会長/高木昭夫
事務局長/吉田久夫
事務局所在地/〒932-0102 小矢部市水島76

富山県現代俳句協会について

〇平成5年、「現代俳句北陸地区協議会」を発展・解消し、富山県現代俳句協会を設立。
〇平成18年から「富山県現代俳句協会ジュニア俳句大会」を開催して学校での俳句授業を支援している。
〇平成25年に設立20周年事業を実施。

会報PDF(2024年2月14日更新)

富山県現代俳句協会地区会報61号 令和5年12月1日発行

NEWS 2024年(2024年2月14日追加更新)

◇ 2024年度 定期総会・春季俳句大会 開催

3月31日㈰、富山県教育文化会館において富山県現代俳句協会の定期総会及び春季俳句大会を開催した。

1 定期総会
  以下の議案を審議し、すべて原案通りに可決した。(出席者44名)
  1号議案 ①2023年度事業報告 ②2023年度収支決算報告  
③2023年度監査報告
  2号議案 ①2024年度事業計画案 ②2024年度収支予算案
  3号議案 規約改正
  4号議案 役員改選
  ◎ 役員改選に伴い、会長に高木昭夫 事務局長に𠮷田久夫が就任した。
  ◎ 議案審議に先立ち、第4回富山県現代俳句協会賞及び準賞の発表と表彰を行った。

【富山県現代俳句協会賞】 飯干ゆかり
木の芽雨    飯干ゆかり
いつの日か家を出る子と初詣     
留守の子の箸片付ける木の芽雨
卒業や漫画の台詞口にして
観覧車降りて振り向く春愁
染め出しの乳歯を覗く日永かな
この夏もずつと一緒と思つてた
休暇果つ砂絵の砂のこぼれ落つ
運動会終へてテントの脚の束
野ざらしのピアノの鳴つて暮の秋
鯛焼や箱の湿りは戻らない
マラソンは生きる証や息白し
放課後の木琴触れて冬茜
見せかけの暖炉の灯クリスマス
往診の医師の普段着花八つ手
落胆の色は何色毛糸編む

【富山県現代俳句協会賞 準賞】 河岸佳子・西田道代

2 春季俳句大会
⑴ 会員一人1句の事前投句 全投句 85句
⑵ 当日一人5句の互選 参加者42名
⑶ 大会結果
【入賞】

天位 乳を飲む嬰の流し目春うらら  細野 千里
地位 春風を聞き分けて居る牛の耳  八尾とおる
人位 寒晴や連山白を荒削り     山本 正子
【入選】
干蒲団ただそれだけの平和かな  高井由紀子
春遅々と津波の痕を測量士    幹 自聲
肋骨のすき間を伸ばす寒の夜   勝守 征夫
鬼遣らい妻の病は追い出せぬ   坂田 直彦
変らない家並信じ燕来る     吉田 憲子
草の芽やすぐ小さくなる吾子の靴 河岸 佳子
辞書の「ん」の後にも言葉春隣  筏井 恵子
女の子育ててみたし桃の花    石田 英子
ボンネットの足跡いくつ猫の恋  松谷眞佐子
からみ合う風のいたずら虎落笛  木下 瞳
反戦の拳をあげる杉菜の子    中 静子
日脚伸ぶ眼鏡かけたり外したり  跡治 順子
見送られ大股で踏む春の土    坂田 紀枝
春の星指揮棒置きて男逝く    西田 道代
杖ながら一歩一歩と青き踏む   柄沢 恭子
雨傘を揺すって閉じるヒヤシンス 後藤みち子
囀りも爆発も聴けば聞こえる   高島 詩香
液状化を浚う球児ら春一番    垣内 和代
黄帽子の間を縫うてつばめ来る  飛世 峰子
ガザの子の深き瞳よ雪解星    久保美智子

◇ 2023年度 第4回役員会
2024年2月11日(日)建国記念の日 2023年度の第4回役員会を富山県教育文化会館で催した。
役員会では以下の事項について報告と協議を行った。
〈報告〉
1 会員動向について
2 第4回富山県現代俳句協会賞について
〈協議〉
1 定期総会について
 ⑴ 期日・会場
  ① 3月31日(日) 13:00~14:00(受付12:30~)
  ② 富山県教育文化会館 集会室 503号室(控室)
 ⑵ 議案
  ① 2023年度の事業報告及び収支決算報告 監査報告
  ② 2024年度の事業計画案及び収支予算案
  ③ 規約の一部改定
  ④ 役員改選
⑶ 実施要項
2 春季俳句大会について
 ⑴ 期日・会場
  ① 3月31日(日) 14:10~ (定期総会に引続き)
  ② 富山県教育文化会館 集会室 503号室(控室)
⑵ 実施要項
3 秋季吟行俳句大会について
 ⑴ 期日・会場
  ① 9月29日(日)
  ② ウイング・ウイング高岡
4 その他
  ① 会計担当より
  ② 会報担当より
  ③ その他
【役員会一句会高点句】
目覚ましの分解掃除日脚伸ぶ  幹 自聲
凍て星よ今も地球は青色か   吉田憲子
春月光地震で傾いだ家の黙   櫻打伸子

2023年

◇ 2023年度 第3回役員会

11月23日㈮勤労感謝の日 2023年度の第3回役員会を富山県民会館で催した。
役員会では以下の事項について報告と協議を行った。
〈報告〉
1 会員動向について
2 2023年 第2回北陸地区協議会について
3 創立30周年記念事業の総括について
 ⑴ 記念式典  ⑵ 全句講評秋季吟行俳句大会  ⑶リーフレットの発行
 ⑷ その他 
  ① 第4回富山県現代俳句協会賞応募状況 
  ② 役員改選
〈協議〉
1 2024年事業計画について
2 2024年定期総会について
 ⑴ 期日・会場
  ① 3月31日㈰ 13:00~(受付12:30~)
② 富山県教育文化会館 集会室 503号室(控室)
3 春季俳句大会について
 ⑴ 期日・会場
  ① 3月31日㈰ 14:10~ 定期総会に引き続き
  ② 富山県教育文化会館 集会室 503号室(控室)
 ⑵ 実施要項
4 今後の事業の課題について
 ⑴ 2024年秋季吟行俳句大会について
 ⑵ 2024年からの新規事業について
5 会計担当より
6 会報担当より
7 その他
【役員会一句会高点句】
間引かれし人参淡き香を放つ  金山美恵子
兄からの一俵どんと今年米   高木 昭夫
米を研ぐもう短日の夕厨    二口わこう

