伴場 とく子(ばんば・とくこ)
・1997年(平成9年)「麦」入会。
・2000年(平成12年)「麦」同人。
・2000年(平成12年)「麦」新人賞受賞。
・2002年(平成14年)「麦」収穫祭受賞。
・2007年(平成19年)「麦」作家賞受賞。
・現代俳句協会員。
第15回現代俳句協会年度作品賞受賞作品
「金色の靴」 伴場 とく子
ふくらんで封書の届く小春の日
露けしや石を神とも仏とも
台風が逸れて肉屋に肉並ぶ
誰ひとり欠けても淋し葛の花
尖塔の十字架にたつ秋気かな
秋風に少し後れてひとの声
赤ん坊が甘え泣きして秋がゆく
たむろして秋の鴉の人臭し
踊子の金色の靴小鳥来る
寝返りをうつたび遠くなる花野
いぼむしり勝手に涙が出て困る
神の留守誰も知らない実が生って
晩秋のしぐれが濡らす百度石
人が来て木枯しが来てインターホン
すずなすずしろご近所の夕灯り
菜の花のえぐみはらからみな老いて
ゆく春や古りしピアノに古し椅子
さくら散る野球部員のうさぎ跳び
筋肉にそれぞれ名前さくら東風
連休のどの日も晴れて花大根
明日から明日からとて春がゆく
武蔵野の森がふくらむ木の芽雨
竹皮を脱いで段取り通りなり
藤の実の垂れてゆっくり午後になる
掌も声も大き人いて梅雨明ける
公園の見取図どこも緑濃し
夕立や味噌屋の奥の台秤
まだ残る火傷の痕や夕かなかな
捕虫網しんがりにいて遅れがち
日傘たたむなんだか寂しくなりそうで
※句は現代俳句データベースに収録されています。
※受賞者略歴は掲載時点のものです。