイヒール   前田  弘
柿おちば老樹の実なほ熟し得ず    淵田 芥門
穭田やほんとだったか母の恋     大槻 正茂
両の手に不義理いっぱい散紅葉    石橋いろり
目を遠くして冬の日につつまれる   山崎せつ子
山茶花や老いは時々ついてくる    前田 光枝
思い出の多き実家の花八つ手     根岸 敏三
古本も岩波新書も秋の暮       宮腰 秀子
リモートのくぐもる声や火恋し    秋山ふみ子
行く末を計れぬ今朝の寒さかな    山口 楓子
子のほかはレンタル七五三写真    永井  潮
枯木立真白き富士を従へて      山本ひまわり
木枯や足のもつれを抱き上げる    佐藤八重子
木守柿ひとつひとつに雀来る     根岸  操
大川は橋つぎつぎに都鳥       満田 光生
セーターの膨らむ翳の円乳かな    水野 星闇
また一人友の空席年流る       白尾 幸子
託されし後事のあまた花八手     関   梓
シャンパンの小気味よき音七五三   戸川  晟
きかぬ子の晴れ着一丁前七五三    石原 俊彦
紅葉高まり山の神集まりぬ      大友 恭子
福島の身もだえ続け秋を染め     櫻本 愚草
トランプさん鬼滅のマスク有りますヨ 三浦 土火
太陽にまみれて歩く冬の園      長澤 義雄

第2回 俳句研究会 
2月22日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・佐々木克子・水野星闇・根岸操・佐藤八重子・大森敦夫・石橋いろり・関 梓
参加者 35名
★講話・・・望月哲土氏 「わき道・より道 おくのほそ道を遊ぶ」

まんさくやコントラバスは牛の声  稲吉  豊
ふくふくと命生まれる春の土    松元 峯子
旅立ちと言いかえ送る春の葬    永井  潮
木の芽草の芽表情筋は動き出す   石橋いろり
多喜二忌や土はしづかに雨を吸ふ  根岸  操
一枚の花菜畑がやわらかい     山崎せつ子
春ショール何かいい事ないかしら  西前 千恵
野水仙膨らんでくる海と風     小山 健介
子持鱈雪に寝かせて朝の市     越前 春生
咳一つすれば席空く電車なり    三浦 土火
白梅にはにかみの色ありにけり   秋山ふみ子
凧 いわきの海を空に聞け     櫻本 愚草
口外をしないと約束とろろ汁    大友 恭子
うぐいす餅粉吹く娘(こ)らの恋ばなし 河井 時子
摘めば又あは雪つみぬ蕗のたう   淵田 芥門
その時利休侘助と命名す      飯田 玉記
ウイルスに春の巨船は崩れゆく   関   梓
下萌に寝そべって聴く地の鼓動   石原 俊彦
取り敢えず空気をたたき石叩    前田  弘
雪解川ただようている眼と眼と眼  佐々木克子
盃に日差しいっぱい梅見酒     長澤 義雄
試着用鏡の前に春立ちぬ      戸川  晟
(はる)北風(きた)の出番ぞウイルス吹き飛ばせ 吉村春風子
紅椿呑み込む濤よ為朝忌      満田 光生
落椿落ちた所に固まりし      根岸 敏三
船星の甲斐の峠に吊されり     大槻 正茂
節分草地を這うようにして活写   宮腰 秀子
コロナ乗せ赤い国から春疾風    笹木  弘
ひとまずは平和のかたち小正月   川島 一夫
居酒屋で学べよ愚妻木の芽和    望月 哲土
雪解風そはかたむきて吹くといふ  水野 星闇
草萠やスパイクの咬む球技場    山口 楓子
私鉄驛靴磨かれて朧月       大森 敦夫
つばさ距離保つ電線見上ぐ春    佐藤八重子
一家に二人が暮らす花椿      髙野 公一

第1回 俳句研究会
1月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・夏目瑶・根岸敏三・石橋いろり・飛永百合子・関 梓
参加者 40名
★講話・・・戸川 晟「小唄の中の俳句等」

