第42回兜太現代俳句新人賞 受賞者インタビュー

(2025・3・1 日本記者クラブ)


第42回兜太現代俳句新人賞受賞者 左から島田道峻氏、百瀬一兎氏、宇都宮駿介氏

 3月1日に東京・内幸町の日本記者クラブで行われた最終選考会後の懇親会での第42回兜太現代俳句新人賞の本賞受賞ならびに佳作入選の3名へのインタビューの概要は以下の通り。聞き手は宮崎斗士顕彰部長。

・百瀬一兎 「火の聲」50句で新人賞受賞
Q.今日一日のご感想は? 緊張されましたか? 
A.こういう賞に応募したのはそもそも初めてで、最終候補3作に選んでいただいただけで十分で。今年28になり、一番若輩者かなと思ったら、一番年輩でした(笑)。
Q.今回の「火の聲」はどんなところに一番力が入っているのですか?
A.正直、今回出した作品とはちょっと違って575の自然を詠むという俳句も好きです。自分の中で(方向性が)定まっていない中で、この賞に応募するとなったとき、自分の中では軸が揃うような作品を創ったり、集めたりして50句をまとめる部分が一番大変で。それをやったことがない分、何が正解かもわからずに頑張ったというところですね。
Q.兜太現代俳句新人賞のイメージは?
A.過去の受賞作が全部、公開されているので、全部読ませていただき、それぞれの作家の個性がクリアに出る作品が評価される傾向なのかなと思い、僕もそういう作品を集めたというところがあります。
Q. 2時間余りの本日の選考会はいかがでしたか?
A.ただありがたかったと。お褒めの言葉も厳しいご意見もいただいて、配慮が足りていなかった部分とか安易だった部分も指摘されて。最後に小林先生に言っていただいた「これで大丈夫、という信頼感にまだ足るものではない」という言葉が一番心に刺さり、今回の受賞がゴールではなく、このお言葉を背負っていかなければならないと思いました。
Q.これからの活動は
A.自分の中でこれが自分の俳句だというものがまだ見定まっていない中で賞をいただけたのは光栄です。この結果に突っ走ることのないよう、これを糧に自分の俳句とより向き合っていきたいと思います。  

・島田道峻 「放鳩」50句で佳作入選
Q.今日のご感想は?
A.最終投票の結果発表の時は心がわりと凪いでいたのですけれど、自分の作品の評を発表していただく直前から急に心臓がバクバクし始めて、頭の中が真っ白になった感じもありました。そんな中で、少しずつ落ち着いていって…。自分の作品の良いところだったり、足りていないところだったりも御指摘いただけたことが、今後の糧になるかなと思いました。
Q.22年から作句をはじめ、どのような形で俳句に取り組んできたのですか。
A.学校の部活が中心です。今日は顧問の本間先生もこの場にいらっしゃっています。
Q.50句揃えるのは大変でしたか?
A.基本的には1年前からの作品を対象にしようと思ったのですが、自分の納得がいく句にすることが49句までしかできず、最後の一句を何とかひねり出してギリギリできました。
Q.選考委員の方々の講評はどうでしたか?
A.審査員の先生方に普段お聞きすることができないような鋭い指摘、たとえば自分の句が読者に対して不親切になってしまっているのではないかという指摘は、自分の中では新鮮だったというか、確かにもっと気を付けなければいけないなと思い、非常にありがたい御言葉でした。 

・宇都宮駿介「象の耳」50句で佳作入選
Q.今日のご感想は?
A.痛いところを突かれまくって、自分の悪いところもはっきりし、有意義な時間でした。
Q.動物園をテーマにした連作ですが、もしかして動物園にお勤めなのですか?
A.そうではありませんが、動物がすごく好きなんです。50句を作り始めたのが締め切りのほんのちょっと前で。ゼロから50句作るとなると、何かちょっとテーマを持った方が作りやすかったので、動物園をテーマにしました。大阪には天王寺動物園があり、吟行に行ったのですが、僕は象が好きで、その象でいっぱい作ろうと思ったのですが‥‥ 実は天王寺動物園に象がいなくて、調べたら数年前に亡くなったということで。そこからネットなどで調べて。
Q.俳句を始められたのは2011年ということでもう10年以上のキャリアですね。
A.最初の頃は1年に1度イベントに参加するみたいな感じだったので、高校の時に本格的にやるようになったということで。
Q.今後の抱負は?
A.いろんな賞に応募して、新人賞もいただくことができたらと思います。