羅やなまけごころを大事にす 有冨光英 評者: 加藤光樹
恩師有冨光英の晩年(平成十一年)の作品。最後の句集となった「華景」の最終頁の一句である。「俳句は抒情詩」を標榜し、結社「白」を創立して「象徴性ある俳句」を追求し続けた師は、自句自解の文で「なまけごころ」を文字通りの「怠け」と読んだ人は批判的であり、一心象の「ゆとり」と解した人と二分したと述べ、両者を共に受け入れながら、「自分はなまけごころも平常心の中に秘めて置きたい」と本音を洩らしている。
お付き合いは約三十年に及んだが、私が直接指導を受けた晩年の数年はもどかしい弟子と思われていたに違いない。その間に肝に銘じたのは「自分の心の動きを詠め」という簡単で至難な教えだった。「平常心の中に秘めて置きたいなまけごころ」という文に接した時、「大事に」とはまさにこのことだと、今は亡き師の言葉を思いおこした次第。
お付き合いは約三十年に及んだが、私が直接指導を受けた晩年の数年はもどかしい弟子と思われていたに違いない。その間に肝に銘じたのは「自分の心の動きを詠め」という簡単で至難な教えだった。「平常心の中に秘めて置きたいなまけごころ」という文に接した時、「大事に」とはまさにこのことだと、今は亡き師の言葉を思いおこした次第。
評者: 加藤光樹
平成19年10月24日
平成19年10月24日