◇2023年 第2回北陸地区現代俳句協会協議会開催

9月18日㈪敬老の日、石川県女性センターにおいて2023年度第2回の北陸地区(福井・石川・富山)の協議会を開催した。
内容項目は次の通り。
1 第31回北陸現代俳句大会(富山大会 5月20日開催)の総括と会計報告及び協議
 ⑴ 報告(富山県高木副会長)
・前回の富山大会から投句数が減った(1,300句余り→900句余り)。ただ、協会員の高齢化や減少を考えると、致し方ない面もある。
・入選句数を増やすことも考えられる。
 ⑵ 会計報告(富山県栃原会計担当理事)
  ・ 協議を経て原案通り了承 
⑵ 次回石川大会に向けての協議
・賞状・賞品に考慮する。
・投句数や当日参加者の減少は高齢化等の致し方ない面もあるが、次回石川大会(2025年)へ向けては少しでも多くの投句、参加を促す工夫をしていく。
2 各県の現況や連絡等(進行:高木副会長)
(1) 石川県 関戸会長
① 令和5年度事業の経過と予定 
② 次回北陸大会の準備を始める。
(2) 福井県 小山副会長
① 令和5年度事業の経過と予定
② 会員が増えつつある。
(3) 富山県 森川事務局長
① 令和5年度事業の経過と予定
② 県協会創立30周年記念式典及び全句講評吟行俳句大会(9月23日)を催す。
3 一句会
(互選上位句)
少年の瘡蓋秋の虫になる    大沢輝一
秋光のかさなっていく未完の皿 関戸美智子
誕生日空蝉に息吹き込んで   笹次和子
敬老の日百歳が俎に載る    二口わこう

◇  富山県現代俳句協会 創立30周年
記念式典・全句披講秋季吟行俳句大会を開催!

1 記念式典の概要
9月23日㈯・秋分の日 午後0時30分より「ボルファートとやま」において富山県現代俳句協会創立30周年記念式典を開催した。森野稔富山県現代俳句協会会長の式辞に続き当日の来賓中村和弘(一社)現代俳句協会会長より祝辞を賜った。参加者一同本協会の30年間を振り返り、新たな歩みを誓った。
また、本協会の発展に尽くした次の3名を功労者として表彰した。
【功労者表彰】

〇 川上弥生氏
2007年2008年の本協会会長を務め、ジュニア俳句大会の創設に大きく貢献した。
〇 坂田直彦氏
2009年~2011年の本協会会長を務め、賛助会員制を導入して会員の増 強に努めた。
〇 白井重之氏
2012年~2017年の本協会会長を務め、財務の強化を図るとともに「富 山県現代俳句協会賞」を創設した。

2 全句披講秋季吟行俳句大会の概要
 ⑴ 当日参加数 34名
⑵ 投句総数 66句  
 ⑶ 会員による互選 一人5句
 ⑷ 大会講師 (一社)現代俳句協会会長 中村和弘氏
記念式典に続き中村和弘氏を講師に迎え、一句一句について丁寧な講評 をいただいた。また、中村和弘氏の選による特選1句、秀句入選3句を選んでいただいた。
⑷ 大会賞…天位・地位・人位 入選
  中村和弘選賞…特選賞 秀句入選
⑸ 大会成績
《大会賞》互選による入賞・入選作品

【入賞】
天位 秋思一つ流すに広き運河かな  富山市 河岸佳子
地位 どの影もみな受け入れて秋運河 黒部市 八尾とおる
人位 爽やかや金婚夫婦のテラス席  富山市 高島詩香
【入選】
 喧騒を鎮めて運河水澄めり    富山市 河岸佳子
 秋の雲池の田螺の独り言     高岡市 河合彰
 航跡の半円消える水の秋     魚津市 高木昭夫
 波立つは運河秋思の木のベンチ  氷見市 櫻打伸子
 閘門へ向かう舳先へ小鳥来る   氷見市 細野千里
 水湛え水を廻らし秋の風     富山市 森川敬三
 秋雲の透けてスタバのガラス張り 魚津市 高木昭夫
 老いの徒歩はげますように秋海棠 富山市 跡治順子
 空襲の歴史を沈め水の秋     朝日町 森野稔
 告白は糸電話なり小鳥来る    富山市 高島詩香
 茶店へ列脇をすーっとギンヤンマ 氷見市 坂田直彦
 戦さ今も運河の秋の匂い立つ   氷見市 櫻打伸子
 玻璃籠めの茶房素風のただなかに 射水市 幹自聲
 秋蛙飛んでたちまち水となる   富山市 森川敬三
 出航待つ軽鴨の子の列目で追って 氷見市 坂田紀枝
 船出れば雨と風呼ぶ秋彼岸    氷見市 垣内和代
 運河を下る約束の日の赤とんぼ  氷見市 坂田直彦
 秋彼岸フェリー乗場の吹流し   射水市 幹自聲
 雨あがる一気呵成に秋残し    魚津市 飛世峰子

《中村和弘選賞》 (一社)現代俳句協会会長 中村和弘 選

特選 秋渇き芥のみこむ鯉の口   富山市 古澤桃
秀逸 喧騒を鎮めて運河水澄めり  富山市 河岸佳子
 同 航行の舳先をよぎる渡り鳥  氷見市 細野千里
 同 告白は糸電話なり小鳥来る  富山市 高島詩香

 

◇ 第31回 北陸現代俳句大会開催!

