会長 吉村春風子
事務局長 稲吉 豊
事務局
郵便番号 195-0055
所在地 町田市三輪緑山1-28-19
TEL 044-987-1716

 

 

 

 

 

 

 

 

【 活動予定 】

<令和3年活動予定> [2021年2月11日追加更新]

●1月、2月、3月の俳句研究会は中止とします。
●3月の総会および陽春俳句会は中止とします。
●5月の吟行会の実施可否については4月発行の「多摩のあけぼの」に掲載します。
●7月の俳句大会は11月に延期の予定です。

会報「多摩のあけぼの」PDF

多摩のあけぼの137号 2021.1.27発行

【 地区の紹介 】

 私たち東京多摩地区現代俳句協会は、東京都の23区を除く市部、島しょ、多摩地区に居住する会員で構成され、東京郊外の武蔵野一帯を主な拠点としています。昭和58(1983)年7月に発足し、今年36周年を迎えました。
 定時総会や俳句大会など主要なイベントは、おもに武蔵野市、立川市を中心に行なわれていますが、吟行会や月例の俳句研究会などは各地の持ち回りで実施しています。その活動状況は、年4回発行する会報「多摩のあけぼの」によって会員の皆様にお知らせしています。近隣の地区協会、特に東京都区協、千葉県協、神奈川県協とは長期にわたり親密な交流を続けています。
 3年毎に募集する「東京多摩地区現代俳句協会賞」は第8回を8月31日の締め切りで現在募集中、5年毎に発行している会員の合同句集『多摩のあけぼの』は、これまでに第7集を刊行しております。
 また当協会には独自の会歌《多摩のあけぼの》があります。この歌は、顧問の沢田改司氏作詞、参与の宮川としを氏作曲によるもので、多摩の豊かな風土と、会員の連帯を高らかに謳っており、会合の冒頭には全員で斉唱し大変好評を戴いております。

多摩地区協会への入会は随時受付けております。 
 (現代俳句協会会員で多摩地区に居住されている方(正会員)の会費は無料(申し込み手続きは不要)、それ以外の「一般会員」の方の年会費は2000円です)
 お問い合わせ、ご連絡は当協会事務局へ(044-987-1716)

俳句研究会に参加を!!
毎月行なわれている「俳句研究会」は、土曜の午後の楽しい句会です。
(講師による約1時間の講話のあと、参加者全員の互選による句会と合評)
出句一人3句。会費は500円です。
初めて参加される方、会員でない方、大歓迎です。

『投句による参加』もできます。〈在宅句会〉
さまざまな事情で会場へお出掛けになれない方は、投句による「俳句研究会」への参加もできます。
◇開催日の1週間前までに投句してください。
◇出句は一人3句です。(選句はありません)
◇長さ20cm程の短冊に一句ずつ書いてください。(用紙は何でも結構です)
◇参加費は1000円です。(出句と同時にお送りください。)
◇句会終了後、全作品の清記用紙と高点句、出句された作品の成績、寸評等をリポートとしてお送りします。
[投句先]〒180-0006 武蔵野市中町3-29-19 蓮見徳郎方「俳句研究会」投句係宛
[お問合せ] 永井潮 TEL 042-492-4516

【 活動記録・会報 】

<令和2年活動記録> [2020年12月4日追加更新]

■過去の活動内容は下記会報もご覧下さい。

都多摩会報129号PDF平成31年1月25日発行 阿部青鞋と三橋敏雄―敏雄の密着癖― 遠山陽子
都多摩会報128号PDF平成30年10月24日発行 私の現代俳句―兜太と鬼房 高野ムツオ
都多摩会報127号PDF平成30年7月26日発行 俳句が好き、俳句を創る人が好き 前田弘

第11回 俳句研究会
11月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 戸川晟・秋山ふみ子・根岸操・石橋いろり・佐藤八重子・関 梓・山本ひまわり・満田光生
参加者 27名
★講話・・・小山健介氏 「コロナ禍の中で」

小春日や猫が耳掻く後ろ脚      稲吉  豊
捨つるもの持たぬ気楽や着ぶくれて  吉村春風子
黄落を埠頭へ急ぐ水素バス      小山 健介
焼芋屋見ているだけのハイヒール   前田  弘
柿おちば老樹の実なほ熟し得ず    淵田 芥門
穭田やほんとだったか母の恋     大槻 正茂
両の手に不義理いっぱい散紅葉    石橋いろり
目を遠くして冬の日につつまれる   山崎せつ子
山茶花や老いは時々ついてくる    前田 光枝
思い出の多き実家の花八つ手     根岸 敏三
古本も岩波新書も秋の暮       宮腰 秀子
リモートのくぐもる声や火恋し    秋山ふみ子
行く末を計れぬ今朝の寒さかな    山口 楓子
子のほかはレンタル七五三写真    永井  潮
枯木立真白き富士を従へて      山本ひまわり
木枯や足のもつれを抱き上げる    佐藤八重子
木守柿ひとつひとつに雀来る     根岸  操
大川は橋つぎつぎに都鳥       満田 光生
セーターの膨らむ翳の円乳かな    水野 星闇
また一人友の空席年流る       白尾 幸子
託されし後事のあまた花八手     関   梓
シャンパンの小気味よき音七五三   戸川  晟
きかぬ子の晴れ着一丁前七五三    石原 俊彦
紅葉高まり山の神集まりぬ      大友 恭子
福島の身もだえ続け秋を染め     櫻本 愚草
トランプさん鬼滅のマスク有りますヨ 三浦 土火
太陽にまみれて歩く冬の園      長澤 義雄

第2回 俳句研究会 
2月22日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・佐々木克子・水野星闇・根岸操・佐藤八重子・大森敦夫・石橋いろり・関 梓
参加者 35名
★講話・・・望月哲土氏 「わき道・より道 おくのほそ道を遊ぶ」

まんさくやコントラバスは牛の声  稲吉  豊
ふくふくと命生まれる春の土    松元 峯子
旅立ちと言いかえ送る春の葬    永井  潮
木の芽草の芽表情筋は動き出す   石橋いろり
多喜二忌や土はしづかに雨を吸ふ  根岸  操
一枚の花菜畑がやわらかい     山崎せつ子
春ショール何かいい事ないかしら  西前 千恵
野水仙膨らんでくる海と風     小山 健介
子持鱈雪に寝かせて朝の市     越前 春生
咳一つすれば席空く電車なり    三浦 土火
白梅にはにかみの色ありにけり   秋山ふみ子
凧 いわきの海を空に聞け     櫻本 愚草
口外をしないと約束とろろ汁    大友 恭子
うぐいす餅粉吹く娘(こ)らの恋ばなし 河井 時子
摘めば又あは雪つみぬ蕗のたう   淵田 芥門
その時利休侘助と命名す      飯田 玉記
ウイルスに春の巨船は崩れゆく   関   梓
下萌に寝そべって聴く地の鼓動   石原 俊彦
取り敢えず空気をたたき石叩    前田  弘
雪解川ただようている眼と眼と眼  佐々木克子
盃に日差しいっぱい梅見酒     長澤 義雄
試着用鏡の前に春立ちぬ      戸川  晟
(はる)北風(きた)の出番ぞウイルス吹き飛ばせ 吉村春風子
紅椿呑み込む濤よ為朝忌      満田 光生
落椿落ちた所に固まりし      根岸 敏三
船星の甲斐の峠に吊されり     大槻 正茂
節分草地を這うようにして活写   宮腰 秀子
コロナ乗せ赤い国から春疾風    笹木  弘
ひとまずは平和のかたち小正月   川島 一夫
居酒屋で学べよ愚妻木の芽和    望月 哲土
雪解風そはかたむきて吹くといふ  水野 星闇
草萠やスパイクの咬む球技場    山口 楓子
私鉄驛靴磨かれて朧月       大森 敦夫
つばさ距離保つ電線見上ぐ春    佐藤八重子
一家に二人が暮らす花椿      髙野 公一

