
人生100年時代
生涯元気で俳句を楽しもうとしていらっしゃる現代俳句協会の先輩たちにお話を聴く
シリーズ「つるかめインタビュー」
第4回目は 神奈川県の渡邊正剛(わたなべ・せいごう)さん
第4回目は神奈川県の渡邊正剛(わたなべ・せいごう)さん。
神奈川県現代俳句協会の仲間との吟行会、国内外の旅の思い出、スポーツやパソコンのお話、そしてご自身の俳句についてなど、様々なお話をお伺いしました。
下記画像上の[▶]ボタンを押すと動画が再生されます
渡邊正剛(わたなべ・せいごう) プロフィール
昭和7年8月10日、熊本県生まれ
大学卒業後、日本航空整備(株)に就職(のちに日本航空に吸収合併)
間接部門を経て、航空貨物部門で働く。最後は東京空港支店貨物部長。
26~27歳頃から職場句会「日航俳句会」に入会し、俳句を始める。
平成11年 現代俳句協会に入会。
平成24年 「岳」同人
平成30年 「顔」同人
このほか「ロマネコンティ」「蛮」「日航俳句会」「葵俳壇」に所属
現在:
神奈川県現代俳句協会参与
神奈川県藤沢市在住
著書:
句文集『正剛の俳句と旅』(文學の森 令和元年7月7日刊)
翌年、当句文集により「文學の森賞」入賞
〈渡邊正剛 代表句〉
「リュウグー」の砂に夢描く星祭
雲雀鳴く恋は天から落ちてくる
クロッカスマッターホルンを崇め見る
団結は死語となりしかしやぼん玉
友の死は吾が死と思ふ温め酒
地響きの雪崩が走るユングフラウ
ハイビスカス牛車でわたる海がある
一匹の蜂が止めたり新幹線
ひと泡を吹かすか余生凌霄花
首揺する片恋いとし檻の熊
向日葵や爺の苫屋はこれで足る
一途とはもろきものなり一輪草
帆船は花と化したり海の日に
秋暑し驢馬車の驢馬はよく打たる
柚子風呂にポカンポカンと過去がある
書き置きもなくて妻留守ちちろ虫
春光や金婚の掌に星の砂
隙間風まだまだ二人先がある
降る雪に失せゆく過去や卒寿来る
易々と逝ってたまるか濁り酒
収録日 :2025年9月11日
場所 :辻堂駅・テラスモール湘南内レストラン
インタビュアー:広報部 杉美春、津髙里永子
動画編集 :加那屋こあ
企画・制作 :現代俳句協会 広報部
第3回目は 兵庫県の光末紀子(みつすえ・のりこ)さん
フロイトやリルケなどの研究者である光末さん。
神戸大学俳文学研究会の事、俳句との出会い、ピアノが大好きだった少女期、 そしてご自身の俳句についてなど、様々なお話をお伺いしました。
下記画像上の[▶]ボタンを押すと動画が再生されます
光末紀子(みつすえ・のりこ) プロフィール
昭和15年5月28日、大連市生まれ
京都大学大学院文学研究科修士課程修了
平成27年 現代俳句協会に入会
平成28年 「藍」同人
令和3年 第41回「藍賞」受賞
現在 神戸大学名誉教授
専門分野:ドイツ近現代詩、ヨーロッパ文化論、ジェンダー論
〈光末紀子 二十句〉
梅の香の満ち来る過去の中に母
恋人の鎖骨こつこつ薺咲く
黒き龍のぼりゆく幹夜の桜
染卵ネバーランドの草むらに
石ころとは昵懇の仲すみれ草
整列が好きで陽気なチューリップ
うすきいろ風からもらい姫じょおん
アネモネや神話の庭に種こぼれ
あじさいの青の音調ベイエリア
咲きのぼる先の不確かグラジオラス
外れやすき罌粟の花びらルドンの眼
何をあわてて塗り残されし半夏生
草を引く指に生まれているリズム
畳み目に埋もれる花粉夜の百合
薔薇の渦孤独は原寸大がいい
無花果の内なる花の薄明り
ミニチュアの脳髄めきし胡桃食ぶ
白地図のごとき城跡ひがんばな
冬木の芽走者たすきを渡し終え
朱を尽くすポインセチアの無表情
(津髙里永子 選)
収録日 :2025年8月10日
場所 :兵庫県神戸市のご自宅
インタビュアー:広報部 津髙里永子
動画編集 :加那屋こあ
企画・制作 :現代俳句協会 広報部
第2回目は 群馬県の小野里勲(おのざと・いさお)さん
小野里さんは今年5月、97歳で初句集『法師蟬』を上梓されました。
句集は全国から大きな反響を呼んでいます。
ご自身の俳句について、最初の師である相葉有流先生との出会い、ご家族のことなど語ってくださいました。
インタビューには「言霊俳句会」主宰、中里麦外先生にご協力いただきました。
下記画像上の[▶]ボタンを押すと動画が再生されます
小野里勲(おのざと・いさお) プロフィール
昭和3年3月16日、群馬県前橋市生まれ
昭和62年 結社「石人」(相葉有流主宰)に入会
平成15年 「言霊俳句会」(中里麦外主宰)に入会
平成18年 上毛文学賞受賞
平成27年 群馬県現代俳句協会会長賞受賞
平成27年 群馬県文学賞受賞
令和7年5月 第一句集『法師蟬』上梓(現代俳句協会出版部)
小野里勲 十句
神神の光あまねく出穂日和
蓮の露こぼれて人の来る気配
余生とは傷つきやすき夏の蝶
浴衣地にせせらぎの音かすかなり
息災の一日を了へし水を打つ
秋彼岸ひとりの影をみちづれに
老農に麦踏みといふ快楽(けらく)かな
鍬始一打に神が降り給ふ
淋しさのなき世に生れよ法師蟬
浮雲の一つや二つ盆近し
(中里麦外 選)
収録日 :2025年7月8日
場所 :群馬県前橋市のご自宅
インタビュアー:広報部 加那屋こあ
取材協力 :津髙里永子
動画編集 :加那屋こあ
企画・制作 :現代俳句協会 広報部
第1回目は福島県の久保羯鼓(くぼ・かっこ)さん
本好きだった少女期、デザイナーとして活躍した頃や俳句との出会いなど貴重な体験なども交えて雑談のように楽しく語ってくださいました。
下記画像上の[▶]ボタンを押すと動画が再生されます
久保羯鼓(くぼ・かっこ)略歴
昭和6年3月12日生まれ
令和元年、第72回福島県文学賞俳句部門正賞
〈死ぬまでを遊べあそべと夕雲雀〉
平成10年2月 現代俳句協会入会
FTVカルチャーセンター講師、「馬醉木」「鯱」「藍生」「福島・自由人」などを経て、現在「小熊座」同人
久保鞨鼓 十句
息吸つて吐いて雲浮く春隣
死者たちの夢か椿の花赤し
蝙蝠の乱舞はろかな父の声
琉金がはつたと原子炉を睨む
身の内に雷走るとき言葉生る
和紙ほどの秋思吾が身を包みけり
曼珠沙華花の先まで意地とほす
鮟鱇の涙の雫見てしまふ
ゴンドラの積荷は寒き修理器具
地球儀を廻しをり愛は冬芽ほど
(広報部 津髙里永子 選)
収録日 :2025年5月24日
場所 :福島県杉妻会館
インタビュアー :広報部 津髙里永子
編集 :加那屋こあ
企画・制作 :現代俳句協会 広報部