
人生100年時代
生涯元気で俳句を楽しもうとしていらっしゃる現代俳句協会の先輩たちにお話を聴く
シリーズ「つるかめインタビュー」
第3回目は 兵庫県の光末紀子(みつすえ・のりこ)さん
フロイトやリルケなどの研究者である光末さん。
神戸大学俳文学研究会の事、俳句との出会い、ピアノが大好きだった少女期、 そしてご自身の俳句についてなど、様々なお話をお伺いしました。
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光末紀子(みつすえ・のりこ) プロフィール
昭和15年5月28日、大連市生まれ
京都大学大学院文学研究科修士課程修了
平成27年 現代俳句協会に入会
平成28年 「藍」同人
令和3年 第41回「藍賞」受賞
現在 神戸大学名誉教授
専門分野:ドイツ近現代詩、ヨーロッパ文化論、ジェンダー論
〈光末紀子 二十句〉
梅の香の満ち来る過去の中に母
恋人の鎖骨こつこつ薺咲く
黒き龍のぼりゆく幹夜の桜
染卵ネバーランドの草むらに
石ころとは昵懇の仲すみれ草
整列が好きで陽気なチューリップ
うすきいろ風からもらい姫じょおん
アネモネや神話の庭に種こぼれ
あじさいの青の音調ベイエリア
咲きのぼる先の不確かグラジオラス
外れやすき罌粟の花びらルドンの眼
何をあわてて塗り残されし半夏生
草を引く指に生まれているリズム
畳み目に埋もれる花粉夜の百合
薔薇の渦孤独は原寸大がいい
無花果の内なる花の薄明り
ミニチュアの脳髄めきし胡桃食ぶ
白地図のごとき城跡ひがんばな
冬木の芽走者たすきを渡し終え
朱を尽くすポインセチアの無表情
(津髙里永子 選)
収録日:2025年8月10日 場所:兵庫県神戸市のご自宅
インタビュアー:広報部 津髙里永子
動画編集:加那屋こあ
企画・制作 現代俳句協会 広報部
第2回目は 群馬県の小野里勲(おのざと・いさお)さん
小野里さんは今年5月、97歳で初句集『法師蟬』を上梓されました。
句集は全国から大きな反響を呼んでいます。
ご自身の俳句について、最初の師である相葉有流先生との出会い、ご家族のことなど語ってくださいました。
インタビューには「言霊俳句会」主宰、中里麦外先生にご協力いただきました。
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小野里勲(おのざと・いさお) プロフィール
昭和3年3月16日、群馬県前橋市生まれ
昭和62年 結社「石人」(相葉有流主宰)に入会
平成15年 「言霊俳句会」(中里麦外主宰)に入会
平成18年 上毛文学賞受賞
平成27年 群馬県現代俳句協会会長賞受賞
平成27年 群馬県文学賞受賞
令和7年5月 第一句集『法師蟬』上梓(現代俳句協会出版部)
小野里勲 十句
神神の光あまねく出穂日和
蓮の露こぼれて人の来る気配
余生とは傷つきやすき夏の蝶
浴衣地にせせらぎの音かすかなり
息災の一日を了へし水を打つ
秋彼岸ひとりの影をみちづれに
老農に麦踏みといふ快楽(けらく)かな
鍬始一打に神が降り給ふ
淋しさのなき世に生れよ法師蟬
浮雲の一つや二つ盆近し
(中里麦外 選)
収録日 :2025年7月8日 場所:群馬県前橋市のご自宅
インタビュアー :広報部 加那屋こあ
取材協力 :津髙里永子
動画編集 :加那屋こあ
企画・制作 :現代俳句協会 広報部
第1回目は福島県の久保羯鼓(くぼ・かっこ)さん
本好きだった少女期、デザイナーとして活躍した頃や俳句との出会いなど貴重な体験なども交えて雑談のように楽しく語ってくださいました。
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久保羯鼓(くぼ・かっこ)略歴
昭和6年3月12日生まれ
令和元年、第72回福島県文学賞俳句部門正賞
〈死ぬまでを遊べあそべと夕雲雀〉
平成10年2月 現代俳句協会入会
FTVカルチャーセンター講師、「馬醉木」「鯱」「藍生」「福島・自由人」などを経て、現在「小熊座」同人
久保鞨鼓 十句
息吸つて吐いて雲浮く春隣
死者たちの夢か椿の花赤し
蝙蝠の乱舞はろかな父の声
琉金がはつたと原子炉を睨む
身の内に雷走るとき言葉生る
和紙ほどの秋思吾が身を包みけり
曼珠沙華花の先まで意地とほす
鮟鱇の涙の雫見てしまふ
ゴンドラの積荷は寒き修理器具
地球儀を廻しをり愛は冬芽ほど
(広報部 津髙里永子 選)
収録日 :2025年5月24日 場所:福島県杉妻会館
インタビュアー :広報部 津髙里永子
編集 :加那屋こあ
企画・制作 :現代俳句協会 広報部