ばつた飛び磐井勢力圏に入る 野見山ひふみ  評者: 森下草城子

 初め、この作品を読んだ時、ばったが飛び込んだ広大な世界を描いていた。しかし磐井が八女地方の豪族であることを知り、八女市出身の知人に資料を届けて貰った。それによると、磐井は、五世紀から六世紀にかけて、九州北部一円に強大な権力を奮っていた筑紫国造、筑紫君と呼ばれていた人物という。その力は、九州北部はもとより海を越えて、朝鮮半島にも及んでいたようだ。墳墓、石像等の大きさからも推測が出来る。古代のロマンさえ漂わせている。この作品の中では、その支配下に入るというのではなく、ばったとともに作者もロマンを求めての飛翔である。
 
評者: 森下草城子
平成16年2月26日