1 大会の概要
5月20日㈯富山県民会館で、第31回 北陸現代俳句大会を開催した。北陸大会は、2年に一度北陸3県(富山・石川・福井)が持ち回りで開催している。
  ⑴ 投句総数 916句  当日参加人数 67名
  ⑵ 神野紗希現代俳句協会常務理事及び北陸3県各地区協役員の選句によって事前に入賞・入選作品を決定
  ⑶ 賞 大会賞…天位・地位・人位 入選
      神野紗希選賞…特選賞 入選
  ⑷ 大会当日の主な内容

   ① 大会長挨拶 森野稔 富山県現代俳句協会会長

   ② 記念講演 講師 神野紗希 現代俳句協会常務理事

   ③ パネルディスカッション 神野紗希 協会常務理事
                 森野稔 富山県協会会長
                 梅木俊平 石川県協会副会長
                 中内亮玄 福井県協会会長

   ④ 成績発表及び表彰
   ⑤ 次回開催県挨拶     関戸美智子 石川県現代俳句協会会長

2 大会成績
【大会賞】
天位 水のこゑ星のこゑ聴き紙を漉く 石川 梅木俊平
地位 青蜜柑生家は無声映画です   石川 関戸美智子
人位 父の歯を磨く淋しさ柿の花   富山 平野もとみ
〈四位〉   
一句には一句の重さ寒卵       福井 蜂谷純江
〈五位〉
ぼたんゆき時は静かに溯る      福井 小山柴門
やがて伐る印の樹にも菰を巻く    富山 跡治順子
ほどほどの生命線や冬至風呂     富山 河岸佳子
冬の火を丸める越中鋳物店      石川 大沢輝一
〈六位〉
 こどもの日キリンが大きく首を振る  富山 坂田直彦
 子の部屋の見知らぬ月日古暦     富山 飯干ゆかり 
 百年の煤置く梁や笹子鳴く      福井 横川一子 
 無口の子独楽扱いは名手なる     富山 跡治順子 
 地球には痛点ばかり蜃気楼      福井 中田良一
 受け答え切らさずお婆鰤捌く     富山 田中憲子
 答えなき問いをぐるぐる金魚鉢    福井 松島可奈
 句会には尖った鉛筆菊日和      富山 坂田紀枝
 点滴に命あづけて雪を見る      福井 吉嶋みな子
 夜学子や昼の匂ひをそれぞれに    石川 藪野忠行

【神野紗希選賞】
◎ 特選賞
われからの鳴くや少年のイヤフォン  富山 飯干ゆかり
青蜜柑生家は無声映画です      石川 関戸美智子
未来からの春風めくる戦争記     富山 櫻打伸子
○ 入選
針金を組んでマネキン夏の果     富山 森野稔
流木に残る夕焼け暖炉燃ゆ      石川 梅木俊平
菜屑など埋めしあたりの霜の花    富山 青木恭子
ころ柿の一つもっちりお留守番    富山 加藤英一
水のこゑ星のこゑ聴き紙を漉く    石川 梅木俊平
買初はセルフレジなりと見こう見   福井 柄谷せつ
小寒や棺の家に赤児泣く       富山 吉田憲子
うんと近づく冬空と白孔雀      石川 関戸美智子
泡白く眼鏡を洗う秋思の手      福井 小林史於
圧力鍋湯気の噴出兜太の忌      福井 前川康子
薄荷飴ばかり残りて銀河濃し     富山 平野もとみ
やがて伐る印の樹にも菰を巻く    富山 跡治順子
深海の鯨のむくろ海平ら       富山 飯干ゆかり
吹雪く野を顔三角にして覗く     福井 西又利子
言い分の双方正し毛糸玉       富山 久保俊一
春潮白し遺影もて旅ゆけば      富山 玄葉志穂
もろこしの受粉日しるす農日記    富山 高木昭夫

◇ 2023年度 第1回役員会

4月15日㈯ 2023年度の第1回役員会を催した。
今年は以下の特別の事業を行うので、その詳細について打ち合わせを行った。

1 北陸現代俳句大会(北陸3県の俳句大会)
※1 大会投句は締切済
※2 協会員以外も当日参加可能(参加費:1,000円)
⑴ 日時 5月20日㈯ 12:30~16:30 
⑵ 場所 富山県民会館 4F 401号室
⑶ 主な内容
① 記念講演 「他者と生きる 俳句の可能性」
講師:現代俳句協会常務理事 神野紗希 氏
② 投句作品に関するパネルディスカッション
パネラー:神野紗希氏 3県代表者
③ 入賞・入選作品の表彰

2 富山県現代俳句協会創立30周年記念事業
⑴ 記念式典及び全句講評秋季吟行俳句大会 
※詳細は7月1日付富山県現代俳句協会の会報による。
① 期日 9月23日㈯
② 場所 ボルファートとやま
③ 主な内容
ⅰ 記念式典
ⅱ 秋季吟行俳句大会
  講評者:現代俳句協会会長 中村和弘 氏
⑵ 記念リーフレットの発行

【一句会高点句】
  満身に帯びる春愁撫で仏  𠮷田久夫
  灯台は昼休み中湾うらら  吉田憲子
  春月光か細い鈴の猫帰る  櫻打伸子
  花冷えや雨の午後には筆ほそる 高田実
  霾ぐもり地球たまには反転せよ 古澤桃


◇富山県現代俳句協会 定期総会及び春季俳句大会を開催!

