第56回現代俳句全国大会優秀作品発表

現代俳句全国大会賞
津波知るものばかりなり磯菜摘み  秋田県 和田 仁

湯冷めするように昭和が遠くなる  神奈川県 尾崎竹詩

・・・題詠の部「令和」・・・
鍬の柄に令和元年夏と記す  福島県 湯田一秋

梅干して昭和九十四年かな  東京都 樋口昇る

毎日新聞社賞
冷蔵庫死者の家より運び出す  北海道 五十嵐秀彦

読売新聞社賞
蟻には蟻の象には象の地べたかな  三重県 前田秀子

産経新聞社賞
水番をして人間が見えて来る  愛知県 中村正幸 

朝日新聞社賞
海もまた生き埋になる辺野古の夏  沖縄県 嘉陽 伸 

東京新聞賞
戰争と言はず有事と呼ぶ寒さ  神奈川県 由田欣一

俳句のまちあらかわ賞
メロンに正面があり空き家が増える  山口県 堀 節誉

特別選者特選句

宇多喜代子選 どの窓を開けても八月の大樹  千葉県 塩野谷仁

宮坂静生選  空爆やトマトに塩を振っている  大阪府 山本左門

中村和弘選  村捨てて海捨てられず鳥帰る  愛知県 中村正幸

寺井谷子選  冷蔵庫死者の家より運び出す  北海道 五十嵐秀彦

高野ムツオ選 津波知るものばかりなり磯菜摘み  秋田県 和田 仁

伊藤政美選  人間の底に八月横たわる  東京都 西本明未

秋尾 敏選  テロリストを箱庭に置く小学生  東京都 川崎果連

対馬康子選  メロンに正面があり空き家が増える  山口県 堀 節誉

小林貴子選  反対に回す地球儀原爆忌  千葉県 東 國人

安西 篤選  八月の現像液に兵の顔  東京都 石口 榮

池田澄子選  何もかも受け入れてゐる冷蔵庫  福岡県 山本則男

大坪重治選  夫もまた過客のひとり春の雪  愛知県 渡邊淳子

柿本多映選  冷蔵庫死者の家より運び出す  北海道 五十嵐秀彦

岸本砂郷選  水番をして人間が見えて来る  愛知県 中村正幸

桑原三郎選  津波知るものばかりなり磯菜摘み  秋田県 和田 仁

鈴木八駛郎選 固まって地べたに座る村祭  秋田県 佐藤二千六

長峰竹芳選  湯冷めするように昭和が遠くなる  神奈川県 尾崎竹詩

鳴戸奈菜選  生きるとは大きな仕事冬林檎  徳島県 中川秀司

前田 弘選  長崎忌セロファン色に母が座す  福島県 清水茉紀

森田 廣選  鍬を担いで陽炎になりに行く  徳島県 中川秀司

山崎 聰選  八月が来るから長い父の死後  秋田県 五代儀幹雄

秀逸賞
鍬を担いで陽炎になりに行く  徳島県 中川秀司
夫もまた過客のひとり春の雪  愛知県 渡邊淳子
亡き夫の携帯番号押せば雪  滋賀県 志村宣子
何もかも受け入れてゐる冷蔵庫  福岡県 山本則男
八月をぎゅっと握った赤子の手  東京都 栗原節子
八月をカタチにしたる無言館  神奈川県 衣川次郎
紋白蝶こんなにも明るい孤独  滋賀県 志村宣子
八月が来るから長い父の死後  秋田県 五代儀幹雄
ニュートンに林檎わたしに塩むすび  埼玉県 鈴木砂紅
八月の現像液に兵の顔  東京都 石口 榮
老ゆるとは軽くなること冬の蝶  神奈川県 菅沼葉二
ひらがなの国ひらがなの春の雪  北海道  檜垣桂子
筍に本家の土が付いてくる  富山県 森川敬三
寝静まる村は大きな蛍籠  愛媛県 三好真由美
あの日まで原爆ドームとは言はず  香川県 島田章平
一人入り少し濃くなる木下闇  鹿児島県 秋山青松
たましひのまだ濡れてゐる蛇の衣  大阪府 柏原才子
ひとりずつの吊革憲法記念の日  埼玉県 鈴木紀子
話すほど蛇長くなる太くなる  東京都 千葉三郎
終戦日しづかに母の咀嚼音  埼玉県 山﨑加津子
・・・題詠の部「令和」・・・
抽斗の奥に辞令と種袋  山口県 片山淳子
背泳ぎのしづかに水に和みをり  東京都 西本明未
令和と書くどこかチューリップのかたち  熊本県 田川ひろ子
手話の指「令和」は梅のひらくさま  青森県 中島五郎
秩父なり和讃のようににいにい蟬  秋田県 武藤鉦二
皇后の笑顔令和の夏帽子  新潟県 石川冨美子

佳作入賞
大海鼠生きる力でちぢみをり  広島県 横溝和恵
もしかして陽炎轢いたかもしれぬ  石川県 奥村次郎 
美しき噓とも思ふ春の雪  千葉県 髙橋由紀子
人間の底に八月横たはる  東京都 西本明未
被爆広島ドームは針のない時計  大分県 谷川彰啓
八月の足一本を洗ひけり  群馬県 細野彩扇
ががんぼほど淋しくはない非常口  千葉県 久野康子  
アフリカを出て億年の昼寝かな  千葉県 をがはまなぶ
戦争がうしろにゐるぞ桜守  愛知県 金子晴彦   
鬼退治してくれそうな桃を買う  秋田県 森田千技子
どこまでの炎天いつまでの汚染水  千葉県 徳吉洋二郎
一列に並ぶ癖あり敗戦忌  秋田県 小林万年青
鰯雲大きな甕の伏せてあり  北海道 宮坪勝美
兜太かも知れぬ入道雲もくもく  埼玉県 尾堤輝義
兜太忌の春大根を抜きし穴   愛知県 古賀勇理央
右手から左手までが夏休み   神奈川県 植田いく子   
分母より大きな分子かたつむり  北海道 西村山憧
もう空気読まなくていい落葉です  福島県 平子玲子
縁側にごろりと西瓜みんな留守  愛知県 山田哲夫
長崎忌セロファン色に母が座す  福島県 清水茉紀 
裸の子みんな兜太に見えてくる  福井県 髙石まゆみ
ぬれ衣を着せられている捨案山子  愛知県 渡邊淳子
大根干す今日も誰にも合わぬ村  大分県 谷川彰啓
どの窓を開けても八月の大樹  千葉県 塩野谷仁 
飛込みの少年みな十字架のかたち  長崎県 前川弘明
水中花自分の中に棲む他人  大阪府 西田唯士   
夕焼けを束ねるリボン買いにゆく  神奈川県 内藤ちよみ
木簡に改ざんのあと秋高し  京都府 伊藤靖彦
鍵穴にことりと冬がきてひそむ  京都府 津野洋子
眠る原発眠らない冷蔵庫  愛媛県 安部奈月
・・・題詠の部「令和」・・・
白菊や和解せぬまま読む弔辞  茨城県 小池つと夢
春泥を跳んで令和に着地せり  長崎県 寺井すみえ
良き距離にいつも友いて木芽和え  埼玉県 安原南海子   
この子らが令和の主役柏餅  愛知県 古賀勇理央
号令はかけないでおく蟻の列  山口県 堀 節誉
手鏡に禁令の蝶かくまへり  岡山県 小西瞬夏
メーデーの日に生まれきて令和の子  長崎県 久田浩一郎
令和元年五月一日朝ご飯  新潟県 北村美都子
ひきがへる見てゐる妻を見て和む  東京都 樋口昇る