原子炉
🗾福島・
髙市宏

牡丹散る原子炉はかく崩れしか
             髙市宏

原子炉は、原子力発電の心臓部だ。
低コストでクリーンなエネルギーとして、原発は今も頼られ続ける。
2011年3月の大地震と津波で、福島第一原発は冷却用の電源を失い、水素爆発と炉心溶融を起こした。
この事故では、津波被災地が原発に近く、放射能の危険から立ち入り禁止となり、けが人などの捜索・救助ができなくなった。
また、病人や高齢者が避難中に命を落としたり、避難をめぐって家庭や集落の崩壊も起き、風評被害も起きた。
いったん事故が起きたときの心の傷や恨みは、単なるコストとしては計算できない。
原発再稼働のニュースの流れるたび、不安がよぎるのは福島の多くの人に共通する感覚だろう。
この地区の避難者は今も2万人を超え、故郷に帰還出来ていない。


大穴子
🗾東京都区・蟇目俊行

江戸っ子の気風で捌く大穴子
             蟇目俊行

撮影:今村志歩

「江戸前」というのは「江戸城の前の海でとれた魚」からきており、出戸前穴子とは東京湾でとれる穴子のぶらんど名です。
「江戸っ子」は、徳川家康が江戸に幕府を開いた天正18年(1590)以降、江戸に生まれ江戸で育った者を《江戸っ子》と呼び、「宵越しの銭は持たぬ」という気風の良さと威勢の良さが自慢です。
当時、江戸は住まいや貯えた銭まで灰にする大火が多発し、火事になって一夜で路頭に迷うより、今日得た銭は今日のうちに使ってしまえという「すてばちな気持ち」がこの言葉を生んだのです。(諸説あり)
そんな江戸っ子気質の板前が気風よく捌いた江戸前の穴子を、美味しさも相俟って東京ブランドの「大穴子」としているようです。


土佐凧
🗾高知・今井浩嗣

土佐凧や茅花流しもよく捉え
             今井浩嗣

撮影:今井浩嗣

土佐の空に舞い上がる鮮やかな色の土佐凧。
その赤を基調とした色彩は邪気を払う為だとか。
現在、その鮮やかな土佐凧を作っているのは、土佐幕末の絵師金蔵「絵金」の弟子の流れを汲む吉川染物店の五代目の吉川毅さんで、工房でお話を伺ってきました。
元々の土佐凧は、長宗我部氏の源流の秦氏に伝わる兵器で、敵陣との距離の測定や、夜間に揚げて凧の出す独特の音による心理的圧迫などで用いたと。
兵器故に、正方形角立てが特徴の土佐凧は、真ん中の横骨を外すと折りたたんで運ぶ事が出来ます。
男児の出産祝いや、還暦の祝いに揚げる伝統も残っている土佐凧ですが、今では土佐の代表的な民芸品として親しまれています。


紅蓮の鯉幟
🗾福岡・仰木節子

玄海を目指す紅蓮の鯉幟
             仰木節子

画像提供:福岡県中間市

当地(福岡県中間市)に流れる一級河川遠賀(おんが)川や遠賀川より分水の堀川(黒田藩主黒田長政侯の命により掘削された人工運河)は鉄道筑豊本線が開通するまでは、主力の航路であった。
堀川は若松港へ、遠賀川は芦屋港へ石炭等を運んだ。
かつて運搬に携わった川筋の漢たちが上り下りした川の河川敷は今、市民の憩いの場となり、4月から5月中旬まで大空を鯉幟が泳いでいる。

<追記>
紅蓮の鯉は、川筋気質の漢たちの逞しく熱い心意気を紅蓮(烈火)に重ねてみました。
紅蓮の鯉という固有のものはありません。