2023年3月12日㈰ 3年ぶりに集会形式で本会定期総会及び春季俳句大会を開催しました。
定期総会においては、2022年度の事業計画及び収支決算報告、2023年度の事業計画及び収支予算案をすべて原案通り可決しました。
俳句大会においては、参加者39名全員による互選(総句数91句 一人5句選)によって以下の結果を得ました。

〈入賞〉
天位 仏飯のお下がりを足す若菜粥   氷見市 細野 千里    
地位 黒板のすみっこ「卒業まで十日」 高岡市 栃原百合子
人位 生きてゐる証に門の雪を割る   魚津市 大久保置箔

〈入選〉
  冬滝の音に心棒ありにけり     南砺市 久保美智子
  風光る父拭く兄の節くれ手     魚津市 高木 昭夫
  見つめれば応えてくれる寒椿    黒部市 沖村 幸子
  裸木に夕日の深く入りゆけり    黒部市 山本 正子
  埋め尽くす付箋は翼鳥雲に     富山市 飯干ゆかり
  雪見障子下げて読みこむ夜の稿   氷見市 山崎 和子
  金縷梅やまもなく赤子もう一人   富山市 古澤  桃
  街なかへ滑りこむ春セントラム   魚津市 盛本紀久子
  猫ときに獣の匂い小春の縁     氷見市 坂田 直彦
  春暁やポットに注ぐ湯の調べ    魚津市 轡田 映子
  日めくりのようなそよ風すみれ草  富山市 森川 敬三
  紅梅のほぐれて目覚めゆく五感   富山市 河岸 佳子
  小豆粥吹き閑々と老いてます    富山市 跡治 順子
  はいはいの指先はずむ桜貝     富山市 日合 英子
  ゆらめきは春待つかたちチンアナゴ 朝日町 平野もとみ
  大切な物の手触り紙風船      南砺市 珠凪 夕波
  前髪を短くそろへ青き踏む     砺波市 玄葉 志穂
  冬の鳶空の青さに迷ひ込む     砺波市 沖田 泰子

2022年の行事

◇富山県現代俳句協会 秋季吟行俳句大会 2022 9月23日(金)(秋分の日) 

3年ぶりに秋季吟行俳句大会を開催しました。当日は、降雨もある曇天の一日でしたが、43名の参加者が久し振りに顔を合わせました。水族館や遊園地、総合公園など多くの句材に恵まれた会場で、たくさんの秀句を得ました。
また、今回の大会は、NAPs(なっぷす 魚津総合公園活性化に取り組む魚津市のパートナーシップ企業)の共催と魚津市・ミラージュランド(遊園地)の協力を得ました。大会初めての試みとして、NAPsの支援を得て投句すべてを電子入力し、印字の清記を配布して選句し、パソコンによる点盛り集計を行いました。


写真は左から順に 人位: 久﨑富美子氏 天位:二口わこう氏 地位:飛世峰子氏

○ 入賞・入選作品
【入賞】
天位 空席に昼の虫乗せ観覧車   二口わこう
地位 秋雨やビタミン色の遊園地  飛世峰子
人位 ゆる/\と秋思を廻す観覧車 久﨑富美子
【入選】
 霧を脱け霧へ沈める観覧車     幹自聲
 家持の歌碑拾い読む秋の雨     坂田直彦
 秋思ともペンギン一羽下を向く   林紀男
 ペンギンを見てゐる余生秋ひと日  漁俊久
 秋霖やひつそり飼はれ傷の鮫    青木恭子
 三千の山波かくす霧の海      中静子
 回るたび秋持ちかえる観覧車    八尾とおる
 秋雨の空もてあます観覧車     八尾とおる
 ペンギンの手は翼とか秋楽し    沖村幸子
 秋水に群れて小魚影持たず     𠮷田久夫
 億年の石の集まる川は秋      林紀男
 秋霖を見詰め虚ろな木馬の瞳    大久保置箔
 この津にも新宿のあり秋燕     髙田実
 能登霞む有磯の海の秋時雨     中川泰信
 秋雲や海を陣取る定置網      吉田憲子
 家持碑の古文字潤す秋の雨     高木昭夫
 背高の蒲の穂揺るるビオトープ   高木博子
 山裾に雲の切れ端秋彼岸      森野稔

◇2022年度定期総会・春季俳句大会(3月4月)

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、3月に富山市で行う予定だった年次定期総会と春季俳句大会の集会開催を取止めた。総会議案ははがき等の通信によって承認。俳句大会も郵便による互選に変更。大会は会員一人一句97名投句で、投句者の互選により28句を入賞・入選とした。


入賞の、左から 老犬と分けるアンパン日脚伸ぶ 吉塚氏、日本海丸ごとすする鮟鱇鍋 野坂氏

【春季俳句大会入賞・入選句】(高点順・句番号順)
【入賞】
天位 老犬と分けるアンパン日脚伸ぶ  吉塚三津枝
地位 日本海丸ごとすする鮟鱇鍋    野坂千佳子
人位 心にも杖を一本桃の花      柄沢 恭子
【入選】
  月光を集めて武器となる氷柱    川辺智惠子
  折鶴を添へて病食雛の日      久﨑富美子
  大試験終え駅前の大判焼      福島やす子
  理科室の空の水槽春愁       𠮷田 久夫
  歩かねば発見はなし春帽子     堀 智恵子
  兎小屋覗きつつ去る卆業子     小池 弘子
  鳥帰る池はのっぺらぼうとなる   中  静子
  スニーカーの結び目固し新学期   飛世 峰子
  耕しの腕に昭和の来てゐたり    八尾とおる
  半生を昭和に生きて大根干す    河岸 佳子
  恙なく朝餉のめざし左向き     飯田 悦子
  草の芽や卆路を生きるスニーカー  中島 三枝
  戦争もコロナも知らず冬かもめ   漁 俊久
  喪の家に赤子の家に雪の降る    河合 彰
  春愁をそつと置き来し地下茶房   山下久美子
  姉逝ったお手玉春の宙に舞う    坂田 紀枝
  春めくやなかなか切れぬ長電話   布本美知子
  海鳴りを吞んで一夜に雪積る    吉田 憲子
  肩甲骨十ミリ下げて春の街     森沢恵美子
  皹の一番風呂といふ痛み      高木 博子
  大根煮る明日といふ日を信じつつ  久保美智子
  友来たるつばくろ来たるあたりから 玄葉 志穂
  床屋より帰り饒舌山笑ふ      池﨑 悦子
  好きな色後に残す子雛あられ    氷林 紀男
  蕗の薹公民館の調理室       石田 英子