大根やしみじみ母性ある白さ    鈴木 浮葉
剣玉の音止みて雪良寛忌      大森 敦夫
虚飾なき冬木が好きとなる齢    吉村春風子
食堂の小母さんだった三が日    飯田 玉記
猿回し見てから足が軽くなる    新井 温子
振袖の襷きりりと弓始       戸川  晟
天辺の一個は月となる榠樝     宮腰 秀子
浜焚火一揆のごとく囲みけり    越前 春生
国会中継炬燵の猫が居なくなる   稲吉  豊
しあはせはこんなものかも餅雑炊  米澤 久子
大寒や二枚一度にシャツを脱ぐ   永井  潮
老妻は夫のAI冬ぬくし      関   梓
マスクマスク銅鑼に大口開く獅子  小山 健介
夜の更けて小正月ねと妻ぽつり   野口 佐稔
埋火や燃す文殻に失せぬもの    淵田 芥門
声出して駅名読む児春隣      近藤 斗升
何となく顔見知りなり初がらす   亀津ひのとり
四角の部屋四角に掃いて寒に入る  秋山ふみ子
大勢の中の孤独や冬すみれ     水落 清子
これ以上華にはなれぬ冬桜     長澤 義雄
遠い目をして一月の樹の声を聞く  山崎せつ子
雪女泣かせて多摩の夜明かな    三浦 土火
氷雨降る無声映画のような街    松元 峯子
鬼夫婦連れ添ううちに福寿草    石橋いろり
煮凝の鮒の目玉に見詰めらる    夏目  瑶
バックパスすまし顔する赤海鼠   大槻 正茂
トーストにコメダのあんこ女正月  根岸  操
じいちゃんのズボンを掴む冷たき手 山本ひまわり
初雪やみちのくは詩を生み易し   飛永百合子
初場所の小兵に湧ける桟敷かな   山口 楓子
冴ゆる夜や胸に真珠のネックレス  西前 千恵
群れ鴨の幹線道路横切った     佐藤八重子
喪帰りの川風頬に初時雨      水野 星闇
野鳥立つ生ける矢先の実千両    尾関 英正
初風呂や天籟と朝日満ちるなり   玉木 康博
初暦いい日を印(しる)す〇(まる)あまた 河井 時子
釣堀に横並びたる冬帽子      根岸 敏三
乳飲み児の天使の笑顔日向ぼこ   白尾 幸子
人違いされて泣き顔初詣      前田  弘
ひとまずは大根の茹汁のよう    川島 一夫

<令和元年活動記録>[2020年1月20日追加更新]

第12回 俳句研究会 12月21日(土)立川市子ども未来センター

担当幹事 秋山ふみ子・夏目瑶・小山健介・大森敦夫・戸川晟・関 梓
参加者 32名

霜の夜や母の肌衣に名札縫ふ    淵田 芥門 
注連飾る父の残せし釘の穴     根岸 敏三
何かを摑み落ちている片手袋    松元 峯子
サイパンの砂の小壜や十二月    新井 温子
煤逃げの夫や土産を提げてくる   根岸  操
独りになってより山茶花の多弁   戸川  晟
短編の父の一生開戦日       永井  潮
遺すものあまたかかえて去年今年  佐々木克子
居酒屋の席にも序列おでん酒    吉村春風子
山茶花や信玄道という直線     小山 健介
霜柱廃炉の影をざくと踏む     櫻本 愚草
能面の紐をきりりと近松忌     長澤 義雄
山眠るゆっくり話せばわかること  水落 清子
裸木の思索を破る着信音      関   梓
寒の雨喪中葉書にペットの名    石橋いろり
都電降りゆらり狐火入る小路    大森 敦夫
いつの間に小松菜好む姑と似る   佐藤八重子
朝練の靴ひも結ぶ寒さかな     山口 楓子
用なしの軽き身を置く冬日向    河井 時子
街中をポインセチアに荒らされる  山崎せつ子
今日も掃く落葉の好む我が門辺   夏目  瑶
初時雨聞こえぬ耳のわが心音    川島 一夫
埋み火の形(なり)祖父祖母のありしとぞ  水野 星闇
何事もなき日々のまま年暮るる   山本ひまわり
ポインセチア無音の部屋のアクセント  秋山ふみ子
母と娘(こ)のスキップ歩き街師走   西前 千恵
たつぷりと食うてでつぷり寒雀  三浦 土火
綿虫や生命線の短き掌        大友 恭子
酔うた振り恋した振りの暮の街  石原 俊彦
巻き果つる暦あらたな余生在り  飯島  智
八十路して不逞の輩おでん酒   飯田 玉記
目を見張る大樹の眼寒昴       髙野 公一

秋の吟行会
令和元年11月30日(土)  江戸東京たてもの園
快晴にめぐまれ34名の句友が集まりました。園内は江戸から昭和に至る30棟ほどの建造物が移築復元されています。建物を詠み、また降りしきる落葉の中、初冬の景を詠み、句材に恵まれた吟行会でした。 (関 梓・記)

