俳句と写真
👤野島正則
30代で俳句を始めた私が、沖の月例会で、俳人協会・俳句文学館に行った際、「野島さんは俳句以外の趣味は何かありますか」と、句会の世話役の方に聞かれた。
俳句は吟行などもあるが、室内で作句する「静」、なので、他の趣味で身体を動かす、「動」の趣味を持つと良いというのだ。
運動が苦手の私は、この頃、結婚、長男の誕生などもあり、学生時代にかじった写真を趣味にすることにした。
写真の撮影は、どこかに出掛けないと撮影対象がない。
少なからず「動」になると考えた。
「静」と「動」、これは後に、右脳と左脳の働きにも関係していることを知った。
右脳・左脳については、1989年の品川嘉也著「しごとが面白くなる右脳俳句」、「右脳俳句入門―楽しく遊んで脳を活性化」、2000年になってからの養老孟司著「バカの壁」などは、世の中のブームになった。
意図したわけでは無かったが、写真は絵画的なイメージ情報処理で右脳を使う。
俳句は言語的な論理的なので、左脳で情報処理をしているとのことで、バランスもよい。
更に、俳句と写真は、瞬間を捉えている点が共通しているとよく言われる。
写真には、視覚からの情報を瞬時に大量に伝える力がある。
人間は視覚から受け取る情報が大きく、写真や絵を見た瞬間に感動が伝わる。
見た瞬間に感動が伝わってくる。
一方で、俳句は視覚表現に限らず、言葉で描写し写真のように読み手に映像として伝達する。
言葉が作者の心情を捉え、視覚だけで無く、聴覚、味覚、嗅覚、触覚が読み手の体験、経験に伝達される。
言葉の裏にある世界を思い描かせ、視覚を超えた感覚的な体験これが俳句の力。
この写真と、俳句を組み合わせたらどうなるか。
写真と俳句のコラボレーションには、「写俳」「写真俳句」「フォト俳句」と様々な呼称があり、「写真俳句」は、熊谷市出身の作家、森村誠一氏が提唱した写真と俳句や川柳を組み合わせた新たな表現方法。
仏教用語に「不即不離(ふそくふり)」という言葉がある。
これは二つのものの関係が、つきもせず離れもせずにいることで、つかず離れずの意味。
二つのものが互いに適当な距離を保って、それぞれの独自性を生かしながら共存している状態は、写真俳句の理想形。
鳶工のニッカポッカや秋の空
野島正則
写真があって句を合わせたものを「先写後俳」、俳句が先でそれに写真は「先俳後写」と言う。
神保町に銀漢亭があったころ、でも掲載された、写真と俳句のコラボレーション活動の一つ、写真とコトノハ展(倉田有希代表)に私も参加している。
今年は、下記のように展示を行います。
📢写真とコトノハ展 Vol.17
馬喰横山駅(都営新宿線)ギャラリーコーナー 展示
2025年10月5日(日)~18日(土)
📢屋根裏バル鱗Kokera 展示
https://r.goope.jp/kokera/
2025年10月12日(日)~10月25日(土)
興味のある方は、お目汚しにお越しください。
野島正則(のじままさのり)
東京都羽村市在住
昭和62年、沖に入会。現在、青垣、平、noi、所属
今日見た季語を趣味のデジカメ等で撮影し、「一日一季語」として2015年8月13日からSNSを使って、発信中