
昭和100年俳句年表
俳句作品出典一覧
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たましひのたとへば秋のほたるかな
飯田蛇笏 『山廬集』
流れゆく大根の葉の早さかな
高濱虚子 『五百句』
ヴァカボンドの群れの椅子にも散る桜
小泉迂外
『現代日本文学全集38篇 現代短歌集・現代俳句集』
葛飾や桃の籬も水田べり
水原秋櫻子 『葛飾』
うしろすがたのしぐれてゆくか
種田山頭火 『草木塔』
頭の中で白い夏野となつてゐる
高屋窓秋 『白い夏野』
蟾蜍長子家去る由もなし
中村草田男 『長子』
夏草に汽缶車の車輪来て止る
山口誓子 『黄旗』
しんしんと肺碧きまで海のたび
篠原鳳作 『現代俳句 第三巻』
枕辺の春の灯は妻が消しぬ
日野草城 『昨日の花』
秋の航一大紺円盤の中
中村草田男 『長子』
ラガー等のそのかちうたのみじかけれ
横山白虹 『海堡』
水枕ガバリと寒い海がある
西東三鬼 『俳苑叢刊 旗』
ピストルがプールの硬き面にひびき
山口誓子 『炎昼』
昇降機しづかに雷の夜を昇る
西東三鬼 『俳苑叢刊 旗』
リトヴィノフは葡萄酒じやないぞ諸君
仁智榮坊 「京大俳句」
戦争が廊下の奥に立つてゐた
渡辺白泉
『現代日本文学全集91 現代俳句集』
我を撃つ敵と劫暑を倶にせる
片山桃史 『俳苑叢刊 北方兵団 』
大戦起るこの日のために獄をたまわる
橋本夢道 『無礼なる妻』
曼珠沙華どれも腹出し秩父の子
金子兜太
『鼎』(田川飛旅子、青池秀二との共著)
秋晴や勅諭誦す貨車の中
石田波郷 「鶴」
勇気こそ地の塩なれや梅真白
中村草田男 『来し方行方』
秋蟬も泣き蓑虫も泣くのみぞ
高濱虚子 『六百句』
いつせいに柱の燃ゆる都かな
三橋敏雄 『まぼろしの鱶』
徐々に徐々に月下の俘虜として進む
平畑静塔 『月下の俘虜』
玉音を理解せし者前に出よ
渡辺白泉 『白泉句集』
獄を出て触れし枯木と聖き妻
秋元不死男 『獄』
身をそらす虹の/絶巓/処刑台
高柳重信 『蕗子』
暗闇の目玉濡らさず泳ぐなり
鈴木六林男 『谷間の旗』
乳母車夏の怒濤によこむきに
橋本多佳子 『紅絲』
窓の雪女体にて湯をあふれしむ
桂信子 『女身』
鳥雲にマッカーサーは帰りけり
柴田宵曲 『昭和俳句作品年表 戦後編』
夏みかん酸つぱしいまさら純潔など
鈴木しづ子 『指輪』
草二本だけ生えてゐる 時間
富澤赤黄男 『黙示』
林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき
寺山修司 『花粉航海』
暁紅に露の藁屋根合掌す
能村登四郎 『合掌部落』
塩田に百日筋目つけ通し
沢木欣一 『塩田』
怒らぬから青野でしめる友の首
島津亮 『記録』
黄の青の赤の雨傘誰から死ぬ
林田紀音夫 『風蝕』
スケートの塗れ刃携へ人妻よ
鷹羽狩行 『誕生』
埋立てて東京の地やつばくらめ
斎藤夏風 『埋立地』
秋の暮大魚の骨を海が引く
西東三鬼 『変身』
明るい山肌残すため散るオートバイ
赤尾兜子 『虚像』
ほととぎす敵は必ず斬るべきもの
中村草田男 『時機』
どこまでが父の戦記の夏の空
宇多喜代子 『宇多喜代子 花神現代俳句』
はりがねの最も苦痛になるかたち
阿部青鞋 『阿部青鞋集』
流氷を見にゆく男をまじえずに
寺田京子 『日の鷹』
昭和衰へ馬の音する夕かな
三橋敏雄 『眞神』
人体冷えて東北白い花盛り
金子兜太 『蜿蜿』
ローソクもつてみんなはなれてゆきむほん
阿部完市 『絵本の空 』
一月の川一月の谷の中
飯田龍太 『春の道』
木にのぼりあざやかあざやかアフリカなど
阿部完市 『にもつは絵馬』
天上もさびしからんに燕子花
鈴木六林男 『国境』
くすぐつたいぞ円空仏に子猫の手
加藤楸邨 『吹越』
祈るべき天とおもへど天の病む
石牟礼道子 『天』
春の日やあの世この世と馬車を駆り
中村苑子 『水妖詞館』
チューリップ散る一片はゴッホの耳
有馬朗人 『知命』
幾千代も散るは美し明日は三越
攝津幸彦 『鳥子』
掛稲のすぐそこにある湯呑かな
