ああと言ふもあつと思ふも秋の風 小檜山繁子 評者: 宇多喜代子

 一日に幾度「ああ」と感嘆悲嘆の声を発し、「あっ」という思いに苛まれることでしょう。あまたの言葉を凌駕して機能する言葉とは、この「ああ」と「あっ」ではないかと思うのです。四季を通して発する言葉であり思念であるのですが、秋風の中での「ああ」や「あっ」には他季にはない瞬時の感慨がこもります。「ああ」と言い「あっ」と思うだけで一生が消えてしまいそうな気分にさせられます。
 
 
評者: 宇多喜代子
平成13年11月1日