早起きは苦手─蒼年部より─
👤近恵(こんけい)

昨年から現代俳句協会に新設された「蒼年部」の部長を仰せつかり、たどたどしくも活動をしている。
「蒼年部」とは現代俳句協会に所属する協会員のうち、50歳から69歳までの全協会員が対象で、はいそこのあなた、あなたも自動的に蒼年部員なんですよ、というシステムなのであるが、なにせ初めての事なので身近にいる仲間に声をかけ蒼年部委員になってもらった。
それまで私は殆ど大会に出る事もなく、地区協も参加せずの名ばかりの協会員であったので、協会がどんな組織構成でどんな風に活動をしているのかもわからず、その上こういう活動そのものに殆ど縁がなかったので、何をどうすればいいのかすら解らない状態で無謀にも部長を引き受けてしまったので、個人的にも全くのゼロからのスタートである。
この「蒼年部」の初仕事として11月3日の現代俳句全国大会の前日祭(この前日祭というのも初めての試み)の企画実行という大役が割り当てられていた。
責任重大である。
のっけから肩にずっしり荷物を載せられたのである。
活動を始めるに当たり、最初に「蒼年部」の行動指針を立てることになった。「蒼年部」は何をするのか。
年齢的にも社会的にも50代60代は責任ある立場にいたり、あるいは親の介護をしていたり、あるいは結社内で重要な立場にあったりと公私ともに忙しい年代。
句会や勉強会は既に青年部や協会でやっているので、ここはひとつ何か楽しそうな事をしていたらなんだなんだと人が寄ってくるんじゃないかということで「楽しい事をする」という実に呑気なぼんやりとした行動指針を立てたのである。
句会でも勉強会でもない「楽しい事」。
これが前日祭の企画の根底にある。
さて、件の前日祭であるが、既に日程と会場は決まっていて、しかも会場は東京タワーなのだという。
それも展望フロアにあるオープンスペースのイベント会場。
そしてテーマは「昭和百年」。
うつ、昭和百年と俳句か。
何をするかを考える前にまずは会場の下見だ。
平日の夜、多くが団体の外国人観光客。
会場には巨大なモニターがありセンスのいいVTRが流れている。
おしゃれだ。
休日の昼間ともなれば子連れもいるだろう。
ここで句会とか、、、地味すぎる。
おしゃれじゃない。
プレバトみたいな感じなら盛り上がるかもしれないが、それって夏井いつきさんあっての事で、そもそも外部からゲストを呼んでとなると費用もかかるし、何より「蒼年部」じゃなくても出来るし、それにそれじゃ昭和百年とか関係ないしという話になる。
大門あたりの中華料理屋に場所を移し、一杯やりながら諸々話をしているうち、昭和の俳句の歴史はどうしても戦争に突き当たってしまい、その存在が大きいのでその先が細っていってしまうということになった。
逆に令和である現代から遡って行くと、案外いろいろなテーマが出て来て、この中華料理屋での話が意外と楽しかったのだ。
時間が経つのを忘れてしまう。
誰からとなくこういう話のセッションでいいんじゃないのという事になる。
昭和百年の百年目は現在な訳だから、そこから遡っていろいろなテーマに触れていく。
それなら勉強会などではあまり触れることのない雑談のような話もできるし、なによりそこに来ないと聞けない生の話。
トークゲストを蒼年部員から選び、来場者にも話を振って参加してもらう。
話の着地点は設けず、一つのテーマの深堀は時間的制約もあるのでしない。
こうしてタイトル「東京タワー333メートルから俳句を見渡す」というメインイベントが決まったのである。
合わせて「東京タワー俳句大会」、フットタウン2階通路の展示もやらなくてはならず、展示の片面は私のこだわりで作者直筆色紙の写しの大パネル、しかも黒地に白抜き。
反対側は昭和百年の俳句の年表。
これも出来事や俳句は委員の独断で、こだわりのあるものが出来上がった。
実はトークセッションよりもこの年表などのパネル作成の方が手が掛かって大変だったのである。
費用をケチって自分たちで出力紙をパネルに切り張り。
まるで学祭の準備のよう。
極めつけは展示物の設置当日、朝7時に東京タワー前集合。
まさか還暦を過ぎてからこんな事になるとは。イベントって大変なのねと思う反面、それも終わってみると楽しくもあり。
でも次は体力に自信ないよ。
ああ、でも蒼年部部長は任期2年ってことだし、まあいいかと思っていたのだ。
がしかし、それは大きな勘違いで、任期は2年3期、通算6年だったのだ。
甘かった。。。
そんなわけで、あと5年、頼りない部長ではあるが、なんとか「蒼年部」の活躍の場を地味に広げようと思っている。
一応、今年の事業計画もある。
全国の蒼年部員の皆さん、声を掛けますので何卒よろしくお願いします。
直にお目に掛かれなくてもzoomで集会を開く時には声をかけます。
どんなもんか興味のある方、ぜひ参加してください。
寒波東京タワーがにじむ揺れる
近恵
近恵(こんけい)
1964年生まれ 青森県出身
2007年俳句を始め「炎環」入会 同人
「豆の木」メンバー 尻子玉俳句会お世話係
現代俳句協会会員、2013年第31回現代俳句新人賞受賞
合同句集炎環叢書『きざし』