キャノッコ汁
👤秋田*森田千技子
大鍋の湯気立ち上がるキャノッコ汁
森田千技子

キャノッコ汁 撮影:森田千技子
主に秋田県北部で正月に食される郷土料理で、「きゃの汁」とも呼ばれますが、この地域では「キャノッコ」と親しまれています。
春に採取し塩蔵しておいたフキ、ワラビ、ゼンマイ、ウドなどの山菜を塩抜きし、大根、ニンジン、ゴボウ、タケノコ、ジダ豆、角こんにゃく、厚揚げなどとともに、味噌仕立てで煮込んだ、栄養満点の料理です。
「粥汁(かゆじる)」が訛った呼び名とも言われています。
神仏に供えて新年の祈願をする家庭もありますが、一般には大鍋でたっぷりと煮て、正月明けの寒中にいただくことが多く、家族が主婦の手を少しでも休ませたいという思いやりから生まれた風習とも言われています。
隣近所へお裾分けなどしてご近所交流にも一役買っています。
薬師如来
👤岐阜*武馬久仁裕
冬去年今年薬師如来へ続く道
武馬久仁裕

薬師如来坐像(岐阜県可児市)撮影:武馬久仁裕
私の家から南東に真っ直ぐ行ったところに、薬王寺という、天台宗の小さなお寺があります。
無住です。
そこの本尊が、丈六の大きな薬師如来坐像です。
薬師如来は、平安時代の一木造りで、岐阜県の重要文化財です。
大きなお顔のどっしりした造りです。
安定感、信頼感抜群です。
私は、五十歳前後に大きな病気をしたものですから、この薬王寺の存在を知ってから、元日の日は、それこそ薬師如来に続く家の前の道を家族とともに、三十分ほど歩いて、初詣に行くのです。
ただ、残念なことに、毎年、お堂の扉は締まっていますので、鈴を鳴らしてガラス越しのお参りです。
古梅園
👤奈良*吉田茂子
厳寒の声をつつしむ古梅園
吉田茂子

画像提供:奈良古梅園
古梅園は奈良の名産である墨の製造をする製墨所です。
1577年の創業以来460余年に至る墨作りの歴史を持ち、奈良墨の製墨、販売の老舗として知られています。
奈良墨の製法の歴史は古く、806年に空海が唐から持ち帰り、興福寺で製墨したのが初まりです。
墨には松脂を燃やして作る「松煙墨」と菜種や胡麻の油を燃やして作る「油煙墨」がありますが、奈良墨は油煙墨です。
その作り方は菜煙された煤を、膠の溶液と混ぜて練り固め、木型に入れて成型、型から出して木炭を載せて乾燥します。
この工程は機械化が難しく、今も手作業で行われています。
製造は膠が腐りやすい季節を避けて10月中旬から4月ごろまでに行われます。