2012年12月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム しんらんがいてなめくじと私がいる 大山安太郎 評者: 松岡耕作 「大山安太郎」については当欄ですでに篠原信久さんが素晴らしいコラムを書いておられるが、私も地元のリーダで私淑する「大山安太郎」を取り上げてみた。大山さんは、戦後まもなく音楽関連の会社を設立、経営の傍ら永年俳句と両立して […]
2012年12月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 裂け目より柘榴真二つ汝(な)と分かたん 中島斌雄 評者: 松岡耕作 戦後間もない世相人心ともに混乱の焼け跡から、やっと復興のきざしが見え、ラジオから「リンゴの唄」や「鐘のなる丘」が聞こえ始めた昭和二十二年の作。灼熱の太陽に焦げた赤褐色の割れ目から、まさにルビーをちりばめたような柘榴の実 […]
2012年12月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 上ゆくと下来る雲や秋の天 野沢凡兆 評者: 松本詩葉子 野沢凡兆は、加賀藩士の家に生まれ、当初四代藩主前田光高に仕えたが、武士を嫌って京都に出て、医師になったという。芭蕉が『おくのほそ道』で、金沢入りした元禄2年には、すでに京都に居り、芭蕉にはまだ会っていなかった。すなわち […]
2012年11月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 人とその影加賀友禅を晒しをり 石原八束 評者: 松本詩葉子 私の住む金沢市内を二つの川が流れている。 流れが急で荒々しい方の川の犀川は、俗におとこ川。流れが緩やかで情緒的な浅野川を、をんな川という。その一方のをんな川である浅野川の冬の風物詩が、加賀友禅流しである。 加賀友禅は […]
2012年11月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 泥かぶるたびに角組み光る蘆 高野ムツオ 評者: 松本詩葉子 高野ムツオ氏が、23年6月11日の第35回現代俳句講座にて「俳句-瞬間を切り取る詩」と題し、3.11東北大震災に遭遇した時の模様を、東京都中小企業会館にて講演したが、この句は、自宅周辺で作句した一連の句の中の一句である […]
2012年11月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム なにもかもなくした手に四まいの爆死証明 松尾あつゆき 評者: 佐藤文子 自由律俳人松尾あつゆきは、昭和20年8月9日、長崎に投下された原子爆弾によって妻と3人の子どもを亡くしている。 昭和2年、千代子と結婚。23歳であった。長崎商業学校の英語の教師を務める。24歳の時に自由律俳句『層雲』 […]
2012年10月23日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム しわくちゃの離婚届よ冬芒 林 誠司 評者: 佐藤文子 誰かが言っていた。結婚するより離婚をする方がどれだけエネルギーがいるかと。 この句の<離婚届>がしわくちゃだという。おそらく作者は離婚届を書いたものの、どこかに仕舞いこんでいたのではないだろうか。今日出そう、今日出そ […]
2012年10月11日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム ゆふべ背に立てたる爪で蜜柑剥く 山﨑十生 評者: 佐藤文子 一行の俳句に長編小説にも勝る物語を感じることがある。掲句はまさにそのような句である。 山﨑十生氏から句集『恋句』が送られて来たのはいつだったか。発行は2011年10月30日。およそ1年前にいただいたように思う。最初手 […]
2012年10月1日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 酔ってさめて氷くだいて星をのむ 小西来山 評者: 川辺幸一 酔いが醒めても、まだ頭が重くぼんやりとしている。酔いざめの水に氷を砕いて入れると星がきらめいているようだ。その星をゆっくり飲み下した。句意はこのようになろうが、この句の季語はいつであろうか。酔いざめの氷水は夏を思い、星 […]
2012年9月21日 / 最終更新日 : 2019年1月31日 gendaihaiku 現代俳句コラム 昭和史を生き蓮根の昏い穴 佐伯昭市 評者: 川辺幸一 作者は昭和2年の生まれである。改元は12月15日であるから昭和をまるまる生きたことになる。その述懐である。蓮根の穴、その昏い穴から昭和史を覗き見るのである。戦争の時代とも言われた昭和は激動の時代でもある。勤労動員を強い […]