2016年5月16日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 春風や川浪高く道をひたし 內田百閒 評者: 花房八重子 桜吹雪につつまれた旭川の土堤沿い、内田百閒記念碑園に石碑のような文学碑が建つ。川向こうに後楽園があり、岡山城も見える。 この土堤には、約300本の桜があり桜並木が続き、満開の頃は車が渋滞する。花吹雪の中で一瞬、異次元 […]
2016年5月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 蟬たちのこなごなといふ終はり方 澤田和弥 評者: 対馬康子 澤田和弥は、昭和五五年浜松市生まれ。早稲田大学俳句研究会などを経て、平成二五年には「天為」新人賞を受賞し、第一句集『革命前夜』を上梓した。 風に吹かれる落蟬を、都会の路上やベランダなどでよく見かける。まだ力が残ってい […]
2016年4月16日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム またの世は青磁双魚として逢はむ 恩田侑布子 評者: 対馬康子 「俳句はあらゆる境に開かれているはずです。俳句は現実との格闘と、想像力の往復運動をエネルギーとして、三界の馬塞なき荒野を駆ける一馬でありたい」(『余白の祭』)と願う恩田侑布子という俳人は、異才と呼ぶにふさわしい数少ない […]
2016年4月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 鯉裂いて取りだす遠い茜雲 中島斌雄 評者: 対馬康子 中島斌雄は戦後間もない昭和二一年「麦」を創刊。社会性俳句や時代思潮へ積極的に論作を展開し、若い世代を牽引した。同時に現代俳句協会創立に参画し、後に現代俳句協会副会長に就いた。「雲秋意琴を売らんと横抱きに」「雪沁むや戦火 […]
2016年3月21日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 閑さや岩にしみ入蟬の声 芭蕉 評者: 髙野公一 『曾良旅日記』と呼ばれるものには、日記本文の他に「俳諧書留」が含まれている。旅の俳席での歌仙はもとより、芭蕉の単独の発句も書き留められている。市振の章段で「曾良にかたれば、書きとどめ侍る」との一行からも伺えるように、恐 […]
2016年3月11日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 五月雨の降のこしてや光堂 芭蕉 評者: 髙野公一 「三代の栄耀一睡の中にして、大門の跡は一里こなたに有。」に始まる『おくのほそ道』平泉の章の最後に置かれた一句である。それはこの章段を完結させるばかりでなく、『おくのほそ道』という文学空間の最初の大きな句読点にもなってい […]
2016年3月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 一家に遊女もねたり萩と月 芭蕉 評者: 髙野公一 『おくのほそ道』には合計62句の発句がちりばめられている。それらは旅の途中で生まれた旅吟であり、句はそれが生まれたその場面に置かれている。読者は作者の意図にそって、そのようにこの〝歌物語″を読んで来た。 昭和・平成とい […]
2016年2月21日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 葉櫻や箸をつかふは業に似て 秦夕美 評者: 福本弘明 俳句を詠む楽しみは、苦しみでもあるのだが、読むことに関しては、まず楽しいと言ってもよい。どのように読もうと、読み手の自由だからである。それは、多くを語れない俳句の特性でもあり、面白みでもある。 掲句を読んで想像したの […]
2016年2月11日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 白日傘ゆけどもゆけども爆心地 前川弘明 評者: 福本弘明 いまだに地球上では内戦や紛争が絶えず、水爆実験まで行う国がある。二度も原爆を投下され、戦争の悲惨さを味わった我が国でさえ、憲法9条が揺れている。日本を取り巻く世界情勢を見れば、致し方ないと思われる面もあるが、つくづく人 […]
2016年2月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム あおあおと銀河にもある津波痕 高岡 修 評者: 福本弘明 3・11の記憶は時間とともに薄れてゆくのであろう。いずれ体験者もいなくなり、後世には大災害の一つとして記録に残るだけである。東日本大震災は千年に一度の大震災と言われる。9世紀にも、東北地方を襲った貞観地震と呼ばれる大地 […]