第1回 俳句研究会
1月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・夏目瑶・根岸敏三・石橋いろり・飛永百合子・関 梓
参加者 40名
★講話・・・戸川 晟「小唄の中の俳句等」

大根やしみじみ母性ある白さ    鈴木 浮葉
剣玉の音止みて雪良寛忌      大森 敦夫
虚飾なき冬木が好きとなる齢    吉村春風子
食堂の小母さんだった三が日    飯田 玉記
猿回し見てから足が軽くなる    新井 温子
振袖の襷きりりと弓始       戸川  晟
天辺の一個は月となる榠樝     宮腰 秀子
浜焚火一揆のごとく囲みけり    越前 春生
国会中継炬燵の猫が居なくなる   稲吉  豊
しあはせはこんなものかも餅雑炊  米澤 久子
大寒や二枚一度にシャツを脱ぐ   永井  潮
老妻は夫のAI冬ぬくし      関   梓
マスクマスク銅鑼に大口開く獅子  小山 健介
夜の更けて小正月ねと妻ぽつり   野口 佐稔
埋火や燃す文殻に失せぬもの    淵田 芥門
声出して駅名読む児春隣      近藤 斗升
何となく顔見知りなり初がらす   亀津ひのとり
四角の部屋四角に掃いて寒に入る  秋山ふみ子
大勢の中の孤独や冬すみれ     水落 清子
これ以上華にはなれぬ冬桜     長澤 義雄
遠い目をして一月の樹の声を聞く  山崎せつ子
雪女泣かせて多摩の夜明かな    三浦 土火
氷雨降る無声映画のような街    松元 峯子
鬼夫婦連れ添ううちに福寿草    石橋いろり
煮凝の鮒の目玉に見詰めらる    夏目  瑶
バックパスすまし顔する赤海鼠   大槻 正茂
トーストにコメダのあんこ女正月  根岸  操
じいちゃんのズボンを掴む冷たき手 山本ひまわり
初雪やみちのくは詩を生み易し   飛永百合子
初場所の小兵に湧ける桟敷かな   山口 楓子
冴ゆる夜や胸に真珠のネックレス  西前 千恵
群れ鴨の幹線道路横切った     佐藤八重子
喪帰りの川風頬に初時雨      水野 星闇
野鳥立つ生ける矢先の実千両    尾関 英正
初風呂や天籟と朝日満ちるなり   玉木 康博
初暦いい日を印(しる)す〇(まる)あまた 河井 時子
釣堀に横並びたる冬帽子      根岸 敏三
乳飲み児の天使の笑顔日向ぼこ   白尾 幸子
人違いされて泣き顔初詣      前田  弘
ひとまずは大根の茹汁のよう    川島 一夫

<令和元年活動記録>[2020年1月20日追加更新]

第12回 俳句研究会 12月21日(土)立川市子ども未来センター

担当幹事 秋山ふみ子・夏目瑶・小山健介・大森敦夫・戸川晟・関 梓
参加者 32名

霜の夜や母の肌衣に名札縫ふ    淵田 芥門 
注連飾る父の残せし釘の穴     根岸 敏三
何かを摑み落ちている片手袋    松元 峯子
サイパンの砂の小壜や十二月    新井 温子
煤逃げの夫や土産を提げてくる   根岸  操
独りになってより山茶花の多弁   戸川  晟
短編の父の一生開戦日       永井  潮
遺すものあまたかかえて去年今年  佐々木克子
居酒屋の席にも序列おでん酒    吉村春風子
山茶花や信玄道という直線     小山 健介
霜柱廃炉の影をざくと踏む     櫻本 愚草
能面の紐をきりりと近松忌     長澤 義雄
山眠るゆっくり話せばわかること  水落 清子
裸木の思索を破る着信音      関   梓
寒の雨喪中葉書にペットの名    石橋いろり
都電降りゆらり狐火入る小路    大森 敦夫
いつの間に小松菜好む姑と似る   佐藤八重子
朝練の靴ひも結ぶ寒さかな     山口 楓子
用なしの軽き身を置く冬日向    河井 時子
街中をポインセチアに荒らされる  山崎せつ子
今日も掃く落葉の好む我が門辺   夏目  瑶
初時雨聞こえぬ耳のわが心音    川島 一夫
埋み火の形(なり)祖父祖母のありしとぞ  水野 星闇
何事もなき日々のまま年暮るる   山本ひまわり
ポインセチア無音の部屋のアクセント  秋山ふみ子
母と娘(こ)のスキップ歩き街師走   西前 千恵
たつぷりと食うてでつぷり寒雀  三浦 土火
綿虫や生命線の短き掌        大友 恭子
酔うた振り恋した振りの暮の街  石原 俊彦
巻き果つる暦あらたな余生在り  飯島  智
八十路して不逞の輩おでん酒   飯田 玉記
目を見張る大樹の眼寒昴       髙野 公一

秋の吟行会
令和元年11月30日(土)  江戸東京たてもの園
快晴にめぐまれ34名の句友が集まりました。園内は江戸から昭和に至る30棟ほどの建造物が移築復元されています。建物を詠み、また降りしきる落葉の中、初冬の景を詠み、句材に恵まれた吟行会でした。 (関 梓・記)

  上位入選十句
今わたし冬日の江戸に里帰り     石原 俊彦
万世橋交番今日の迷子の落葉来る   佐藤八重子
落葉径奥まで行かば神隠し      松元 峯子
引退の都電にしばし日向ぼこ     野口 佐稔
武蔵野のむかしを透いて冬木立    藤原はる美
でこぼこの明治の玻璃戸冬もみぢ   秋山ふみ子
音といふ残らざるもの木の実落つ   吉村春風子
昭和遠し子宝湯へとペア・マフラー  稲吉  豊
浅き冬明治の午砲(ドン)は静まれり   関   梓
写真館頭(ズ) より冬日の自然光    水野 星闇    
  一人一句
着信や冬の都電は動かざる      大森 敦夫
たてものは生きもの木の葉降りやまず  芹沢 愛子
古民家の囲炉裏の匂ひ麦育つ     根岸  操
紅葉かつ散る遠き明治の冬館     西前 千恵
午砲(ドン)のある広場の昼餉冬紅葉   中田とも子
居酒屋の燗酒一杯九十円       根岸 敏三
木の実踏み後悔してる靴の底     水落 清子
足音の師走へ続く風の道       佐々木克子
冬麗や檪大樹の黄金色        夏目  瑶
菰巻の帯しめ亀の型なり       小川 夏葉
緋と燃えしノムラモミヂの一途かな  山口 楓子
紅葉かつ散り薬缶ゆたんぽ喋り出す  石橋いろり
薄暗き部屋にイロリの影ゆらり    伊藤 雅信
こも巻の松の平らか令和なり     宮腰 秀子
赫々(あかあか)と囲炉裏燃ゆ香や江戸農家 河井 時子
先人の知恵語り継ぐいろり辺     白尾 幸子
土間で炊く湯気のびのびと家充たす  遠藤 路子
大釜の今か今かといろり端      戸川  晟
紅葉映え手漉きガラス戸鮮やかに   椋  周二
ふるさとの縁側のよう吊し柿     飛永百合子
木の実雨明治のリズム連れてくる   宮崎 斗士
秋高し吸った空気が声になる     永井  潮
紅葉かつ散る是清の生きた家     小林 育子
茅葺の低き軒先大根干す       三浦 土火