◇第1回役員会(4月16日) 富山県教育文化会館会館

役員会に先立って、第3回富山県現代俳句協会賞及び準賞、2022年春季俳句大会入賞の表彰を行った。
 【協議内容】
1 2021年度実施事業の総括について
2 第31回北陸現代俳句大会について(2023年5月20日実施予定)
3 秋季吟行俳句大会について(2022年9月23日実施予定)
4 富山県現代俳句協会30周年記念事業について(2022年9月23日を中心に)
5 2023年からの鹿機事業について
 【一句会】高点句
 ひらがなの様に母老ゆ春の月    平譯宏修
 地下壕で国家うたふ子春隣     鈴木幸雄
 野仏にほどよき化粧花吹雪     垣内和代
 草の名も知らず春野の主となり   河合 彰
 人類は未熟甘夏もてあまし     森野 稔

◇第三回富山県現代俳句協会賞

 第三回富山県現代俳句協会賞を次のように決定いたしました。

 富山県現代俳句協会賞は、二年に一回富山県現代俳句協会会員を対象に、十五句を一編として募集しています。今回は、二〇二一年十二月二十五日に募集を締め切ったところ一七編の応募があり、現代俳句協会会長中村和弘氏の審査によって、入賞作品が次のように決まりました。入賞作品から句を紹介します。

富山県現代俳句協会賞会賞と準賞受賞の、左から久保氏、森川氏、吉田氏

富山県現代俳句協会賞 「爪の行方」 森川敬三(富山市)

古着屋のジャンパーそこに居るような 

午前五時万年筆の冷たさよ

歳晩の切りたる爪の行方かな

富山県現代俳句協会賞 準賞 「秋闌ける」 久保俊一(氷見市)

手から手へ微熱の移る水蜜桃

O型と記する秋夜のヘルメット

烟るごと老いたまう母むかご飯

富山県現代俳句協会賞 準賞 「可動橋」 吉田憲子(黒部市)

潮風に羽根ふくらませ雀の子

骨拾う児に箸長し蟬時雨

男の子揚羽の国を見たと言う

 

令和4年度事業報告

◇三役会 
・1月6日 5名出席 定期総会議案の検討

◇役員会
・4月16日 役員会 19名出席 
 第31回北陸現代俳句大会実施計画案の決定 
 秋季俳句大会実施計画の決定 
 富山県現代俳句協会30周年記念事業基本計画の決定 
 2023年からの新事業計画立案と会員増加策

◇総会及び春季俳句大会取止めに伴う紙上審議及び大会3月~5月 
 2021年度の事業及び収支決算の報告 
 2022年度の事業計画及び予算案の承認

◇北陸現代俳句協会連絡会
・4月29日 12名出席  
 第31回北陸現代俳句大会実施案の決定 会員増加策の検討

2021年行事

◇第15回記念 ジュニア俳句大会 表彰式開催 2021年11月20日(土)

 

富山県現代俳句協会主催の第15回ジュニア俳句大会の表彰式を開催した。
5月1日(土)から7月31日(土)までに応募のあった小学生から高校生までの作品1,028句の中から、富山県現代俳句協会賞 大賞1句、大賞準賞1句、協会賞3句、共催の北日本新聞社賞5句、他に秀逸と佳作など選び表彰した。
なお、2003年に創設した同大会は、ジュニアへの俳句普及や学校教育への貢献という役割を果たし、今回で終了することになった。

《入賞作品》
【富山県現代俳句協会会長賞 大賞】
席がえは一番後ろまど青葉  高岡市立伏木小学校四年 舟本篤史

【富山県現代俳句協会会長賞 準賞】
炭酸のように消えてく夏休み  南砺市立南砺つばき学舎八年 東英里香

【富山県現代俳句協会会長賞】
スポイトで採っておきたい夏の空  南砺市立井波中学校三年 山崎結加
天の川星が流れるすべり台  氷見市立灘浦小学校五年 北鹿渡唯奈
きんぎょたちえをかくようにおよいでる 魚津市立星の杜小学校六年 山崎莉音

【北日本新聞社賞】
えんぴつの長さそろえる春休み  高岡市立伏木小学校三年 佐藤玄基
インゲン豆兄と弟背が同じ  滑川市立西部小学校五年 木村 藍
渡せずに机に眠る二月のチョコ  南砺市立福光中学校三年 桃野恵里
稲妻が約六秒の静を生む  南砺市立福光中学校三年 五天結子
はるちかいやっと二回の二じゅうとび  高岡市立伏木小学校二年 奥田大誠

【秀逸】
おにやんま「この指とまれ」をすどおりか  氷見市立灘浦小学校六年 竹森遙華
とうさんもぼくも大きちはつもうで  高岡市立伏木小学校二年 髙寺琉矢
かけっこのれんしゅうパパにかつ五月  高岡市立伏木小学校二年 石田光祐
うごかない大きくしすぎた雪の玉  高岡市立伏木小学校五年 宮﨑琉賢
玉結び家で特訓つゆの夜  富山市立古沢小学校五年 古川大遥
金魚鉢私も中に入りたい  南砺市立福光中学校三年 常本明里
雪積もる不安とともに十五の朝  射水市立小杉中学校三年 寺澤寛武
太陽の片分れ落ちてトマト  射水市立小杉中学校三年 舘 明良
春が来たピンクの風のお通りだ  入善町立入善小学校五年 藤井 聖
まいごかなこんな所にカブトムシ  魚津市立清流小学校三年 手嶋柚莉乃
すいかわり家族の声に耳すませ  朝日町立さみさと小学校五年 長津丹那
はるのかぜじゃんぐるじむのおにごっこ  高岡市立伏木小学校一年 舟本朱璃
時計草記憶を連れて枯れていく  黒部市立清明中学校三年 若田 涼
そうめんのつるり喉中滑り台  南砺市立南砺つばき学舎七年 中嶋結衣
お手伝いそ父のはたけのミニトマト  朝日町立あさひ野小学校四年 竹内海羽
運動会声援の中風になる  朝日町立あさひ野小学校六年 坂本響亮

