2015年7月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム 砂熱し沈黙世界影あるき 加藤楸邨 評者: 中村正幸 奥の細道を旅した芭蕉が旅の人であることは言うまでもないが、楸邨もまた旅に固執した。芭蕉研究に生涯を捧げた楸邨である故当然と言えば当然のことである。芭蕉の奥の細道に相当するのが楸邨のシルクロードである。 現代とは異なり […]
2015年6月21日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム ひまわりに痛みを注ぐ夏の姉 大本義幸 評者: 林 桂 戦争体験を内面化することで、俳句逆風の戦後「第二芸術」時代を俳句革新のために生きた世代は、戦前、戦中の既成俳壇に名をなすことのなかった二十代を中心とした若者達であった。主に大正後半に生まれた人々である。戦後の「社会性」 […]
2015年6月11日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム 少年よ國家より一人の友をこそ 坂戸淳夫 評者: 林 桂 新聞が李香蘭の未発表の音源が二曲発見されたと伝えている。昭和19年11月に録音された大木惇夫作詞(大木あまりの父)、古賀政男作曲の楽曲という。未発表になった詳細は不明だが、「作詩不良の為発売不能」と社の記録が残されてい […]
2015年6月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム 北風の少年マントになつてしまふ 高 篤三 評者: 林 桂 高篤三は、明治34年6月2日東京浅草に生まれ、昭和20年3月10日東京大空襲の災禍によって浅草に没した。作品は、生前の個人句集『寒紅』(昭和15年)と合同句集『現代名俳句集第二巻』(阿部青鞋編・昭和16年)で「ほぼ全貌」 […]
2015年5月21日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム いつしよけんめいへこむ薬缶や農具市 蜂須賀薫 評者: 小林貴子 蜂須賀薫さんは一九五九年生まれ、一九九〇年に三十一歳で自ら世を去られた。 信州大学学生俳句会は、はじめの学年に小澤實さん、第二学年に宮脇真彦さん、第三学年にこの蜂須賀さん、第四学年に富樫均さんがおられ、我々は第五学年だ […]
2015年5月11日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム 黄蝶ノ危機ノキ・ダム創ル鉄帽ノ黄 八木三日女 評者: 小林貴子 八木三日女さんは一九二四年生まれ、二〇一四年二月十九日に八十九歳で逝去された。私は一九九三年に八木三日女論を書いたので、訃報に接してアッと思い、懐かしく、悼み偲ぶ思いが今も去らない。 三日女は眼科の医師であり、大阪女 […]
2015年5月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム あばら組む幽かなひびき 羊歯地帯 三橋鷹女 評者: 小林貴子 私は三橋鷹女が好きだが、世の人の評価とはほとんど一致しない。前半生で世評の高い、 夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉 白露や死んでゆく日も帯締めて 鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし […]
2015年4月21日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム *(句は本文に) 折笠美秋 評者: 高原耕治 仰向けや 胸森林と 星面感覺 周知のように、折笠美秋は、1982年、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、全身不随となり、僅かに動く口と目のみによって己れの意志を夫人に読み取って […]
2015年4月11日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム *(句は本文に) 大岡頌司 評者: 高原耕治 そよいでは 靜もる笹の葉に 臼處 おそらく、この句の読者は、この句に執着し続ける限り、三行目の「臼處」(うすど)という言葉に、終始、悩まされ続けるであろう。この言葉の意味 […]
2015年4月1日 / 最終更新日 : 2019年1月11日 gendaihaiku 現代俳句コラム *(句は本文に) 高柳重信 評者: 高原耕治 しづかに しづかに 耳朶色の 怒りの花よ 最初に断わっておかなければならないが、表題箇所を米印で塞いであるのは、多行形式による上記の作品をその箇所に多行形式として表 […]