第11回 俳句研究会 
11月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・玉木康博・山崎せつ子・蓮見徳郎・石橋いろり・根岸操・佐藤八重子
参加者 31名
★講話・・・松田抱空 「句集と童謡・唱歌」

洗いすぎたような半生木の葉髪      永井  潮 
帰り花うしろの正面もういない      蓮見 徳郎
叱られて風がほどよい冬はじめ      松田 抱空
枯れ落葉舞い込むように欠礼来      野口 佐稔
手さぐりの余生に描く冬桜        大友 恭子
バス停にお知らせ一枚冬ダイヤ      根岸 敏三
寒林を自在に歩き八十歳         前田  弘
団栗は独り歩きをして困る        飛永百合子
タピオカの黒きストロー クリスマス   根岸  操
海鼠噛むふと悪心の芽生えたる      稲吉  豊
緒方貞子さん難民の子と冬の虹      石橋いろり
木の葉散る幽かなる音聞き分けて     長澤 義雄
安達太良の空の青さや葱育つ       大槻 正茂
突風やラガーのやうに身を構ふ      尾関 英正
霜月や親子ときには他人めく       越前 春生
里芋の鍋蓋踊る夕まぐれ         三田村伸子
背泳ぎをしてみる冬の温泉場       鈴木 浮葉
風神は遊び足らずを木枯に        吉村春風子
冬の田や鍬に凭(もた)るる従兄(あに)の影 山本ひまわり
ワイパーの挟む木の葉や文のごと     秋山ふみ子
畳替へ女房にはかに古りにけり      三浦 土火
霜月の水に流せぬことのある       佐々木克子
団栗の太っちょ痩せっぽ独りぽっち    関   梓
袋の中訳ありりんごの溜息        松元 峯子
柿点描農婦鍬持ち朝日課         玉木 康博
残る虫厨に近く存(ながら)へて      水野 星闇
あの二人別れ模様の冬の駅        石原 俊彦
かたわらは雨に滲んで石蕗の花      山崎せつ子
此処に死ぬ冬蝶いろのなき野辺に     淵田 芥門
遠富士の初冠雪や刈野けむり       佐藤八重子
マスクかけおしゃべり奥さんやりすごす  蓮見 順子

第10回 俳句研究会
10月26日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  秋山ふみ子・佐々木克子・夏目重美・飛永百合子・大森敦夫・根岸操・佐藤八重子
参加者 43名
★講話・・・宮崎斗士 「兜太晩年」

記憶の川削ぎ取ってゆく野分かな   抜山 裕子
長き夜の一燈が生む一行詩      越前 春生
冬がもうすぐかけ算の一の段     新井 温子
紅玉の保守本流の酸味かな      稲吉  豊
両神山に遠吠えをきく月夜かな    三浦 土火
安寧に川は流れよ稲刈れよ      髙野 公一
居ない猫まだ抱いている母冬へ    宮崎 斗士
そぞろ寒行く所なき汚染水      中島 秀次
燕帰るよう兜太師は原郷へ      芹沢 愛子
ポケットにハザードマップ金木犀   野口 佐稔
国訛ないようであり衣被       佐々木克子
一斉に選句の黙や秋深し       秋山ふみ子
月ひとつ夜ごと名を変え十三夜    大友 恭子
豊かさは父母との暮し秋夕焼     水落 清子
樹の下の一本だけの曼珠沙華     山崎せつ子
熱の子に犬添ひ寝する秋時雨     山本ひまわり
秋深む風の便りにも消印       前田  弘
草千切れ魚(うお)影もなし神の旅   山口 楓子
鰯雲果ては彼の地か舞鶴港      石原 俊彦
木道の木目渦巻く百舌の声      大槻 正茂
ちちははに追いつけそうないわし雲  飛永百合子
気ごごろの知れた仲間や初紅葉    西前 千恵
病室の空は四角よ鰯雲        夏目  瑶
よく笑ふ部活の帰りゑのこ草     夏目 重美
草紅葉踏まれていよよ意を通す    吉村春風子
ハイヒール地底のホームに蚯蚓鳴く  関   梓
烏賊秋刀魚高騰されどおんぶ蝗    川島 一夫
忘れ音や月の剣を手水鉢       佐藤八重子
石段にあえぐ参詣夕紅葉       尾関 英正
生垣にまじる芒の二三本       河井 時子
三日月に私の悩みをひっかける    松元 峯子
冬晴れやうろこ光りの心字池     長澤 義雄
月天心シートの隙間のぞき過ぐ    櫻本 愚草
外に出でむ狗尾草の乱舞中      水野 星闇
言の葉の夢まぼろしや都鳥      根岸  操
新米の産地大文字包装紙       根岸 敏三
闇重く心の隙にきりぎりす      戸川  晟
がらんどうの頭の中をいとど跳ぶ   永井  潮
一瞬に大樹を隠す山の霧       飯田 玉記
元気かと朝の電話や枯葉散る     白尾 幸子
白獅子のピースサインやいわし雲   大森 敦夫
螻蛄鳴くや荒れ屋の裏の一塊の土   淵田 芥門
断捨離箱の片隅や土瓶蒸し      石橋いろり

第9回 俳句研究会
9月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・玉木康博・大森敦夫・根岸操・戸川晟・佐藤八重子・関 梓
参加者 39名