【佳作】
冬の月つかみたくなるほうせきだ  入善町立入善小学校五年 竹村一華
休日のおばあちゃん家のさくらもち  南砺市立福野小学校五年 小森天羽
雨あがり水たまりのにじとびこえる  氷見市立灘浦小学校五年 橋本七海
あさがおのはっぱはぼくのてのはんぶん  高岡市立伏木小学校一年 吉井英都
検温とマスクして観るけんか山  高岡市立伏木小学校三年 頭川知弥
カラスの子歩いて尻尾指揮をとる  黒部市立清明中学校三年 山越雄貴
冷房がついてゾンビが生きかえる  南砺市立南砺つばき学舎七年 河合直生
風に乗り青葉若葉が話し出す  南砺市立福光中学校三年 廣川 羚
星月夜小さな小さな演奏会  射水市立小杉中学校三年 栢 千晶

◇2021年 第30回記念 北陸現代俳句大会(富山県関係)

第30回記念 北陸現代俳句大会の結果が発表された。福井県で5月9日に集合大会を開催する予定だったが、紙上大会に変更となった。富山県関係者の入賞入選者・句は次の通り。

【福井県知事賞】森川敬三

大寒の皿純粋な玉子焼き (受賞十二句より)

【福井県現代俳句協会賞】森野 稔

秋灯の揺らぎはシャドーボクシング (受賞十二句より)

【佳作】櫻打伸子 小池弘子 坂田紀枝 坂田直彦

【奨励賞】高木昭夫 細野千里

◇2021年度定期総会・春季俳句大会(通信/3~4月)
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、3月に富山市で行う年次定期総会と春季俳句大会を取止めた。総会議案ははがき等の通信によって承認。改選人事案承認による新役員は下記のとおり。俳句大会も郵便による互選に変更。107名投句、投句数214句、互選により32句を入賞入選とした。
【新役員】
会長:森野稔 副会長:二口わこう、高木昭夫 事務局長:森川敬三
理事:沖村幸子、垣内和代、金山美恵子、河合彰、河岸佳子、川辺智惠子、幹自聲、櫻打伸子、鈴木幸雄、高田実、栃原百合子、中川泰信、平野もとみ、平譯宏修、古澤桃、吉田憲子、𠮷田久夫
【春季俳句大会入賞入選句】(高点順)
天位 手鏡で足りる身支度山笑う    跡治順子    
地位 地球儀の中はからっぽ春の風   平野もとみ
人位 逆上がりせむと子が蹴る春の土  久﨑富美子
   祖母の肩黙って揉んで巣立ち行く 田中憲子
   啓蟄や重機ガブリと土を食む   佐々木妙子
   寝たきりの母が目で追ふ吊し雛  久﨑富美子
   憂きことを消しゆく音や葱刻む  野坂千佳子
   吾亦紅ただ相槌がほしいだけ   高井由紀子
   若返りのツボ押してみる春隣   福島やす子
   しなやかに全員手話の卒業歌   宮西昌子
   深呼吸してから看護ヒヤシンス  久保美智子
   変はらねば進まぬ一歩桃の花   久保美智子
   春ショール軽く結んで席を立つ  後藤みち子
   目が合うて名前浮かばず春うらら 芹田きみ子
   なりわいの歴史ふくらむ紙風船  日合英子
   ミイラ展午後は先祖の春田打つ  吉塚三津枝
   寒空や喪主を務める19才    川西かず江
   心持ち伸びる猫背の母の春    平譯宏修
   息白く始発電車の軋む音     中 靖子
   腰曲がる妻如月の風を来る    森野 稔
   罪なしと言へぬ来し方青き踏む  森野 稔
   蓋の無い日本海に立つ雪女    八尾とおる
   折鶴をしずかにたたむ朧かな   白井重之
   山桜しづかなる午後始まりぬ   玄葉志穂
   残雪が引き上げて行く山奥に   幾島淳隆
   石蹴りによさそうな石草青む   筏井恵子
   春の海サーファー授乳時間なり  轡田映子
   村中が眠りに落ちて春の月    盛本紀久子
   春の湾あくびのような潮目かな  吉田憲子
   野梅咲くびょうびょうと白岩川  小池弘子
   蜃気楼消へて沖空がらんどう   山下久美子
   啓蟄の田に造成のショベルカー  谷口昌子

◇第1回役員会(4月17日) 富山県教育文化会館会館
 ・秋季吟行俳句大会について
 ・ジュニア俳句大会について
 ・第3回富山県現代俳句協会賞について
 ・会務の分担について
 ・【一句会】
   をんな坂枝垂桜のとほせんばう   鈴木幸雄
   灯台の背伸びしたがる春の空    吉田憲子
   花の夜の男だましという茶菓子   河合 彰

過年度の行事

◇令和二年富山県現代俳句協会協会秋季俳句大会

新型コロナウイルスの感染拡大防止を受け、黒部市で行う予定の秋季吟行大会は中止になり、はがき等の通信による俳句大会に変更しました。九月九日締切で九十六名、百九十二句(一人二句投句)の応募があり、互選により三十二句が入選しました。

