なつはづき句集『人魚のころ』

gh-b-93

なつはづき句集『人魚のころ』  (gh-b-93)

販売価格(税込)
¥2,850
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第一句集『ぴったりの箱』から5年。
研ぎ澄まされた作者のことばは、読む者の「内なる記憶」に触れて、心の余白をそっと広げてくれる。
特有の身体感覚は健在、その表現は一層しなやかに、ますます自在に羽ばたく。
鮮烈かつ繊細な280句を収めた注目の俳人・なつはづき待望の第二句集!

【帯文】高野ムツオ

蛇いちご母をまっすぐ見られぬ日

「蛇苺」はその妖しげな名と鮮烈な赤の印象から、禁断の異界を想像させる季語として使われることが多い。しかし掲句の蛇苺は、心の奥底を反映してくれる無垢できれいな深紅の実だ。季語「蛇苺」が生まれ変わった瞬間である。なつはづきの自在な発想力のたまもの。

 

◆自選12句

ドッジボールずどんとバレンタインの日
鉄屑になるまで鉄でいる穀雨
八十八夜少し透けたくなる体
臨月の腹万緑に押し返す
かぶと虫かさりと父の戻る夜
髪洗う人魚の頃を思い出す
蛇いちご母をまっすぐ見られぬ日
思い出を常温にして桃を剝く
絶叫のような吸い殻幸彦忌
シングルマザー銃のようなる葱提げて
息ふたつ交わす真冬の爆心地
心から遠い指先あすは雪

◆あとがきより

この五年間は特に「上手い俳句よりも届く俳句が作りたいなあ」と思ってきた。「届く俳句」という定義は難しいのだが、「理論や理屈に基づく理解」ではなくて「感覚の想起」が生じる俳句だと自分で勝手に思っている。言語化するのは難しいのだけれど確かにそこにある感情や感覚。理解しようと言葉に置き換えなくてもいい。ただぼんやりとそれを感じていただけたら嬉しい。
(なつはづき)

著者プロフィール

なつはづき
1968年 静岡県生まれ
「青山俳句工場05」「豈」「俳句新空間」「天晴」に参加
2018年 第36回現代俳句新人賞受賞
2019年 第5回攝津幸彦記念賞準賞受賞
2020年 第一句集『ぴったりの箱』刊
2022年 第7回攝津幸彦記念賞正賞受賞

現代俳句協会理事
GHOC 現代俳句オープンカレッジ講師
超結社「朱夏句会」代表
(朔出版ホームページより引用)


発行:2025年6月22日
帯文:高野ムツオ

【販売価格】2,850円(送料込)(本体価格2,640円+送料210円)

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