扇風機止り醜き機械となれり 篠原 梵 評者: 小宅容義
篠原 梵(1910~1975)は、川本臥風の推選で臼田亜浪の「石楠」に入ってから、めきめき頭角をあらわし、豊かな感性と深い知性による清新な作風で一時期の俳壇を魅了した。彼の句は、何か西欧的な匂いが漂っていると言われたのもその頃である。しかし、中央公論の編集長時代、生半可の態度では職を全うできぬと自ら俳句を中断。そのストイックな精神は、句作再開しても、ダンディーな表現と共に生涯離れることはなかった。
揚句、単なる物体でしかなかったに止まらず「みにくき」とまで言い放つ所に彼の本領が覗かれる。そしてまた「蟻の列しづかに蝶をうかべたる」、「葉桜の中の無数の空さわぐ」の抒情も彼の一面を伝えて香り高い。
揚句、単なる物体でしかなかったに止まらず「みにくき」とまで言い放つ所に彼の本領が覗かれる。そしてまた「蟻の列しづかに蝶をうかべたる」、「葉桜の中の無数の空さわぐ」の抒情も彼の一面を伝えて香り高い。
評者: 小宅容義
平成16年7月5日
平成16年7月5日