東金夢明(とうがね・むめい)
昭和23年生まれ
・平成8年、句作を始める。
・平成12年、「顔」(当時の主宰・牧石剛明、編集長・瀬戸美代子)入会。
・平成16年、第32回「顔」賞を受賞。
・平成17年、第33回「顔」賞を受賞。
・平成19年「顔」退会、現在無所属。
現代俳句協会会員。
第10回現代俳句協会年度作品賞受賞作品
「窯 変」 東金夢明
鳥兜毒持つことは静かなり
裸木になっても父の匂いする
河骨のひとつ咲きたる後のこと
鳴き砂というから鳴かす昼の月
秋風のひとり芝居を見ていたり
薬屋に寄り道をして穴惑い
時間から零れたままの水蜜桃
木棺のふたに小窓や雲に鳥
どこまでが花どこからが花の闇
茎立ちの一男一女ありにけり
楼蘭は時間の欠片春嵐
奈落から蠅捕蜘蛛を連れてきた
花冷えの関東平野あっ深爪
出口なき穴の入口栗の花
木枯しの事の次第を聞いてやる
枯山河ひとつの石の在りどころ
打つたびに鉄美しき十二月
長き夜の結び目ばかり増えてゆく
尼寺の蛇の蛻は裏返し
鱗粉をこぼして夏が飛び立てり
炎昼の兄の背中に展翅台
ひぐらしや白木の箱は舟になる
黄昏の油地獄のかきつばた
髪洗いしずかに耳の伸びてゆく
芒原人差指は人を刺し
壺割れてその内景の枯野原
霜柱死は慌てずに躊躇わず
初雪に火の匂いして安達が原
喉元は絶対見せぬ熟柘榴
窯変の始まっている冬の雷
裸木になっても父の匂いする
河骨のひとつ咲きたる後のこと
鳴き砂というから鳴かす昼の月
秋風のひとり芝居を見ていたり
薬屋に寄り道をして穴惑い
時間から零れたままの水蜜桃
木棺のふたに小窓や雲に鳥
どこまでが花どこからが花の闇
茎立ちの一男一女ありにけり
楼蘭は時間の欠片春嵐
奈落から蠅捕蜘蛛を連れてきた
花冷えの関東平野あっ深爪
出口なき穴の入口栗の花
木枯しの事の次第を聞いてやる
枯山河ひとつの石の在りどころ
打つたびに鉄美しき十二月
長き夜の結び目ばかり増えてゆく
尼寺の蛇の蛻は裏返し
鱗粉をこぼして夏が飛び立てり
炎昼の兄の背中に展翅台
ひぐらしや白木の箱は舟になる
黄昏の油地獄のかきつばた
髪洗いしずかに耳の伸びてゆく
芒原人差指は人を刺し
壺割れてその内景の枯野原
霜柱死は慌てずに躊躇わず
初雪に火の匂いして安達が原
喉元は絶対見せぬ熟柘榴
窯変の始まっている冬の雷
※句は現代俳句データベースに収録されています。
※受賞者略歴は掲載時点のものです。