少年をこの世に誘い櫻守 和田悟朗 評者: 森下草城子

 現代は何かにおいて多様化している時代、一つのことに拘り、これを生涯貫き通すということが難しくなっている。しかし、それ故に一つに絞ってみたい思いがある。そんな生き様があってもよかろう。つまり、一つに絞ったことに徹しきるということである。この櫻守は、その一人になる。桜のことに関しては生き字引のような存在である。この人の手にかかれば、衰えを見せていた桜であっても忽ち生気を取り戻すにちがいない。その使用を持って、この世に存在をしている。この世の仕事を約束されて出生をしたのだ。作者・和田悟朗もまた同様である。
 
評者: 森下草城子
平成16年1月8日