  上位入選十句
今わたし冬日の江戸に里帰り     石原 俊彦
万世橋交番今日の迷子の落葉来る   佐藤八重子
落葉径奥まで行かば神隠し      松元 峯子
引退の都電にしばし日向ぼこ     野口 佐稔
武蔵野のむかしを透いて冬木立    藤原はる美
でこぼこの明治の玻璃戸冬もみぢ   秋山ふみ子
音といふ残らざるもの木の実落つ   吉村春風子
昭和遠し子宝湯へとペア・マフラー  稲吉  豊
浅き冬明治の午砲(ドン)は静まれり   関   梓
写真館頭(ズ) より冬日の自然光    水野 星闇    
  一人一句
着信や冬の都電は動かざる      大森 敦夫
たてものは生きもの木の葉降りやまず  芹沢 愛子
古民家の囲炉裏の匂ひ麦育つ     根岸  操
紅葉かつ散る遠き明治の冬館     西前 千恵
午砲(ドン)のある広場の昼餉冬紅葉   中田とも子
居酒屋の燗酒一杯九十円       根岸 敏三
木の実踏み後悔してる靴の底     水落 清子
足音の師走へ続く風の道       佐々木克子
冬麗や檪大樹の黄金色        夏目  瑶
菰巻の帯しめ亀の型なり       小川 夏葉
緋と燃えしノムラモミヂの一途かな  山口 楓子
紅葉かつ散り薬缶ゆたんぽ喋り出す  石橋いろり
薄暗き部屋にイロリの影ゆらり    伊藤 雅信
こも巻の松の平らか令和なり     宮腰 秀子
赫々(あかあか)と囲炉裏燃ゆ香や江戸農家 河井 時子
先人の知恵語り継ぐいろり辺     白尾 幸子
土間で炊く湯気のびのびと家充たす  遠藤 路子
大釜の今か今かといろり端      戸川  晟
紅葉映え手漉きガラス戸鮮やかに   椋  周二
ふるさとの縁側のよう吊し柿     飛永百合子
木の実雨明治のリズム連れてくる   宮崎 斗士
秋高し吸った空気が声になる     永井  潮
紅葉かつ散る是清の生きた家     小林 育子
茅葺の低き軒先大根干す       三浦 土火

第11回 俳句研究会 
11月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・玉木康博・山崎せつ子・蓮見徳郎・石橋いろり・根岸操・佐藤八重子
参加者 31名
★講話・・・松田抱空 「句集と童謡・唱歌」

洗いすぎたような半生木の葉髪      永井  潮 
帰り花うしろの正面もういない      蓮見 徳郎
叱られて風がほどよい冬はじめ      松田 抱空
枯れ落葉舞い込むように欠礼来      野口 佐稔
手さぐりの余生に描く冬桜        大友 恭子
バス停にお知らせ一枚冬ダイヤ      根岸 敏三
寒林を自在に歩き八十歳         前田  弘
団栗は独り歩きをして困る        飛永百合子
タピオカの黒きストロー クリスマス   根岸  操
海鼠噛むふと悪心の芽生えたる      稲吉  豊
緒方貞子さん難民の子と冬の虹      石橋いろり
木の葉散る幽かなる音聞き分けて     長澤 義雄
安達太良の空の青さや葱育つ       大槻 正茂
突風やラガーのやうに身を構ふ      尾関 英正
霜月や親子ときには他人めく       越前 春生
里芋の鍋蓋踊る夕まぐれ         三田村伸子
背泳ぎをしてみる冬の温泉場       鈴木 浮葉
風神は遊び足らずを木枯に        吉村春風子
冬の田や鍬に凭(もた)るる従兄(あに)の影 山本ひまわり
ワイパーの挟む木の葉や文のごと     秋山ふみ子
畳替へ女房にはかに古りにけり      三浦 土火
霜月の水に流せぬことのある       佐々木克子
団栗の太っちょ痩せっぽ独りぽっち    関   梓
袋の中訳ありりんごの溜息        松元 峯子
柿点描農婦鍬持ち朝日課         玉木 康博
残る虫厨に近く存(ながら)へて      水野 星闇
あの二人別れ模様の冬の駅        石原 俊彦
かたわらは雨に滲んで石蕗の花      山崎せつ子
此処に死ぬ冬蝶いろのなき野辺に     淵田 芥門
遠富士の初冠雪や刈野けむり       佐藤八重子
マスクかけおしゃべり奥さんやりすごす  蓮見 順子

第10回 俳句研究会
10月26日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  秋山ふみ子・佐々木克子・夏目重美・飛永百合子・大森敦夫・根岸操・佐藤八重子
参加者 43名
★講話・・・宮崎斗士 「兜太晩年」

