菊根分けあとは自分の土で咲け 吉川英治  評者: 坂田直彦

 ながらく「一茶祭り・全国小・中学生俳句大会」を主催しておられた吉野孟彦師を炎天寺に訪ねたことがある。炎天寺は
  痩せ蛙負けるな一茶是にあり  一茶
の詠まれた所として、この大会を継続しておられるのである。訪問したのは、この大会に、子ども達の作品を応募していたからである。その際頂いたのが、師の著書「ハイセンス俳句スピーチ自由自在」である。この本には「慶事」「弔事」「ビジネス」「学校」「地域」など、いろいろな場での、俳句を交えたスピーチが示してある。この句は友人の娘さんの結婚披露宴で使わせてもらったもの。
 当時、私は、学校から出す書類の最初、時候の挨拶の部分に、子供の俳句や自分の俳句を書いていた。
 公文書にこんなのは・・と、批判的な人もいたが、退職までこの姿勢は崩さなかった。この本に出逢ってからは、挨拶にも俳句を入れるようにした。
 また、子ども達の俳句では、現職中いろいろ良い思いをさせてもらったものである。
  さむい朝ゴジラの気分でいきを出す    (小三)
  飛ばされたハンカチもんしろちょうになる (小五)
  舞う獅子の口から友の顔見える      (小六)
  引き出しあけたら二学期飛び出した    (小六)

出典:『ハイセンス俳句スピーチ』
評者: 坂田直彦
平成22年12月21日