★講話・・・網野月を「表現における禁じ手は何か?~クラシック音楽の演奏と季語の共通性~」

新酒酌む父の知らざる齢生き      吉村春風子
最後なる兄の新米届きけり       中島 秀次
包装紙きっちり畳む今朝の秋      水落 清子
小鳥来る何か告げたき埴輪の目     越前 春生
交換手人の言葉で秋繋ぐ        櫻本 愚草
新涼の何かが違う朝の音        山崎せつ子
武甲山いつか平らに鳥渡る       亀津ひのとり
穴惑などと人間偉そうに        髙野 公一
虫すだく自衛隊の風呂のれん      石橋いろり
走り蕎麦無口の人が故郷(くに)自慢   戸川  晟
衣被つるり故郷ひき寄せる       西前 千恵
紅の濃き方が正面桃供ふ        稲吉  豊
夕顔や切れた電話の向こう側      大友 恭子
秋涼しするりと解ける片結び      秋山ふみ子
縁あれば碌でなしでも藪枯らし     網野 月を
彼岸花家族のやうにかたまりて     根岸  操
透明な風に遊ばれ秋桜         飯田 玉記
蘊蓄も薬味のひとつ走り蕎麦      石原 俊彦
草の花名もなく咲いて傘寿かな     河井 時子
秋の宵歎異抄など出してみる      山本ひまわり
秋茄子を肴に嫁が煮浸しへ       尾関 英正
言の葉を夕べに捨てる白木槿      松元 峯子
新月にある温もりや闇に闇       大森 敦夫
曼珠沙華すっくと人を欺かず      佐々木克子
書きよどむインクの滲み秋深し     佐藤八重子
生まぬ子を育てし母に感謝する     玉井 吉秋
頼まずとも研がれている刃新豆腐    関   梓
長き夜や人それぞれに人おもふ     永井  潮
ポヨポヨのおなか押し込む秋モード   三浦 土火
静けさや燕帰りし余呉の湖       夏目 重美
コスモス咲くこの先いずれ灼熱か    川島 一夫
月明の木道しるき尾瀬ヶ原       長澤 義雄
門口の水引草の白と紅         山口 楓子
紫苑(きく)手向けけふ初めての独り言  淵田 芥門
旅立ちぬ天の川へと旧き友       鈴木 浮葉
蜩や天に向かって駆けのぼる      白尾 幸子
だれかさんの小さい秋を見つけたい   新井 温子
ちちろ鳴く母は忙しく台所       根岸 敏三
秋出水この季語飛ばす超暴雨      玉木 康博

第8回 俳句研究会 
8月24日(土)武蔵野市かたらいの道・市民スペース
担当幹事  秋山ふみ子・佐々木克子・根岸敏三・水野星闇・根岸操・大森敦夫・稲吉豊・飛永百合子
参加者 36名
★講話・・・吉村春風子 「私見による俳句と短歌の違い」

老人の咀嚼八月十五日         越前 春生
ふた言の問ひにひと言冷奴       永井  潮
美術館は秋の器と思ひけり       秋山ふみ子
鳴かざれば己失ふ法師蟬        吉村春風子
万緑や足湯に十指遊ばせる       蓮見 徳郎
団扇風ゆるし合ふとはこんなこと    水落 清子
いくたびの土曜日があり百日紅     飛永百合子
新聞を畳み直して夏が逝く       山崎せつ子
今生の妻はこの人秋茜         三浦 土火
八月や幼なじみの真空管        前田  弘
銀座朱夏ガラスのビルの旗艦店     高坂 栄子
八月や妻はは祖母としての黙      新井 温子
螇蚸跳ぶ遠近眼鏡の視野越えて     稲吉  豊
雨垂れの一音一音秋に入る       根岸 敏三
豊穣のうねり案山子の得意顔      山口 楓子
ぼくは見て妻見ていない流れ星     大槻 正茂
戯れごとをかはす扇子の香の甘し    淵田 芥門
ばば抜きをして婆(ばば)となり夜の秋  根岸  操
知らぬ間に腿に青痣虎が雨       松元 峯子
脚光は浴びたことなし手に花火     鈴木 浮葉
敬老日自己申告の回覧板        西前 千恵
道端で俺を踏めとや秋の蟬       大森 敦夫
月観てる姉に少女の戻りたる      飯田 玉記
かき氷憲法談義しばし止む       戸川  晟
乱れ萩ゆっくり過ぎる五能線      蓮見 順子
越後平野に母と子四人敗戦日      野口 佐稔
欅(けやき) 櫟(くぬぎ) 楢(なら) 武蔵野の風涼し 内田 牧人
虚・虚・虚・虚と山ほととぎす身は虚ろ 櫻本 愚草
暁暗の空に道あり鳥渡る        長澤 義雄
繊月の宙に鎌おく熱帯夜        関   梓
八木節の声吸い込まる祭空       石原 俊彦
錠前の鍵みつからず秋に入る      飯島  智
青芒心底人を憎めない         佐々木克子
青空へゆるりと浮かぶ黒揚羽      玉木 康博
盆の客葬家達者を愛でにけり      水野 星闇
鳥人間潮風つかみ夏の空        石橋いろり

第37回東京多摩地区現代俳句協会俳句大会
令和元年7月13日(土)於・武蔵野スイングホール

 梅雨未だ明けやらぬ中、東京多摩地区現代俳句協会の俳句大会が開催された。出句者154名、投句数898句であった。
高らかに会歌をうたふ花の昼 操 (永井潮特選)のように恒例の会歌斉唱、司会は戸川晟副会長、根岸敏三副会長が開会宣言をされた。
 吉村春風子会長の挨拶、中村和弘先生はじめ、ご来賓の柏田浪雅本部幹事長、今野龍二・都区協総務部長、渡辺和弘・神奈川地区協副会長、並木邑人・千葉地区協会長の各氏よりご祝辞を賜りました。

講演する中村和弘現代俳句協会会長

 記念講演は現代俳句協会会長・中村和弘先生の「加藤楸邨のシルクロード」会場には「陸」編集長の大石雄鬼氏によりシルクロードの映像と音楽も流された。
 休憩後、成績発表に移り、大会賞をはじめ三十位までの入賞句と特別選者の特選句が顕彰された。大会賞の佐々木克子氏が受賞者を代表して謝辞を述べられた。その後、ご来賓はじめ大会の特別選者に講評を戴いた。句の核心を突いた選評は句友が一堂に会する俳句大会ならではの貴重な場であった。大森敦夫・事務局次長の閉会の辞をもち大会は滞りなく終了し、その後の懇親会も旧知の又新しい句友との和やかな交流の輪が広がった。(関梓・記)

〈大会賞作品〉
万緑の点となるまで歩きたい     佐々木克子

〈大会選者の特選句〉
 中村 和弘 選
かがり火の炎で濡れるかたつむり   玉井  豊
 並木 邑人 選
冷蔵庫別居の是非を入れてある    川崎 果連
 渡辺 和弘 選
万緑の点となるまで歩きたい      佐々木克子
 今野 龍二 選
あじさゐや二泊三日の流離譚      稲吉  豊
 沢田 改司 選
花菖蒲水に疲れて雲を見る       前田  弘
 安西  篤 選
父の日やちちそつくりの訛聞く     宇賀いせを
岩崎清太郎 選
啓蟄や動く歩道にのつかつて      秋山ふみ子
 岡本 久一 選
保育所はおやつの時間広島忌     かわにし雄策
 金谷サダ子 選
独りといふ自由に似てる花疲れ     藤倉 頼江
 田村  實 選
青空をつかんだ梅から咲き出しぬ    岩田  信
 遠山 陽子 選
ひろしま忌赤子のものが流れ来る    沢田 改司
 冬木  喬 選
今生きてゐるといふこと汗の玉     清水万ゆ子
 前田  弘 選
夜桜を燃える絵本と見ていたり     安西  篤
 三池  泉 選
さえずりをききわけているおじいさん  佐々木克子
 柏田 浪雅 選
ボクサーの父へ束ねて姫女菀      佐藤 映二
 江中 真弓 選
大いなるマンネリズムとしてバナナ   城内 明子
 三浦 土火 選
逢ひに行く今年も木曽へ夏帽子     吉村春風子
 佐々木克子 選
ポトフ煮て昔ばなしの山眠る      水落 清子
 水野 星闇 選
誰彼の尻見てすすむ潮干狩       永井  潮
 吉村春風子 選
二月尽日記に余白殖えはじむ      永井  潮
 根岸 敏三 選
本家よりすこし大きな墓洗ふ      小池つと夢
 永井  潮 選
高らかに会歌をうたふ花の昼      根岸  操
 山崎せつ子 選
逃水が逃げこむ遮断機が下がる     足立喜美子
 稲吉  豊 選
花火だねそだね静かなダージリン    戸川  晟
 戸川  晟 選
胎動を感じたあの日のチューリップ   水落 清子
 小山 健介 選
改元の五月ウィリアムテル序曲     永井  潮
 大友 恭子 選
天国をぐっとひきよせ曼珠沙華     戸川  晟
 根岸  操 選
過ぎし日日すべてうべなふ春嵐     西   遥
 蓮見 徳郎 選
半熟の太陽沈む春岬          高木 暢夫
 石橋いろり 選
冬りんご留守番の子の耳聡き      君塚 恵子
 大森 敦夫 選
積雪の光背後に爪を切る        高橋 宗史