記憶の川削ぎ取ってゆく野分かな   抜山 裕子
長き夜の一燈が生む一行詩      越前 春生
冬がもうすぐかけ算の一の段     新井 温子
紅玉の保守本流の酸味かな      稲吉  豊
両神山に遠吠えをきく月夜かな    三浦 土火
安寧に川は流れよ稲刈れよ      髙野 公一
居ない猫まだ抱いている母冬へ    宮崎 斗士
そぞろ寒行く所なき汚染水      中島 秀次
燕帰るよう兜太師は原郷へ      芹沢 愛子
ポケットにハザードマップ金木犀   野口 佐稔
国訛ないようであり衣被       佐々木克子
一斉に選句の黙や秋深し       秋山ふみ子
月ひとつ夜ごと名を変え十三夜    大友 恭子
豊かさは父母との暮し秋夕焼     水落 清子
樹の下の一本だけの曼珠沙華     山崎せつ子
熱の子に犬添ひ寝する秋時雨     山本ひまわり
秋深む風の便りにも消印       前田  弘
草千切れ魚(うお)影もなし神の旅   山口 楓子
鰯雲果ては彼の地か舞鶴港      石原 俊彦
木道の木目渦巻く百舌の声      大槻 正茂
ちちははに追いつけそうないわし雲  飛永百合子
気ごごろの知れた仲間や初紅葉    西前 千恵
病室の空は四角よ鰯雲        夏目  瑶
よく笑ふ部活の帰りゑのこ草     夏目 重美
草紅葉踏まれていよよ意を通す    吉村春風子
ハイヒール地底のホームに蚯蚓鳴く  関   梓
烏賊秋刀魚高騰されどおんぶ蝗    川島 一夫
忘れ音や月の剣を手水鉢       佐藤八重子
石段にあえぐ参詣夕紅葉       尾関 英正
生垣にまじる芒の二三本       河井 時子
三日月に私の悩みをひっかける    松元 峯子
冬晴れやうろこ光りの心字池     長澤 義雄
月天心シートの隙間のぞき過ぐ    櫻本 愚草
外に出でむ狗尾草の乱舞中      水野 星闇
言の葉の夢まぼろしや都鳥      根岸  操
新米の産地大文字包装紙       根岸 敏三
闇重く心の隙にきりぎりす      戸川  晟
がらんどうの頭の中をいとど跳ぶ   永井  潮
一瞬に大樹を隠す山の霧       飯田 玉記
元気かと朝の電話や枯葉散る     白尾 幸子
白獅子のピースサインやいわし雲   大森 敦夫
螻蛄鳴くや荒れ屋の裏の一塊の土   淵田 芥門
断捨離箱の片隅や土瓶蒸し      石橋いろり

第9回 俳句研究会
9月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・玉木康博・大森敦夫・根岸操・戸川晟・佐藤八重子・関 梓
参加者 39名

★講話・・・網野月を「表現における禁じ手は何か?~クラシック音楽の演奏と季語の共通性~」

新酒酌む父の知らざる齢生き      吉村春風子
最後なる兄の新米届きけり       中島 秀次
包装紙きっちり畳む今朝の秋      水落 清子
小鳥来る何か告げたき埴輪の目     越前 春生
交換手人の言葉で秋繋ぐ        櫻本 愚草
新涼の何かが違う朝の音        山崎せつ子
武甲山いつか平らに鳥渡る       亀津ひのとり
穴惑などと人間偉そうに        髙野 公一
虫すだく自衛隊の風呂のれん      石橋いろり
走り蕎麦無口の人が故郷(くに)自慢   戸川  晟
衣被つるり故郷ひき寄せる       西前 千恵
紅の濃き方が正面桃供ふ        稲吉  豊
夕顔や切れた電話の向こう側      大友 恭子
秋涼しするりと解ける片結び      秋山ふみ子
縁あれば碌でなしでも藪枯らし     網野 月を
彼岸花家族のやうにかたまりて     根岸  操
透明な風に遊ばれ秋桜         飯田 玉記
蘊蓄も薬味のひとつ走り蕎麦      石原 俊彦
草の花名もなく咲いて傘寿かな     河井 時子
秋の宵歎異抄など出してみる      山本ひまわり
秋茄子を肴に嫁が煮浸しへ       尾関 英正
言の葉を夕べに捨てる白木槿      松元 峯子
新月にある温もりや闇に闇       大森 敦夫
曼珠沙華すっくと人を欺かず      佐々木克子
書きよどむインクの滲み秋深し     佐藤八重子
生まぬ子を育てし母に感謝する     玉井 吉秋
頼まずとも研がれている刃新豆腐    関   梓
長き夜や人それぞれに人おもふ     永井  潮
ポヨポヨのおなか押し込む秋モード   三浦 土火
静けさや燕帰りし余呉の湖       夏目 重美
コスモス咲くこの先いずれ灼熱か    川島 一夫
月明の木道しるき尾瀬ヶ原       長澤 義雄
門口の水引草の白と紅         山口 楓子
紫苑(きく)手向けけふ初めての独り言  淵田 芥門
旅立ちぬ天の川へと旧き友       鈴木 浮葉
蜩や天に向かって駆けのぼる      白尾 幸子
だれかさんの小さい秋を見つけたい   新井 温子
ちちろ鳴く母は忙しく台所       根岸 敏三
秋出水この季語飛ばす超暴雨      玉木 康博

