落し水
🗾長野・古畑和
落し水農六十年の勘所
古畑和

私は松本空港の近くに住んで居り、回りは水田地帯で今は稲が育ち盛りです。
8月に入ると稲は穂孕(ほばらみ)期となり、お盆過ぎには稲穂が垂れて稔り田となります。
私の子供の頃は祖父の経験と知恵で「落し水」をしました。
近年は大型コンバインによる作業が主となり重い機械がうずまらないように早めに水を抜いて土を固くしておくのが大事です。
水口もバルブで開閉する様式となり昔の苦労はありませんが、家族総出の稲刈り風景も無くなって少し寂しさも感じて居ります。
「落し水」の句はこの時期を良く見定めて作業する難しさを句にしたものです。
9月はじめに稲刈りが始まると何時も祖父と父が「落し水」の時期を話し合って居た姿が目に浮かび懐かしく思って居ります。

古墳の村
🗾岡山・畦田恵子
息衝く古墳の村秋澄みにけり
畦田恵子

発掘現場の様子 撮影:畦田恵子
荒木山西塚古墳では、令和4・5年に発掘調査が行われた。
北房文化遺産保存会員や地元の小中学生、県内各地からの参加者は、ガリで土を削り、ふるい掛けをした。
土器の破片を見つけた小学生は、「昔の人の生活にふれることができ、とてもうれしかった。これからも発掘に参加したり、北房の古墳を守ったりしていきたい。」
また、中学生は、「一生に一度かもしれない体験にわくわくした。きっと忘れないだろう。」と結ぶ。

大谷一号群 撮影:畦田恵子
ここ北房地域には約250余基もの古墳がある。
そして、古墳時代の始まりから、他では築かれなくなった7世紀頃まで首長墳が続く。
終末期の「大谷・定古墳群」は、国の指定史跡となっている。
この里を「西の明日香村」と呼んで30有余年。
人々は、この北房の文化遺産を守り続けている。
サシバ飛ぶ
🗾沖縄・親泊ちゅうしん
波荒き台湾海峡サシバ飛ぶ
具志堅忠昭

「サシバ」 親泊ちゅうしん 画
白夏(しらなつ)から寒露の頃にミーニシ(新北風)が吹く。
沖縄では古くからサシバ(タカ・ワシ科)がミーニシにのって南下するので、秋を表す沖縄の言葉でもある。
南国沖縄では11月半ば頃から、ちょっと寒い風が吹き、ミーニシは季節の変わり目の挨拶でもある。
本島上空を過ぎ宮古島で羽を休めたあと、さらに南下する。
本島に居残る落後したサシバを「ウティダカ(落ちたタカ)」と呼んでいるが、何だか親しみを感じる。
かつてサシバが飛来した宮古島の休憩地では島中が燃えた。
保護鳥になる前は「サシバ」を捕獲し食していた時代もある。
大人も子供も捕獲に勤しみ、市場でも売られていたという。
作者も食べたことがあるのだろうか?