37回 俳句大会 入賞作品
雛壇の一番下にアンパンマン      小坪亭ゑん
缶詰を開ければ海よ多喜二の忌     市川 春蘭
大いなるマンネリズムとしてバナナ   城内 明子
先のこと妻がぽつりと言ふ端居     吉村春風子
一斉に万の黙祷蝉時雨        かわにし雄策
春キャベツ切れば一面笑ひ皺      山下 遊児
恐竜に戻るクレーン朧月        原田えつ子
銀の匙青いカヌーとなるメロン     越前 春生
空間のあやとりをする螢かな      山本 敏倖
元通り畳めぬ新聞五月来る       永井  潮
ぶらさがるほかに術なしからすうり   今野 龍二
釣忍どこへも行かぬ人に買ふ      青木 絢子
コーヒーは吾が句読点日脚伸ぶ     高坂 栄子
年輪の育つ音して山眠る        國分 三徳
胎動を感じたあの日のチューリップ   水落 清子
疲れたら方言で良か五月病       原田 洋子
蕗の筋すうっと新しい人生       大西  惠
夜桜を燃える絵本と見ていたり     安西  篤
蛇口から春がとびだす小学校      岩田  信
小春日を付録のようにおばあさん    髙野 公一
フクシマを歩いた白靴の痛み      松元 峯子
口紅の少しはみ出る目借時       島田 啓子
しやぼん玉街なかにあるけもの道    柏田 浪雅
母の日の自由時間を使ひ切る      小峰 桃香
つまらない人だと言われ蚊を叩く    川崎 果連
古茶新茶出来ないことが増えてゆく   藤倉 頼江
売り声も風に泳がせ金魚売       蓮見 徳郎
花菖蒲水に疲れて雲を見る       前田  弘
なかなかのブラックホール春炬燵    加藤 三朗

第7回 俳句研究会 
7月27日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  秋山ふみ子・佐々木克子・永井潮・小山健介・玉木康博・飛永百合子・関 梓
参加者 38名
★講話・・・夏目重美 俳句における前衛と漂泊~闇の超越と達観と未来と~

片蔭に先住権のやうなもの     稲吉  豊
海霧深し島が迷子となっている   小山 健介
忘れたき事は忘れず夏蜜柑     関   梓
声かけてふれて明日捥ぐミニトマト 水落 清子
祖母からの風は低くて奈良団扇   石橋いろり
禿頭に雌の蚊妻の平手打ち     淵田 芥門
曝す書のふはりと落ちし正誤表   越前 春生
吊革に目瞑り祷るヒロシマ忌    野口 佐稔
帰省子の大の字に寝る青畳     河井 時子
梅雨寒や確かめられるフルネーム  飛永百合子
七曜を確かむ生活ところてん    大友 恭子
初デート花火の間合い長かりき   中島 秀次
セミ図鑑見て蝉を聞く都会の子   水野 星闇
セミナーを出で夏蝶と成る少女   早川恵美子
風の盆閑かに空を切る十指     新井 温子
金魚玉プロコフィエフのニ短調   大槻 正茂
氾濫の川を見ている青胡桃     佐々木克子
氷水グランドよぎる大薬缶     山口 楓子
貝風鈴籠の赤子の指動く      三浦 土火
夏蝶の翻りつつ色こぼす      秋山ふみ子
私のための嘘を下さいきりぎりす  戸川  晟
楸邨忌己が影追い坂上がる     山本ひまわり
育児終え非正規なんです夏の空   川島 一夫
夫と居る心の闇を螢とぶ      永井  潮
さはさはとスカート夏空の交差点  根岸  操
傘さして土木実習男梅雨      亀津ひのとり
耳よりな話耳から消えて秋     前田  弘
逢うたびに色逃げてゆく濃紫陽花  松元 峯子
向日葵の曇りの日には肩凝りし   根岸 敏三
忘れたい忘れてならない終戦日   飯田 玉記
汗拭いて散歩の犬と目を合わす   山崎せつ子
立飲みのきゆつと喉鳴る鱧の皮   米澤 久子
棘まみれ捻れ者の胡瓜捥ぐ     夏目 重美
砂浜に手掘り温泉月涼し      長澤 義雄
メロン来るいつもの律儀な顔も連れ 西前 千恵
夏の星水底うつす孤独かな     白尾 幸子
カロライナジャスミン青々梅雨の晴 玉木 康博
東海の蟹のたわむれ泡を吹く    櫻本 愚草

第6回 俳句研究会 
6月22日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 秋山ふみ子・佐々木克子・小山健介・山﨑せつ子・大森敦夫・根岸操・石橋いろり
参加者 39名
★講話・・・霧野萬地郎氏 「サファリ(旅)と俳句」

辣韭剥く一年分の寡黙かな        中島 秀次
大夏野そのまた先のオホーツク      長澤 義雄
欲しきもの年ごとに減り茄子を植う    永井  潮
含羞も止り木も死語太宰の忌       亀津ひのとり
納得の免許返納五月晴          新井 温子
来し方のひとつは触れず水中花      稲吉  豊
若者がただ集まって渋谷夏        山崎せつ子
水にある万緑深し鯉の口         髙野 公一
肩書のなき気安さよ夏帽子        越前 春生
断捨離や声すき通る夏座敷        栗田希代子
青葉風フルートの音跳ねまはる      満田 光生
捩り花今日こそ言おうか言うまいか    飯田 玉記
誰にでも「長い(ロング・)お別れ(グッドバイ)」街薄暑 野口 佐稔
十薬や封印したきこといくつ       秋山ふみ子
沈黙の闇重くする河鹿かな        戸川  晟
悩みごと葉裏に秘める蓮浮葉       根岸 敏三
コンドルは夏空を恋う檻の中       松元 峯子
街薄暑ポケモンとなる飴細工       小山 健介
南西風や摩文仁の丘の海鳴りぬ      夏目 重美
病床の妻への手紙螢籠          石橋いろり
末の子の嫁ぐ日きまりこあぢさゐ     大槻 正茂
父の日やサイズ細めの綿パンツ      根岸  操
雲間より顔洗ひたて梅雨の月       鈴木 浮葉
新記録伝えるラジオ青嵐         水落 清子
ハンカチをたゝみたゝみて愚痴つづく   河井 時子
落款の角(かど)が欠けたる夏の富士    大友 恭子
緑蔭や包丁を研ぐ音のして        山口 楓子
遠雷や父の口髭濃かりけり        佐々木克子
梅雨空や老いし前座の初高座       霧野萬地郎
払うても払うても貧乏かづら       三浦 土火
父の日や苦瓜じつと出番待つ       関   梓
私にも白化現象梅雨に入る        川島 一夫
麦の秋スマホに囲まれ文庫読む      白尾 幸子
さみだるゝ夜や悼む句をいかで詠む    淵田 芥門
一列に育つ茄子(なすび)や都市農家    西前 千恵
梅雨晴間子等の湧き出る小公園      石原 俊彦
残雪に雛追う雷鳥霧を抱く        櫻本 愚草
昼寝覚普賢乗せたる象の牙        大森 敦夫
みどり得て田の面に映る越の雲      水野 星闇