第8回 俳句研究会 
8月24日(土)武蔵野市かたらいの道・市民スペース
担当幹事  秋山ふみ子・佐々木克子・根岸敏三・水野星闇・根岸操・大森敦夫・稲吉豊・飛永百合子
参加者 36名
★講話・・・吉村春風子 「私見による俳句と短歌の違い」

老人の咀嚼八月十五日         越前 春生
ふた言の問ひにひと言冷奴       永井  潮
美術館は秋の器と思ひけり       秋山ふみ子
鳴かざれば己失ふ法師蟬        吉村春風子
万緑や足湯に十指遊ばせる       蓮見 徳郎
団扇風ゆるし合ふとはこんなこと    水落 清子
いくたびの土曜日があり百日紅     飛永百合子
新聞を畳み直して夏が逝く       山崎せつ子
今生の妻はこの人秋茜         三浦 土火
八月や幼なじみの真空管        前田  弘
銀座朱夏ガラスのビルの旗艦店     高坂 栄子
八月や妻はは祖母としての黙      新井 温子
螇蚸跳ぶ遠近眼鏡の視野越えて     稲吉  豊
雨垂れの一音一音秋に入る       根岸 敏三
豊穣のうねり案山子の得意顔      山口 楓子
ぼくは見て妻見ていない流れ星     大槻 正茂
戯れごとをかはす扇子の香の甘し    淵田 芥門
ばば抜きをして婆(ばば)となり夜の秋  根岸  操
知らぬ間に腿に青痣虎が雨       松元 峯子
脚光は浴びたことなし手に花火     鈴木 浮葉
敬老日自己申告の回覧板        西前 千恵
道端で俺を踏めとや秋の蟬       大森 敦夫
月観てる姉に少女の戻りたる      飯田 玉記
かき氷憲法談義しばし止む       戸川  晟
乱れ萩ゆっくり過ぎる五能線      蓮見 順子
越後平野に母と子四人敗戦日      野口 佐稔
欅(けやき) 櫟(くぬぎ) 楢(なら) 武蔵野の風涼し 内田 牧人
虚・虚・虚・虚と山ほととぎす身は虚ろ 櫻本 愚草
暁暗の空に道あり鳥渡る        長澤 義雄
繊月の宙に鎌おく熱帯夜        関   梓
八木節の声吸い込まる祭空       石原 俊彦
錠前の鍵みつからず秋に入る      飯島  智
青芒心底人を憎めない         佐々木克子
青空へゆるりと浮かぶ黒揚羽      玉木 康博
盆の客葬家達者を愛でにけり      水野 星闇
鳥人間潮風つかみ夏の空        石橋いろり

第37回東京多摩地区現代俳句協会俳句大会
令和元年7月13日(土)於・武蔵野スイングホール

 梅雨未だ明けやらぬ中、東京多摩地区現代俳句協会の俳句大会が開催された。出句者154名、投句数898句であった。
高らかに会歌をうたふ花の昼 操 (永井潮特選)のように恒例の会歌斉唱、司会は戸川晟副会長、根岸敏三副会長が開会宣言をされた。
 吉村春風子会長の挨拶、中村和弘先生はじめ、ご来賓の柏田浪雅本部幹事長、今野龍二・都区協総務部長、渡辺和弘・神奈川地区協副会長、並木邑人・千葉地区協会長の各氏よりご祝辞を賜りました。

講演する中村和弘現代俳句協会会長

 記念講演は現代俳句協会会長・中村和弘先生の「加藤楸邨のシルクロード」会場には「陸」編集長の大石雄鬼氏によりシルクロードの映像と音楽も流された。
 休憩後、成績発表に移り、大会賞をはじめ三十位までの入賞句と特別選者の特選句が顕彰された。大会賞の佐々木克子氏が受賞者を代表して謝辞を述べられた。その後、ご来賓はじめ大会の特別選者に講評を戴いた。句の核心を突いた選評は句友が一堂に会する俳句大会ならではの貴重な場であった。大森敦夫・事務局次長の閉会の辞をもち大会は滞りなく終了し、その後の懇親会も旧知の又新しい句友との和やかな交流の輪が広がった。(関梓・記)

