栗石返す
👤栃木*本間睦美
飛花落花栗石返すまろき音
本間睦美

撮影:本間睦美
二社一寺で世界的に知られる日光山内では、毎年4月下旬に「栗石返し」と呼ばれる清掃奉仕作業が行われる。
「栗石」は日光山内では、東照宮及び大猷院の境内に敷き詰められている丸みを帯びた玉石のことを言う。
この拳大の栗石は、雨の多い日光で湿気の抜けをよくし、木造建築や彫刻類を守る働きがある。
作業では、決められた場所の端から、しゃがんだ姿勢で一斉に一つ一つの石を裏返し、間に入り込んだ杉の木の葉などを取り除く。
その石のぶつかる音がかちかちと鳴る。決して鋭い音ではなく、この文化遺産を守る手伝いができる喜びも感じ、心地よく響くのである。
古瀬戸
👤愛知*永井清成
隙間なく古瀬戸の皿に春を盛る
永井清成

撮影:永井清成
日本には古くから陶器の産地として日本六古窯と云われるものがあります。
瀬戸(愛知県)のほか常滑(愛知県)・信楽(滋賀県)・越前(福井県)・丹波(兵庫県)・備前(岡山県)がそれで、中世から現代まで途切れることなく焼物の産地としてそれぞれの地域で独自の技術と文化が承継されている。
瀬戸市を中心とした「古瀬戸」は鎌倉~室町時代に施薬(上薬として鉄釉や灰釉をかけたもの)されたもので、同じように瀬戸で生産されるが無釉のものは古瀬戸とは云わず区別される。
ちなみに瀬戸以外の五古窯のものも釉薬は使われていない。
いかなご
👤兵庫*塩見恵介
いかなごの釘煮と子午線を跨ぐ
塩見恵介

農林水産省「うちの郷土料理」 画像提供:兵庫県家庭料理調査グループ
いかなごの稚魚(新子)が売り出される2月末~3月。
それぞれの家々での味付けで、醤油・砂糖・生姜を使い甘辛く煮詰めた佃煮にされます。
炊き上がりの姿が折れ釘のようなことから「いかなごの釘煮」と呼ばれます。
特に明石・神戸で親しまれる、春を告げる郷土料理です。
海にほど近いJR明石駅周辺には「魚の棚」と呼ばれる海産物を中心とした商店街があります。
たこ焼きを出汁につけて食べる明石焼が当地の名物ですが、この時期は釘煮の匂いが主役。
日本標準時子午線(東経135度)が走る「時のまち」明石を、土産に買った釘煮をぶら下げながら、寛いだ気分で散策した際の一句です。