天位 端居して風に聞かせるひとり言    久﨑富美子
地位 どこへでも行きたい新車夏帽子    石田英子
人位 捕虫網いま少年になるところ     八尾とおる
   ごみ出しの児の爽やかな遠会釈    田中帝子
   踊り子の指の先まで風の盆      吉田憲子
   生きること時に面倒九十の夏     中島三枝
   ひぐらしや詰め込み癖の小引出し   吉塚三津枝
   早稲刈れば日の香土の香散居村    林 紀男
   土砂降りのあと渾身の蟬時雨     久﨑富美子
   子蟷螂のほたりと落つる草の上    高木昭夫
   燕帰るその黄昏のがらんどう     小池弘子
   あるがまま生きるがベスト猫じやらし 漁 俊久
   腹の底許す友いて秋刀魚焼く     平譯宏修
   隠し干す妻リハビリの黒水着     大久保置箔
   横顔のいがいと愛嬌青大将      山本正子
   峡の句碑瀬音遊びて紅葉映ゆ     早川範子
   ゆるやかに行き交う蛍浄土めく    大倉寿恵
   ズボンにはポケット五つ秋深し    筏井恵子
   白き帆のまだ点点と秋夕焼      堀 智恵子
   大粒の雨音展げ青蓮         青木恭子
   自分史は俳句に託す秋の蝶      大久保置箔
   回覧板秋の金魚に届けたり      河岸佳子
   米騒動の蔵の枯蔓沖青し       松田喜義
   赤茄子の熟れて喧嘩はもうおしまい  平野もとみ
   蓮の花ふっくら煙草は止めました   坂田直彦
   新涼の風まっすぐに宅急便      野坂千佳子
   煮て焼いて揚げてグラタン茄子づくし 跡治順子
   餌を運ぶ蟻の早足原爆忌       西田道代
   虫時雨時折澄んだソロの声      鹿熊紀子
   灯り消し人魚となれり月の部屋    吉田憲子
   ちちろ虫程好き距離にゐて平和    牧野きよ子
   この道は一方通行稲穂垂る      布本美知子

◇富山県現代俳句協会協会賞発表と春季俳句大会

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、総会の開催は中止となった。かわりに、議案書を会員各位に配布・検討いただき承認を得た。同時に葉書通信による春季俳句大会を実施した。
また、昨年7月に応募開始した第二回富山県現代俳句協会賞(中村和弘会長選)の入賞者を発表した。

第2回富山県現代俳句協会賞(新作15句1編で25編応募、3月29日発表 下記は抜粋)

正賞「15の日常」 白井重之
 青年の代田深くて真水充つ
 青田あおければ中有の日が暮れず
 小津安二郎名画にちらと落霜紅
 真言ひびく寺に老いたる月の輪熊    

準賞「浦日和」 漁 俊久
 冬たんぽぽぽつりと海の明るさに
 能登入日海を花野にしてしまう

準賞「化石」 鈴木幸雄
 天領にある顔のない内裏雛
 貝独楽を競う腕白炭鉱の町

春季俳句大会 (応募数1人1句で応募数104句、4月下旬に発表)

天 位 干鰈海へゆきたい貌ばかり   八尾とおる

地 位 地の息吹指にあつめて蓬摘む  澤井悠紀子

人 位 聖女にも鬼にもなれず介護春  西田道代

17点 靴下の破れ穴より春来たる   玄場志穂

16点 梁と言ふゆるき曲線雛まつり  川辺智惠子

14点 絵馬が絵馬打つ音乾く梅日和  垣内和代

13点 しばらくは聞き役となり桜餅  河岸佳子

12点 起き抜けの雉子の高鳴き子の忌日 坂田紀枝

12点 卒業す明日は看護師髪たばね  堀智恵子

12点 抽斗の隅に合鍵地虫出づ    後藤みちこ

11点 村を出て村が気掛り雪の夜   池﨑悦子

9点 目覚めたる五感の背伸び春来たる 浜田律子

9点 体当たる音のみ響く春場所   木下 瞳

9点 ひそと出てひそと戻りし大試験 高尾久子

8点 鳥帰るウィルスの無き大空へ  柄沢恭子

8点 マフラーの百の巻き様街うごく 佐々木妙子

8点 術後の脚にかける重心春北斗  櫻打伸子

8点 啓蟄やマグマ溜りにある不穏  二口わこう

7点 ひろひろと薄氷の田を立山の風 金山美恵子

7点 剪定の空より音が降ってくる  飛世静子

7点 親分のやうな猫ゐる冬田道   飯田悦子

7点 割り算の余りは妹雛の間    跡治順子

7点 山笑う凸凹の道生き抜きて   平澤宏修

7点 正門より姿勢正しく雉の入る  勝守征夫

6点 弱音など吐くな吐くまいクロッカス 久保美智子

6点 神さびの赤き椿の根のうねり  平野もとみ

6点 しつけ糸引けばほつれり梅の白 吉塚美津枝

6点 雛飾る妣の使ひし六畳間    久﨑冨美子

6点 しくじりを年と諾う春の雨   大倉寿恵

6点 おぼろ夜の湧水ころろころころろ 山下久美子

6点 小走りの黄色の帽子よもぎ餅  石田悦子

6点 日脚伸ぶ握り鋏で取る毛玉   古澤 桃

6点 村ひとつ呑みこむばかり杉花粉 林 紀夫

6点 春の畑起こす高ぶり鍬先に   丸田美恵子

◇第13回富山県現代俳句協会ジュニア俳句大会

日時 令和元年11月9日
場所 富山県教育文化会館

第13回の富山県のジュニア俳句大会には県下の43校から1685句の応募があり、41名の入賞作品が決定した。表彰式には受賞者、保護者など約百十名が参加。表彰のあと、出席者の作品全句について講評があり、みんな熱心に聞き入った。

富山県知事賞

逆上がり足の間に虹がある      水島大哉(小六)

富山県教育委員会賞

オリオンざ指さす父と魚信待つ    浦田公喜(小五)

富山県現代俳句協会会長賞

しかられて春のこたつにもぐりこむ  春日華(小五)

母の日の手紙机に入れておく     野村匠(小六)

暴れ馬みたいな波だ春あらし     竹田涼香(小六)

一本のわたあめわけあう夏まつり   本田芽生(小三)

おにのやくおわってふくから豆おちた 木下明里(小二)

 

