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寒林へ私ひとりの窓開く よし枝
暗い寒林に向かってひっそりと窓を開く。ひとりである事を隠さず、臆さず、暗いものへと向き合う。その姿に静かな覚悟を感じるのだ。ただ寒林を見ているだけではあるまい。その先にある微かな光を求めている。これもまた保里さんの俳句における姿なのだろうと思う。(跋文より なつはづき)
自選十三句
さえずりに宙の扉が動き出す
春紡ぐひとりの窓のメゾフォルテ
教科書の隅に初恋花ミモザ
かっこうや指が覚えていた和音
いつまでも回すダイヤル母の日の
クリムトの「接吻」洗い髪匂う
門番に言い訳もなく蟻の列
蝉時雨ひとつの問いに答え百
初勝利残暑まみれの野球帽
柿たわわ座敷わらしが納屋覗く
木枯に口答えする裏の木戸
手袋の穴を見つけた日から自由
寒明けの水膨らんでくる蛇口
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