流氷を見にゆく男をまじえずに 寺田京子 評者: 宇多喜代子

 芝居見物に行く、お喋りの目的の食事会に行く、そんなところへ行くのであれば「男をまじえずに」のほうが楽しいにきまっています。ところが流氷という壮大な自然現象を見物に行くのに「男をまじえずに」というのですから、やはりこれは意図的です。男にたよらずに生きてゆきたいという女の気持ちをマル出しにすることなく表現できるもの、俳句のおもしろいところです。寺田京子は昭和五十一年に五十四歳で亡くなりました。いっしんに生きた人でした。
 
評者: 宇多喜代子
平成14年2月4日