第5回 俳句研究会 
5月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  夏目瑶・秋山ふみ子・稲吉豊・根岸操・関 梓・戸川晟・玉木康博
参加者 39名
★講話・・・髙野公一 「おくのほそ道」のテキストについて

片陰を出で片陰に入る安堵      秋山ふみ子
ポケットの馬券嘶く薄暑かな     髙野 公一
物言はぬ埴輪に夏の来たりけり    三浦 土火
サングラスあなたが遠くなる真昼   山崎せつ子
いがぐりが蛇口に並び髪洗ふ     山口 楓子
塗り立ての登山者ポスト山開き    石橋いろり
寿命など平均するなほうほたる    前田  弘
噺家の箸にも櫓にもなる扇子     河井 時子
父在らば共に酒酌む初鰹       越前 春生
負はれたる兄の背中や子供の日    水野 星闇
たましひの乱舞とおもふ夏の蝶    根岸  操
昔から助六寿司よ祭笛        稲吉  豊
木曽に雨軒を彩る濃紫陽花      尾関 英正
宝石の音や浅蜊を量り売る      永井  潮
御代替り時の踊場蝶の舞ふ      櫻本 愚草
とべるかなでんでんむしのひとりごと 水落 清子
朝風の爽やかにして新生姜      穴原 達治
落し文受けとる人の今はなし     根岸 敏三
サングラス森羅万象やわらかし    飯田 玉記
間が持たぬ夫の親族五十雀      鈴木 浮葉
はや夏日都心のロッカー封鎖され   関   梓
えご散るや陸軍伍長某の墓      亀津ひのとり
糺の森五月の鷹のひそむかな     佐々木克子
初がつお呼び声荒き漁師町      大友 恭子
夏ハーレーダビットソンの爆音    松元 峯子
黒南風や木々大ゆれて空を掃く    夏目  瑶
夏涼し約束の日の河童橋       戸川  晟
冷蔵庫でなくて良かった捜し物    佐藤八重子
浮いて来いロヒンギャの子のテント小屋 夏目 重美
わがことよ高齢運転はぬけどり    野口 佐稔
いつの間に大人の顔に花は葉に    石原 俊彦
源義の遺墨や玉を解く芭蕉      米澤 久子
テーブルにせまりくるごとカサブランカ 西前 千恵
佐賀路行く黄河のごとき麦の秋    白尾 幸子
飼はるるも縁あるものや大金魚    大森 敦夫
鮎鮨や書院造りの座敷席       長澤 義雄
散り花や寄り合い談合田水張る    玉木 康博
煙吐くよう春光しのぐ氷川丸     川島 一夫
滝壺に脈打つ精の蒼白し       淵田 芥門

初夏の吟行会
令和元年5月11日(土)  府中市郷土の森博物館
 風薫る五月。総勢三十二名の参加者を得て吟行会を行いました。当日は好天に恵まれ、新緑の郷土の森には明治・大正・昭和初期などの数棟の文化財もあり、広場や水遊びの池には幼児らがあふれ、そのエネルギー迸る映像に佳句が生まれました。喧噪を抜けると鳥の声渡る寂とした空間に若葉風が。四季折々楽しめる郷土の森は再訪したいと言う声も多く聞かれました。句会場は、博物館内の会議室にて。嘱目二句、五句互選。 (石橋いろり記)

  

 上位入選十五句
赤帽黄帽万緑の句読点       佐々木克子
令和なる今日の一会や森五月    吉村春風子
夏立つや拭き磨かれて箱階段    藤原はる美
青梅を拾うひかりを拾うごと    髙野公一
子どもから先に夏来る声高く    有坂花野
裸婦像の筋肉保つ聖五月      関  梓
青葉風ハケの団子の焦げ具合い   夏目 瑶
麦秋や父の算盤五つ玉       根岸 操
まくなぎを払う役場のパンフレット 新井温子
言葉待つ句帳に走る蟻の黒     稲吉 豊
夏草や丸く石敷く祭祀跡      米澤久子
竹皮を脱ぐや代官平右衛門     夏目重美
青葉風ときをり止まる水車かな   秋山ふみ子
全裸とはいかず若葉の森林浴    三浦土火
水音と水の匂いの竹の秋      山崎せつ子

第4回 俳句研究会 
4月27日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 夏目瑶・秋山ふみ子・戸川晟・石橋いろり・根岸操・大森敦夫
参加者 41名
★講話・・・白尾幸子 「民話の世界」

豆飯を囲む昭和の子沢山       夏目 重美
囀りのまっ只中で告白す       佐々木克子
「どう思う」猫に問いかけ春の昼   松元 峯子
菜の花の黄色い時間目が痒い     山崎せつ子
アイロンに直らぬ折り癖昭和の日   米澤 久子
鍵冷えてポケットにあり桜守     永井  潮
蝸牛ぼく東京のいなかもん      前田  弘
少しずつ小さくなって桜餅      白尾 幸子
「類想ですね」ことごとく桜しべ降る 石橋いろり
外つ国の言葉ざわめく花の宵     石原 俊彦
風光る降りた児の押す乳母車     河井 時子
A列車桜月夜の吾の町を       大槻 正茂
引く波にころがり走るしおまねき   長澤 義雄
山笑う今満塁の草野球        小山 健介
崩るるも確と鎮座の白牡丹      三浦 土火
春暁の夢は草紙を繰るやうに     越前 春生
ミモザの黄三面記事の泣き笑い    大友 恭子
約束のやうな青空白木蓮       稲吉  豊
大いなる絹の流れか梨の花      水落 清子
身のどこか醒めて諾ふ遅桜      吉村春風子
鯉のぼり多摩の広場を泳ぎきる    西前 千恵
春陰や自分らしくといはれても    秋山ふみ子
児の去りて蛙と保育日誌かな     根岸  操
一文字の名前がよろし水中花     関   梓
春惜しむ平成惜しむ令和かな     中島 秀次
五月来るひねもす風と語る日々    宮井 洋子
人声ヤ春夜隣家ノ孤老死ス      淵田 芥門
平成を惜しむ列島さくら冷え     山口 楓子
遠目にもわかる白なり朴の花     飛永百合子
曇る日の明るさものの芽吹くとき   夏目  瑶
春の夕焼一合の米を研ぐ       新井 温子
少し痛む生きてる証四月尽      佐藤八重子
葉櫻や母は従順父頑固        飯田 玉記
ツピーツピーと開花うながす四十雀  宮腰 秀子
花冷やイエスの捕縛語り了ふ     満田 光生
楽し気にふるふるふるとわらび餅   鈴木 浮葉
人肌の恋しき時ぞ燕来る       戸川  晟
夕靄に見えし今年の柳萌ゆ      玉木 康博
投票日静かな朝や八重桜       大森 敦夫
桃咲いてブラックホールを見たか   川島 一夫
菜の畑の迷路で遊ぶ母と子と     根岸 敏三

