特別作品 糸電話八月キマシタ生キテマス　相川文子 立春を見てきたと言う仔鹿の眼　安谷屋之里恵 城濠の水の粘りや冬桜　　　　　今井　妙 天空は神の領域鷹わたる　　　　中川秀司 ワクチンに女子の兵法ほどの朱夏　松田抱空 空き […]

特別作品 クマモトを歪に曲げる春の地震　木庭杏子 白梅や器の重き伊達料理　　　　小林政女 浦城下武士に似てくる鴨の陣　　舘岡誠二 語り部に十年の春積み重ね　　　⻆田爽丘子 人に付き声に付きして山ざくら　中内かず子 分校の […]

特別作品 熟柿うましとウヰンクの写真の夫　　秋山迪子 水仙の一本か百本か活け迷う　　　　上石久美子 鷹の舞ふこの地を蝦夷と呼びなせり　大西岩夫 あかときくたちをきぎすの喧しく　　片桐基城 子が欲しき夫婦に三つ子授かりぬ　 […]

特別作品 月おぼろ厨に買ひ置きのざらめ　石川裕子 白無垢で明けた山河やお元日　　近藤美好 コロナ難民ぞくぞく唐辛子赤し　椎名鳳人 もの思うつくしんぼうから青いけむり　成清正之 水郷の深き眠りに生まれたり　　長谷川阿以 初 […]

特別作品 虚と実の間合に春の雪が降る　　金子晴彦 たたたんうんたたたんうんと草萌ゆる　金子ユリ 照紅葉とくとくと脈打ちており　小林和子 客人の爪うつくしき小春かな　　中川　肇 どんな世になるか土筆の総立ちに　平子玲子 水 […]

特別作品 実万両ほそき背骨を見せにけり　　　有本仁政 思ひ出もさくら吹雪にあひにけり　　飯田順子 連凧の先頭かすみまだ揚がる　　　　岡本千尋 ふらここに一つの孤独座りをり　　　杉山一川 天上は紺秋茄子はもつと紺　　　　　 […]

特別作品 石鯛の唇のぶ厚く冬に入る 　　中村　和弘 ベランダに一顆を燭の檸檬の木 寺井　谷子 海より朝日赤ん坊にも穭にも 　高野ムツオ 泡立草どんどん人が減つてゆく 伊藤　政美 静粛なオープンリール四方の春 秋尾　　敏 […]

特別作品 血縁に遠近のあり蝌蚪の紐 　笠原壮介 放ち鳥空に大きな穴のあり 　窪田英治 春霞抜けて十指を確かめる 　島　彩可 流し雛夜は満天の星仰げ 　　髙𣘺邦夫 爽涼や三方の窓開けて座す 　竹味千賀子 空蟬の背の一刀敗戦 […]

特別作品 野火果つれば不意に慕情は確かとなる 天川　悦子 雁帰月空ひろびろと母の墓 　　　　　井上　花風 必然にあらぬ俳縁初便り 　　　　　　上田　歌子 記憶の解凍八月十五日 　　　　　　　岡田　春人 桐一葉枯山水の海に […]

特別作品 姨捨や降るとなく雪深みたる 　　折井眞琴 八月六日色なき雨に濡れにけり 　片山亀夫 山の日の列車も人も遠ざかる 　　樽谷俊彦 オルフェウスわれを手招く朧月 　泊　義葊 新松子虚空を揺らす土の声 　　　中根登美子 […]