2013年6月1日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 薄なびく機罐車が曳く四十輌 加藤楸邨 評者: 鈴木八駛郎 加藤楸邨ほど旅の足跡を残した人は少ない。人間の存在の確認と、自己発見をおこなった俳人である。奥の細道紀行、隠岐紀行など、句集作品ほとんどに生きる原点をさぐるための旅の作品が集録されている。 旅は未知の土地、自然、人間 […]
2013年5月21日 / 最終更新日 : 2019年1月29日 gendaihaiku 現代俳句コラム なんという運命ぞ山も木も野分 細谷源二 評者: 鈴木八駛郎 昭和16年、細谷源二は新興俳句弾圧事件に巻き込まれ、2年6ヶ月余の拘留生活の、東京拘置所を出獄したのが、18年6月であった。当時は本土空襲や東京大空襲が始まるときであった。終戦の年の7月14日、源二、父母、妻、子供2人 […]
2013年5月11日 / 最終更新日 : 2019年1月29日 gendaihaiku 現代俳句コラム 十勝野に我立つと四顧の霞かな 河東碧梧桐 評者: 鈴木八駛郎 河東碧梧桐が正岡子規没後、日本全国遍歴を志して東京の寓居を出たのが明治三十九年八月六日であった。東北の各地を経て、翌年の二月二十五日、夷の国、函館に旅の足を踏み入れ、蝦夷地の旅がはじまった。翌日海上を渡り釧路・根室に至 […]
2013年5月1日 / 最終更新日 : 2019年1月30日 gendaihaiku 現代俳句コラム 船医上陸ジャカランタ青い花 金子皆子 評者: 山中葛子 船医と降りるジャカランタの青い森 平成17年80歳。肺の癌が背骨に転位し、痛みの強まる日々の中、6月9日『花恋』により北溟社「詩歌句大賞」を受賞された金子皆子は、21日には、7階の最上階のポスピスに移られた。その部 […]
2013年4月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 霧笛の夜こころの馬を放してしまう 金子皆子 評者: 山中葛子 『花恋』の「白い花白い秋」の章に収められているこの句は、診察治療を受けるために海辺の街に滞在する皆子の部屋の濃密な静けさと繋がってくる。 エレベーターで五階へ冬空ののっぽ 鯛焼き一つ私に秋の窓二つ 誰もいない […]
2013年4月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 「あれが海です」聖夜砂嵐砂嵐 金子皆子 評者: 山中葛子 金子皆子の第4句集『花恋』の「花幻」の章に収められている句である。熊谷在住の金子兜太夫人の皆子は、平成9年に右腎悪性腫瘍のため、右腎臓全摘の手術を受けられ、その後の平成12年、尊敬する主治医が千葉県旭市の旭中央病院に移 […]
2013年4月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 秋思より臼杵移りつつありぬ 荒地繪理 評者: 辻脇系一 この句集のペンネーム荒地繪理は、赤尾兜子主宰の「渦」へ投句をしていた時の新妻博氏のものである(これを書くにあたり敢えて本名を遣わせて戴くこととした)。 随筆や詩集、句集など著作も多いが氏を思うとき不思議とこの句が思わ […]
2013年3月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 馬腹蹴る眼球は野に満ちあふれ 山田緑光 評者: 辻脇系一 戦後俳句シリーズ24山田緑光句集の中で「緑光俳句には肌で感じ肉体で捕らえてその襞の部分を思い切り抉りとって見せる、と言った強烈な生々しい現実感が漂うものが多い」と、解説で田沼俊氏が指摘している事だが、自分には、昭和29 […]
2013年3月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 馬の尻馬の尻ここは雪の国 細谷源二 評者: 辻脇系一 これは、細谷源二の第三句集『砂金帯』の中の句である。源二と云えば「地の果てに倖せありと来しが雪」が知られているが、昭和30年に自分が初めて山田緑光先生からお借りし書き取ったこの句集を今思い出しながら忘れがたいのは不思議 […]
2013年3月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム バスを待ち大路の春をうたがはず 石田波郷 評者: 山口木浦木 平浩二の往年のヒット曲に「バス・ストップ」がある。「バスを待つ間に泪を拭くわ」で始まり、バス停を絡めた人間ドラマが描かれている。作詞家の視点が面白い。 波郷の句は人間ドラマではなく自然の移り変わり(春の到来)をバス停 […]