平成三十一年度 定時総会 三月三十日(土) 於・武蔵野スイングホ―ル

 平成三十一年度定時総会・陽春句会は四十五名の出席を得て開催されました。夏目重美幹事の司会により、恒例の会歌である「多摩のあけぼの」を全員で斉唱。根岸敏三幹事長の開会の辞、吉村春風子会長の挨拶のあと、ご来賓の柏田浪雅現代俳句協会幹事長、山本敏倖東京都区協幹事長、川村研治神奈川県協副会長、檜垣梧樓千葉県協副会長の各氏よりご祝辞時をいただきました。日本の人口の減少、高齢化に伴い俳句界全体でも会員の減少に歯止めがかからない現状が危惧されているとのご発言がありました。
 続いて議長に大森敦夫氏、副議長に夏目瑶氏を選出し議事に入り、

  1. 平成30年度事業報告
  2. 同収支及び会計監査報告
  3. 平成31年度事業計画案
  4. 同収支予算案
  5. 役員一部変更の件

の各議案は原案通り承認、可決されました。
 休憩後の陽春句会は、特別選者二十八名の選の披講、成績発表が行われ、上位十五名の入賞と特別選者からの特選賞が作者に手渡されました。四人のご来賓の方々をはじめ、安西篤氏など顧問、参与、監査役の皆さんから丁寧な講評を頂きました。
 各部報告では、多摩地区現俳協創立三十五周年を記念して、平成30年12月に会員175名が参加して、合同句集『多摩のあけぼの・7集』(各自十二句)が発行されたこと、また毎月の俳句研究会、五月と十一月に吟行会が予定されていることなど石橋いろり事業部長から案内がありました。稲吉豊副会長の閉会の辞により総会および陽春句会は滞りなく終了しました。
 休憩の後、同会場にて懇親会が開催されました。
 乾杯のご発声を山本敏倖東京都区協幹事長に頂き、しばし歓談、和やかな雰囲気の中、戸川晟副会長の一本締めでお開きとなりました。(報告 飛永百合子)

陽春俳句会作品
入選十五句
音合はせはじまつてゐる春の山   川村 研治
音も無く鯉の反転寒明くる     稲吉  豊
初詣百歳からの杖を買う      清水 弘一
君は未だ萬年筆か春だより     松戸  圭
菜の花の先に海音背を伸ばす    小山 健介
きさらぎの木の伐り口の白い声   山崎せつ子
青き踏むどのポケットも使い切り  前田  弘
何もせぬ鼻ひとつ持ち入社式    遠山 陽子
煮凝りを掬ふときふと他人顔    原田 麦吹
人間の足跡のなき冬田かな     永井  潮
飛石に分岐点あり日脚伸ぶ     宮澤 雅子
ジーンズの二月役者でありにけり  檜垣 悟樓
刃を入るるまでは冷たき富有柿   柏田 浪雅
鏡中で氣変わりしたる更衣     地原 光夫
新雪や父の靴あとなぞりゆく    秋山ふみ子
    〇
掛軸へ戻る気配の揚雲雀      山本 敏倖
春寒や猫背をわらふ土偶の目    山口 楓子
全力で遊ぶ老女の初句会      水落 清子
野仏の目の中にいて春惜しむ    沢田 改司
終る平成見馴れた駅の見馴れた木  金谷サダ子
月の裏へ探査機雑煮餅焦がす    堀部 節子
母さんと手をつなぎたいつくしんぼ 岡本 久一
杖あれば九十九の坂も花の昼    三浦 土火
山笑う猫につられて出る欠伸    望月 哲土
マフラーの赤い存在久女の忌    三池  泉
冬菜摘む一区三坪の畑より     水野 星闇
光年のひかり溢るる春の水     関   梓
大寒の音立てて裂く白き紙     清水万ゆ子
辛夷咲くその本棚はその人に    白尾 幸子
空といふ広き自由を紙風船     吉村春風子
若者の路上の洗車水温む      野口 佐稔
裸木の呟きを聴く空青し      宮井 洋子
寒夕焼わが晩年を立ちつくす    安西  篤
点滴の水玉光る遅日かな      笹木  弘
曼珠沙華じゃまにならない明るさ  宮腰 秀子
隠国を出て佐保姫のうすまぶた   佐々木克子
雪女と知りつつ娶る男ども     飛永百合子
深刻な話がまるくシクラメン    岸本 陽子
推敲をしつづけてをり残る鴨    根岸  操
蒼々と木霊寒林澄みわたる     松元 峯子
そこそこに生きて今年の寒椿    戸川  晟
音止みてパワーショベルに春の風  大森 敦夫
わが残生見ゆる齢や葱の花     夏目  瑶
一喝の教室の黙魚は氷に      満田 光生
佐保姫を見たような気が転害門   石原 俊彦
頬杖をつく癖今も春の雲      蓮見 德郎
地平線草とびとびに夢の春     川島 一夫
諸鳥の声に日当る知恵詣      長澤 義雄
ジョギングや竹橋あたり冬うらら  田村 清子
メビウスの帯のごとくに初稽古   有坂 花野
ノックして春の気配の木戸の音   大友 恭子
春日向折り紙遊びの四代目     根岸 敏三
名医とて治せぬ老化水温む     浮海 早苗
陽春や百歳までのプレミアム    夏目 重美
春日傘ふと漏れ出でし京言葉    蓮見 順子
秋晴や空弁食べて母見舞ふ     五藤  航
山に来て沢水こおり動きなし    原田 梅蹊
待ち春やシテのうのうと五輪舞う  長野 保代
涅槃図に人哭き地獄絵のごとし   髙野 公一
雪催ようこそ雄雄し呱呱の声    佐藤八重子
合格と知らせ届きて紅白梅     西前 千恵
雪眼鏡笑顔の握手東口       岩崎清太郎
御代支え平成の春六十年      玉木 康博
昼夜逆巻く老犬と春の月      石橋いろり
湯冷めして独りの時間持て余す   一ノ瀬順子
梅かをるビルの角生え遠筑波    江中 真弓
春の青空早起きの瞳を凝らす    田村  實
残酷な幼い遊び目刺焼く      前田 光枝

第3回 俳句研究会 
3月16日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  夏目瑶・佐々木克子・永井潮・稲吉豊・佐藤八重子・関 梓

