26年ぶりっ!

なつはづき

 小学校高学年の頃からずっと横浜DeNAベイスターズが好きだ。「はて? それって何?」という方のために言っておくが日本のプロ野球チームである。そしてそのチームは強くない…いやはっきり言おう、弱いチームだ。その弱いチームが今年実に26年ぶりに日本一になった。これは奇跡というよりもある種事件だ。

 11月30日(土)に横浜市で優勝パレードをしたのだが仕事で見に行けなかった。ああ、何という不覚! 帰宅後インターネットでその画像を見ていたら、空の青とパレードをした銀杏並木の黄色のコントラストが実に美しく思わず見入ってしまった。あれ? この色の取り合わせ…そうか、ゴッホの「夜のカフェテラス」や「糸杉と星の見える道」という有名な絵だ。はるか昔、当時の仕事に生かそうとカラーコーディネーターの資格を取るために勉強をし、教科書にその絵画があったんだった。懐かしい。

 色から受ける印象は万国共通。なので絵画は世界中どこでも同じ評価にたどり着くのだろう。世界中どこの信号機も赤、黄、青。そして非常口は緑。その理由を「赤の補色(注1)」。赤は炎の色、その反対色の緑は炎の中で目立つ、と説明している防災予防士がいたが、火柱が上がっている所ばかりではないし、煙も充満している。わたしは「そのマークを見たときに安心するから」ではないか、と思っている。色にはそれぞれ「象徴」があり、どう感じるかが決まっているという。日本色彩研究所の調べによると緑は「安全、安らぎ、平穏」など。非常口が黒だったら助かりそうな気がしない。黒には「不安、死、孤独」の印象があるからだ。赤は「危険、興奮、怒り」で冷静に逃げらないかもしれない。

 案外、わたしたち俳人はこの「象徴」をうまく使いこなしているのではないかな、と思ったりする。恐らく理屈ではなく直感的に。色を想起させることによって、世界中の人と印象や感覚を共有できるのであれば、十七音しかない俳句にとっては朗報だ。

 色から受ける印象、って大事。我がベイスターズのチームカラーは青。青ってなんだったっけ? 「悲しみ、失望、憂鬱」…えっ、あれ? 来年大丈夫だよね? また優勝するよね?誰か大丈夫だって言って!

 夏の風邪決勝点はエラーにて はづき

注1)色には必ず「補色」という、相互に補完しあう色が存在している。
「色相環」という色の補色関係を表した図で円の対極にある色が補色関係となり、一緒に置くと色が馴染まないため目立つ。