2009年2月5日 / 最終更新日 : 2019年2月7日 gendaihaiku 現代俳句コラム 井戸は母うつばりは父みな名なし 三橋敏雄 評者: 倉橋羊村 句集『畳の上』所収。 父と母は、よく対比的なイメージで詠まれることが多いが、この句は常套的な例示とは異なることに注目したい。 井戸は深く掘るもので、薄暗い底に、澄んで光る水を湛えている。心の渇きを癒やす水でもあるし […]
2009年1月27日 / 最終更新日 : 2019年2月7日 gendaihaiku 現代俳句コラム 渡り鳥わが名つぶやく人欲しや 原 裕 評者: 倉橋羊村 昭和二十八年作。作者の彼と、まだ親しくなる前の句である。 作者と川崎三郎、それに私の「三人の会」を始めたのは、昭和五十四年初冬で、鈴木鷹夫の処女句集『渚通り』の出版祝のあと、三人で飲み直した折のことだった。 作者と […]
2009年1月17日 / 最終更新日 : 2019年2月7日 gendaihaiku 現代俳句コラム 木の実のごとき臍もちき死なしめき 森 澄雄 評者: 倉橋羊村 句集『所生』所載。 アキ子夫人は、医者の治療の不備もしくは怠りによる心筋梗塞の発作で、亡くなった。 昭和六十三年八月のその朝、十一時、いつも通り夫人の運転する車で、近くの西武線の駅へ送って貰い、療養に通っている伊豆 […]
2009年1月1日 / 最終更新日 : 2019年2月7日 gendaihaiku 現代俳句コラム 五月晴れ ゆつくり ターンを 乳母車 大高弘達 評者: 阿部完市 一句中、三つの休止が設けられている。五月晴れ、ゆつくり、ターンを、と区切って一句詠みはじめ、乳母車、と詠みおわる。十八音の間に、一音づつ――三者の休止があり、二十一音によまれる。そして、この一句の、その乳母車が、ゆっく […]