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縣境の一水を経て風青し
ピノキオがひとり起き出す砂日傘
ひとごゑの霧にむすばれむとするいたはり
白菊の白の黄菊の黄の寂寞
鈴懸の鈴のこんなに青い土曜日
新聞紙(かみ)の香のぬくきをさしぬ固き戸に
転轍手英霊(たま)かへる日の鶏を追へり
記者さむく着弾圏にまもられゐる
夜の水に焚火うつすは家なきか
凱歌はさびし 天涯ゆくと人工衛星(スプートニク)
飛魚の飛びとどまるへ波こぞる
束子(たわし)もう捨つる時きし良夜かな
暗転へまた裏方の咳聞こゆ
体形のどこが薄暑というでなく
幡谷東吾『即離集』(はたや・とうご/『そくりしゅう』)
[目次]
「走馬灯」・「扉」・「基地」抄 5頁
「天の川」抄 21頁
『風致木』抄 47頁
『過客』抄 73頁
『過客』以後 103頁
解説 東吾俳句私見 林 翔 143頁
年譜 155頁
あとがき 162頁
写真撮影 田沼武能(2019年文化勲章受賞)
昭和59年2月15日 発行 B6判 158頁
協会在庫管理の新古本。古いので黄ばみはありますが、ほぼ良好な状態です。美本からお送りします。
「東吾」というサイン入りが、2冊だけありました。
【販売価格】700円(送料込み)本体1,150円+税115円+送料180円=1,445円のところ。