2012年9月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム みぞおちの辺りが孤独レモン買う 岩渕真智子 評者: 川辺幸一 ジュニア研修部の活動でご一緒する岩渕真智子さんから句集『レモン』が届いた。掲句はその句集名された作品である。 「みぞおち」は急所のひとつである。そこが「孤独」とはどういうことを言うのだろう。実はこの句が生まれる前年、 […]
2012年8月31日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 祈るべき天とおもえど天の病む 石牟礼道子 評者: 堀之内長一 「1950年代を発端とするミナマタ、そして2011年のフクシマ。このふたつの東西の土地は60年の時を経ていま、共震している」――石牟礼道子との対話『なみだふるはな』(2012年3月刊)の序にある藤原新也の言葉である。 […]
2012年8月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 若きらの踏み出すさきの枯野かな 大道寺将司 評者: 堀之内長一 宮沢賢治の俳句が「宮沢賢治の俳句」であるように、大道寺将司の俳句もまた、どこまでも「大道寺将司の俳句」である。「大道寺将司。1948年生まれ。東アジア反日武装戦線〝狼〟部隊のメンバーであり、お召し列車爆破未遂事件(虹作 […]
2012年8月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 鳥屋根を歩く音して明けにけり 宮沢賢治 評者: 堀之内長一 6月に出版された石寒太著『宮沢賢治の全俳句』。大きな文字で「賢治の俳句を知っていますか?」と帯にあり、私も「えっ!」と一瞬驚いたのだが、そういえば、思い当たる節もあるような。さっそく文庫版の「宮沢賢治全集3」をみると、 […]
2012年8月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 凍鶴を廊下の奥に折り疊む 八田木枯 評者: 遠山陽子 鶴も、八田木枯の作品に多く登場するモチーフの一つである。 逢坂や微熱の鶴は夜遊びに 引鶴のばさつく音の夜陰かな 鶴引きし夜をうずきたる指かな 鶴よりもましろきものに處方箋 半鐘は下ろされ鶴 […]
2012年7月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム こみあげて母打擲す芒かな 八田木枯 評者: 遠山陽子 八田木枯氏の句集『於母影帖』には母の句が多い。というより、この句集は意識して母をテーマとする句を中心として編まれたものなのである。ちなみに平成七年の殆ど同時期に木枯氏は『あらくれし日月の鈔』を刊行して、その他の句を収載 […]
2012年7月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 寒梅や鏡老いたる人の家 八田木枯 評者: 遠山陽子 八田木枯は、ホトトギスに投句していた父海棠の影響で、昭和十四年ごろ、即ち十四歳ごろからホトトギス風の俳句を作りはじめ、しばらくの間熱中したという。ところが、昭和二十二年、二十二歳のこの句にはホトトギス調は一切感じられな […]
2012年7月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 黒船を閉じ込めいたる椿かな 中村和弘 評者: 渋川京子 「椿」の持っている濃厚な質感と、「黒船」という不気味な映像を十七文字の中へ織り込んでいる不思議な一句、目にした時から鮮烈な印象が続いている。 「椿は黒船を内蔵している」と読み解けば私の覚束無い表現方法で何か掴めるのか […]
2012年6月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 栗咲いていちばん遠き喉仏 塩野谷仁 評者: 渋川京子 作者六十五歳頃の作品である。現在七十八歳の私には大いに共感出来る一句であるが、自分がその年齢の時にこの作品を理解出来たかどうか心許無いものがある。 体力、気力共に充実さなかの男性が、自分の喉仏を意識して、しかも何を基 […]
2012年6月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 沛然と雨俎に鯉の丈 星野昌彦 評者: 渋川京子 盛大に雨が降っている様子が窓越しに見える。室内では大きな俎に載せられた鯉に灯があてられている。鯉の全身は俎に吸いつけられたように横たわって輝いている。 この作品に初めて出会ったのは今から十七年ほど前であるが、その時は […]