〈大会賞作品〉
万緑の点となるまで歩きたい     佐々木克子

〈大会選者の特選句〉
 中村 和弘 選
かがり火の炎で濡れるかたつむり   玉井  豊
 並木 邑人 選
冷蔵庫別居の是非を入れてある    川崎 果連
 渡辺 和弘 選
万緑の点となるまで歩きたい      佐々木克子
 今野 龍二 選
あじさゐや二泊三日の流離譚      稲吉  豊
 沢田 改司 選
花菖蒲水に疲れて雲を見る       前田  弘
 安西  篤 選
父の日やちちそつくりの訛聞く     宇賀いせを
岩崎清太郎 選
啓蟄や動く歩道にのつかつて      秋山ふみ子
 岡本 久一 選
保育所はおやつの時間広島忌     かわにし雄策
 金谷サダ子 選
独りといふ自由に似てる花疲れ     藤倉 頼江
 田村  實 選
青空をつかんだ梅から咲き出しぬ    岩田  信
 遠山 陽子 選
ひろしま忌赤子のものが流れ来る    沢田 改司
 冬木  喬 選
今生きてゐるといふこと汗の玉     清水万ゆ子
 前田  弘 選
夜桜を燃える絵本と見ていたり     安西  篤
 三池  泉 選
さえずりをききわけているおじいさん  佐々木克子
 柏田 浪雅 選
ボクサーの父へ束ねて姫女菀      佐藤 映二
 江中 真弓 選
大いなるマンネリズムとしてバナナ   城内 明子
 三浦 土火 選
逢ひに行く今年も木曽へ夏帽子     吉村春風子
 佐々木克子 選
ポトフ煮て昔ばなしの山眠る      水落 清子
 水野 星闇 選
誰彼の尻見てすすむ潮干狩       永井  潮
 吉村春風子 選
二月尽日記に余白殖えはじむ      永井  潮
 根岸 敏三 選
本家よりすこし大きな墓洗ふ      小池つと夢
 永井  潮 選
高らかに会歌をうたふ花の昼      根岸  操
 山崎せつ子 選
逃水が逃げこむ遮断機が下がる     足立喜美子
 稲吉  豊 選
花火だねそだね静かなダージリン    戸川  晟
 戸川  晟 選
胎動を感じたあの日のチューリップ   水落 清子
 小山 健介 選
改元の五月ウィリアムテル序曲     永井  潮
 大友 恭子 選
天国をぐっとひきよせ曼珠沙華     戸川  晟
 根岸  操 選
過ぎし日日すべてうべなふ春嵐     西   遥
 蓮見 徳郎 選
半熟の太陽沈む春岬          高木 暢夫
 石橋いろり 選
冬りんご留守番の子の耳聡き      君塚 恵子
 大森 敦夫 選
積雪の光背後に爪を切る        高橋 宗史

37回 俳句大会 入賞作品
雛壇の一番下にアンパンマン      小坪亭ゑん
缶詰を開ければ海よ多喜二の忌     市川 春蘭
大いなるマンネリズムとしてバナナ   城内 明子
先のこと妻がぽつりと言ふ端居     吉村春風子
一斉に万の黙祷蝉時雨        かわにし雄策
春キャベツ切れば一面笑ひ皺      山下 遊児
恐竜に戻るクレーン朧月        原田えつ子
銀の匙青いカヌーとなるメロン     越前 春生
空間のあやとりをする螢かな      山本 敏倖
元通り畳めぬ新聞五月来る       永井  潮
ぶらさがるほかに術なしからすうり   今野 龍二
釣忍どこへも行かぬ人に買ふ      青木 絢子
コーヒーは吾が句読点日脚伸ぶ     高坂 栄子
年輪の育つ音して山眠る        國分 三徳
胎動を感じたあの日のチューリップ   水落 清子
疲れたら方言で良か五月病       原田 洋子
蕗の筋すうっと新しい人生       大西  惠
夜桜を燃える絵本と見ていたり     安西  篤
蛇口から春がとびだす小学校      岩田  信
小春日を付録のようにおばあさん    髙野 公一
フクシマを歩いた白靴の痛み      松元 峯子
口紅の少しはみ出る目借時       島田 啓子
しやぼん玉街なかにあるけもの道    柏田 浪雅
母の日の自由時間を使ひ切る      小峰 桃香
つまらない人だと言われ蚊を叩く    川崎 果連
古茶新茶出来ないことが増えてゆく   藤倉 頼江
売り声も風に泳がせ金魚売       蓮見 徳郎
花菖蒲水に疲れて雲を見る       前田  弘
なかなかのブラックホール春炬燵    加藤 三朗

第7回 俳句研究会 
7月27日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  秋山ふみ子・佐々木克子・永井潮・小山健介・玉木康博・飛永百合子・関 梓
参加者 38名
★講話・・・夏目重美 俳句における前衛と漂泊~闇の超越と達観と未来と~

