「いかなるものにも属さない詩がある」

　当初は全作品「書き下ろし」でと考えたが、さすがにそれは及ばなかった。数句は古い句もあるが、大半の句はここ２～３年の句だ。 勿論「書き下ろし」も多々ある。また、カバー絵はピカソ、マチスのデッサン画を参考に描いたもので、ヌードと蛸の遊びである。（「あとがき」より）

いかなるものにも属さない詩がある
海を見ていた帰り道はもうない
つよい女にきれいな男おんだん化
着ぶくれて妥協しっぱなしなんだ
あれ以来みんな岩手が好きなのさ
鳥帰る二度と来ねえぞバカヤロー
幸福論というカレーのレシピ
うすっぺらな体脂肪が道に落ちていた
千年を脱ぎ散らかして天の川

作者プロフィール
中内火星（なかうち・かせい）
1949年　大阪生まれ
2012年　現代俳句協会入会
現在　東京都区現代俳句協会副会長
現代俳句協会評議員
現代俳句オープンカレッジ講師
「瓏玲」編集長
「つどい句会」「新業平句会」司会
「垂人」「豆の木」「ロマネコンティ」参加
【受賞歴】
令和2年　第57回現代俳句全国大会朝日新聞社賞
令和6年　第30回全国俳誌協会コンクール　優秀賞

2024年4月発行
判型／四六判並製/カバー装
文學の森

【販売価格】1,650円（送料込み）　*定価1,500円(本体1,500円＋税10％)