夏の憂鬱
👤庄子紅子

夏は誰もが活動的になる季節だ。
夏のレジャーはたくさんある。
海にも山にも行きたい。
夏休みだってあるのだから足を延ばして家族や友人達と旅行にだって行ける。
旅行の計画を立てる楽しみもこれも又捨てがたい。
そんな夏なのに私はちょっと憂鬱になってしまうのだ。
沈んだ顔をしていると周りの人の気分を損ねてしまいそうなので、同じ憂鬱を抱えている人とたまに愚痴をこぼす程度にしている。
何が憂鬱かと言うと、家の草取りである。
やり始めると時間を忘れてしまうほど集中してしまうし、目の前の草以外は何も見えなくなってしまう。
暫くして周囲を見回してみると、集中した程には草は取られておらず疲労感が色濃く残るだけなのだ。
天候にも左右されるので、やれる時にやっておこうという気持ちも働き、あそこも大分伸びてきたな、こっちもやっておこう、などとやっているうちに軽く一時間は越えてしまう。
そうなると、全身汗まみれになり、すぐにシャワーを浴びないと気持ちが悪い。
虫にも刺されている。
もう、ほとほと疲れて暫くは何もできず、ぼんやりと窓の外を眺め、完全な放心状態になってしまう。
この夏、あと何回草取りをしなければならないのだろう、早く夏が終わって欲しいなどと思ったりしてしまうのだ。
我が家の雑草は毎年ほぼ同じ種類である。
春にはカラスノエンドウが生える。
蔦性で近くのものに絡まったりするが、簡単に根ごと取ることができるので助かる。
夏の今は、ドクダミ、えのころ草、メヒシバ、オヒシバ、そして最強の藪枯らし。
これも蔦性で、近くのものは絡まれて息絶え絶えになってしまう。
地下深くまで根が張っていて根ごと取るのは難しいので生えてくる度に取るしかないのだ。
でも、何を言ったところで、夏は必ず巡り来るし、草取りもしなくてはならない立場。
そうであれば、少しでも草取りをプラスに考えていける方法を考えるほかない。
では、どうするか。
全身汗みどろにならず、疲労感も軽減したい。
それならば、時間を短縮するしかないのではないか。
1時間以上かけていたものを30分で切り上げる。
30分以上はしない、と決めるのだ。
簡単なことだ。
草取りの回数が増えはするが、終わった後の気持ちの余裕が違うだろう。
先ず、立ち上がる時の体の軽さ、そして爽快感。
さっさと鎌やバケツを片づけて、家の周辺を散歩でもしようかという余裕も残っているに違いない。
なにより、気持ちよく草取りを終えられることが嬉しい。
さあ、明日から始めてみよう。
午後5時には近くの小学校の帰りのチャイムが流れてくる。
そしたらおしまい。
♪おててつないでみな帰ろう♪
♪からすといっしょに帰りましょ♪
草取りぬ背中に今日の夕日あり
庄子紅子
庄子紅子(しょうじこうこ)
岩手県花巻市生まれ 宮城県名取市在住
「牧」会員 現代俳句協会会員 宮城県俳句協会会員
句集「静電気」