髙橋悦子(たかはし・えつこ)

・昭和11年、東京都北区生まれ。
・昭和63年、「暖流」「歯車」に入会。滝春一、鈴木石夫に学ぶ。現代俳句協会入会。
・平成2年、「暖流 大田義治賞」受賞。「響」入会。中嶋秀子に学ぶ。
・平成7年、「響 新人賞」受賞。
・平成14年、「ぽお」入会。大坪重治に学ぶ。
・平成17年、「響」退会。
・著書 往復書簡集『ウィーン遠からじ』、『髙橋悦子随想集』。
・現在、超結社「くりすたる」「みなと」「吽の会」「現俳入間比企ブロック」坂本稔主宰文芸誌「南方手帖」(高知県)に所属。
現代俳句協会会員。

 
第9回現代俳句協会年度作品賞受賞作品
「シュトラウス晴れ」  髙橋悦子
 

  顔艶を褒め合っている文化の日
  衣被飯田蝶子を知っている
  風采はともかく秋の男かな
  葉牡丹の渦かサラファンの唄か
  足湯する知らぬどうしの御慶かな
  啓蟄や飴と鉛筆持ち歩く
  クロツカス芽を出している三回忌
  人日やカルテの山が崩れそう
  ポインセチア素っぴんの女医着任す
  鳥帰るアイウエオ順って不公平
  銀行とポストが近い梅の家
  足も手も不思議と思う日向ぼこ
  万歳に抵抗母の日なりけり
  芒種かなレディースデーの映画館
  婿殿に慕われている花蜜柑
  誰と会い誰と別れた蛇苺
  草笛を吹いている間は大丈夫
  ややこしき花の名忘れ瓜冷す
  遠雷や板切れに書く移転先
  あちこちにひとりぽっちが盆供養
  透きとおる八十二歳浜昼顔
  銀やんま小田実逝き阿久悠も
  蜘蛛の囲やお父さんは違う家
  一切を入れて風船葛かな
  ずかずかと来て冷蔵庫に向かう
  大丈夫みんな死ねます鉦叩
  枝豆を口に正論聞き流す
  食いっぷりよき少年と鉦叩
  二番目に好きだと言われ葱坊主
  雲一片シュトラウス晴れの麦畑

 
 
※句は現代俳句データベースに収録されています。
※受賞者略歴は掲載時点のものです。