片蔭に先住権のやうなもの     稲吉  豊
海霧深し島が迷子となっている   小山 健介
忘れたき事は忘れず夏蜜柑     関   梓
声かけてふれて明日捥ぐミニトマト 水落 清子
祖母からの風は低くて奈良団扇   石橋いろり
禿頭に雌の蚊妻の平手打ち     淵田 芥門
曝す書のふはりと落ちし正誤表   越前 春生
吊革に目瞑り祷るヒロシマ忌    野口 佐稔
帰省子の大の字に寝る青畳     河井 時子
梅雨寒や確かめられるフルネーム  飛永百合子
七曜を確かむ生活ところてん    大友 恭子
初デート花火の間合い長かりき   中島 秀次
セミ図鑑見て蝉を聞く都会の子   水野 星闇
セミナーを出で夏蝶と成る少女   早川恵美子
風の盆閑かに空を切る十指     新井 温子
金魚玉プロコフィエフのニ短調   大槻 正茂
氾濫の川を見ている青胡桃     佐々木克子
氷水グランドよぎる大薬缶     山口 楓子
貝風鈴籠の赤子の指動く      三浦 土火
夏蝶の翻りつつ色こぼす      秋山ふみ子
私のための嘘を下さいきりぎりす  戸川  晟
楸邨忌己が影追い坂上がる     山本ひまわり
育児終え非正規なんです夏の空   川島 一夫
夫と居る心の闇を螢とぶ      永井  潮
さはさはとスカート夏空の交差点  根岸  操
傘さして土木実習男梅雨      亀津ひのとり
耳よりな話耳から消えて秋     前田  弘
逢うたびに色逃げてゆく濃紫陽花  松元 峯子
向日葵の曇りの日には肩凝りし   根岸 敏三
忘れたい忘れてならない終戦日   飯田 玉記
汗拭いて散歩の犬と目を合わす   山崎せつ子
立飲みのきゆつと喉鳴る鱧の皮   米澤 久子
棘まみれ捻れ者の胡瓜捥ぐ     夏目 重美
砂浜に手掘り温泉月涼し      長澤 義雄
メロン来るいつもの律儀な顔も連れ 西前 千恵
夏の星水底うつす孤独かな     白尾 幸子
カロライナジャスミン青々梅雨の晴 玉木 康博
東海の蟹のたわむれ泡を吹く    櫻本 愚草

第6回 俳句研究会 
6月22日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・佐々木克子・小山健介・山﨑せつ子・大森敦夫・根岸操・石橋いろり
参加者 39名
★講話・・・霧野萬地郎氏 「サファリ(旅)と俳句」

辣韭剥く一年分の寡黙かな        中島 秀次
大夏野そのまた先のオホーツク      長澤 義雄
欲しきもの年ごとに減り茄子を植う    永井  潮
含羞も止り木も死語太宰の忌       亀津ひのとり
納得の免許返納五月晴          新井 温子
来し方のひとつは触れず水中花      稲吉  豊
若者がただ集まって渋谷夏        山崎せつ子
水にある万緑深し鯉の口         髙野 公一
肩書のなき気安さよ夏帽子        越前 春生
断捨離や声すき通る夏座敷        栗田希代子
青葉風フルートの音跳ねまはる      満田 光生
捩り花今日こそ言おうか言うまいか    飯田 玉記
誰にでも「長い(ロング・)お別れ(グッドバイ)」街薄暑 野口 佐稔
十薬や封印したきこといくつ       秋山ふみ子
沈黙の闇重くする河鹿かな        戸川  晟
悩みごと葉裏に秘める蓮浮葉       根岸 敏三
コンドルは夏空を恋う檻の中       松元 峯子
街薄暑ポケモンとなる飴細工       小山 健介
南西風や摩文仁の丘の海鳴りぬ      夏目 重美
病床の妻への手紙螢籠          石橋いろり
末の子の嫁ぐ日きまりこあぢさゐ     大槻 正茂
父の日やサイズ細めの綿パンツ      根岸  操
雲間より顔洗ひたて梅雨の月       鈴木 浮葉
新記録伝えるラジオ青嵐         水落 清子
ハンカチをたゝみたゝみて愚痴つづく   河井 時子
落款の角(かど)が欠けたる夏の富士    大友 恭子
緑蔭や包丁を研ぐ音のして        山口 楓子
遠雷や父の口髭濃かりけり        佐々木克子
梅雨空や老いし前座の初高座       霧野萬地郎
払うても払うても貧乏かづら       三浦 土火
父の日や苦瓜じつと出番待つ       関   梓
私にも白化現象梅雨に入る        川島 一夫
麦の秋スマホに囲まれ文庫読む      白尾 幸子
さみだるゝ夜や悼む句をいかで詠む    淵田 芥門
一列に育つ茄子(なすび)や都市農家    西前 千恵
梅雨晴間子等の湧き出る小公園      石原 俊彦
残雪に雛追う雷鳥霧を抱く        櫻本 愚草
昼寝覚普賢乗せたる象の牙        大森 敦夫
みどり得て田の面に映る越の雲      水野 星闇

