マクドナルドに月
木村聡雄
マクドナルドの看板の眩しさの向こうに月
マイケル・オブライエン
behind the brightness of a mcdonald’s sign the moon
Michael O’brien
世界の国々の街中で見かけるマクドナルドはグローバリゼーションの端的な例のひとつである。ビッグマックの価格でその国の物価状況を比較する話は特に有名だろう。こうしたグローバルな視点からの主題なら、異国で書かれた俳句も日常の景色のひとつとして受け入れて、感心したり批評したりできるのではと感じられる。この句は単なる写生句のようにも見えるが、「看板の眩しさ」という表現に批評精神が感じられる。月は電飾の明るさの奥にかすんでもはや名月かどうかさえよく分からない。かつては夜を照らすのものは月であったが、今や世界中の都市部ではこうした電飾にとって代わられているのだろう。グローバリゼーションは経済のみならず、文化や詩歌においてさえも均一化へと向かわせるようである。
(俳句和訳:木村聡雄/Haiku Canada Review (Volume 11, 2017, No.1)
[The Moon above McDonal’s Toshio Kimura]