2016年3月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 一家に遊女もねたり萩と月 芭蕉 評者: 髙野公一 『おくのほそ道』には合計62句の発句がちりばめられている。それらは旅の途中で生まれた旅吟であり、句はそれが生まれたその場面に置かれている。読者は作者の意図にそって、そのようにこの〝歌物語″を読んで来た。 昭和・平成とい […]
2016年2月21日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 葉櫻や箸をつかふは業に似て 秦夕美 評者: 福本弘明 俳句を詠む楽しみは、苦しみでもあるのだが、読むことに関しては、まず楽しいと言ってもよい。どのように読もうと、読み手の自由だからである。それは、多くを語れない俳句の特性でもあり、面白みでもある。 掲句を読んで想像したの […]
2016年2月11日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 白日傘ゆけどもゆけども爆心地 前川弘明 評者: 福本弘明 いまだに地球上では内戦や紛争が絶えず、水爆実験まで行う国がある。二度も原爆を投下され、戦争の悲惨さを味わった我が国でさえ、憲法9条が揺れている。日本を取り巻く世界情勢を見れば、致し方ないと思われる面もあるが、つくづく人 […]
2016年2月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム あおあおと銀河にもある津波痕 高岡 修 評者: 福本弘明 3・11の記憶は時間とともに薄れてゆくのであろう。いずれ体験者もいなくなり、後世には大災害の一つとして記録に残るだけである。東日本大震災は千年に一度の大震災と言われる。9世紀にも、東北地方を襲った貞観地震と呼ばれる大地 […]
2016年1月21日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 admin 現代俳句コラム 原爆投下予定地に哭く赤ん坊 寺井谷子 評者: 渡辺誠一郎 戦後七〇年にあたる昨年は、戦争や平和についての論議が、通常の年以上に語られることが多かった。 寺井谷子は昭和一九年生まれ。北九州の小倉に住むが、戦争経験のない世代である。現在主宰を務める「自鳴鐘」は、父の横山白虹、そ […]
2016年1月11日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム トルソー涼し抱き合う腕持たざれば 神野紗希 評者: 渡辺誠一郎 七十年代、全共闘運動が花やかりし学生時代に、〈連帯を求めて孤立を恐れず〉のスローガンをよく耳にした。詩人の谷川雁の言葉であったような気がするが定かではない。格好のいい、激越な政治的スローガンには気を付けた方がいいが、こ […]
2016年1月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム くちびるを花びらとする溺死かな 曽根 毅 評者: 渡辺誠一郎 この春、母を亡くした。九十歳を過ぎた高齢の死であった。柩の中では、久々に引かれた、真っ赤な口紅が殊の外印象深かった。母の生前の面影よりも、はるかに若く、美しくなったその姿を前に、不思議な気持ちになった。 死は、美しい […]