参加者 37名
★講話・・・夏目重美 「俳句における前衛と漂泊」

目一杯舌出す浅蜊妻の留守     永井  潮
笑みといふ無言の挨拶あたたかし  吉村春風子
春光や瞬きしないピカソの目    大友 恭子
芽柳や脱力といふ極意あり     鈴木 浮葉
春愁やホルダーに吊る鍵の数    稻吉  豊
薄氷やこの世の橋をあといくつ   越前 春生
ていねいに白球洗ふ弥生かな    根岸  操
鼻孔より春の入ってくる気配    新井 温子
啓蟄や生きものとして終るまで   山口 楓子
夜の底沈丁の香に突きあたる    山崎せつ子
未来へと大きく書いて卒業す    佐々木克子
アルプスをたすきでつなぐ春の駅伝 夏目 重美
春の海のたり焼玉機関音      小山 健介
春帽子押さえときめく曲がり角   川島 一夫
黄昏の縁切寺や紅椿        松元 峯子
故郷の山河飲み込む草の餅     石原 俊彦
三陸の記憶降り積む春の雪     櫻本 愚草
げんげ田の大空ありて鳶の輪    長澤 義雄
西に一人東に一人卒業す      中島 秀次
落椿歯に衣着せぬ友とゐる     西前 千恵
蕗の花防空壕の入口に       根岸 敏三
水温む天地の和する息づかい    戸川  晟
孤独なつかしグランドのふらここよ 大槻 正茂
春夕焼け秩父連山薄化粧      白尾 幸子
故郷より恩師の訃報春浅し     水野 星闇
かたかごやただうつむいてうつむいて 河井 時子
相槌は互いの馳走牡丹雪      関   梓
日々残業河津桜よ早く咲け     玉木 康博
入園児「生まれたときもばあばなの」 飯田 玉記
雪の残る老杉の道尽れば峪     淵田 芥門
国産みの神々出でよ桃の花     亀津ひのとり
行く雲を焼き山を焼き春日落つ   夏目  瑶
ともすれば過去へ旅する雛祭    佐藤八重子
不便さをクールと思ふ町朧     石橋いろり
蝶翅をとぢる水辺の石の上     米澤 久子
友を焼く山のけむりや春時雨    宮井 洋子
梅咲きぬ入れ歯外せるしじまかな  大森 敦夫

第2回 俳句研究会
2月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 夏目瑶・秋山ふみ子・水野星闇・飛永百合子・夏目重美・玉木康博・白尾幸子・石橋いろり
参加者 43名
★講話・・・大森 敦夫 「多摩八十八ヶ所巡拝記」

文旦の皮ほど厚い郷土愛     佐々木克子
山の名の地酒ふくめば春の雪   越前 春生
見るからに普通の役者豆を撒く  永井  潮
家事力はふつうでよろし菠薐草  秋山ふみ子
三月や百万人の「花は咲く」   根岸  操
吾が妻はいつも素つぴん梅の花  三浦 土火
母の胸埋もれる赤子蕗の薹    佐藤八重子
目借時大教室の文学論      夏目 重美
見上ぐれば見つめゐるかに春の月 夏目  瑶
半鐘を高く掲げて山笑ふ     笹木  弘
叱られて返すは欠伸春の犬    稻吉  豊
古雛シミシワもなくおすこやか  飯田 玉記
早春の青空すくっと大欅     西前 千恵
寒明けて犬の齢訊く者同士    水野 星闇
鷹鳩と化して航空音楽隊     満田 光生
鉄橋の音軽くなる春の空     根岸 敏三
雪女なゐの大地をさまよへり   中島 秀次
たんぽぽや一里四方のわが縄張  亀津ひのとり
寒月や書窓に古書の知を得たる  淵田 芥門
ひとつ老いふたつ解(ほど)けて毛糸編む 大友 恭子
大車輪の九十八年(とせ)春の月  石橋いろり
上京の友に故郷の春の泥     飛永百合子
春兆す記憶遠のく姉のいる    水落 清子
旋律の踊る連弾スイートピー   関   梓
春きざす好きなことだけ好きな日に 吉村春風子
労られ会釈をしては春の泥    宮井 洋子
青き踏む集合場所はどこだっけ  前田  弘
きさらぎの木の伐り口がさらされる 山崎せつ子
薄氷のそこにだけ日の輝きて   大槻 正茂
渇きたる大都にうすく雪有情   安達 昌代
葬列の傘開かせる春驟雨     石原 俊彦
まだ何か空ふっ切れぬ二月かな  河井 時子
青いネイルハーブティは春の香り 松元 峯子
耳たぶに瑠璃一輪やいぬふぐり  山口 楓子
唐突に番の狸月朧        小山 健介
外出の指差称呼桜咲く      白尾 幸子
花の兄すこし派手好き水戸訛   大森 敦夫
フクシマの子らの形代雛供養   櫻本 愚草
イルミネーション消えて冬月闇冴える 玉木 康博
春遠忌地酒の中の流離譚     関根 曳月
かまくらの中にもぐりて地酒酌む 長澤 義雄
天候は地球の呼吸寒波去る    川島 一夫
雛段の陰のスマホが喋り出す   戸川  晟

第1回 俳句研究会 
1月26日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  夏目瑶・秋山ふみ子・根岸敏三・石橋いろり・根岸操・大森敦夫・関 梓
参加者 38名
★講話・・・西室 登 「俳句作品にみる良寛の暮しと考え方」

たんぽぽや笑い上戸で老いざかり  水落 清子
モーツァルト聴かせ浅蜊の砂をぬく 永井  潮
煮凝になってしまいぬこころざし  佐々木克子
古里の夜具の重量虎落笛      稻吉  豊
根深汁鰥(やもめ)の父にもてなさる   水野 星闇
啓蟄に家を這い出す万歩計     吉村春風子
電飾がどこかそぐはぬ睦月かな   大森 敦夫
病む妻の手足となりて去年今年   越前 春生
吹き溜る戸籍不明の落葉掃く    夏目  瑶
改元や人それぞれの初御空     山口 楓子
願いごと一つに絞り寒詣      中島 秀次
投げこんでミットに寒の捕球音   亀津ひのとり
寒月やもぐらの塚の柔かき     大槻 正茂
気まぐれは誰れにもありし返り花  大友 恭子
着ぶくれて重たし源氏物語     根岸  操
朗朗と死の話する新年会      飯田 玉記
田作りのくっつき合って目を外らす 髙野 公一
雪吊りや風を捉える縄哭けり    河井 時子
寒稽古気合の一声空手女子     関   梓
冬波の寄する白線九十九里     西室  登
冬木の瘤また閉店の話聞く     小山 健介
寒空を睨みつけたり鬼瓦      松元 峯子
スーパームーンしばし忘れる口喧嘩 石橋いろり
万両は今年変だと実を落とす    川島 一夫
ふんわりと時間を乗せて枯葉降る  山崎せつ子
雨は雪に終着駅の私小説      前田  弘
てのひらにのせて一枚大枯野    飛永百合子
義士の日の回転扉ひとりづつ    秋山ふみ子
人日の味気なき世になりにけり   戸川  晟
思い出の大中小の筆供養      根岸 敏三
考える枯葦凍てど考える      淵田 芥門
寒空に頬紅潮の逆上り       佐藤八重子
八方のふさがる年や花八手     夏目 重美
杵高く餅つく外人身延山      白尾 幸子
今出来の刀剣水切り寒冴える    玉木 康博
一言にふたことみこと海鼠かむ   三浦 土火
露天湯に湯浴みして見る冬花火   長澤 義雄
消しゴムの迹の黒ずみ忘れ霜    飯島  智

(蓮見 徳郎)