2014年2月11日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 月きらめく歩きつ送る二十歳路(ぢ)よ 茂木楚秋 評者: 神田ひろみ 俳句をはじめたばかりの頃「このままではあなたはすぐ行き詰まるでしょう」と小西甚一氏から葉書が届いた。しばらくして『茂木楚秋句集』が送られてきた。「わたくしの友人茂木(もてぎ)楚秋が亡くなりまして二十一年めを迎へますので […]
2014年2月1日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 一句一句に友ガラス戸に雪付く日 古澤太穂 評者: 神田ひろみ お元気だったころの太穂さんから文庫本の句集『捲かるる鷗』を頂いていた。 怒濤まで四五枚の田が冬の旅 故旧忘れ得べきやメーデーあとの薄日焼 など、よくわかる好きな作品がぎっしりとつまっていた。太穂さんの習作 […]
2014年1月21日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 雪には舞ふ遊びわれには睡る遊び 斎藤 玄 評者: 深谷雄大 斎藤玄は、一九八〇年五月八日、旭川の病院で死去した。六十五歳であった。一ヶ月前の四月八日、角川書店から第十四回蛇笏賞決定の通知を受けた。受賞の言葉の終りに、《この頃は俳句のおそろしさとむずかしさをひしひしと感じる。一日 […]
2014年1月11日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 雁渡る日の流木を火となせる 松橋英三 評者: 深谷雄大 記憶に残る映画の一場面を髣髴させる作である。北方から雁の群れが渡って来た日、海辺に漂着してる木片を集めて焼く人影があった。「誰が、どんな人が」は省略されている。作者自身が、その人に乗り移っているからである。火焔は、天に […]
2014年1月1日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 一生の噓とまことと雪ふる木 寺田京子 評者: 深谷雄大 寺田京子の俳句について、私は自著『表現と表白』に三十枚ほどの批評を書いている。手がかりとなる資料は多くなかったが、京子が、その素手で摑みとったとも言える俳句から感じたことを書いた。死の六年後で、上掲作は、まだ読んでいな […]
2013年12月21日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 蟬の羽開かず柩車行方知れぬ 小泉八重子 評者: 吉田成子 小泉八重子という名前を頭に刻みこんだのは、氏の第一句集『水煙』が出版された頃、およそ40年前である。先輩がこの句集の作品を絶賛して、是非読むようにと貸してくれたのである。当時私はまだ初学の段階で、しかも所属していたのは […]
2013年12月11日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 兎の仔みんな黒くて夕涼み 飯島晴子 評者: 吉田成子 兎の毛は褐色、灰色、白、黒などいろいろあるらしく夏毛は褐色で冬には白くなる種もあるという。しかし神話の「因幡の白兎」は勿論、イギリス童話の少女アリスを不思議の国へ誘ってくれるのも白兎である。そんなこともあって兎といえば […]
2013年12月1日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 地震あとの春待つ顔を上げにけり 桂 信子 評者: 吉田成子 「阪神淡路大震災」後まもない頃の作品である。この地震は当時大阪北部の箕面に住んでいた桂信子に少なからず被害をもたらした。揺れが治まってすぐに安否を尋ねる電話をしたところ「大丈夫です」と意外なほど落着いた返事が返ってきた […]
2013年11月21日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 流れ行く大根の葉の早さかな 高濱虚子 評者: 國定義明 国語の教員だったせいか、俳句大会の選句の前の校正の役を毎年のように依頼される。最近揉めたものの一つに「扇風機(器)」がある。電気機器には一般的に「機」と付すが、小中学生の部で「私にはふり向かないね扇風器(●)」を入選に […]
2013年11月11日 / 最終更新日 : 2019年1月24日 gendaihaiku 現代俳句コラム 夜が淋しくて誰かが笑いはじめた 住宅顕信 評者: 國定義明 白血病のため27年前、1986年25歳で夭折した岡山市生まれの俳人顕信が広く世に知られようとしている。香山リカ精神科医による中央公論新社からの三冊、一周忌刊の彌生書房からの顕信句集『未完成』に始まる。2002年フランス […]