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野に降（ふ）りて毛深きふたり歩むかな
ひりひりと独り身の髪ルンバ踊る
ここへ還る非情な大根の花盛り
砥石六月兄へ蘗かぶさり来
朝日真（ただ）刺す生国のたなごころ
肘枕こころはびこる木立あり
雪山のやがて身ぬちに収まりし
寒林むかし山彦に足あり
汁物に鼻の映れば弱まりて
はつなつや川下の水怠けをる
ふところにゐる鷺偶（たま）の濁りごゑ
あとかたもなくけふ消ゆる秋扇
桃の実の瞬くたびに古びけり
躓くや六月の土呼ぶやうに
たましひに音のありけり冬林

竹本健司『山方』（たけもと・けんじ／『やまかた』）
［目次］
生国　　　　　5頁
人の類　　　　37頁
奥備中　　　　55頁
山方　　　　　77頁
俳句のことば　113頁
解説　爽やかに竹本健司に即す　小野元夫　145頁
　年譜　　　　144頁
　著書目録　　150頁
　あとがき　　152頁

写真撮影　田沼武能（2019年文化勲章受賞）

昭和60年初版　署名入り　B6判　152頁
協会在庫管理の新古本。ほぼ良好な状態です。美本からお送りします。

【販売価格】700円（送料込み）本体1,200円＋税120円＋送料180円＝1,500円のところ。