第5回 俳句研究会 
5月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  夏目瑶・秋山ふみ子・稲吉豊・根岸操・関 梓・戸川晟・玉木康博
参加者 39名
★講話・・・髙野公一 「おくのほそ道」のテキストについて

片陰を出で片陰に入る安堵      秋山ふみ子
ポケットの馬券嘶く薄暑かな     髙野 公一
物言はぬ埴輪に夏の来たりけり    三浦 土火
サングラスあなたが遠くなる真昼   山崎せつ子
いがぐりが蛇口に並び髪洗ふ     山口 楓子
塗り立ての登山者ポスト山開き    石橋いろり
寿命など平均するなほうほたる    前田  弘
噺家の箸にも櫓にもなる扇子     河井 時子
父在らば共に酒酌む初鰹       越前 春生
負はれたる兄の背中や子供の日    水野 星闇
たましひの乱舞とおもふ夏の蝶    根岸  操
昔から助六寿司よ祭笛        稲吉  豊
木曽に雨軒を彩る濃紫陽花      尾関 英正
宝石の音や浅蜊を量り売る      永井  潮
御代替り時の踊場蝶の舞ふ      櫻本 愚草
とべるかなでんでんむしのひとりごと 水落 清子
朝風の爽やかにして新生姜      穴原 達治
落し文受けとる人の今はなし     根岸 敏三
サングラス森羅万象やわらかし    飯田 玉記
間が持たぬ夫の親族五十雀      鈴木 浮葉
はや夏日都心のロッカー封鎖され   関   梓
えご散るや陸軍伍長某の墓      亀津ひのとり
糺の森五月の鷹のひそむかな     佐々木克子
初がつお呼び声荒き漁師町      大友 恭子
夏ハーレーダビットソンの爆音    松元 峯子
黒南風や木々大ゆれて空を掃く    夏目  瑶
夏涼し約束の日の河童橋       戸川  晟
冷蔵庫でなくて良かった捜し物    佐藤八重子
浮いて来いロヒンギャの子のテント小屋 夏目 重美
わがことよ高齢運転はぬけどり    野口 佐稔
いつの間に大人の顔に花は葉に    石原 俊彦
源義の遺墨や玉を解く芭蕉      米澤 久子
テーブルにせまりくるごとカサブランカ 西前 千恵
佐賀路行く黄河のごとき麦の秋    白尾 幸子
飼はるるも縁あるものや大金魚    大森 敦夫
鮎鮨や書院造りの座敷席       長澤 義雄
散り花や寄り合い談合田水張る    玉木 康博
煙吐くよう春光しのぐ氷川丸     川島 一夫
滝壺に脈打つ精の蒼白し       淵田 芥門

初夏の吟行会
令和元年5月11日(土)  府中市郷土の森博物館
 風薫る五月。総勢三十二名の参加者を得て吟行会を行いました。当日は好天に恵まれ、新緑の郷土の森には明治・大正・昭和初期などの数棟の文化財もあり、広場や水遊びの池には幼児らがあふれ、そのエネルギー迸る映像に佳句が生まれました。喧噪を抜けると鳥の声渡る寂とした空間に若葉風が。四季折々楽しめる郷土の森は再訪したいと言う声も多く聞かれました。句会場は、博物館内の会議室にて。嘱目二句、五句互選。 (石橋いろり記)

  

 上位入選十五句
赤帽黄帽万緑の句読点       佐々木克子
令和なる今日の一会や森五月    吉村春風子
夏立つや拭き磨かれて箱階段    藤原はる美
青梅を拾うひかりを拾うごと    髙野公一
子どもから先に夏来る声高く    有坂花野
裸婦像の筋肉保つ聖五月      関  梓
青葉風ハケの団子の焦げ具合い   夏目 瑶
麦秋や父の算盤五つ玉       根岸 操
まくなぎを払う役場のパンフレット 新井温子
言葉待つ句帳に走る蟻の黒     稲吉 豊
夏草や丸く石敷く祭祀跡      米澤久子
竹皮を脱ぐや代官平右衛門     夏目重美
青葉風ときをり止まる水車かな   秋山ふみ子
全裸とはいかず若葉の森林浴    三浦土火
水音と水の匂いの竹の秋      山崎せつ子

(蓮見 徳郎)