2013年4月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 「あれが海です」聖夜砂嵐砂嵐 金子皆子 評者: 山中葛子 金子皆子の第4句集『花恋』の「花幻」の章に収められている句である。熊谷在住の金子兜太夫人の皆子は、平成9年に右腎悪性腫瘍のため、右腎臓全摘の手術を受けられ、その後の平成12年、尊敬する主治医が千葉県旭市の旭中央病院に移 […]
2013年4月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 秋思より臼杵移りつつありぬ 荒地繪理 評者: 辻脇系一 この句集のペンネーム荒地繪理は、赤尾兜子主宰の「渦」へ投句をしていた時の新妻博氏のものである(これを書くにあたり敢えて本名を遣わせて戴くこととした)。 随筆や詩集、句集など著作も多いが氏を思うとき不思議とこの句が思わ […]
2013年3月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 馬腹蹴る眼球は野に満ちあふれ 山田緑光 評者: 辻脇系一 戦後俳句シリーズ24山田緑光句集の中で「緑光俳句には肌で感じ肉体で捕らえてその襞の部分を思い切り抉りとって見せる、と言った強烈な生々しい現実感が漂うものが多い」と、解説で田沼俊氏が指摘している事だが、自分には、昭和29 […]
2013年3月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 馬の尻馬の尻ここは雪の国 細谷源二 評者: 辻脇系一 これは、細谷源二の第三句集『砂金帯』の中の句である。源二と云えば「地の果てに倖せありと来しが雪」が知られているが、昭和30年に自分が初めて山田緑光先生からお借りし書き取ったこの句集を今思い出しながら忘れがたいのは不思議 […]
2013年3月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム バスを待ち大路の春をうたがはず 石田波郷 評者: 山口木浦木 平浩二の往年のヒット曲に「バス・ストップ」がある。「バスを待つ間に泪を拭くわ」で始まり、バス停を絡めた人間ドラマが描かれている。作詞家の視点が面白い。 波郷の句は人間ドラマではなく自然の移り変わり(春の到来)をバス停 […]
2013年2月20日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 春風や闘志抱きて丘に佇つ 高浜虚子 評者: 山口木浦木 大正二年の作と言われている。西暦で言えば一九一三年であり、今からちょうど百年前の作品となる。 いい句には時代を超えた説得力があるのだろう。この句に接すると元気が出てくる。激励の要素が少なからずあるのだ。しかもユーモア […]
2013年2月10日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 春山の腰のあたりを越えゆけり橋 閒石 評者: 山口木浦木 この句の魅力は何か。一言でいえば、艶やかな擬人法だろう。 「春山の腰のあたり」という表現がポイント。「春山」と「腰」を他の言葉に置き換えてみたらどうなるか。 春山ではなく夏山、秋山、冬山ならどうか。この句の主眼が艶 […]
2013年1月31日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム けふぞはや見ぬ世の旅の更衣 大淀三千風 評者: 瀧 春樹 信徳や桃青を「小短冊」と斬って捨てる理由の一つに次のようなことが喧伝されていた。 桃青は行脚の際、三ヶ月しか仙台に逗留しなかった。これは三千風の勢力が強くてあまり歓待されなかったのではあるまいか、と――。 三千風の […]
2013年1月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 金風の心(しん)の柱や御本山 大淀三千風 評者: 瀧 春樹 日本行脚の旅に出た大淀三千風は、一六八四(貞享元)年六月二十一日、豊前小倉に上陸し、豊後、肥後と引杖の旅を続ける。 長崎における僧侶たちの三千風評は面白い。「情愛は兼好に勝る」とか「歌は赤人に隣す」などと言われ、西行 […]
2013年1月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 柳髪も世を秋風の手剃りかな 大淀三千風 評者: 瀧 春樹 井原西鶴の「西鶴大箭数」を意識していたか否かは不明であるが、大淀三千風は第二の故郷とも言うべき仙台に滞在した折に 空花を射る矢数や一念三千句 三千風 を巻頭とする「仙台大箭数」を著し、大箭数の号を用いてもいた。江 […]