富山県現代俳句協会秋季吟行俳句大会

 日時 令和元年9月1日
 場所 富山市 富山市民プラザ

  参加者三十七名。一人二句投句。吟行地は富山城址公園、松川、環水公園などの公園が多い地だが富山市中心部でもある。中央通り、総曲輪通りなどの繁華街があり、街なかを詠もうという意気込みの中で多くの良句が詠まれた。講評はパネルディスカッション形式とし、パネラーだけでなく大会参加者からも発言してもらうようにした。熱い議論がかわされる吟行俳句大会となった。

天位 石垣の上はのつぺら秋の風       高木 昭夫
地位 緑陰は風来るところ普羅の句碑     坂田 直彦
人位 新涼の城内立札「カラスに告ぐ」    坂田 紀枝
 
   (写真は大会の会場風景)

平成30年度活動報告

◇役員会(年3回)
  • 8月5日  富山県教育文化会館
    秋季吟行俳句大会について
    ねんりんピック富山2018について
    第29回北陸現代俳句大会(石川県金沢市)の作品募集について
  • 11月23日 役員会・役員交流会
    次年度事業計画について
    ジュニア俳句大会の再開(第13回)について
    秋季大会の吟行地の選定
    その後、役員交流会を実施。
  • 2月3日 富山県民会館
    総会に付議する議案について
    秋季吟行俳句大会の候補地説明
    ジュニア俳句大会の再開を確認

いずれも、役員会の後は一句会を開催した。一句ごとに活発な議論を展開した。3回役員会の高点句は次の通り
 8月  怠け身に西日の銃を向けられし  森野 稔
     落蝉や初めて人を見るまなこ   高木昭夫
11月  野菊晴子ども埴輪は歯が痛い   坂田直彦
 2月  園長の赤い褌鬼は外       二口わこう

◇三役会(年1回)
  • 1月17日 北日本新聞社2階
    収支決算など役員会提出議案の確認
    会報担当者、賞状揮毫者の負担軽減対策について
    秋季大会の吟行地の候補地提示
◇秋季吟行俳句大会 

 9月2日、大会会場の高岡市生涯学習センターは高岡駅前にあり、近くには、高岡大仏や古城公園、少し離れて、山町筋、金屋町等の古き時代の風情を残した町並みが続いている。45名参加。全員で互選した。合評はパネルディスカッション形式で行ったが、できるだけたくさんの発言がでるように配慮した。
成績は、次の通り

天位 こおろぎの髭つきあたる地獄絵図   宮西 昌子
地位 大仏の結ぶ手にある小さき秋     久﨑富美子
人位 どすんと秋歩きたかろう「大仏さん」 八尾とおる
四位 古井戸の開かずの蓋にある秋思    久﨑富美子
五位 大仏の胡座の上に秋棲めり      八尾とおる
   秋風鈴銅器の街の音を売り      鈴木 幸雄
六位 家持に会えそうな坂萩の風      堀 智恵子
   団栗の詩にあるほど転がらず     新保 吉章
七位 大仏の光背雲はすでに秋       中 静子
   学習室の頭が並ぶしんと秋      筏井 恵子
   秋の蚊や袋小路の赤提灯       河合 彰
   はつ秋のまなかに在す大仏さん    小池 弘子
   夫婦句碑なぞれば萩の風が来る    坂田 直彦
   四阿は男の居場所城址秋       西田 広子
   土蔵説く城下の訛萩の花       早川 範子
   ブロンズのあんぱんまんや秋まろし  高木 昭夫
   大佛の鼻梁色なき風の中       二口わこう
   自動扉に放り出されてよりの秋    新保 吉章

◇定期総会・俳句大会

 3月31日、富山県教育文化会館。総会・俳句大会出席者63名 俳句投句者109名(事前投句)。
 前年度の事業報告や新年度事業計画・予算を決めた。新年度事業計画には、ジュニア俳句大会の再開や富山県現代俳句協会賞の募集などが盛り込まれている。
そのあと全員の互選によって、俳句入賞作品を決めた。

総会風景 平成31年3月31日撮影

  • 俳句大会入賞作品

天位 峡という大きな器雪しんしん    八尾とおる
地位 落葉焚く父を叱りて泣きたき日   平野もとみ
人位 風紋は母の文かも春渚       山下久美子

4位 日脚伸ぶ時計の遅れ直さねば    青木恭子
   春キャベツ脳味噌ほどのやわらかさ 野坂千佳子
5位   春一番ほわんと鳴らしゆく電車   梅原恵美子
6位   演奏の余韻をつつむ春ショール   四十物敦子
7位   空の蓋開くるが如き鰤起し     鈴木幸雄
   薄墨の紙干す工房梅日和      西田広子
   初蝶のとまればはなになりにけり  澤井悠紀子
   料峭の鍵穴にある遊び癖      後藤みち子
8位   乳足りた赤子の眠り雛祭      坂田紀枝
   ねまり牛梅ひとひらを背に乗せて  高長亜子
   堰切ってふれまわりたり水の春   小野寺千恵
   海苔を掻く波を巧みに長寿眉    田中憲子
   うららかやロマンチストに齢なく  石田英子
   待つものにさくらの花と新元号   大久保置箔
   啓蟄や土蔵の裏の縄梯子      松谷眞佐子
   梅二月父が背に負ふ弾の痕     二口和幸
   生まれ来る嬰待つ朝桃の花     亀谷正恵
   胸のうち明かすに座る雛の前    久﨑富美子
   春の宵西行法師の杖の音      東 霊女
10位  戦なき平成仕舞い鳥帰る      川辺智恵子
   荻生てふ駅名に惹かれ春の下車   盛本紀久子
   女子高生余寒の駅を沸き立たす   金山美恵子
   まだ生きていると知らせる年賀状  真野賢一
   明日といふ不確かなもの春の風   川上弥生
   介護また一日一生山笑う      青木章子
   「竜宮の使い」遣わす春一番    中島三枝
   二枚目を脱いで休憩畑を打つ    梅田ひとみ

 ◇会報(年2回)

7月1日 12月1日

 

(森野 稔)