波多野爽波 『湯呑』
鳥渡る棒高跳びの棒残り
澤好摩 『印象』
涅槃図に漏れて障子の横の猫
村越化石
『村越化石集』自註現代俳句シリーズⅡ期38
「大和」よりヨモツヒラサカスミレサク
川崎展宏 『義仲』
梅咲いて庭中に青鮫が来ている
金子兜太 『遊牧集』
イエスよりマリアは若し草の絮
大木あまり 『火のいろに』
三月の甘納豆のうふふふふ
坪内稔典 『落花落日』
階段が無くて海鼠の日暮かな
橋閒石 『和栲』
未来より滝を吹き割る風来たる
夏石番矢 『Métropolitique』
冬深し柱の中の濤の音
長谷川櫂 『古志』
くさめして我はふたりに分れけり
阿部青鞋 『ひとるたま』
回廊の終りは烏揚羽かな
柿本多映 『蝶日』
あやまちはくりかへします秋の暮
三橋敏雄 『畳の上』
ふはふはのふくろふの子のふかれをり
小澤實 『砧』
ひかり野へ君なら蝶に乗れるだろう
折笠美秋 『君なら蝶に』
じゃんけんで負けて螢に生まれたの
池田澄子 『空の庭』
手をつけて海のつめたき桜かな
岸本尚毅 『舜』
船虫の上眼びつしり核の傘
中村和弘 『蠟涙』
初湯殿卒寿のふぐり伸ばしけり
阿波野青畝 『西湖』
寒晴やあはれ舞妓の背の高き
飯島晴子 『寒晴』
綿虫やひとり黙つて蹤きゆきぬ
加藤楸邨 『望岳』
初夢のなかをどんなに走つたやら
飯島晴子 『儚々』
百千鳥雌蕊雄蕊を囃すなり
飯田龍太 『遲速』
みづから遺る石斧石鏃しだらでん
三橋敏雄 『しだらでん』
聳え立つとは雪の富士のみに云ふ
山口誓子 『新撰大洋』
水遊びする子に先生より手紙
田中裕明 『先生から手紙』
寒雷や在りし日のこゑうしろから
加藤楸邨 『望岳』
旅終へてよりB面の夏休
黛まどか 『B面の夏』
白梅や天没地没虚空没
永田耕衣 『自人』
戒名は真砂女でよろし紫木蓮
鈴木真砂女 『紫木蓮』
ぶらぶらを春の河まで棄てにゆく
攝津幸彦 『鹿々集』
あめんぼと雨とあめんぼと雨と
藤田湘子 『神楽』
洗はれて山河へ戻る茎の石
飴山實 『飴山實全句集』
亀鳴くを聞きたくて長生きをせり
桂信子 『草影』
烏瓜鳥羽僧正が袖の下
島津亮 『平成秀句選集』
カンバスの余白八月十五日
神野紗希 『星の地図』
ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ
なかはられいこ 「WE ARE!」第3号
明日は死ぬ花の地獄と思うべし
佐藤鬼房 『幻夢』
水の地球すこしはなれて春の月
正木ゆう子 『静かな水』
空へゆく階段のなし稲の花
田中裕明 『夜の客人』
夏怒濤海は真を盡しけり
桂信子 『平成秀句選集』
死ぬ朝は野にあかがねの鐘鳴らむ
藤田湘子 『てんてん』
漏刻といふ垂直の梅雨深し
小川双々子 『平成秀句選集』
夜咄は重慶爆撃寝るとする
鈴木六林男 『鈴木六林男全句集』
わが死後は空蝉守になりたしよ
大木あまり 『星涼』
鐵帽に軍靴をはけりどの骨も
眞鍋呉夫 『月魄』
人類に空爆のある雑煮かな
関悦史 『六十億本の回転する曲がつた棒』
台風や地球の水を繰り返し
和田悟朗 『風車』
泥かぶるたびに角組み光る蘆
高野ムツオ 『萬の翅』
わが足のああ耐えがたき美味われは蛸
金原まさ子 『カルナヴァル』
夕焼けの原発すでにして遺跡
仲寒蝉 『巨石文明』
竜天に登るわたしは靴を履く
鍵和田秞子 『濤無限』
よき仕事する蚯蚓らに土尽きず
矢島渚男 『冬青集』
男来て出口を訊けり大枯野
恩田侑布子 『夢洗ひ』
鈴虫を梵音(ばんのう)と聴く北の寺
瀬戸内寂聴 『ひとり』
河より掛け声さすらいの終るその日
金子兜太 『百年』
開戦日が来るぞ渋谷の若い人
大牧広 『朝の森』
忘れないための消しゴム原爆忌
秋尾敏 『ふりみだす』
あっ彼は此の世に居ないんだった葉ざくら
池田澄子 『此処』
戦争と戦争の間の朧かな
堀田季何 『人類の午後』
癌ぐらゐなるわよと思ふ萩すすき
正木ゆう子 『玉響』
春や有為の奥山越えてダンスダンス
柿本多映 『ひめむかし』
猿曳や猿の背中をそつと押し
西村麒麟 『鷗』